ロト=マラウィ
今回はお察しの通りロト視点です!
「いやー、だからさー……ん? あ! おかえりーってうわっ! ウィル君どうしたのー!? 顔、ゆるっゆるだよー!?」
セオ君達と心底どうでもいい話をしていると、上級貴族達との顔合わせを終えたらしいウィル君が帰ってきた。
壱の国の王子様は無表情で帰ってくるかなー……と思っていたがその予想は外れ、嬉しそうな顔をしながら帰ってきたのだ。
ちょっと……いや、大分驚いた。
「ただいま。
それよりもロト、俺の顔がなんだって?」
首を傾げニッコリ微笑まれた。
「ヒィ! ごめっ、ゴメンナサイ」
「うん、分かってくれたならそれでいいよ」
ポンと僕の肩に手を置きそう言って、ウィル君はソファーに座った。
「うわー、おいルーナ今の見たかよ?」
「あれは酷いね。さすがキング」
「つーか、ロト阿呆だな」
「今に始まったことじゃないでしょ」
「確かに」
「いやいや、待って待ってー!?
え、何で僕、阿呆な子になってんのー!?」
「え、違うの?」
「え、ちげーの?」
「ちよ、二人とも同じこと言わないでー!?」
「や、まぁロトがあのウィル見てああ言いたくなる気持ちは分かんなくはねぇーけどー……あ、やべ」
青い髪のセオ君はそう言い切った後、ソファーに座るウィル君からの視線に気付き口を塞いだ。
「あはっ、セオ君やっちゃったねー」
思わず指差して笑う。
「てめっ、ロト! 黙ってろ!」
差した指をバシッと叩かれた。
「ひどっ!」
「はぁ……バカでしょ」
ピンクの髪のルーナンは呆れたようにため息を吐いた。
そんな僕達をよそに、ウィル君は立ち上がりコッチにゆっくり近付いてきた。
「!!」
わかり易くびくつくセオ君。
そんなセオ君を通り過ぎてウィル君はセオ君の真後ろの小さい机の上にある苺の入った小皿を取った。
「……は?」
「……ッフ」
呆けるセオ君にウィル君は笑いを零した。
「クッ……! アハハハ! もうダメ限界!!」
身体をくの字に曲げ思いっ切り笑いはじめた。
「え、えー……」
思わずそんな声が零れる。
「そんな事だろうと思ってた」
ルーナンは分かっていたようだ。
「……ちょ、はぁ!?
てめっ、ウィルてめぇー!!
ちょ、マジさっきまでの俺の心拍数返せ!」
ウィル君の胸倉を掴みガクガクと揺らす。
「あははっ! ごめんごめんっ」
片手上げて謝った。
絶対謝る気無いと思う。
「反省の色ねぇーなぁ!!」
セオ君も同じ事を思ったようだ。
「あははっ、いやー、セオが予想以上にいい反応するからつい」
「何が『つい』だ! お前、人で遊ぶのをヤメロ!?」
「あとそこ! その哀れみの視線やめろ!
つーか、元はと言えばロトのせいだからな!?」
「うわっ、なんか飛び火きたー」
「いや、俺も今回のはロトのせいだと思うよ」
「えー!? ルーナンまでー!? ひどいー!!」
「ちょっと、その『ルーナン』ってヤメテっていっつも言ってるよね?」
普通に呼べないの?
と絶対零度の視線が刺さる。
「スミマセン」
ルーナンの絶対零度の視線を受けた人は即謝らないといけない圧に襲われるのだ。
「セオ、今の記録は?」
「0コンマ2秒」
「凄い、新記録でたね」
ちょ、そこの二人何してんのー!?
**
「ところで、本当に一体何があったのー?」
「ん? いやね、また会えるようになれて嬉しくってさ」
ん? は?
嬉しそうにそう語るウィル君に僕の頭の中はハテナマークで埋め尽くされていた。
え、誰? 誰の話?
「ほー、で、相手は女?」
え!? 何、セオ君!?
アレで何の話か分かったの!?
セオ君なのに!?
すごいな!
「おいこらロト、ちょい顔貸せや」
すんごい笑顔で手招きされた。
身の危険を感じた僕はルーナンの後ろにサッと身を隠した。
その瞬間セオ君からチッという舌打ちが聞こえた。
この人、マジで王子か疑いたくなる。
絶対ヤのつく人じゃんー。
「女の子だよ」
色気を含んだ笑を浮かべながら答えた。
その色気僕に少し分けて欲しいなー。
「へぇー、珍しいじゃん。ウィルが女に興味示すなんて」
そう、ウィル君は女の人に優しいけれど、いつもどこか一線を引いている。
女の人の話をする時にこんな優しい顔をするのは初めて見た。
え、ってか、ルーナンも分かってる感じー!?
僕だけじゃんー! 話が全く見えないのはー!
そんな僕を見てセオ君は「ったく、しゃねぇーな」と言って説明を始めた。
「つまりはよ、コイツがもう会えないだろうと思っていた人とまた再会出来て、これからも会えるようになったよっつー話」
「あー、そーゆうことかー!」
やっと理解したー。
一人納得していると、セオ君はソォーっとウィル君が手に持っている苺の入った小皿に手を伸ばした。
その瞬間スパーッンという痛そうな音が部屋中に響き渡った。
「セオ、しばくよ?」
で、出たぁー!!
ウィル君の笑顔の『しばくよ』。
「ってぇ!! つーか、もうしばいてんじゃねぇーか!」
セオ君が苺へと伸ばした右手を摩った。
どうやら先程の音は、ウィル君がセオ君の手を払った音のようだ。
ってか、高速過ぎてセオ君の手を払ったとこ見えなかったんだけどー。
「くそっ! どんだけ苺好きなんだよ」
そう呟いたセオ君にルーナンと一緒に哀れみの視線を送った。
まぁ、それに気付いたセオ君に目潰しすんぞ、と怒られたけどー。
理不尽な。
「バカだよね、ウィルが苺好きなのは今に始まったことじゃないじゃん」
ルーナンのその言葉に隣で僕もウンウンと頷く。
「そーだけどよ、一回でいいからコイツから苺奪ってみてぇーじゃん?」
「バカだよね」
セオ君の言い分にルーナンは改めてそう言った。
そんなやり取りを見てウィル君が楽しそうに笑う。
この空間が僕は好きだ。
だけどこの頃少し思う『物足りない』と。
自分がこれ以上の何を欲しているのか、自分自身よく分からない。
「……と、ロト」
「な、何ー?」
ポケーっと三人を見てそんなことを考えているとウィル君に声を掛けられた。
「どうしたの? ボーッとしてたみたいだけど」
「いやー、楽しいなぁーと思ってー」
ちょっと照れ臭くてエへへー、と笑う。
「そうだね、俺も楽しいよ」
そう言って綺麗に微笑むウィル君に少し見惚れてしまったのはしょうがないと思う。
これは誰でも見惚れる。
〜おまけ〜
全『お誕生日おめでとうー!!』
ウィル「あははっ、ありがとう」
ロト「ウィル君もう十六歳かー!」
ルーナ「だね」
セオ「また一つ歳とったな」
ウィル「ん? セオ、何か言った?」
セオ「ナンモ」
ウィル「そっかー」
ロト「こっわ!」
ルーナ「爆笑」
セオ「さ! 食おうぜ!」
ロト「うわぁー、話変えるのヘッタクソだねー」
ウィル「あははっ、本当にね。
でもそうだね早く食べようか」
そうウィルはティナの一つ上なんですよ、実は。




