①(リリアンヌ視点)
お待たせしました。ストックが出来ましたので、
Ep8①②、Ep9①②③を出来次第投稿します。
後、Ep8の解説をこれと同時投稿しますので興味がある方はご覧ください。
夏季休暇を終えて、城に帰って来た私達はこれ以上ない状況に悩まされていた。
あれからという物のオズモンド様は、夫婦の寝室で過ごす事がなくなり、自室で過ごすようになった。
その話は徐々に広まり、「2人が不仲関係になっている」と噂される様になった。
「その…リリアンヌ様。殿下についてなのですが…」
と朝、重役会議の前。服を着替える手伝いをしている、カトレアが話かけてきた。
「大丈夫よ、カトレア。オズモンド様は悪くないわ、私がきちんと向き合っていなかっただけなの」
その言葉を聞きながら、カトレアは悲しそうに俯いている。
オズモンド様はずっと、世継ぎについて考えていたのだろう。
それなのに私は、オズモンド様との時間を優先し、その上で自然に子供が出来たらいいなと軽い考えを持っていた。
それで彼を悲しませ傷つけてしまった。
大臣達からも私の気づかない所で、言われ続けていたのだろう。
ずっと、我慢を重ねていたのかもしれない。
「リリアンヌ様、この後の重役会議の資料です」
と着替え終わった後、カトレアが資料を持って来てくれる。
重役会議には、国を支える各省の大臣とそれを束ねる左省官と右省官が集まっている。
オズモンド様の証言を聞き出すにはいい機会だ。
「ありがとう、それじゃあ行ってくるわね」
そう言って会議室へ向かった。
重役会議が終わった後、私は皆に。
「少し、お話したい事があるので残っていただけますか?」
といい。皆に残ってもらった。
何の話だろうと、近くの席同士でコソコソ話をしている人もいるが、私が話始まると口を閉じた。
「誰ですか?王配殿下に対して「世継ぎはまだか」と証言したのは」
その言葉に室内が「シン…」と静まり返る。
「私は事後の証言に対して、何の罰則も致しません。知りたいのは真実です。王配殿下は涙ながらに証言して下さいました。私の知らない所で王配殿下に、何を言ったのか教えなさい」
その言葉に一人の大臣が手を挙げる。父の代から支えてくれた、法務大臣だった。
「私が、殿下に対しそのように証言いたしました」
その発言に対し、室内が騒めいている。
「どうして、そのような証言をしたのですか?」
「まず、誤解しないでいただきたいのですが、私はこのノーザンデリアを思ってのことそれはわかっていただきたい。この国が今後も続く為には、未来を担う世継ぎが必要なのは女王陛下もわかっておられると思います」
「えぇ、もちろんです」
そんな事言いながら頭の端にあっただけで、本当は何も考えていなかった自分が嫌になる。
「私は最初、王配殿下に対し不信感を抱いておりました。他国出身という事もありますが、あのバートラム王の息子である事。バートラム王は女王陛下を支えるといい、自分がこの国の宰相となり他国の身ながらノーザンデリアの政権に関わっていました。それにより、私達大臣も圧力を受けていたのは事実です」
そう、バートラム王は私を支える為、宰相という特別職に就き王と同様の権力を持っていた。
今は、私も大人になり王の務めを果たしているので宰相をやめてもらっている。
「確かに、私も未熟なのは承知しています」
「えぇ、ですが王配殿下は違いました。表に立たれる事もなく、女王陛下と公務を共にし貴方を支えられておりました。最初女王陛下が殿下に対し、騎士団での権力を与えるなど戯言かと思いました。入婿だとしても他国の人間に、自国の軍の指揮権を渡すなどあってはならない事そうですね?」
「確かに私も迷いました、王配殿下に対し権力を与えていいものかと」
実際、彼を総司令長にするのに3年はかかっている。
「しかし、王配殿下はその権力を上手く利用し、これまでも多くの国民を救ってきました。6月の災害支援もその一つです。騎士団はもちろん住民も怪我をせず、被害も最小限に留まりました。」
「えぇ、殿下はご自分で発言されませんが、騎士団の方々から慕われ信用されています」
「えぇ、ですから私は王配殿下に期待を寄せております。しかし、不思議でならないのです。こうして、王配としての責務を全うしているのも関わらず。一番大事な「世継ぎ」について何の発言も無いのです」
確かに、大臣の考えもわかる。
結婚して10年、未成年の時期もあるが子供について考える時期は幾らでもあった筈だ。
オズモンド様も考えていた筈、それなのに子供がいない…。
「確かに大臣が、不安になる気持ちもわかります。ですが、話を聞けば王配殿下は「世継ぎ」についてきちんと考えておられました。ですから今後は質濃く、それ関係の発言を言わないでいただきたいのです」
大臣はその発言に驚きながらも、
「畏まりました」
と言っている。
多分証言しないだけで、他にもいるかもしれないが。こうして勇気を持って証言してくれた法務大臣には、感謝している。
その後、財務大臣であるノーザンリバー公爵が手を挙げる。
「もし、世継ぎに対して不安に思っているのなら、ご心配には及びません。我々、公爵家には3人の男子がおります。孫が出来れば、孫の代でもいいでしょう。公爵家が王族の血統を重視するのは、王族の中で後継者がいない場合、公爵家から養子を取れるようにする為です」
「ありがとう、財務大臣」
「出来るだけ、女王陛下のお気持ちに沿う形でと私達も考えております」
しかし、その発言に対して左省官が口を開いた。
「なら、なぜ貴方が王にならなかったのですか。公爵」
その言葉に公爵は嫌な顔をする。
左省官は元々ノーザンデリアは「男系継承」である事を重視し、当時女性の私ではなく。
男性で王族の血筋である、公爵を王にするのが相応しいと考えていたのだ。
「仕方ないでしょう、私は妻との暴力事件によって前王から信頼を失ってしまいました。私は王座などに興味はありません、家族と居られればそれでいいのです。必要な犠牲でしょう」
「その、犠牲のせいで後継者を決めるのに国が混乱し、今もなお「男系継承」であるにも関わらず、女性であるリリアンヌ女王陛下が即位されているのを疑問に思っている方も少なからずいることを覚えておいて下さい」
と左省官と財務大臣との間で嫌な空気が流れているのがわかる。
王位継承は誰もが抱える悩みだ。
私も最初、自分が即位するのではなく公爵が即位するのだと思っていた。
なぜなら、王位継承権は当時、私にはなく公爵家の男性が持っていたからだ。
今は私が即位しているが、その後がどうなるのかが今の状態では不透明になっている。
Ep8の①を読んでいただきありがとうございました。
次はEp8「砦の崩壊」②(オズモンド視点)
とEp8解説「ノーザンデリアにおける「男系継承」について」をお送りします。
下記はちょっとした裏話も乗せてありますし、リリアンヌの父とキートンの父の名前も載っていますので興味がある方はご覧下さい。




