島ー3ー
「ふぃー」
と、畳の上に腰を下ろす。
旅館でもルールは船にいた時と同じで晩御飯は大広間に集まることになっていた。
「なんでそんな風呂上がりのオッサンみたいな声出してんのよ」
素早くそうツッコミを入れたのは隣に座るソフィアだった。
「せめてオバサンにして!?」
「あ、そこなんだー」
なんて呟くロトの声はスルーしようと思う。
マリンschoolでも晩ご飯や朝ご飯の時はたいていウィル達とソフィアとで食べている。
「あ、そうそう、ソフィアのペアの子さっき見かけたけど、なんていうかすんごい落ち込んでたっぽかったけど、何かあったの?」
汗だくだったから先に浴場行こうと歩いていた時に会ったのだ。
会った、というよりは遭遇した、って感じだったけど。
一人隅に蹲って『ミノムシになりない』って呟いていたのを聞いた時は本気でコイツやばいと思ったものだ。
「あぁ、それね。
ペア解消したのよ、彼と」
「へぇー、それでかー、納得なっと……はぁ!?」
思わず立ち上がり叫んでしまった。
「うっせー!」
ぺちん! とセオに頭を叩かれ我に返った私は驚いてコチラに顔を向けているクラスメイト達に「あ、お騒がせしました」と一言謝ってからその場にもう一度腰を下ろした。
「で、何で!? どーして!?」
「もうちょっと落ち着いたら説明してあげる」
それを聞いた瞬間、素早く深呼吸し「落ち着いた」とソフィアに報告した。
「すっごー!! ティナちゃんの扱い方分かってるねー」
うん、ロト、私もそう思う。
「最近重さが異常じゃないから気持ち悪くなっちゃったのよ」
そのペアを解消した理由に「あぁ」と納得せざるを得なかった。
「新しいペアはもう決まってたりするの?」
首を傾げながらウィルがそう聞いた。
「まだよ、どうしようかしら」
困ったわ。
と、あまり困ってなさそうな返事。
ていうか、ソフィアがちょっと色仕掛けしたら誰でもペアになってくれると思うけど。
なんて言葉はソフィアなら本当にしそうだから黙っておく。
**
それからしょーもない話をしながら前に並べられているご飯を食べていると、ガヤガヤと後ろのテーブルの何人かの女子生徒達の話し声が聞こえてきた。
「あ、おかえりー、どーだった?」
「ちゃんと閉じ込めてきたわよ」
ん? 閉じ込める? 何をだろ?
「あははっ! 本当にやったんだぁ」
「ジャンケンで負けたしね」
「それでそれでー? どんな反応してたー?」
「それが聞いてよ! トレドったらさー、倉庫連れて行って中に押し入れてもまだ信じてんの! 私がトレドを閉じ込めるために、ペアになりたいって適当に吐いた嘘のこと!」
爆笑じゃないー!?
なんて笑う彼女がさっき出した名前に私の動きは完全に止まった。
え……?
後ろの人さっき『トレド』って言った?
それにペアって……。
「うわっ、女ってこぇ」
「トレドってエリザちゃんのことだよねー?」
「ちょっと二人とももっと声落としなよ。
バレるじゃん」
「さっき閉じ込めたって言ったよね?」
「倉庫、とも言ってたわ」
ウィル達にも彼女達の話は聞こえていたらしい。
あ、そっか、分かった。
これでウィル達がエリザさんを助けに行くんだ!
それがきっとヒロインと攻略対象達との恋の始まりになるんだ!
あぁー、そーゆうことか、なるほど、なるほど……。
「どーするー? 行くー?」
「大丈夫じゃね?」
ロトの質問に答えたセオの言葉に思わず「は?」と声が零れそうになった。
「確かに、助けが必要になったら剣で知らせればいいし」
「そうだね、でも一応明日までに帰ってこなかったらネカル先生にでも話そう」
ウィルの言葉に「だね」と頷く皆に開いた口が塞がらない。
え、なんで? どーして今すぐ助けに行かないの?
なんで!!
「ティナ、どうしたの?」
黙りこくってる私に首を傾げるウィルを見た時ふと気付いた。
あぁ、そうか。
ーーー私だ。
本来なら皆今頃エリザさんのいる倉庫に向かってる。
けど実際はまだ皆は旅館に留まってる。
私がウィル達に関わりまくったせいで、それぞれがエリザさんに興味を持つ時間まで私が邪魔をしたんだ。
ティナ=シーナが満足そうに頷いている顔が頭の片隅に浮かんだ。
最低だ。
これじゃあ、本当に悪役令嬢みたいじゃないか。
「ティナ? どこ行くー……」
気付いたら私は動きだしていた。
「っトイレ!!」
食い気味にそう言い残し私はズンズンと歩きだした。
すんごくムカついたから立った時、よろけたフリして後ろの子にぶつかっておいた。
本当はビンタしたいけど、ここは我慢。
今、そんなことをしている場合じゃない。
「ティナ! 外雨降ってるから傘持って行った方がいいよ!」
大広間を出る瞬間、そんなウィルの声が後ろから聞こえた。
〜どうでもいい話〜
あっめあっめふっれふっれ、かーさんよー♪
の続きが分からない。




