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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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大富豪

バイキングが終わった後、私がウィルに半ば引きずられるようにして連れて行かれた場所は、食堂から出て少しの場所にある広い共有ルームだった。


「うわー……なんと言うか雰囲気あるねー」


共有ルームは少し暗めの証明となっていて、小さいバーみたいのもあった。


「おっ、ここでやろーぜ」

そう言ってセオは丸机を中心に、Cの形をした真っ白なソファーに腰掛けた。



セオの後に続き座り、手前から私、ルーナン、ロト、ウィル、セオの順になった。


丁度、私の向かい側にセオ、ルーナンの向かい側にはウィルがいる感じだ。


「よし、ロト、早くトランプ出せ」

うわっ、何この人、借金取りかよ。


「ちょっ、何で僕が持ってくることになってんのさー! おかしくないー!? 」

「あ? つーことは持ってきてねぇのかよ」

「いやっ、一応持ってきたけどさー」


持ってきてんるんかいっ!



「で、何やるの?」

トランプをポケットから出すロトを見ながら隣でルーナンがそう聞いた。


「はい! ババ抜きしたい!」

「却下」

そう提案すればセオに即答で拒否された。


「ぜってぇしねぇ」

「セオってババ抜き本当に弱いもんね」

クスクスと笑いながらウィルが言った。


「そうなの? じゃあ、やっぱババ抜きしよー!」

「おまっ、人の話聞いてたか!? いや、聞いてなかったよな!?」


いや、ちょっとセオが負けるとこ見たいかなーみたいな?


「心の声ダダ漏れなんだよ」

ゲシッと机の下で足を軽く蹴られた。


ぼ、ぼーりょく反対ー!!


「じゃあー、大富豪はー?」

「「却下」」

私とルーナンの声がハモった。


「ルーナが大富豪苦手なのは知ってるけど、ティナも?」

そう聞くウィルに私は苦笑いを浮かべた。


「やる度いつも大貧民になるからねー……」

と、少し遠い目をした。


「ルーナンもだよねー?」

楽しそうにそう言うロト。


「ちょ、黙って。ロト絶対俺が苦手なの知ってて提案したでしょ」

絶対零度の視線をロトに浴びせながらそう言った。


「大富豪いいんじゃね? それやろうぜ」

ニヤニヤしながらセオはトランプを切り始めた。


「うわっ、ちょっ、何始める準備してんの!? 」

「ちょっと、許可出してないんだけど?」


それから結局セオの強行により、大富豪をすることになった。



***



「あ、そうだ、どうせなら罰ゲームありにしない?」


ゲームの序盤でウィルがそんなことを提案してきた。


「罰ゲームってー?」

「そうだね、大貧民が大富豪の言うことを一つ聞く、とか?」

「おっ、いいんじゃね?」


「ヤダ」

「反対」

反対の声を上げたのは私とルーナンだ。


あ、次私の番だ。


「えー! いいじゃんー! やろうよー!」

「ロトは大貧民になる確率低いからそんなこと言えるんでしょ」

「あはははー」


「まぁまぁいいじゃねぇか、それともお前ら負けんの怖ぇの?」


そんなことを言ったセオのニヤニヤした顔に私のスイッチがポチッと入った。


「そんな安い挑発に乗る馬鹿なんているわけー……」

「よっしゃ乗った! かかってこいっ!」

5のカードを二枚机にバシッと出した。

「……いた」



「……ん? どうしたの?」

気付くと爆笑してる三人に絶対零度の視線を私に向けている人が一人。


「何なのバカなの? バカでしょ、何で挑発に乗ってんの」


「ご、ごめん。いや、何かそこまで言うならやってやろう的な?」


「いやなんないから」


デスヨネー。

すんごい反省してます、本当です、マジです。

だからルーナさん、その目やめてください、身体のありとあらゆる器官が停止しちゃう。



**


それから罰ゲームありの大富豪は進み、最初に抜けたのはウィルだった。


「うわっ、罰ゲーム提案者が大富豪とか完全に狙ってただろ」

「本当ね? それね!?」


「そんなことないよ」

クスクスと優雅に笑いながらそう言うウィルに皆の疑いの目が集まったのは言うまでもない。



それからロト、セオの順に抜けていき、結局は私とルーナンの一騎打ちとなった。



「うわー、本当にティナちゃん弱いんだー」

「ルーナは安定の弱さだな」

「ババ抜きの時のセオには言われたくないと思うよ?」

「てめっウィル! 今は俺のことはいいんだよ!」


「「外野は黙ってて」」


「「「ハイ」」」



私の手元にあるのは4と3と10の三枚。

ルーナンはあと二枚だ。


「まだ?」

「待って! もうちょっと待って! 考えるから」

「早くしないと勝手にパスにするよ」


なんてことを言いながらもちゃんと待ってくれるルーナン。

ルーナンはツンデレだと思う。


「うん、よし、君に決めた!」

と手持ちのカードの中で一番大きい数の10を繰り出す。


途端、ニヤリとするルーナン。


あ、やな予感……。


ルーナンはJを出し、私を見る。


「……パス」

「3、あがりっと」

「クソーッ!!」

机に突っ伏しそう叫んだ。


「うわっ、ルーナより弱いやつ居るんだな」

「ちょっとセオ、それどういう意味?」

ルーナンが絶対零度の視線をセオに浴びせる。


「お、俺が悪かった」

「あははー! セオくん余計なこと言うからー」


「ティナ、大貧民だね」

「ゔ……っ!」

「うわっ、トドメ刺しやがった」

「ちょっ、ウィルくんー!?」

「……」


ルーナン、その哀れな目ヤメテ?


「ウィルくん、罰ゲーム何にするのー?」


あぁー、そうだった! 罰ゲームあるんだ。

も、罰ゲーム無しにしません?

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