↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪を回避しようと身を引いたら、冷酷だったはずの婚約者が激甘ヤンデレ化して逃がしてくれません!  作者: もも子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/28

マリアの秘密と、生徒会室の事件簿

公爵邸での晩餐会から数日後。


「エルザ様! 大変です、助けてください……っ!」


放課後の廊下で、パタパタと可憐な足音を響かせて駆け寄ってきたのは、いつもニコニコしているヒロインのマリア様だった。

珍しく桃色の瞳を潤ませ、桃色のスカートをキュッと握りしめて怯えている。


(な、なに!? まだ何か破滅フラグが残っていたの……!?)


「落ち着いてマリア様。一体どうされたのですか?」


私が優しく肩を抱くと、マリア様は声をひそめて、周囲を気にしながら耳元で囁いた。


「実は……最近、誰かに『つけ回されて』いるような気がするんです。視線を感じたり、放課後になると後ろから足音が聞こえたりして……すごく怖くて……」


(ストーカー……!? ヒロインにストーカーがつくなんて、乙女ゲーム『聖女の誓い』にそんな不穏なイベントあったかしら!?)


「分かりましたわ。マリア様、ご安心なさい。この私がついているわ」


私は即座にマリア様をかばうように立ちはだかった。

前世の記憶を取り戻してからというもの、純粋で私を慕ってくれるマリア様は、私にとって可愛くてたまらない「妹」のような存在なのだ。

大切なマリア様を脅かす不審者など、この元・悪役令嬢が絶対に許さないわ!


「まずは生徒会室へ行きましょう。あそこなら安全ですし、アレクセイ様にも相談できますわ」


「はい……! エルザ様、ありがとうございます!」


マリア様の手を引いて、私たちは急いで生徒会室へと向かった。


◇


カチャリ、と生徒会室の重厚な扉を開ける。


「アレクセイ様! 大変です、マリア様がストーカーに――」


言いかけた私の言葉は、室内に漂う異様な空気によって途中で飲み込まれた。


部屋の奥、執務机に腰掛けたアレクセイが、ゆっくりと顔を上げた。

その紫の瞳は、まるで冷たい氷の奥で怪しい炎が揺らめいているかのように、不穏な光を帯びていた。


「……エルザ。マリアの手を放しなさい」


地底から響くような、低く静かな声。


「え……? アレクセイ様?」


「僕が『マリアと距離を置け』とあれほど言ったはずだ。……なぜ君は、いつも僕よりマリアを優先する?」


アレクセイは静かに立ち上がると、迷いのない足取りでこちらへ歩み寄ってきた。

彼の手には、一通の『差出人不明の手紙』が握られている。


「アレクセイ様、お言葉ですが今はそんな嫉妬をしている場合では……」


「嫉妬? ああ、そうかもしれないな」


アレクセイは私の腕を掴むと、マリアから引き剥がすように自分の背後へと隠した。

そして、マリアに向かって冷ややかな視線を向ける。


「マリア。生徒会室に届いたこの手紙……『エルザ・フォン・ヴァルハイトを生徒会から追放しろ』という脅迫状だ。……君をつけ回している人物と、何か関係があるのではないか?」


「えっ……!? エルザ様を追放……!?」


マリア様が驚きで目を見開く。


(ええっ!? ストーカーの狙いはマリア様じゃなくて……私!? それに、私を排除しようとしている裏幕がいるってこと……!?)


「エルザ。君を危険に晒す者は、誰であろうと排除する。……たとえそれが、学院の人間全員であろうとね」


アレクセイの瞳に、今までで一番深く暗い「ヤンデレの狂気」が宿る。

自分に向けられた脅迫状と、マリア様を狙う影。二つの謎が交錯し、平和になったはずの学園生活に、思いもよらない「新たな波乱」が巻き起ころうとしていた――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。