ちょっと思うこと
「、にしても昔『マリンschool』にそんな危険があったなんて知らなかったなぁ……。」
短剣を机の中に戻し、ドレスから部屋着用のワンピースに着替え1人そう呟いた。
ソフィア、シウォルさんの承諾もらって、当選したら『マリンschool』行くのかな?
行くに決まってるか……。
「うわぁー!」
1人でそう叫びベットにダイブした。
「ダメだぁー」
自分の顔面を大きな枕にグリグリと押し付けた。
「姉さん」
クリスの声が聞こえた。
「ん!?」
声がした方を見れば、扉の近くで心配そうな顔をしたクリスが立っていた。
「え!? クリス!? どうしたの!?」
クリスはあの本だらけの場所に行くと、誰かが呼びに行かない限り屋敷に戻ってこない。
「リリィに呼ばれたんだ。『お友達が帰ってから少し悩んでいるような気がして……話を聞いてあげてくれませんか?』って」
リリィの姿が見えないと思ってたらクリスを呼びに行ってたのか。
リリィに後で心配かけてゴメンって謝らなきゃ。
「隣いい?」
ベットを指差し、そう聞いてきたクリスにうん、と頷いた。
クリスが隣に腰を下ろすと、ベットが少しだけ傾いた。
「ソフィアがね『マリンschool』に応募するんだって。
クリス、昔『マリンschool』に行った子が亡くなっちゃったりしてたのって知ってた?」
「うん、この前読んだ本で知ったよ」
そこまで言ってクリスは「あぁ」と納得したように頷いた。
「姉さん、不安なんだね。ソフィアさんが『マリンschool』に行って帰ってこなかったらって」
全くその通りだ。
「私、ソフィアに『行かないで』って言っちゃいそう。ちゃんと見送れるかなー……」
「姉さんは応募しないの?」
「うん、しない」
「え、何でそんなに目がガチなの」
本当ならソフィアを守るために私も応募したいとこだが、多分私『マリンschool』に応募したらゲームのシナリオ通り、当選するだろうし、それでソフィアが落選した場合だしね。
自分で墓穴を掘ることになっちゃう。
もし仮に2人とも当選したとしても、自分の身を守るのに精一杯なのに、ソフィアもなんて……どっちも中途半端になって最悪ソフィアのことも、自分のことも守れなくて終わるかもしれない。
そんな結末だけは絶対に迎えたくない。
ソフィアが大切だから余計に。
「でも、そっか……良かった」
クリスがそう小さく言ってほっとした顔で笑ったが、その隣で私は「ごめんソフィアァー!」と謝っていた為、クリスの安心した笑顔を見逃した。
「もういっそのこと素直に今思ってることソフィアさんにぶつけてみたら?」
「……言ってウザがられたらどうしよう」
「なんか今日は姉さんネガティブ思考だね。
多分ソフィアさんはウザがらないと思うよ。
まず、そんな人を僕が姉さんの友達に認めるわけないじゃん。即行で排除してるよ」
そう言ってははっと笑った。
今のクリスの笑顔が一瞬黒く見えたのは気のせいだろうか。
「そうだね……。クリス、ありがとう!
なんかスッキリした」
そう言えばクリスは小さく微笑んだ。
「ところでさ、姉さん来週の王子の生誕祭行くの?」
あ、クリスも『行けるの?』じゃないのね。
「うん、今年はねー……。
そう言えばクリスは前の生誕祭は行ったんだっけ?」
「うん、行ったよ」
「どうだった?」
そう聞くとクリスは黙ってしまった。
「僕来週の生誕祭去年の姉さんみたいに仮病使おうかな」
暫くの沈黙の後、ポツリとそんな言葉を零した。
ん!? 姉さんみたいに!? 仮病!?
あ、あれ? 幻聴かなっ?
「幻聴だよ、幻聴」
あ、やっぱりー?
「って、違うよね!? 今の幻聴じゃないよね!?」
バッとクリスの方を見れば、肩をフルフルと震わせ笑いを堪えていた。
「姉さん、面白すぎ……!」
クリス、姉さんで遊ぶのはやめなさい。
「ごめんごめん。まぁ姉さんの仮病の話は置いといて、姉さんすぐ迷子になるんだから城ではあんまり1人で行動しないでね?」
これじゃあ、どっちが年上か分からないな。
そんなことを思いながらクリスにコクンと頷いて見せた。
次はいよいよ、王子の生誕祭!!
気合い入れ直さなきゃ……




