島ー4ー
遅くなりました(><)
「ん……」
精神的に疲れてしまったのか、はたまた本能的にあの状況から逃げ出したかったのか、あの後私は少し眠ってしまったようだ。
と、言っても周りが真っ暗すぎて自分が今目を開けているのか閉じているのか分からなくなっているけれど。
微かに雨の音がする。
やっぱり雨降ってきたんだ。
ダメだ。
このまま三週間もこの中に居たらおかしくなる。
「……出なきゃ」
まだ体力があるうちに出なくちゃ。
蹲っていたい、と主張する身体をのそのそと動かし起き上がる。
横に転がる自分の剣を拾い上げ、立ち上がると、右足に激痛が走った。
「いっ……!」
さっき、足痛めちゃったのかな……。
痛みを我慢しながら歩きはじめたものの、本当に真っ暗ですぐに足がすくむ。
けれど自分を奮い立たせ、再び歩きだす。
「……、いた」
何かにオデコがぶつかった。
手探りで目の前にあるものを探れば、倉庫の扉であることに気付いた。
ダメもとで横にスライドしてみれば、ガラッと扉が開いた。
「うそ……」
どうやら彼女は鍵をかけるのを忘れていたようだ。
本当に忘れていたのか、はたまた私が逃げるわけないと思っていたのか分からないけれど、ラッキーなことに変わりない。
ぎゅっと唇を噛みしめ、外に出る。
ザァーっと雨が容赦なく外に出た私の身体を打った。
旅館はどの辺りだろ……?
痛めた右足を引きずりながらヒョコヒョコと足を進めた。
痛い。
痛いなぁ。
***
「……っ!」
「……ってーな、」
雨の中、傘をささずに歩いていた二人組の柄の悪そうな人達にぶつかってしまった。
「おいおい、なんてことしてくれてんだよ……ってこりゃ結構な上玉じゃねぇかよ」
俯いていた顔を無理矢理上げられ舐めまわすように見られる。
「おい、コイツはやめとけって」
男の仲間が止めに入った。
「ちょ、邪魔すんなや」
「ちげーよ、コイツの右手見てみろよ。グレイ・ティーだぜ?」
顎の次は右手を掴み上げられる。
「うわぁー、ガチかよ。
なら尚更ストレス発散にちょーどいいじゃね?」
「ギャハハ! ひでー」
路地裏でなく、表通りで事は起こっているのに、通り過ぎて行く人達はチラッと見るも、私の右手を見ては何も無かったかのように前を向く。
全く助けに来てくれる気配はない。
ふと外套で隠れている自分の剣に目が行った。
……確か、剣に自分の血を付ければ先生達に伝わるんだっけ?
助け、か……。
思わず嘲笑が漏れる。
「おい、何笑ってんだよ」
「おいおい、グレイ・ティーと喋っちゃダメなんだぜ?」
「あ! そーだったな、ってそれは女の話じゃねぇかよ」
「そうだった」
ギャハハ! と笑っている二人にギュッと自分の拳を握る。
「……もん」
「「あ?」」
「好きでグレイ・ティーになったんじゃないもんっ!!」
あの日、風邪を引いて欠席したんじゃない。
本当はあの子に騙されたんだ。
私だけ本当の日程の一日ズラして教えられていたんだ。
「私が悪いの……? ねぇ! 騙されたんだ私が悪いのかな!?」
「え、何コイツ、何言ってっかよく分かんねぇんだけど。
つーか、めんどくせぇからちょっと黙れや」
「触らないで!!」
パシッと私へ伸びた男の手を思いっ切り払い除けた。
「あ……」
自分が今やってしまったことにハッと気付く。
「てめぇ……」
払い除けた男の額に青筋が浮かんでいる。
「あーあ、俺しーらね」
男がゆっくりとした動作で腰にさしていた剣を鞘から出す。
命の危険を感じ、着実に近付いてくる男から逃げようと駆け出すも、倉庫の時に痛めた右足がすぐ私を地面に崩す。
外套を通り越して制服までもびちょびちょだ。
「間違って殺しちゃったらごめんなぁー。
まっ、お前一人消えたってどうにもなんねぇだろうからカンケーねぇけどぉ」
剣が冷たく光る。
殺される……っ!!
そう思ったら反射的に「だれか……っ」と助けを乞うていた。
あれ、 私今なんて……?
「ギャハハ! グレイ・ティーなんか助ける物好きなんかいるわけねぇだろぉが」
知ってるよ。
助けがくるなんて端から信じてないもん。
だから腰にささってる剣すらも信じてない。
どうせ裏切られるものをどうして信じるの?
ねぇ、シンジルッテナニ?




