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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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校則

「よーし、これで皆揃ったな。

まっ、もし揃ってなくても関係なく進めるけどな」


そんなセリフと共に前に立ったのは二十代後半ぐらいの髪をオールバックにしている、これまた綺麗な男の人だった。


「あ、俺はマール=ネカルね。

ここの担任……っつてもクラスはこの一つしかねぇけど」


そう、今年選ばれたのは十五~十八歳までの男女合わせて八十人。


男女比は1:1らしいから、男と女それぞれ四十人ずつという計算になる。


すんごい倍率だよね。

よく当たったな、出来れば当たんないで欲しかったけどー。


「お前らの手元にあると思うが、その真っ赤な小さいヤツが生徒手帳な。

今からそん中に書いてるヤツ読み上げていくから寝ない程度に聞いとけよー」


どんな程度だよ!?


そうツッコミたくなったのは隣に座るソフィアも一緒だったようで、隣でコツコツと爪で机を軽く叩く音がした。


イライラしていらっしゃる。


「んじゃー、まずはなー……」


それからネカル先生の話が始まったが、予想通り長かったため割愛。


ってなことで、ネカル先生が頭に叩きこんどけ、と言っていたどこだけ抜粋しようと思う。


一ヶ条 本校では皆、身分関係なく接すること。


ここには、相手が貴族だろうが、王族だろうが、タメ語で話せ的なことが書いてた。



九ヶ条 本校では互いを支え合うこと。


まぁ、要は困ってる生徒がいた無視せず助けろってことだ。



二十七ヶ条 本校に在籍中は『グレイ・ティー』制度を禁止とする。


これはもう分かると思うが、女子生徒が『グレイ・ティー』に対して、無視したり、目を合わせないようにすることを禁止すると書いていた。



「え、ちょ、俺、王族や貴族に対して普通に接するとか無理なんだけど!?」


「俺もだって!! 王族や貴族さんをぜってぇ、お前みたいに雑に扱えねぇよ!」


「はっ!? ちょ、お前サラッと今酷いこと言ったくね?」

「……イッ、イッテネェヨ」

「ふざけんなー!!」


センセー! ここ、喧嘩し始めてる人たちがいまーす。


「聞きまして? 『グレイ・ティー』制度禁止ですって。

とはいえ、本当に『グレイ・ティー』に話し掛ける子なんているのかしら?」


「まぁ、いるわけないじゃありませんか」

「確かにそうですわね。愚問でしたわ」


オホホ、と高らかな笑い声が後ろからそんな声が聞こえる。


いや、そんな会話は私の周りだけではなく、この教室中、至るところからも聞こえてきた。


「はいはい、静かにしろー。

いいかー、一応言っとくけど、特に貴族辺りはお嬢様言葉みたいなヤツもナシな。

もし、言ったりこの校則破ったりしたならー……」


そこで言葉を止めた。


「ど、どうなるんですか?」

一人の生徒が少し戸惑いながら聞き返した。


「その校則の重さによるが、そうだなぁ……一番軽くて一日の授業が全部終わるまで廊下で水いっぱいのバケツ持ちだな」


えっ、一番軽くてそれ!? 一番重いのになったらどうなんの!?


それを聞いた瞬間、皆『校則は破らないでおこう』と心で誓ったことだろう。



「んで、教科書等は各自部屋に届いてるから後で確認しとけよー。

あ、部屋はここに来る時に見たでっかいスクリーンに映ってるから各自で見とけ。


あと、明日は八時半からこの教室で授業だから遅れんなよ。

よし、そんぐらいだな、出航、もうすぐだからグラウンドの方に出とけよー。

んじゃ、解散」


そう言うなり、ネカル先生はそそくさと教室を出て行ってしまった。



そんな後、教室に残された生徒たちは「え? え?」という顔をしながらも、一人一人席を立ち出口に向かって歩きだす。


私とソフィアも皆に倣って出口に向かって歩きだした。


「ん、あれっ? あれっ!?」

ポケーと歩いていたせいだろうか、気付くと隣を歩いている人はソフィアではなく、違う人だった。

どうやらソフィアとはぐれてしまったようだ。


皆が一つの出口に向かっている為、人だらけの空間で、はぐれたソフィアを探すのは困難な技だろう。


よし、諦めよう。


そう心の中で呟いた時、ピンポンパンポーンと放送の合図が鳴った。


『あー、悪い、言い忘れてたけど今から二~三人のグループを作れ。

作ったら職員室前にある小さい紙にグループ全員の名前書いて今日中に提出な。

以上』


その後再びピンポンパンポーンと鳴り、突然の放送は終わった。


『はぁ!?』

ふざけた放送が終わった後、皆、叫んだ。

もちろん私も。


「え、今言う!?」

「ってか、言い忘れてたって、はぁ!?」

「な、なんて適当な方っ……いや、適当な人なの」



え、あの先生本当大丈夫!?

色んな意味で!


ってか、どうしよう。

ソフィアと組みたいけど肝心のソフィアっちが見つからない。

まぁ、でも今日中って言ってたし教室出た後にでも探したらいっかー。


そう思っているとトントンと誰かに肩を叩かれた。

「ティナ」


「ウィル!?」

振り返るとそこに立っていたのは綺麗な顔で微笑み色気を振り撒き、周りの女の子たちを失神させてるウィルだった。


「ティナ、俺と組まない?」


おっとぉ!?

予想外のお誘いに思わずウィルを三度見してしまった。


「そんなに驚く?」と可笑しそうに笑うウィルさん。


「いやっ、誘ってくれたのは嬉しいんだけど、ソフィアがー……」


ソフィアを守るのにグループで一緒に行動する方がやりやすい……。


それに、ウィルと組んだら、悪役令嬢ティナ=シーナとしての道に一歩近付くような気がする……!!



「ソフィアって、フランシスさん?」

その問にコクンと頷くと、首を傾げながら、ウィルは斜め前を指差した。


「ソフィア!?」

その方向を見ると、ソフィアが知らない男子生徒と親しそうに話していた。


え、え、誰!? ソフィア、その男は誰なんだ!?


浮気現場を見た彼女のような反応をする私に気付いたソフィアは少し大きい声で「私、この人と組むわ」と私に向かって告げた。


な、なんですって!?

ソフィアのバカヤロー!!


そう心の中で叫んでいると、斜め前にいるソフィアが満面の笑みでこちらを振り向いた。


や、ヤバッ!!


本能でマズイと思った私は、ソッとソフィアから視線をズラした。


ソフィアっちコワイ。



「……ウィルさえ良ければ私と組んでください」

「うん、よろしく」

クスクスと笑いながらそう言った。


結局私は組もうと思っていた相手の裏切りによりウィルと組むことになった。



あぁ、破滅へと着実に進んでいる。



……ん? ちょっと待って、主人公ちゃん……エリザさんは一体誰と組んだんだろ?

〜おまけ〜 クリス&リリィ


ク『乗り込んじゃったね』

リ『乗り込んでしまわれましたね』

ク『気が変わって戻って来ないかな』

リ『戻ってきてほしいです』

ク『……ね、このやり取り何回目?』

リ『十回目になります』

ク『……船が出る時はちゃんと笑って手を振らないとね』

リ『それも十回目です』



終始ローテンションの義弟と専属侍女。


出航までもうすぐ。

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