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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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エリザ=トレドの独白






灰色のそれが右の薬指で存在感を示しはじめた時、私の声はもう誰にも届くことはないんだと気付いた。


外に出れば、女の人達には空気のように扱われ、男の人達からは汚い物を見るかのような視線が飛んでくる。


唯一の心の拠り所の家族はアッサリと私を捨てた。

母は家を出て行き、父は精神を病み私のことなんてまるで見えていない。



私一人ここにいないような錯覚に陥る。

「私はちゃんここにいますか?」

そんな問いかけに答えてくれる人なんていない。




ふと、茶髪の優しそうなあの子の顔が浮かんだ。


まだ私が上級貴族だった頃、私の笑った顔が見たいと言ってくれたあの子の顔が。


あの子が今の私を見たらどんな顔をするのかな?


蔑んだ顔? 楽しそうな顔?


ううん、そんなことどうでもいい。

きっとあの子が私がグレイ・ティーだって知ったら、あの日のことも無かったことになるんだろうな。





灰色の指輪がこの指から離れることは一生ない。







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