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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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同盟

「エリザさん……?」


ソフィアを見送った時、共有ルームの少し出たところにエリザさんと知らない女の子が話しているのが見えた。


そういえば、噂でエリザさんのペアになりたいって言う子が現れたって聞いたなぁー……もしかしてあの子かな?


……そっか、うん、そっかぁー。

良かったなぁ、エリザさんと仲良くしたいって子は私だけじゃなかったんだなぁー。


エリザさんとその女の子が笑いあってるのを見て頬がゆるっゆるに緩んでしまうのは仕方ないと思う。



「さてと、そろそろ戻ろっかな」

ロト達、もうそろそろ元に戻ってる頃だろう。


一人そう呟き歩きだそうとすると後ろから誰かに抱きつかれた。

全く気配がなかった。


「のわぁー!!?」

私が叫ぶのと同時に女の子達の悲鳴も聞こえた。


ちょ、ちょっ! 誰っ!? 誰だ!?

チカン!? チカンか!?


「ね、フランシスさんといた時、何であの男の子達見てたの?」


「えっ、その声はウィル!? ちょ、何してんの!?」


てゆうか、ウィルの髪が首元にあたってくすぐったい!!


「何で?」


話を聞いちゃいねぇ。

いや、とゆうかなんか……怒ってる?


ヒェー! どどどーしよ!?

おこなのウィルさん!?


「え、とその、男子の視線がソフィアに集まってたからモテモテだねーって言ったら、その半分は私にだって言われて、本当かな? って見てました」



怒ってるっぽいウィルに戸惑いながらも説明をした。



「……本当余計なことしてくれるよね」

ボソッとウィルが、ため息と共に呟いた。


ヒィ……!!

ごめんなさいぃっ!!


「あ、違う違う。ティナじゃないよ」

「なんだ、良かった……ん? じゃあ誰?」

「内緒」


いつの間に反転させられていた私はそう言って微笑むウィルの色気をモロに受けた。


「ゔっ……!!」

今絶対HP50は減った!



「ティナちゃーん!! ドーンー!」


なんて口で言いながらいきなり飛びついてきたロト。


「うへっ……!!」


待って、ロトさん待って。

私の心臓もドーンしちゃうから。


「ロ、ロト復活したんだね」

「復活ー? なんのことー?」


ううん、なんでも無いよ、なんでも無いから取り敢えず離れようか。



ちけぇよ!!



え、もう何なの!?

ウィルといい、ロトといい、距離感大丈夫!?


「おいおい、なってねぇなー、そこはちゃんと避けねぇと」


ケタケタと私とロトを見下ろしながら笑うセオ。


「えっ、ちょっ、え!? 私!?

セーちゃん、注意する人間違ってない!?」



「ちょっとロト何やってんの」

後から来たルーナンがベリッとロトを剥がしてくれた。


「ル、ルーナン……! ありがとう! 死ぬかと思った」


「何言ってんの、そんなことより早く立てば?」

そう言って手を貸してくれるルーナン。


ルーナンのツンデレはもはや私の癒しとなっている。



***



「んー!! おいっしぃー!!」

ショートケーキを頬ばりながら くぅー! と感想を漏らした。


「ティナちゃんー、はい、半分ー」


そう言って私の前に置いてくれたのは新商品のモンブランだ。

栗もちゃんと半分こにしてくれていた。


私もロトにショートケーキの半分を渡しモンブランを口に入れた。


「「おーいしー!!」」


ロトとハモった。


「ロト! モンブラン美味しいね!!」

「よねよねー!! ショートケーキも美味しいー!」

「だよねー!! も、最高!!」



「あははは、二人とも楽しそう。ね、セオ」


「あ? あぁ、そだな、お前も混ざってこいよ」


「いいねそれ、でもさセオ、今俺が混ざりに行ったらこの苺とるでしょ?」


「は、はぁ!? そ、そんなことしねぇーよ!!」


目の前でウィルとセオが言い合いを始めた。


「セオ、バレっバレじゃん」

ふはっと珍しく笑いながらそう指摘するルーナン。


「ルーナ! てめぇはどっちの味方だよ!」

「別にどっちにもついた覚えはないけど」

「はぁ!? おまっ、つい最近一緒に同盟組んだばっかじゃねぇかよ!」



「同盟?」

次に始まったセオとルーナンの言い合いを観戦しながら首を傾げた。


「うんー、『苺同盟』てセオくんは名付けてるんだけどー、まぁ想像通り、ウィルくんから苺を奪おう! ていう同盟ー」


あぁね。

そんなこったろうと思ったよ。


「勝手に入れただけじゃん」と反論したルーナンにまたセオが言い返すのを聞きながら、あと一切れの苺タルトをフォークに乗せるウィルを見る。


「ん? どうしたの?」

バッチリ目が合った。


「いや、別に何もー……」

「あ、もしかして苺欲しいの? いくらティナの頼みでも苺は譲れないよ」


ちょ、そんなの一言も言ってないんですけど!?

てか、何そのすんごい嫌そうな顔っ!!


「よし! セオ! 私もその同盟入る!」


「んだと!? まぁ、許してやる。ただし、いいか、この同盟ではこの俺様が盟主だからな」


うわっ、セオが盟主とか不安すぎじゃね?


「あ? 文句あんなら入れねぇぞ」

頭をガシッと掴まれ脅される。


「スンマセン、盟主さん入れてください」


「はっ、やれば出来んじゃねぇかよ」

ヨシヨシとガサツに頭を撫でられた。


え、何この屈辱。


「ティナ、顔」

ルーナンの注意にハッとした私は急いで顔を元に戻した。


「ねー、ウィルくん、なんか増えちゃったよー?」

「あはは、面白くなりそうだね」

「もー、僕知らないからねー」



***



『どーも』


あの後浴場に入り、部屋に戻りクリスの近況報告を読みながら私はなんて書こっかなー、と考えていると放送がかかった。


や、それより第一声が『どーも』ってどーよ!?

気抜けるわっ!



『突然ですが、こちらの諸事情により明日弐ノ国の領土の一つである島に上陸することになりました』


「へぇー、諸事情ってなんだろー……って、ええー!?」


まさかの初航海の記念すべき第一回の上陸がこんな早く訪れるとは……!!


「おおー!! ソ、ソフィアー!! 今の放送聞いたー!?」


昂る感情をどうしたらいいのか分からなくなった私は隣の部屋に突撃することにした。


「ちょっ、あんた一体何しに来たのよ!」


思いっきり「出ていけ」って顔されたけど、そこはスルーで。


ソフィアっち照れ屋さんだから。


「気持ち悪いこと言わないで」

「ウッス」


その後、明日の話を存分にして満足した私は、迷惑そうな顔のソフィアに追い出されルンルンとスキップしながら自分の部屋に戻った。

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