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くしゃみ10連発のおかげで  作者: 植松マヤ
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生誕祭-4-

「ん、あれ?」

なんか段々人がいない方向に進んでる気がする。

なんで!?

人がいそうな方向に歩いていたハズなのに。


「あ、玄関だ」

チラッと窓の外を見れば来る時に通った大きな玄関の扉と大きな噴水が見えた。

その門の前には執事さんが立っている。


ここから、この窓を超えて外に出たらあっという間に玄関にたどり着く。

しかもここは1階、怪我の心配ナシ。


もう、やるしかないよね。

そう思い、地面につきそうな丈のドレスを手で少し上に持ち上げ、片足を窓にかけた。


「ちょ、え、待って待ってー!?」

窓から飛び降りようとしたその瞬間、誰かの声に引き止められた。


声のする方に顔を向けると、そこには橙色の髪の毛の少し小柄な綺麗な顔立ちの男の人が目を見開いて立っていた。


バチッと目が合った。

「ごきげんよう、今日はお空が綺麗ですわね」

「え、あ! ほんとだねぇー」

以外にノッてきた。


そんな彼におホホホと窓に片足をかけたまま上品に笑い、「では」と彼に会釈して、外に出ようと窓にかけている足に体重をかけた。


「あ、気を付けてー……って違う! 違うから!!」

慌てて私の腕を掴む彼に私は内心舌打ちをかました。


「ってか、君、ティナ=シーナだよねー?」

何故か名前を知っている彼に私の抵抗は止まった。


「え、なんで名前」

「えっとねー……」

それから、橙色の彼から私が迷子になっていることに気付いたクリスと会い、私を見つける手伝いをしていたことを聞いた。


「なるほどー、にしてもロト凄いね、迷子の私を見つけれるなんて」

クリス曰く、私は迷子になると見つけにくい所で彷徨(さまよ)っているらしく、本当にめんどくさい迷子なんだそうな。

いやー、すんません。

あ、ちなみにこの橙色の元気な人の名前はさっき聞いた。


「えへへー、僕、探し物は得意なんだー!」

そう言って嬉しそうに笑った彼に、私は窓にかけていた足を下ろし、頷いた。


「それにしてもお城で迷子になる貴族の令嬢なんて初めて見たよー!」

「いやー、それほどでもぉー」

「うんー、褒めてはないかなー?」


それから私はロトに連れられて、クリスと待ち合わせしているらしい場所に向かった。


もうすぐ着くという時、ロトはいきなり「あー!!」と叫び出した。

そんな彼に、「え!? 何何!?」と数歩引いてしまったのは仕方ないと思う。


「どうしようー!! こんなに時間過ぎてる!! 早く戻んなきゃー!!」

誰に話しかける訳でもなく、1人そう大きな声で言ったかと思うと、「ここからは1人で行けるー?」と聞いてきた。


その質問に大丈夫だと頷くと、「じゃあ僕はこれでー! 最後まで付いていけなくってごめんねー!」と早口で(まく)()て、ダッシュで来た道を帰って行った。


なんか嵐みたいな人だったなぁー。

そんなどうでもいいことを思っていた私は彼が最初から一応貴族の子供である私に対して、ずっとタメ語だったことに気付くことはなかった。


「姉さん!!」

そのまま真っ直ぐ歩いて集合場所に着くと、クリスは先にもう着いていたようで、怖い顔でツカツカと近付いてきた。

え、怖い怖い。

落ち着け、落ち着け義弟よ。


「姉さん!」

「はい!」

もう一度名前を呼ばれ思わず返事をしてしまった。


「姉さん、自分が迷子になりやすいって分かってる!? 方向音痴って自覚してる!?」

「ゴメンナサイ」

「本当に分かってる!? これで何回目だと思ってるの!?」

「たくさんやらかしました」

「だよね? もう、今度という今度は言わせてもらうから」

ちょっとそこ座って!

と言われ、私は素早く床に正座した。



クリスの説教は結構長く、それが終わった後、足が(しび)れて「うぁー!」(もだ)えたのは言うまでもないだろう。


「心配かけてゴメンね? それと、ありがとう」

足の(しび)れがマシになり、ゆっくりと立ち上がりながらそう言った。


「うん、これからはちゃんと気を付けてね?」

その言葉に大きく頷いた。

もう正座でお説教は勘弁だ。


「じゃあ戻ろっか、そろそろ王様からのお呼びがかかるみたいだし」

「うん!」

それから、私達は大広間でワインの入ったグラスをお盆に乗せて歩いている人達の顔が全部同じに見えるとか、そんなどうでもいいことを話しながら戻った。



大広間に戻り、クリスと談笑していると、玄関で私達を出迎えてくれたあの神経質そうな執事さんが入ってきた。


「皆さん、お楽しみ中申し訳ありません。

トレド様、こちらへ」

彼が入ってきた瞬間ザワザワしていたのが嘘のようにシンと静まり返った。


あ、エリザさんだ。

手振っちゃダメかな?

「姉さん、手振ったらダメだからね」

「え!? なんで分かったの!?」

私今回は声に出してないよ!?

「声じゃなくって行動に出てたよ」

わぁー、新しいパターンだぁー。


トレド家の人達が大広間を出て行く。

そんな彼らを、上級貴族でない人達が羨ましそうに眺める。

そんな流れを3回繰り返し、とうとうシーナ家の番が回ってきた。


「シーナ様、こちらへお願い致します」

執事さんに連れられ、皆の視線を感じながら私達は大広間を出た。


クリスのお説教長そう……

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