①
8月の初旬の事、アイリスちゃんも夏休みで寮から戻り一緒に過ごしていた。
一緒に昼食を、と思った俺はアイリスちゃんの部屋の扉をノックする。
「はい、どうぞ」という声が聞こえたので俺は部屋に入る。
アイリスちゃんの部屋は、年頃の女の子らしい部屋でリリアンヌ様と同じように白い家具を置いているが、壁紙はアイリスちゃんが好きな淡い紫になっている。
「アイリスちゃん、もうすぐお昼だし一緒に昼食でもどう?あれ、もう荷造りしているのか?早いな」
そう、アイリスちゃんは寮から持ってきたトランクを広げ服や道具をまとめていた。その後、アイリスちゃんは俺を見て突然泣き出す。
「お義兄様、ごめんなさい!!実は別荘に行けなくなってしまったんです!!」
(なっ、なんだってー!!)
5月頃、学園に行った時は楽しみだと言っていたのにどうしたのだろうか?
「とりあえず、話は昼食の時に聞くからそれでもいい?」
そういうと、アイリスちゃんはウンウンと頷いてくれる。
その後、食堂で昼食を取ることにした。
「成る程、テニスクラブの合宿と日程が被っちゃったのか」
「はい、そういう時は顧問の先生にも言って家族旅行を優先していたんですが、今年は悩んでて」
「そうだったのか、アイリスちゃんが俺らの事を気をつかってくれるのは嬉しいけど、何で悩んでいるんだ?」
「その…、テニスクラブの友達に別荘に行く事を話したら、「えっ、何言っているんですか!?アイリス王女がいないと何も始まりませんよ」って言われてしまって」
(それ、絶対カイトだろ!?)
「成る程ね…それで、リリアンヌ様にも言っているのか?」
「お姉様にも相談したんですが、「別荘なんて毎年行けるし、友達との思い出作りも大切な事よ。後はアイリスに任せるわ」と言われてしまって」
「でも、リリアンヌ様の言葉通りだな。毎年こうして気をつかって、家族と過ごしているだけじゃ勿体無いだろう?一度ぐらい違う過ごし方をしてもいいんじゃないかな?」
「一度だけ…うん、一度だけなら仕方ないですね。後で先生の方に合宿に参加する手紙を書いてきます」
「あぁ、気を付けて楽しんできてね」
「はい、お義兄様」
2人で昼食を取った後、アイリスちゃんは部屋に戻り、その後すぐ俺の所に戻ってきた。
「お義兄様、これ花火の事なんですけど」
と袋に入った花火を出してくる。
「あぁ、アイリスちゃんがやりたいって言ってたもんな、そのまま一緒に持っていったらどうだ?友達も喜ぶだろうし」
毎年別荘へ行く時、アイリスちゃんが「花火がやりたい」と言っているので事前に準備していた。
「そう思ったんですけど、結構量があってトランクに全部入らなくて…」
「成る程、なら持っていけるだけ持って行って後は、大人達で楽しくやらせてもらうか」
「それならお義兄様、後はお姉様と一緒に楽しく使って下さいね」
「あぁ、わかったよ」
(あれ、もしかして)
「もしかして、俺とリリアンヌ様の2人きりか?」
「お義兄様、何言っているんですか?当たり前でしょ?」
「そっ、そうだよな!!当たり前だよな!!」
俺は自分の気持ちを誤魔化す様に言った。
その後、アイリスちゃんと別れ公務もあるので仕事場に戻る。
(ヤバイ、ヤバイ!ヤバイ!!別荘で2人きりなんて初めてだぞ!!俺はもつのだろうか!?)
今年の夏季休暇は特別な物になると思いながら、俺は残りの仕事を頑張る事にした。
Ep7の①を読んでいただきありがとうございます。
次はEp7「夏の思い出」②をお送りします。
果たして、オズモンドと作者は互いにもつのでしょうか?乞うご期待です。




