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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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島ー1ー

「つーいたー!!」


船を出る前に配られたフード付の黒い外套を制服の上に羽織り、青空の下大きく伸びをした。


と、ネカル先生から集合がかかった。

先生、今日は一段と素晴らしいオールバックですね。


「よし、皆出たな。

おいよく聞けー、いいか、今日から三週間この島に滞在することになったが、お前らの帰る場所は船じゃねぇ。

この少し先にある旅館だ。

話は通してあるから後で各自、荷物を置きに行っとけ。

別に毎日旅館に帰ってくることはないが、ペアで行動することと、三週間後にはここにちゃんと戻ってくること」



へぇー、外出届けとかいらないんだー。



「ああ、それから、前授業でそれぞれに剣を渡したよな?

それ、どこ行く時も持ち歩くこと。

もし危険な目にあったり、助けが欲しい時はその剣に自分の血をつけろ。

そしたら俺ら教師に居場所とか伝わるようになってるから」


仕組みは企業秘密だ。


と、言うネカル先生の言葉に思わず自分の剣を凝視する。


まさかそんなことになっているとは……!!


や、本当そんな仕組み出来るようにするんなら携帯作ろうよ。



「あ、そうそう、忘れるとこだった。

ウィル=クラウド、ロト=サウスク、セオ=ハイト、ルーナ=マラウィ、お前ら王族は街中でそのフードぜってぇ取るなよ?


王族を特別視する訳じゃねぇが、万が一のことがあっちゃならんからな。

それから、お前ら八十人、俺が剣術を教えてやったんだ。

一人たりとも怪我、すんなよ?」


射抜くようなその視線に思わずゾクッとした。


「じゃ、解散」

そう言ってポケットに手を突っ込んで旅館へ向った先生。



「俺、ぜってぇ怪我しねぇ」

暫く後、誰かがそう呟いた言葉に皆一斉に頷いた。



***



「んー……」


ウィルと私は旅館に荷物を置き、街探検の途中で休憩に近くの公園へと入った。


そして何故かペアでもなんでも無いロト達も一緒にいる。


街探検の時に正直に「なんで?」と尋ねれば、皆口を揃えて私といたら何か起こりそうで面白そうって言いやがった。


それを聞いて隣でウィルが思いっきり吹き出した時は本気で殺意が湧いた。



まぁ、そんなこんなでここまでやって来たわけですが、一つ腑に落ちないことがあるんですよ。


「ね、ロト。

弍ノ国って緑豊かなんだよね? なんか、もっとすごいのかと思ってたんだけどー……」


「あー、それはねー、ここって弍ノ国の領土だけど、あんまり弍ノ国の伝統っていうの? そうゆうの伝わってないんだよねー。

なんでも、元は無人島だったらしいよー。

大昔、無人島に弍ノ国の人が住み始めて今に至るんだってー」


なるほど、そういうことか。



「でも、傘の伝統は一緒なんだね」

そう言ったウィルの視線を追い、公園の向かい側にある店の傘立てを見た。


「あ! 本当だ! 青い!」

前ロトが話してた弍ノ国の伝統じゃん!


「あ、いいとこに気付いたねー。そうなんだよー、傘の色はちゃんと伝わってるんだー」


傘の色だけは伝わってるってなんか面白いな。



「俺何気に雨の日にセオが傘さすとこ見たい」


ポツリとルーナンがそう呟いた言葉に皆一斉に『分かる』と頷いた。



「あ? なんでそんなん見たいんだよ」

そう言って睨んでくるセオからソッと視線を逸らす私達。



「やー、それはちょっと、ねー?」

「うんうん! ちょっと口に出来ないってゆーかー」

「あはは、言い出しっぺなんだしルーナが言ったら?」

「ちょっと、ウィル完全に楽しんでるでしょ」


「おいこらてめぇら、サッサと白状しろや」


ヒィ!!

コイツ王子のくせに脅迫し始めよった!!


「おい、てめぇ代表して言え」

そう言って指名されたのは、私だった。


……だよねー!! そんな気シテター!


「やっ、ちょ、絶対怒るからヤダ」

「怒んねぇ怒んねぇ。だからほら、言ってみ?」


怖い怖いっ!!

その満面の笑みマジで怖いから!



「……ほ、ほら傘の色って青じゃん? そんでもって、アナタの髪の色は?」


チラッとフードから少し見えるセオの髪を見た。


「どっちも青だな」

「真っ青な髪の人が真っ青な傘をさすとどーなるんだろぉー!」


明後日の方向を見ながら言う私に「そーだなぁー……」と思いの外ノリノリで返してくるセオ。


あ! これは実は怒られないパターンか!?

なんて思ったその瞬間。


ガシッと頭を掴まれた。


「……あ、ちょっ、痛い痛いっ!! お、怒らないって言ってたじゃん!!」


「怒ってねぇ! 怒ってねぇわ馬鹿野郎!」


や、怒ってる、怒ってるから。


「そのぐらいにしときなよ」

ここでやっとルーナンが助けて船を出してくれた。


欲を言えば、もっと早めに助けて欲しかった。



「あ? つーか元はと言えばお前が言ったせーじゃねぇかよ!」


私の頭から手を離しながら、ごもっともなことを言うセオ。


「うん、ちょっと余計なこと言っちゃったなって思ってる」

「ちょっとかよっ!」


素早くツッコんでルーナンと言い合いを始めたセオ。


そんな二人を眺めながら、私はウィルとロトとで近くに落ちていた縄跳びを拝借して二重跳びをガチで練習し始めたが、途中でこちらに気付いたセオとルーナンも言い合いを止めやって来たため、二重跳びをやめて、大縄に変更した。


旅館に戻った頃には皆汗だくだったのは言うまでもないだろう。


汗かいてるイケメンって破壊力半端ないよね。

ウィル達を見た女の子達の盛り上がり方が凄かった。



あー、今日絶対グッスリ寝れるわ。



〜余談〜


ちなみに、ティナは何回やっても二重跳び出来なかったんだとか。

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