初めまして
「いらっしゃーい!!」
「お邪魔します」
ソフィアは小さくお辞儀さながらそう言って玄関を通った。
そう、今日はこの前約束したソフィアが、家に遊びに来る日だ。
門で待とうと思ったんだけどリリィに猛反対された為、玄関でのお出迎えとなった。
あ、そうそう、ちなみに靴は脱がないよ?
いやー、前世の記憶が戻ったあたりは、前世日本に暮らしてたもんだから中々靴を脱ぐ習慣が抜けなくってさ、よくリリィが驚いてたなぁ。
「家、大きいわね……すごいわ」
「の割にはあんまり驚いてなさそうだけど!?」
「あら、これでも大分驚いてるのよ?」
え、ソフィアの表情筋ちゃんと動いてんのかな?
「お黙り」
ニッコリと満面の笑みでそう仰った。
「姉さん」
クリスが本を片手に階段を下りてきた。
「初めまして」
私の隣にいるソフィアにお辞儀をした。
それに倣って彼女もお辞儀をした後、2人は探るように互いをジッと見て黙り込んでしまった。
「うん、大丈夫そうだね。僕はこの家の長男のクリス=シーナです」
沈黙の後、少し微笑みそう自己紹介をした。
「認めてくれて嬉しいわ。私はソフィア=フランシス。ティナの友達よ。
あ、敬語は要らないわ。敬語使われるの苦手なの」
平民だから尚更、ね。
そう言ってふふふっと笑った。
「うん、分かった。じゃあソフィアさん、よろしく」
「こちらこそよろしく」
そう言って2人は握手をした。
「えと、何の話ー?」
2人が黙り込んだあたりからちょっと話についていけないんだけどもー。
「知らなくていいよ。でも姉さん、騙されやすいんだから僕が一々出てこなくてもいいくらい周りには用心するようにしてね? まぁ、これからは同性のソフィアさんもいることだし大丈夫だろうけど」
「え、ちょ、何の話ー!?」
なんか前半貶された気しかしなかったんだけど!?
大丈夫って何が!?
そう私が騒いでいる間にも2人は「姉さんのことよろしくね?」「ええ。でも、貴族の集まりとかは付いていけないからあなたに任せたわよ」と言って頷き合っていた。
「じゃあ、僕はここで」
そう言っていつもの本がたくさんあるあの建物に向かって行った。
「じゃあ私の部屋に行こっかー」
「ええ。あ、ティナ、ご両親は? 挨拶したいんだけど……」
そう言ってキョロキョロと辺りを見渡した。
「ああ、お父様とお母様は今仕事で家いないよ」
「そうなの?」
「うん! ほら、もうすぐこの国の王子の誕生日じゃん? それで、今忙しいみたい」
「あぁ、なるほど」
この国では王子の誕生日は盛大に行われる。
街では祭りがあり、貴族達は直接お城に行って祝わなくてはならない。
ちなみに、この世界の王族はめったに人に顔を見せない。
顔を見せるのは、同じ王族と彼らに仕えている人たち、上級貴族のみだ。
そうは言うけど王族に使えている人たち辺りから手描きで王族の顔が街に出回るんじゃないの?
って思ったそこの君!!
チッチッチー、違うんだなこれが。
王族は顔がよろしすぎて描けないんだって、「この美しさを描くことなど出来ない!!」
と、王族の顔を見たことがある人はそう言うんだそうな。
正直に言うね、意味わかんね。
ってなことで、一般人にとって王族の顔を見たり、彼らと話が出来る機会なんて一生にあるかないかだ。
だが、そう、『マリンschool』ならそれが可能なのだ。
『マリンschool』に通えば王族の顔は必ず拝見出来るし、もし同じクラスにでもなれば話すことだって可能だろう。
なんせ抽選だからね、貴族だろうが平民だろうが関係ない。
当たる人は当たる、ハズレる人はハズレる。
キビシー世の中だよね。
まぁだからこそ平民である主人公が攻略対象の王族たちと出会えるんだけど……まぁ、そんなこと私には関係ない!
応募なんて自滅行為は絶対にしない!
海の藻屑なんてなりたくない!




