島ー7ー シメ方
不定期すぎて何も言えない……
「ソフィアちゃん、ソフィアちゃんー!」
ティナが帰ってくる前にお風呂に入っておこうと思い、夕食を食べた後、タオルを持って二階の浴場に向かっていると、すぐ前の角からロト=サウスクがピョコリと顔を出し小さく手招きをしてきた。
「何?」
ロト=サウスクの元に行くと、もう一人、ルーナ=マラウィがいた。
「ソフィアちゃんもウィルくん達の様子見に行かないー?」
「行く」
「……えー? あれー? なんか想像してたのと違うんだけどー」
即座に頷いた私の顔を見てロト=サウスクは首を傾げた。
「もっと、こー、ルーナンみたく『めんどくさい』とか言われるかと思ってたー」
「ちょっと、そう返されるの予想出来るんなら最初から誘わないでよ」
「えー、それはそれでつまんないじゃんー、あ! じゃなくって、こんなことしてたら始まっちゃうー! 二人とも急いでー!」
「はぁ……」
「ええ」
***
連れてこられた先はもう食べ終えて誰もいない静かな大広間だった。
「ねぇ、誰もいないけど?」
小さい声で隣にいるロト=サウスクに聞けば、彼はしぃー……と人差し指を自分の口元に持っていきベランダに続く締め切られた襖の方へ歩き出した。
何も言わずそんな彼に付いて行くルーナ=マラウィに倣い、私も少し早足で後を追った。
「ーー」
「ー!!」
「ー?」
襖に近付くと、誰かの話し声が聞こえてきた。
けれど、話の内容までは聞き取れないようだ。
「んー……やっぱりここじゃ聞こえないかー」
プクゥと頬を膨らませ、ロト=サウスクが小さくそう呟いた。
と、
「……!!?」
私達の少し後ろに立っているルーナ=マラウィが突然無言で肩を揺らした。
「ど、どーしたのー!?」
驚きの声を上げながらもちゃんと声のボリュームを小さくしている辺りさすがだ。
「よぉ、お前らどこにも居ねぇと思ったらやっぱりここかよ」
ルーナ=マラウィの驚きの対象は、彼の肩に自分の腕を回している青髪王子、セオ=ハイトだった。
「つーかそこの二人は想像出来たけどよ……」
視線が自分に向かっているのが分かる。
「そんなに意外かしら?」
わざとらしく首を傾げた私をセオ=ハイトは少しの間じっと見た。
「……ふーん、まっ、なんでもいいけどウィル見てチビんなよ」
鼻で笑いながら挑発的にそう忠告された。
悪いけど今のところ尿意は少しも感じないわ。
「お前らこっち来い。ここからならベランダの様子がよく見えるぜ?」
そう言って手招きし、ガラリと開けたのは金髪王子と女の子達がいるであろうベランダへ続く襖のすぐ横にある子窓だった。
そこからベランダの様子を覗いてみると、六人の女の子の後ろ姿があった。
右の二人は夕食の時に声を掛けられてた子達だろう。
左の四人がよく分からない。
「左の四人組はエリザ=トレドちゃんを窓から突き落とした子達で、セオくんが呼びに行ったんだよー」
疑問に思っていたのが分かったのだろうか。
ロト=サウスクが補足説明を加えてくれた。
「じゃあそろそろ本題に入ってもいいかな? 」
金髪王子、ウィル=クラウドが色気たっぷりの微笑みを彼女たちに向けながら口を開いた。
「ねぇ、
退学と土下座、どっちがいい?」
その声のトーンと表情のギャップに思わず身震いした。
それからは本当に恐ろしかった。
ウィル=クラウドは唖然としている彼女たちに次々と証拠を提示し、エリザ=トレドさんに土下座しないなら先生に提出しに行く、
と脅しはじめた。
どうしてこの短期間でそんな確実な証拠が得られたのかは分からないけど……。
「もし、ウィルのシメ方が甘かったらあいつらの前に出て行くつもりだったのに残念だったな」
セオ=ハイトがニヤニヤしながらそう言ってきた。
そう、この青髪王子の言う通りだ。
今回のあの子達が行ってたエリザ=トレドさんへの行為は、回り回って、エリザ=トレドを気にしていたティナに影響を及ぼした。
どこでそんなに親密になったのかは分からないが、恐らくエリザ=トレドが傷つけばティナも傷つくぐらいの情はもう移ってるだろう。
ならさ、ティナが傷つく原因となるものは見逃せないじゃない?
「ええ、残念ね。でも少し安心したわ」
ベランダへ向けていた目をセオ=ハイトに向け、そう言って窓から身を離した。
「ソフィアちゃんー? どこ行くのー?」
「お風呂よ。ティナがかえってくる前までに入っておきたいの」
彼らに背を向けながらそう答え、広間を一足先に出た。
あら、もう少ししたら雨上がりそうね。
〜素晴らしくどうでもいい話〜
昨日くしゃみ10連発したけど、前世は思い出せなかった……。




