②
外にある屋台が集まる通りに行くと、カイトの姿を見つけた。
「あっ、オズモンドさん来てくれたんですね。ありがとうございます」
「あぁ、実はリリアンヌ様が祝辞を述べられるから、同行しているだけなんだけどな。あっ、そうだ」
そう言って俺は、学園祭のチケットをカイトに渡した。
「申し訳ない、やっぱりアイリスちゃんから送られてきてな。まだもう一日あるし、他の人がいたらそっちを誘ってくれ」
「大丈夫ですよ元々、ダメ元でしたから。わざわざ持ってきて下さってありがとうございます。なんか、クロエが行きたそうにしていたので、後であげようかと考えていた所でしたから」
と2人で話していると、1人の女の子がカイトに近づく。
「カイトくん、ここにいたんだね。よかったら、えっと私と一緒に周ってくれませんか?」
と緊張しているのか、オドオドしている。
「ごめんねルナさん、今取り込み中でこの方と話をしているんだ」
と俺の事を紹介してくれる。
すると彼女は顔を赤くし、それと同時に髪の毛の跳ねている部分が大きく立ち上がる。
「も、申し訳ありません!!ご、ご機嫌様王配殿下!!」
(まぁ、普通の人はこんな反応するよな。カイトが落ち着いているだけで)
「カイトの友達?」
「はい、クラスメートのルナ・ステラウッドさんです。僕が学園にきて編入初日の隣の席がルナさんだったんです。親切に教科書を見せてくれたり、学校案内もしてもらっちゃって、それがきっかけで仲良くさせてもらってます」
「えへへ、そんな〜」
と彼女は照れ臭そうに頭を掻いている、それと一緒に髪の毛もまた頭を撫でているので、生き物なんじゃないかと思ってしまう。
そのあと校舎に戻るため、カイトと女の子に手を振り別れる。
アイリスちゃんのクラスに戻ろうと思ったのだが、
「あれ、迷った?」
地図はリリアンヌ様が持っているので分からず、とりあえず立ち止まり周りを見渡す。
「この階で合ってると思うけど、人気がないな」
自分でもわからなくなってしまったので、人に聞けばわかるかもと思った俺は、教室の中に人がいないか確認する。
その中に2人の人影がある教室があったので、声をかけながら扉を開ける。
「すみません、ちょっと迷ってまして。お尋ねしたい事があるんですけど」
と聞くと、2人がこちらを向く。
1人はこの学園の生徒なのだろう、制服姿で眼鏡をかけ白をベースとした所々茶色の髪の毛が混ざる、独特な髪を三つ編みにしている。
もう1人は少女のような姿で、黒い髪と俺と同じ瞳の色、黒いワンピースと独特な帽子をかぶっている。
その少女が俺に近づき話かけてくる。
「お主アーモンドじゃな、アーモンドなんじゃなカリントウからきいておるぞ」
「おばばさま、アーモンドではなくオズモンド様です。カリントウもカイトさんですよ」
とその生徒もこちらに来て、自己紹介をしてくれる。
「祖母が申し訳ありません。私、2-Cのブラン・ホワイトハートと申します。以後お見知りおきを」
とスカートを摘み上げ、貴族風の挨拶をしてくれる。
「わしは、クピトの森で暮らす大魔女クロエちゃんじゃ!!」
「えっ、あのクロエか!!」
「そうとも、偉大なるクロエちゃんぞよ」
「でっ、でもこんな子供があの腕輪を?」
「おばばさまは少女の見た目をしておりますが、こう見えて400歳になります。魔女は人間の4倍程寿命があると言われていますから、長生きされているのです」
「4、400歳!?じゃあ、確かにおばあちゃんだな」
「そんな事ないぞ、わしだって魔法を使えばピチピチのギャルに…」
「おばばさま、表現が古いです。年代が透けますよ」
「えぃ!!」
と言うと、一瞬にして煙が立ち昇りその中から、大人で妖艶な女性が出てきた。
「凄い、これが魔法の力!!」
「ふん、思い知ったか」
(あっ、中身は変わらないんだな)
しかし、そのあとすぐ、元の姿に戻ってしまった。
「えっ、どうして」
「おばばさまも高齢なので、昔のように魔力を扱う事が難しくなってしまって。今は、大量に魔力を使うと寝込まれてしまうんです」
「なるほどそうだったのか、あれというか?君、クロエの事祖母って言ってたよなもしかして…」
「ブランはわしの孫じゃぞ、カイトには言っておらんがな」
「嘘だろ!!」
「話せば長くなるが、わしは人間との間に子供を作り、わしの娘グレイシアは魔女になるより人間として生きる道を選んだ。そのあと、娘が子供を授かってなそれがブランなんじゃ」
「おばばさま、申し訳ありません。ママは会いたくないと…」
「良いのじゃ、わしはこうして孫娘の姿が見られただけで満足じゃ。ブランも少しだが魔力を持っておってな、寿命は4分の1になって人間と同じじゃが、魔力は上手く扱えないと暴走する可能性がある。ブランも幼い頃大泣きすると、物が壊れたり勝手に動き回ったりしたからの、今もこうして暴走してないか見にきてるのじゃ」
「魔力ってそう簡単に扱える物じゃないんだな。というか、腕輪に願いを入れたくれたのはクロエだよな。改めてお礼を言わせてくれ、というか、願いって何を入れたんだ?」
「あの時はカイトも焦っておったからの、なんか「幸せにしてあげたいんです」とか言われたから、それ関連の物を適当に言っただけじゃ。内容はよく覚えておらん」
「おばばさま、今度は物忘れまで。ママや私の名前や誕生日はきちんと覚えていらっしゃるのに、大切な事は忘れてしまうんですね」
「忘れたという事はどうでもいい事じゃろう、本当に大切なものは忘れたりしないから大丈夫じゃ」
「まぁ、カイトも教えてくれなかったし、後はなんとかするから。とりあえず、道を教えてくれないか頼む!!」
と言うと、お孫さんが地図を広げ教えてくれた。
俺は2人にお礼を言って、アイリスちゃんのクラスに戻った。
「お義兄様、おかえりなさい。大丈夫でしたか?」
「あぁ、ちょっと道に迷ったけど、なんとかなった」
「お姉様はイートインスペースで食べていらっしゃいますから、もしよかったらご一緒にどうぞ」
「あぁ、ありがとう」
そう言って、イートインスペースに行くと、リリアンヌ様がお菓子をたくさん出し食べていた。
多分いつもの昼食より食べているはずだ、甘い物は別腹ということか。
俺は彼女の隣に座り、声をかける。
「リリアンヌ様、だだ今戻りました。本当に甘い物がお好きですね」
「えぇ、なんだかお腹空いてしまって。去年より沢山食べている気がします」
「お菓子は持ち帰れますから、無理して全部食べなくても大丈夫ですよ」
「そうなんですけどね、思ったより口が進んでしまって。別腹があるような気になってしまいますね」
そのあと、リリアンヌ様に分けて貰って一緒にお菓子を食べる。
手作りという事もあって、温かみがあってうれしかった。
そのあと、リリアンヌ様に連れられ学園内を周る事になる。
そんなに食べた後で動いても大丈夫なのか!?と不安にもなったが、リリアンヌ様が楽しそうなので何よりだ。
こうして俺の不思議な学園祭は幕を閉じたのだった。
E11の②を読んでいただきありがとうございました。
今回は二年生のルナ&ブラン、隠しキャラのクロエが登場しました。
本編のルナちゃんの髪の毛はアホ毛の事ですね。
因みにゲームタイトルですが、
「どき❤︎セントライト学園〜不思議な魔女と魔法の腕輪〜」です。
いいでしょ、くそダサくてギャルゲーのタイトルはダサいぐらいが丁度良いんです。
これからEp14&15とストックを増やすため間があきますがよろしくお願いします。
次は、Ep12「聖誕祭の夜に」をお送りします。
分割するかは、量が微妙なので打ち込んでからまた決めたいと思います。




