バイキング
チャンチャラチャンチャラチャンチャン〜♪
荷解きを終え、ベッドに寝転がっていると何とも言えない奇妙な音楽が大音量で流れてきた。
「えっ!? 何何!?」
ガバッと起き上がった。
『今日の夕飯はオリエンテーションも兼ねてバイキングを行います。ラフな格好で来てください』
続けて、女の人の声が聞こえてきた。
「うわぁ、まじかぁー……ラフな格好ねぇー」
呟きつつ、先ほどの入れ替えたばかりの服やらがあるクローゼットを開けた。
「んー……何がいいかなー……」
クローゼットの前で腕を組んで考える。
「よし! これで行こーっと」
結果、私は淡い黄色のワンピースを着ることにした。
「ソフィアまだ部屋にいるかな?」
隣の部屋に行ってみよう、と歩き出したその時、コンコンという部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「誰だろ?」
リビングに繋がってる方じゃない扉を開け、玄関の扉を開けた。
「はーい、ってソフィア?」
扉を開けると立っていたのは濃い赤色の大人っぽいワンピースを着たソフィアだった。
髪が赤紫色だから余計ワンピースの色が映える。
「食堂行く?」
「うん! ていうかソフィア似合ってるー!」
「ありがと。ティナもよく似合ってるわ」
あっ、なんかテレるぅー!
「そんなテレなくてもいいから早く行きましょ」
「あっ、ハイ」
***
「おー! 人いっぱいいるねぇー!」
二つ階段を下り、少し歩いた先にある食堂に到着した。
中に入るともう皆集まっていて、バイキングを楽しんでいた。
「んー!! 美味しー!!」
「本当!」
早速私たちもお皿に料理を乗せ、食べ始めた。
「あっ、あのっ! ソフィアさん!」
一人の男子生徒がやって来た。
あ、この人って、確かソフィアとペア組んだ人だ。
「あら、ジャルどうしたの?」
「えっ、あ、いやっ! 少し話したいなぁと……」
後半につれ真っ赤になっていくジャルくん。
というかさっきからジャルくんが、チラチラと私に何かを訴えかけているような気がするんだけど?
えっと、真っ赤な顔でソフィアと話したいと言ったジャルくん……そういうことかっ!
彼が伝えようとしていることに気付いた私はジャルくんに『分かった』と頷いた。
「ソフィア、私あっち行ってるねー」
「え? どうして?」
「んっ? どうして!?」
そ、そうきたか……!
さすがソフィア、手強いっ。
ジャルくんがガックシしてるよ、あぁほら、ジャルくんの頭に垂れ下がった犬の耳が見えるよ。
「ま、まぁ取り敢えず私はあっち行ってるね!」
もうここはゴリ押しでいこう。
そう告げ私はそそくさと一人で料理の方に向かった。
***
「ほいひぃー!」
ローストビーフを頬張りながらチラリとソフィア達の方を見ると、ジャルくんが何かを必死に話しているのが見えた。
いやー、青春、青春。
そんなババくさいことを思いながら次は何を食べようかと歩いていると誰かにぶつかった。
「うぉっ!?」
バランスを崩した私は咄嗟に料理が乗った皿を落とさないように頭の方に持ち上げた。
目の端にエリザさんが驚いた顔で横を通り過ぎるのが見えた。
「ごめんねー! 大丈夫ー!?」
「いっいえいえ! 全然大丈夫っす」
結局のところ、ぶつかった人に腕を引っ張られることでコケずに済んだ。
ん? ってか、この語尾を伸ばす喋り方って……。
そう思い、私より少し背の高い橙色の髪の相手の顔を見た。
「ティナちゃんー!?」
「ロト!?」
やっぱりロトだった。
「って、ええ!? ロト!?」
思わず二度見してしまった。
「あはははー、二度見ー!」
楽しそうだな、おい。
「ティナちゃん当たってたんだねー!」
「そういうロトはー……」
「あー……僕はねー、王族だからー」
へぇー、だからかー……。
「っは!? 王族!? え、だって、えっ!?」
「スゴイ驚いてるー! そうだよー! ほら、これー!」
ウィルと同じ雫型のイヤリングがロトの耳で存在感を出していた。
そのイヤリングをしてるってことは王族のオーラを消してるってことだからー……マジっすか!?
「し、知らなかった……!」
ってことは私は知らないうちに二人も攻略対象さんと会ってたってこと!?
うわぁー! まじかぁ!




