②
その後俺はまず勇気のパラメータを上げる為、前回の事を参考にリリアンヌ様をお出かけに誘った。前回、選択肢にあった植物園と劇場にそれぞれに誘い。
劇場に行った帰り道の事、馬車の中でリリアンヌ様がこう話かけてきた。
「最近、こうしてお誘いいただけるなんて、とても嬉しいです。ありがとうございます、オズモンド様」
「いえ、リリアンヌ様も気分転換になればと思いまして。そういえば最近、髪型を変えられましたね」
そうリリアンヌ様は最近、学園に行った時と同じように髪を高い位置で一つに纏めるようになった。髪をおろしている時も素敵だが、こう言った髪型も新鮮だと思う。
「カトレアにやって貰ってから気に入ってしまって、髪も長くなって動き辛かったし、纏めると動き易いことに気づいて結んでいるの。もしかして気に入らなかったかしら?」
「いいえ、新鮮ですし。とてもお似合いですよ」
そういうと「ピロリン♪」と音が鳴った。こう言った事にも慣れてきた気がする。
「ありがとう、オズモンド様。実はね、この髪型に似合いそうな髪飾りを探しているの。オズモンド様はどう言った物がお好きですか?」
「そうですね、リリアンヌ様は白が似合うと思いますから、白いレースになっているリボンの…」
その言葉に既視感があり慌てて口を噤む。
「リボンの…、なんですか?オズモンド様?」
「いえ、そういったものは男性に聞くより。カトレアに聞くのが一番だと思いますよ」
「確かにそうですけど…」
と俺の言葉に疑問を持っているのか首を傾げる。
俺はその続きを言わず城へ戻った。
自室に戻り、すぐさま机へと向かい引き出しを開けた。
「やっぱり、まだあったんだな…」
引き出しの奥には女の子が好きそうなお菓子の柄の小さな紙袋があった。
「中身は…、今でも使えそうだな」
そう、中には先程の言葉通り白いレースのリボンで中央に安物のカメオが付いている髪飾りだった。
今から10年前になるだろうか、リリアンヌ様に一目惚れして何かプレゼントが出来たらと思った俺は、次にリリアンヌ様に会う前ノーザンデリアのオンバ通りでこの髪飾りを買った。
そしてお会いした時、渡そうと思ったが生粋のお嬢様で時期女王になるリリアンヌ様に安物の髪飾りは相応しくないと諦め。その次から親に頼み、彼女に相応しいレコンキスタの工芸品を贈る様になった。
「このまま仕舞っておいてもしょうがないし、後で処分しておくか」
そう言いながらも、俺は丁寧に紙袋に入れる。
いつか、彼女に渡せると思いながらも10年もずっとこのままにしておいたのだからしょうがない。
勇気も3に上がりキーアイテムを探そうとオンバ通りを歩いていた。
その時お店の入り口で車椅子に乗ったおばあさんさんがこちらを手招きしている。誰を手招きしているのかと思い、立ち止まるが皆素通りしていく。
(もしかして、俺を呼んでいるのか?)
恐る恐る近づくと、おばあさんがウンウンと頷いてくれる。
「あの、もしかして俺を呼びましたか?」
「久しぶりだね、坊ちゃん。どうだい、好きな女の子に髪飾りは渡せたかい」
そういわれ、俺はハッとする。確かにその時買ったお店のおばあちゃんと一緒だった。当時は車椅子に乗っていなかったので分からなかったのかもしれない。
「その…おばあちゃんには申し訳ないんですけど、まだ渡せてなくて」
「何だい、うちの商品に文句でもあるのかい」
そう言っておばあちゃんは、売っている髪飾りに目を向ける。
買う時も、手作りしていると言っていたので怒るのも仕方ない。
「おばあちゃん、ごめんなさい。実は、その女の子は何というかお金持ちのお嬢様で渡しに行こうと思ったのですが失礼な話、安物の髪飾りは相応しくないと渡せなかったんです」
「その、女の子は今どうしているんだい」
「実はその後、結婚して俺が婿入りしたんです」
そのあとおばあちゃんは、ウンウンと頷きながら考え混んでいる。
「そうさね、確かにうちの商品は安物だ。でもね、物なんていつか無くなってしまう。永遠にある物なんてないんだよ。あるのは思い出だけさ」
「思い出ですか?」
「そうさ、うちの夫だって数年前に亡くなって今は骨になっちまった。でもその人の体が亡くなったって、ちゃんと思い出は残ってる。そういうもんさね」
そのおばあちゃんの言葉に俺はアイリスちゃんの事を思い出す。
カイトにあげたハンカチは大切な物だ、でもそれで母親との繋がりや思い出が消えた訳じゃない。
「ありがとう、おばあちゃん。遅いかも知れないけど、彼女にあげてきます」
その言葉におばあちゃんはウンウンと笑顔で頷いている。
「そうだ、そんな事言って渡しそびれても困るからね。念のため同じ物を買いなされ」
(このおばあちゃん商売上手だな、流石ベテラン!!)
そう思いながらも俺は、おばあちゃんに勧められ中央にカメオが付いた黒いリボンの髪飾りを買った。昔と同じように、化粧品柄の小さな紙袋に入れてくれる。
「ありがとうございました、おばあちゃん」
おばあちゃんに手を振り俺は王宮へ戻った。
〜王宮〜
俺は勇気を振り絞り、2つの紙袋を持ってリリアンヌ様の部屋へ向かった。
「あら、オズモンド様。どうしてこちらに?」
「実はですね…その…お渡ししたい物がありまして」
と10年も渡せなかったお菓子柄の紙袋を彼女に渡す。彼女はその中身を確認している。
「これを私に?」
「申し訳ありません、安物の髪飾りなど貴方には相応しくないですね」
「いいえ、そんな事。私は高級な物が全て価値ある物だとは思いません。安物であろうと、オズモンド様から貰った物は全て大切な物なのです」
そう言って、部屋にある棚をみている。
「私は、この棚に貴重な工芸品だからという理由で飾っているだけではありません。オズモンド様がくれたから飾っているのです」
その彼女の言葉にハッとする。
「俺だからですか…」
「勿論です」
その言葉に俺は嬉しくなる。少しだが彼女の気持ちを知ることができ、心を通わせられた気がするからだ。
「さっそくですが、付けてみてもよろしいですか?」
「リリアンヌ様がよろしければ」
そう言って、彼女はドレッサーに行き髪を纏めている。
そのあと髪飾りをつけてくれた。
「やっぱり、オズモンド様はセンスがいいですね。とてもしっくりきます」
「そう言って頂けると嬉しいです。お似合いですよ」
そう言ったあと不思議な現象が起きた。俺の前に文字が出てくる。
お知らせ:おめでとうございます。キーアイテムが攻略対象に渡りましたので、2段階目が開放されました。
(ウソだろ!?これが、キーアイテムだったのか!?)
ビックリしているとリリアンヌ様が話かけてくる。
「オズモンド様。この髪飾り私、気に入りました。どこで購入されたのですか?」
「いや、実は10年も前に市街で購入したものなんです。当時渡す事も出来ず、そのままにしておりました」
「そうだったのですか。なら、その時から10年分オズモンド様の思い出や気持ちが込められているのですね。大切に使わせていただきますわ」
(そういうことだったのか…)
キーアイテムは大切な物や思い出の品と言ったが、それは俺も同じで、当時のリリアンヌ様への気持ちや思い出が詰まった物なんだなと俺は思った。
その後、少し会話し部屋をでる。
「あっ…、今日買ったやつ渡しそびれちゃったな。まぁ、いいか」
今度は10年もかからないだろうと、今日買った物を同じように机に入れた。
そのあと、おばあちゃんのお店が大繁盛し、その数年後には王室御用達店になっている事など誰も知らない。
Ep6の②を読んでいただきありがとうございます。
おばあちゃんは良い客を貰いましたね。ぼろ儲けです。
次はEp7「思い出の夏」①をお送りします。




