色とりどり
「お前ここにいたのかよ、探したじゃねぇか」
「ロト、ご飯食べたら皆でトランプしない?」
「俺はヤダって言ったのに」
これからのこと考え頭を抱えていると、青、金、ピンク色の三人組のこれまた綺麗な顔立ちの人達がやって来た。
ちょっ、目がチカチカするんですけどー。
三人組はロトに話し掛けた後、私の存在に気付き『誰?』と首を傾げた。
一人を除いて。
「あ、ウィルだ」
この三人組の一人はウィルだった。
「ティナ、ロトと知り合いだったの?」
「うん、前のウィルの生誕祭でお世話になりましてー……」
そう言えば「あぁ、迷子になったんだね」という顔で見られた。
あっ、心に大きな傷が……。
「負ってないよね」
「よくお分かりで」
「おいおい、ウィル、誰だよコイツ」
「ウィルとロトとも知り合いなんて珍しいね」
「あぁ、えっと、この子はティナ=シーナ。俺とペアを組んだ子で……」
それからウィルは私と知り合った経緯を簡単に説明した。
**
皆は爆笑し過ぎて辛そうに歪む綺麗な顔を間近で見るなんて可笑しな体験したことあります?
私は今初めて体験しました、はい。
「だぁー! もう笑うの止めてくれます!?」
「いやっ、ムリだろっ……!!」
「本当にっ、炭酸飲料吹っかけるとか……っ!!」
「ティナちゃん、すご……っ!!」
も、ヤダこの人達。
***
「えっと、ちょっと思ったんだけど、ここにいる皆王族、なんてことあったりする?」
皆の笑いが収まり、私はそんな質問をした。
「うん、それであってるよ」
ウィルの言葉に私の一抹の希望は儚く散っていった。
うわぁー……なんかもー、悪役令嬢の準備整ってるぅー。
本当に、海の藻屑だけは勘弁だ。
はぁ、現実逃避したい。
そもそも王族ってこんな奇抜の髪色してていいの?
あっ、違うな、王族だからか。
「てゆーかセオくん達まだ名乗ってなくないー?」
本当だよ、君たち誰だよ。
「あー、そーいやだな。
俺はセオ=ハイト。セオでも何でもいいぜ」
背の高い青色の髪のヤンキーのような雰囲気の彼が言った。
そんなこと言っといて『セーちゃん』とか、『セオっち』とか言ったらシバかれるんだろうなぁー。
「俺はルーナ=サウスクね」
ウィルと同じぐらいの身長で中性的な顔立ちのピンク色の髪の人が面倒くさそうにそう言った。
……うん、ルーナンで決定。
「そうだ、ティナも一緒にトランプやらない?」
自己紹介を一通り終えた後、ウィルがそんなことを提案してきた。
待て待て、ウィルさん何言ってんの?
「あっ、それいいー!!ティナちゃんもやろー!」
おっとぉ!?
いや、やんない! やりたくないっ!
もうこれ以上攻略対象さん達と親睦深めたくないっ!
「はぁ!? マジで言ってんのか!?」
セオが少し遅れてそう反応した。
いいよ、いいよ! その調子!
「ちょっと、二人共本気で言ってんの?
どこの馬の骨かも分からない人と何が悲しくて一緒にトランプしなきゃなんないの」
ルーナンが冷たい口調でそう言い放った。
「ル、ルーナンー!! そんな風に言わなくてもいいじゃんー!!」
ロトはプクゥと頬を膨らませてルーナンにそう反論した。
「ルーナ、ティナをその辺の女の子達と一緒にしたらダメだよ」
そう言ったウィルの後ろが少し黒く見えたのは私だけだろうか。
「……」
セオは何も言わずジッと私を見ていた。
さて、私はというと、挑戦的にに私を見ているルーナンの目を見た。
「なに……」
「仰るとーり!!」
力強く頷きそう言った。
「……は?」
少ししてルーナンの口から気の抜けた声が零れた。
「ルーナンの言う通り、どこの馬の骨とも分からないこんなチンチクリンと一緒にトランプだなんて図々しい! 失礼だ! どっか行け! ってな訳で私はこれでー……」
「いや、そこまで言ってないけど」
「本人も反対派かよっ!?」
「え、えー!? ティナちゃんー!?」
「あはははっ」
そんな三人のツッコミを無視してこの場を離れようとすると、笑っていたウィルに腕を掴まれた。
「ウィルさん? えーと、離してくれません?」
「逃げるでしょ?」
「ヤ、ヤダナァー、ソンナコトシナイヨー!」
「カタコトがひでぇな」
だって逃げなきゃトランプする流れになっちゃうじゃん!!
「よし、じゃあ一緒にトランプしようか、皆もいいよね?」
え、ごめん、何が『よし』なの!?
「もちろんー!!」
「まぁいいぜ」
「……今回だけだからね」
おいおい、ちょっと待ってくれ。
ちゃっかり何OK出してんの!?
ってか、ルーナン、君反対してたよね!?
ツンデレかよっ! 可愛いなっ!
「ちょっ、私は行かなー……」
「ティナもいいよね?」
言葉を遮り、有無を言わせない妖艶な笑顔が向けられた。
「えっ、やっ……」
「いいよね?」
「……ハイ」
負けた。
そう心の中で両膝を地面につけ項垂れていると、どこからか視線を感じた。
そちらを向けばこちらをジッと見ているエリザさんの姿があった。
パチリと私と目が合った瞬間、エリザさんはスイッと目を逸らした。
あ、もしかして今私がここにいる立ち位置は本来エリザさんだったハズなんじゃ……。
そんな思いが頭をよぎった。
『ヒロインちゃんにはティナ=シーナっていう恋敵がいるんだけどね? ソイツ笑顔でヒロインをイジメんのよ! それがもー、悪質でさぁ、ヒロインの居場所をサラッと奪ったりするワケ!』
前世の『ドキドキっ! マリンschool』を貸してくれた友達が言っていた言葉が頭の中で再生される。
その瞬間切実に時間を巻き戻したくなったのは言うまでもない。
……部屋の机の引き出しから未来型ロボットがやって来たりしないかなぁー。
え? 有り得ないって? ダヨネー。
〜おまけ〜 ティナ&作者
ティナ『ね、何か本編ではあんまり危機感無いからここで言わせてもらうけどさー、私このまま行ったら多分エリザさんと攻略対象の邪魔してることになって海に突き落とされるんだけど』
作者『あー、ソウダネ』
ティナ『カタコトになってる暇ないよっ!! ちょっとなんとかしてよー!』
作者『じゃ、今から実はヒロインでした。的なオチにする?』
ティナ『いやっ、それはそれで面倒くさそうだなぁーみたいな?』
作者『嫌なんかいっ』




