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次の日の朝、城でそのまま寝泊りした俺は母のもとへ戻る。


家に帰ると、母が朝食を作ってくれているようだった。

「母さん、ただいま」

「お帰り、朝食ができてるわよ」

そう言って二人で朝食を食べる。

その時、リーマ夫人の事や父の事を母に話した。


「その…リーマ夫人が「今まで、ありがとうございました」って。それと親父が、「恨んでもいい、でも王妃様の事は忘れないで欲しい」って。」

「…そう」

母は手を止め、城が見える方向の窓を見ていた。

何を思っているのか、俺にはわからないが母は語らないだろう。


「そうだ、母さんには申し訳ないけど。出来るだけ早く、ノーザンデリアに帰ろうと思ってる。また、一人にさせてごめんな」

「いいのよ、自分で決めた事ですもの。荷造りの手伝いをするわ、駅まで送って行くから」

そう、母もいい年だし出来るなら一緒にいてあげたいがそうもいかない。

城には行きたがらないし、どこか俺も母も安心して暮らせる場所があればいいと俺は考えていた。

お金関係は、父がきちんと夫人という立場から支援金を送っているので問題ない。


そのあと、荷造りをして駅に行き母に別れを告げた。

この里帰りは、自分を見つめ直すいい機会だし無駄ではなかったと思っている。

あとは、あちらの反応次第だ。


2日かけバランプールの中央駅に着く、そのあと足が竦んでしまい城に戻る勇気がなくなっていたので、市街の様子を見ようとオンバ通りを歩いていた。

そこまで変わっていなかったので、ちょっと安心した。


しかし、そのあと誰かとぶつかってしまう。

多分、俺が大きいトランクを持っていたからであろう。

誰とぶつかったのか、探しているとある物を見つけた。

(ウソだろ!?これ、カイトの腕輪じゃないか!!)


そう緑色で中央に宝石が付いている馴染みの腕輪だ、俺はカイトが近くにいるのかと思い彼を探す。

そうすると何メートルか先にカイトの姿を見つけた。

俺は彼に声を掛ける。


「カイト!!これお前の腕輪だろう、また落としてるぞ!!」

その声に、嬉しそうに笑顔でカイトが振り返る。

「ありがとうございます、お兄さん、でもこれお兄さんのですよ」

と腕輪を取り上げられて、「カチッ」音がする。

そう、腕輪を嵌められたのだ。


「お、お前何して!?」

「僕は、持ち主の所に返しただけです。僕も諦めきれなくて、クロエにお願いして別の願いを入れて貰いました」

「じ、じゃあやり直しか!?」

「いえ、実はちょっと違うみたいで…ほら定例会議もしていませんし、いつもの所にいきましょうオズモンドさん」

そう言われ、俺とカイトはいつもの酒場に移動する。

昼食を食べていなかったので、一緒に食べる事にした。


「それで、何かが違うって言ってたよな、何の事だ?」

「えぇ、オズモンドさん。好感度表と個人パラメーターを見て下さい」

そう言われ、宝石を押す。

確か解除された時と同じだと思うのだが違う所があるらしい。


「何か変わってるか?同じように見えるけど?」

「確かに内容は一緒です。ですが問題なのは色です!!」

「色?…あっ!!」

カイトに言われてやっと気づいた。

そう内容は同じだ、でもそれを囲っている枠や色の配色が変わってしまっているのだ。


「実はこれ、クリア後のデータになっているんです。通常はイエローとピンクの2色だったとおもいますが、クリア後になるとピンクとレッドになるんです」

確かにカイトの言うようにピンクとレッドになっている。

「じゃあ腕輪が解除されて、クリア扱いになっているのか?」

「はい、実はクリアデータって保存されてもこれ以上好感度やパラメーターを上げられないんですよ」

「えっ、でも願いはどうなるんだ!?」


「願いはクロエに頼めたのですが、あとの2つはクロエも知らなかったようで、ヘタにいじらない方がいいと思ってそのままにしました。一様なくても叶えられる願いにしたのですが、それで良ければ」

とカイトは申し訳なさそうに言っている。

その言葉に俺は、ため息つきながらも顔を上げる。


「まぁ、カイトも心配してわざわざクロエに頼んでくれたんだろう。俺は感謝しているし、今度はカイトに頼らず自分の力でやってみるよ」

その言葉にカイトは嬉しそうに笑っている。

「それで、その願いは何なんだ?」

「それは、その時までのお楽しみです!!あっそうだ」

と言ってカイトは自分の荷物を漁っている。


「オズモンドさん、これ良かったら仲良くなるきっかけになるかわからないですけど、リリアンヌ様と一緒に来て下さい」

と渡されたのはセントライト学園の学園祭の地図とチケットだった。

「わざわざありがとう。もしかしたら、アイリスちゃんからも毎年貰っているから被るかもしれないけどそれでもいいか?」

「僕もそれを考えたんですけど、アイリス王女と最近会えなくてわからなかったので一様もらって下さい」

そう言われ、そのあとカイトとわかれた。


確かに前の状態と変わってしまったが、腕輪がなくたって互いに問題を乗り越え歩み寄る夫婦も沢山いる。

腕輪なんてきっかけに過ぎないのだろう。

そう俺は思いながら、城へ戻った。


一番最初に会いたかった人の部屋に向かう、ノックするとカトレアが出てきてくれた。

「は〜い、今開けますね。うゎ、びっくりした!!オズモンド殿下、お帰りなさいませ!!本当にご無事で何よりです」

「ただいま、カトレア。リリアンヌ様はどちらに?」

そう聞くと下を向き悲しそうに言う。


「オズモンド様が居なくなられてずっと寝込まれていました。その間、公爵が代王として公務をして下さって、アイリス様もわざわざ休学されてお姉様の力になればと公務の手伝いをされていました」

「そうだったのか、俺がいない間に…」

「とりあえず、お帰りになられてよかったです。よろしければリリアンヌ様にお会いされますか?」

「あぁ、勿論」


そう言って部屋の中に案内してもらった、その空間が仕切られたスペースにあるベッドの上には苦しそうな表情のリリアンヌ様がいた。

「いやだ、行かないで…、そばにいて…」

とうなされるように寝言を言っている。


こんな苦しそうな表情のリリアンヌ様は初めてだった。

俺はたまらず手を握り、

「リリアンヌ様、私はここにいます。これからはずっと側にいますから」

そう言うとリリアンヌ様は安心したのか、「スウスウ」と穏やかな寝言を立てている。


そのあと、カトレアは窓の方に行き何かを持ってきてくれる。

それは、俺が自室に置いていった植木鉢だった。

よくみると可愛らしい小さな赤い花がポツポツと咲いている。


「何でこんな所に…」

「実はリリアンヌ様が、オズモンド様が去られたあと貴方のお部屋に何か、行き先の手がかりがないかと調べていたそうなんです。その時に植木鉢を持ってこられて「これが私に残された、オズモンド様とのたった一つの繋がりなの」と言われて、無理矢理からだを起こされお世話されていました」

「リリアンヌ様…、ありがとうカトレア、あとは俺が世話するから」


「はい、お願いします。それにしてもスカーレットの花は可愛らしくて、鮮やかですね」

「スカーレット?」

「はい、4月から10月までの花ですので、遅咲きでございますが、スカーレットはこのように赤くて小さい可愛らしい花が咲くのです」


「そうだったのか、もう成長しているし小さい植木鉢だと狭いだろう。新しいのに変えてくるから、リリアンヌ様が起きたら中庭の方にいると伝えておいてくれ」

「はい、かしこまりました」

そう言って、俺は中庭に向かう。


その途中、廊下で話をしている公爵とアイリスちゃんが俺に近づき近寄ってくる。

「お義兄様!!」

そう言いながらアイリスちゃんは、泣きながら俺に抱きついてくる。

「本当にご無事で何よりです。流石に私も良い歳ですから公務は体に堪えます」と言って、肩を叩きながら公爵もゆっくり近づいてくる。


俺は2人に、俺の居ない間公務を任せてしまった謝罪とお礼を言った。


そのあと、アイリスちゃんが俺の持っている植木鉢を見ている。

「お義兄様、可愛らしいお花ですね。何の花ですか?」

「スカーレットって言うんだ、別荘に行った時もうすぐ咲きそうだったから持って来たんだ。今から中庭に行って植え替えをしようと思って」

「中庭に新しい仲間が増えますね、楽しみです!」


そんな話をして、俺は中庭に向かった。


Ep10の②を読んでいただきありがとうございました。

何かオズモンドがウイニングラン状態になってますが、やりたい事はあるのでもう少しだけ続きます。

本編はEp16でエンドロールとさせていただきたいと思います。

それまでは、お付き合いください。

次は、Ep10「帰る場所」③をお送りします。次でEp10は最後です。

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