表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冴えない王配に女王陛下の好感度がわかるようになりました  作者: きつねうどん
Ep7 思い出の夏
19/47

3、4日目は同じようにリゾート地で過ごしていた貴族の方に、会食に誘っていただいたのでそちらに参加していた。


そして5日目の夜、俺はリリアンヌ様に「花火をしませんか?」と誘った。


「早いものですね、明日で実質最終日ですものね」

とリリアンヌ様は、花火をしながら俺に話かけてくる。

「えぇ、時が過ぎるのは早いものです」


「そういえば、こうしてオズモンド様と家族になって、一緒に別荘に行く様になってもう10年ですか。月日が経つのは早いものです」

「そうですね、リリアンヌ様が即位されて10年にもなりますし、いろいろと節目の年ですね」

俺はこれまでの結婚生活を振り返る、16歳で彼女と結婚して嬉しかった事や、悲しかった事も沢山ある。

でも、それはそれで良い思い出だ。


「これからも、こうして貴方と一緒に過ごせていけたらいいなと思います。これからもよろしくお願いしますね」

と俺に対して深々とお辞儀をしてくれる。

「いえ、私の方こそよろしくお願いします!!」

俺は花火をやめ、同じように深々とお辞儀をする。


「ねぇ、オズモンド様。オズモンド様は未来というか、これからの事を考えた事はありますか?」

「これからの事ですか?」

「はい普段は忙しくて、なかなか2人の時間が取れないしょ?10年の節目も迎えますし、2人でこれからの事を考えてもいいと思いまして」

「そうですね…」

そう言いながら、俺は“あること”を思い出す。

とても大切な事だ、でもそれは俺の我が儘でもある。

それで彼女を“また”傷つけたくない。


「申し訳ありません、直ぐには出てきませんでした。明日にでも考えておきますね」

そう言って花火を続け、終わった後2人で別荘に戻った。


6日目、俺は“あること”についてずっと考えていた。

今の彼女に話していいものかと、でもいずれ必要な事なんだし、こうした機会がないと話せないことでもある。

ずっと、その事について考えていたら気づいたら夜になってしまった


寝室のベッドの上で、リリアンヌ様が寛いでいたのでその横に座り話かける。

「リリアンヌ様、大切な話があります。これからの事です」

そういうと、リリアンヌ様は真剣に話を聞いてくれる。


「その、リリアンヌ様は子供というか世継ぎについて考えられた事はありますか」

そう、俺達夫婦にはそれが求められる。自分達がそれを求めなくてもそれに抗う術はない。

「子供ですか…」

そういうと、リリアンヌ様は少し俯き考えている。

その後ゆっくりと口を開いた。


「そうですね、子供はまだいいのではないでしょうか?自分が女王として未熟という事もありますし、今は貴方との思い出を作りたいと思っています。その上で…」

(子供はまだいい、自分は未熟…)

俺と彼女との間に、こんなにも温度差があるのだと初めて知った。

俺は成人してから、それこそ彼女と結婚してからずっとそのことを考えていた。

確かに、自分の考えを言わなかった俺も悪かったのかもしれない。

しかし一緒に過ごしてきて、こんなにも価値観がズレているとは思わなかった。


俺は彼女を押し倒し、そのまま彼女に覆い被さる。

そして、言い聞かせる様にこう言った。

「即位されてもう10年になるのです。貴方求めずとも周りがそれを求めてきます。私も大臣達から何度も言われるのです!!「世継ぎはまだか」と」


そう、リリアンヌ様を傷つけたくないとずっと堪えてきた。

自分が若く正しい判断が出来ないと、大臣達からは「世継ぎはまだか」と「貴方は王配としての本来の役割をわかっているのか」と何度も言われてきた。

でも、それはリリアンヌ様には言わなかった。

彼女は本人が言う様に、子供など求めてはいないのだから。


俺の言葉にリリアンヌ様はハッとする。

そして俺の顔を細い手で優しく包んでくれる。

「ごめんなさい、ずっと貴方の立場に気づいてあげられなくて。ずっと、私を守ってくれていたのですね。貴方が望むなら私は…」

「いいのです。これは私の我が儘ですから」


「いえ、子供を作りましょう、オズモンド様。貴方がそれで楽になるなら、私はいいのです」

その優しい言葉に涙が出てしまった。

何年も考えてきた事をこんなにあっさりと彼女が言うのだから。

別に、子供なんてどうでもいいのだ。出来ないなら養子を取ればいい。

俺は彼女といられればそれでいい。

でも、一緒にいるには子供が必要になるのも事実だ。


俺は涙を拭い寝室から出ようとすると、彼女の声が聞こえる。

「オズモンド様!!」

「今夜は違う部屋で寝ます。ゆっくりお休みください」

そう言って、俺は寝室から去る。

(これじゃあ、7年前と同じじゃないか)

そう思いながら違う部屋で夜を過ごした。


そして7日目の朝、俺とリリアンヌ様は一言も発する事なく。

馬車の中で過ごした。一応、約束通り植木鉢は持ってきた。

これから、どうなるのかはわからない。


しかし、この花が俺の小さな希望なんだと俺は思った。

Ep7の③を読んでいただきありがとうございます。

作者はこれを書いている時、泣きながら書いておりました。

キャラクターに対する思い入れが日を増すごとに強くなっています。

とりあえず、本編が気になると思いますが番外編を挟みます。

次はEp7.5「水着選び」(リリアンヌ視点)をお送りします。

追記:誤字報告ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ