生誕祭-2-
改行に気を付けました!
これで、見やすくなったハズ……!!
「え、ガチでいってる?」
「姉さん、それ驚いてる時に出る言葉じゃないと思うよ」
お城は想像以上にデカかった。
だって大きな門を通り過ぎたかと思えば、今の今までお城の入口に辿り着く気配全く無かったんだよ?
門から玄関までどんだけで距離あんの。
噴水まで配置してるし、これ急いでる時イラつくやつだよね。
「ようこそいらっしゃいました。シーナ様ですね?」
馬車を降りるとお城から少し神経質そうな執事さんが出てきた。
「ああ」
さっきまで馬車の中で私達に対しての柔らかい雰囲気から一変し、少し冷たい雰囲気を纏ったお父様が執事さんにそう短く答えた。
「私が会場までご案内致します。こちらです」
そう促されお父様とお母様の後に続いてお城の中に足を踏み入れた。
言うまでもなくお城の中も半端なく広かった。
壁と壁が遠い。
シャトルランの練習できるよ、これ。
「こちらです」
「ああ、ありがとう」
「いえ、では私はここで失礼致します」
そんなことを思ってると会場に到着したようで
執事さんが丁寧に頭を下げ、そそくさと元来た道を戻って行った。
会場となっている大広間の扉は開けっ放しになっていて、中から楽しそうな声がたくさん聞こえてくる。
「姉さん、どうしたの? 置いていかれちゃうよ」
「あ! 本当だ!!」
気付くとお父様とお母様はもう先な中に入って行ったようで、クリスがまだ大広間に入らない私を不思議そうに見ていた。
「私達はこれから色んな人と挨拶しなくてはならないから、今から2人とは別行動になる」
大広間の入口から少し歩いて移動した後、お父様とお母様が少し申し訳なさそうな顔でそう言った。
「いい、ティナ。クリスから絶対に離れないでね?」
まさかの名指しだった。
まぁでも、よく迷子になるのは否定出来ない。
それに、もしこの広いお城内で迷子になったら色々と終わると思う。
色々と。
「姉さん、お願いだから僕から離れないでね」
少し切羽詰まった顔でそう言った。
そんなクリスにお父様とお母様は同情の眼差しを送っていた。
え、そんな私危ないかな?
そう思いながらもしっかりと頷いた。
クリスが何故そんなことを言ったのか、本当の意味が分かったのは少ししてからの事だった。
「じゃあ、僕らはどうしよっか?」
お父様とお母様と別れ、大広間の真ん中で音楽に合わせ優雅に踊っている人達を眺めながらクリスがそう言った。
「んー……」
悩んでる風を醸し出しながらも私は自分の視線が料理が並んでる机の方に向いているのが分かる。
「お皿取りに行こうか」
そんな私に気付き、笑いながらそう提案してくれた。
料理に向かう足は自分でも気付かない内に早足になっていた。
それに気付いたのはクリスの声が聞こえた時だった。
「あ! 姉さん! ……うわっ!!」
「え? クリス?」
足を止め、振り返るとクリスの姿が消えていた。
クリスが居たであろう場所には変わりに綺麗にドレスアップした女の子達が群がっていた。
まさか……。
恐る恐る女の子の群れに近づいた。
「クリス様! お久ぶりですわ、去年ぶりですわね!?」
「え、えっと、そうですね。お久しぶりです」
「クリス様! 初めてお目にかかりますわ! どうぞこれから私と1曲でもー……」
「まぁ! 抜け駆けはいけませんわ、クリス様、ぜひ私と!!」
「いえ、私と!!」
「え、えとー……」
うん、ダメだわ。
方向転換して私は群れから一刻も早く離れることにした。
「それでか……」
クリスが離れないで、と切羽詰まった表情で言った理由が分かった。
確かに大広間に入った瞬間から視線は感じてたけど、まさかここまでとは……。
「クリスかっこいいからなぁー……頑張れ」
小さくそう呟き、私は料理が並ぶ机に向かった。
「初めてお目にかかります」
料理を乗せるお皿を探していると蛇みたいな顔の男の人に声を掛けられた。
「初めてまして。ティナ=シーナですわ」
誰?
と思ったけど、ここは笑顔で挨拶。
「あ、申し遅れました私はマウリ=アショウです」
アショウさんね。
「本当は『初めてまして』ではないんですよ、私達」
え、そうなの!?
と、驚きを顔に出さなかった私は偉い。
「3年前のこの生誕祭で、会ってますよ」
目を細め、そう言った。
3年前って言ったら私が前世の記憶が戻る1年前だ。
前世の記憶を戻したからといって、それまでの記憶が消える訳ではない。
ただし、前世の記憶が戻って、『私』になる前のティナ=シーナの気持ち、行動、言動は全く覚えていない。
けど、ティナ=シーナの頃に周りに居た、重要人物は覚えてる。
例えばお父様とお母様とか。
……うん、こんな蛇男居たっけ?
ほら、あれだよ、幼少期の記憶を一生懸命思い出そうとしてる感覚。
全っ然思い出せない。
「あ! あの時の、お久しぶりですわ」
取り敢えず、思い出しましたよ風でいこう。
途中で思い出すかもしれない。
「っていうのは嘘です」
自分の笑顔がピクピクと引き攣ってるのが分かる。
はぁあ!?
嘘かいっ!!
ちょ、私の努力返してほしんだけど!?
「まぁ、あながち嘘では無いのですが」
「えっと、どういうことですか?」
「私が一方的に貴方のことを知っていたということです。
あぁ、勿論、貴方は私のことは知らない筈ですよ」
あ、そういうこと。
「……それにしても、なんだか雰囲気が以前と違って柔らかくなったというか、話しかけやすくなったというか……何かありましたか?」
えっ!?
いやー、それはですねー、くしゃみ10連発した瞬間前世の記憶が戻りましてー……なんて言えるわけなくない!?
「いやっ、特には何もありませんでしたよっ?」
私の返答にアショウさんは、少しの間探るような視線を向けた後、「そうですか」となんとか納得してくれたようだ。
「まぁ、どちらにせよ今のシーナ様は以前よりも好感を持てます。
よろしければ私と1曲踊って頂けませんか?」
そう言って恭しく片手を差し出した。
え、ごめん、ちょっと待って。
私、こうなること全く予想してなかったんだけど。
近くを通る人達が足を止め、私達を好奇心いっぱいの目で見ている。
「えと……私、あまりダンス得意ではないのですがー……」
「ああ、大丈夫ですよ。貴方になら足を踏まれても怒りませんので」
え、何この人、まさかのM気質?
「いや、そういう訳にもー……」
っていうか、見ず知らずの人と踊りたくないっす。
だって、私踊る時、見ず知らずの人から腰に手、置かれるんだよ?
ちょっと嫌、かなー。
「さぁ、早く手を」
そう言ってアショウさんは強引に私の手を取るという強行手段に出た。
え、ちょ、ちょっと!!
誰かぁー!!
クリスゥー!!
は無理か……取り敢えず誰かぁー!!




