初耳
「確か、上級貴族は生誕祭で初めて王子の顔が見れるんだったわよね?」
「うん。お父様の話によると小部屋に1人1人順番に呼ばれて、まず国王様とお妃様に挨拶して、次に違う部屋に移動して王子様と顔合わせするんだって」
貴族には上級、中級、下級貴族ってのがあって、貴族は城で行われる生誕祭に出席しなければならないが、実際国王様たちに会えるのは上級貴族のみである。
ちなみに2年前まではシーナ家は中級貴族のトップにいた。
けど、2年前のある日お母様が使用人に「上級貴族になったらもっと美味しいご飯が食べれるのかしら」と言った言葉が父様をやる気にした。
この時2人は喧嘩ばっかしてた頃だった為、2人の間に穏やかな会話なんてなかったわけで、お母様大好きなお父様はお母様専属の侍女から色々聞き出していたらしい。
それからシーナ家は急成長を遂げ、僅か1ヶ月で上級貴族へとのし上がったのだ。
お父様パネー。
「へぇー……、大変そうね。
そう言えばティナってまだ国王様たちの顔見たことないのよね?」
「……ん!?」
「ティナって生誕祭に出席したことないんでしょ?」
「な、なんでそれを知ってるの!?」
上級貴族になった初めての王子の生誕祭はティナ=シーナがガチな方の風邪を引いた為、欠席。
そして去年のは前世の記憶が戻っていたから、悪役令嬢のフラグを回避する為、今年も風邪を引いたってことにして欠席。
まぁつまり仮病を使ったのだ。
ってなわけで、私は1度も王子と顔を合わせたことがないんだけどー……私、それソフィアに言ったっけ!?
「近所の人から聞いたのよ。
上級貴族の中で王様たちの顔を知らないのはシーナ家の令嬢だけだって」
うわー、めっさ注目されてるぅー。
「今年は行くの?」
あ、『行けそう?』じゃないのね。
「う、うん! 今年は行けそうかなー……」
「そう、王子どんな顔だったか教えてね」
「も、もちろんー!」
怖っ!
ちょ、ソフィアに色々と見透かされてそうだわ。
ソフィアに少し恐怖を覚えている間に部屋に着いたようで、自分の部屋の扉を開け2人で中に入った。
「……ずっと思ってたけど、屋敷内はどこに行っても涼しいわね」
「どこにでもクーラーがあるからね。外は暑かった?」
携帯が無いのにクーラーはあるんだよ、この世界。
さすがゲーム。
「暑かったわ。私暑いの苦手なのよ」
「そうなの?」
「ええ、寒い冬の方が好きだわ」
へぇー、あ、でもそんな感じはするー。
「あ、好きなとこに腰掛けてー」
「ええ、ありがとう」
そう言ってベット近くのピンクのソファーに腰掛けた。
それを見て私はベットに腰掛けた。
「そういえばティナは『マリンschool』に応募するの?」
「え、え!? い、いきなりどうしたの!?」
待って、今スゴイ心臓バクバクしてる。
「だって今日からでしょ? 応募が始まるの」
そ、そうだったぁー!!
この世界の全ての国から応募を募集するのは夏頃から始まり秋までで終了。
そして、応募が終了した一週間後に当落発表。
早いよ。
春には選ばれた人達を1国に集めて出発前祝いが行われる。
所謂お祭りだ。
なんかさ、この世界さ、何かとお祭り多いよね。
「そ、そう言うソフィアは応募するの?」
「ええ」
即答だった。
「迷いがないっすね」
「そうね、だって私小さい頃から『マリンschool』に通うことが夢だったもの」
え!? そうなの!?
初耳なんですけど!?




