↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪を回避しようと身を引いたら、冷酷だったはずの婚約者が激甘ヤンデレ化して逃がしてくれません!  作者: もも子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/28

冷酷公爵? いえ、苦労性なお父様でした

「……ともかく、二人とも座りなさい」


公爵様の言葉で、私たちは向かい合うように席についた。

運ばれてくる色鮮やかな料理。どれも最高級の素材が使われていて、見た目も素晴らしい。


(よしっ、テーブルマナーも完璧にこなして、文句のつけようがない完璧な令嬢を見せてあげるわ!)


私がナイフとフォークを手に取ろうとした、その時だった。


「エルザ、熱くないか? 僕が切り分けよう」


隣に座るアレクセイが、当然のような顔で私の皿に手を伸ばしてきた。

一口大に切り分けたお肉を、フォークで私の口元へ運ぼうとしてくる。


「ア、アレクセイ様……!? 自分でいただけますわ……!」


「ダメだ。君の手を煩わせたくない」


「……アレクセイ」


向かいから、地底から響くような低い声が聞こえた。

見ると、公爵様がフォークを握りしめたまま、恐ろしい顔で息子を睨みつけていた。


「我が家の晩餐会で、婚約者に『あーん』をしようとする奴があるか。恥を知りなさい」


「父上こそ、エルザをあまりジロジロ見ないでいただきたい。僕の婚約者が緊張してしまう」


「……お前が一番緊張させているのだ!」


公爵様はガツンとグラスをテーブルに置き、深々とため息をついた。


(……待って。乙女ゲームの『冷血な公爵様』って、こんなに苦労人ポジションだったかしら……!?)


公爵様は疲れ切った様子で頭を抱えると、今度は私の方へ静かな視線を向けてきた。


「エルザ嬢……苦労をかけるな。……最近、息子が学園で変な行動をとっていないか?」


「え……? 変な行動、ですか?」


「うむ。急に『エルザに贈る薔薇の花壇を作る』と言い出したり、我が家の商会に『彼女の好きな製菓店を買い取れ』と指示を出したり……。以前までの冷めていたアレクセイとは、まるで別人のような変わりようでな……」


(商会に指示まで出してたの!? アレクセイ様、行動が早すぎるわよー!!)


公爵様は真剣な表情で、私に向かって頭を下げかけた。


「以前のお前たちを見て、私は『この婚約はうまくいかないのでは』と心配していたのだ。……だが、まさか息子の方がここまで重く狂うとは思いもしなかった。……エルザ嬢、どうかあいつを見捨てないでやってほしい」


「父上、余計なことを言わないでください。エルザが僕を見捨てるわけがない」


「黙りなさいアレクセイ! お前のその重さが嫌がられているかもしれないのだぞ!」


(お義父様……! いえ、公爵様! あなただけがこの状況の異常さを分かってくれているのね……!!)


冷酷だと噂されていた公爵様は、ただの「重すぎる息子に頭を痛める苦労性なお父様」だった。


「エルザ嬢。もしアレクセイが嫌がるようなことをしたら、すぐに私に言いなさい。公爵家の権力を使ってでも、お前を守る」


「父上……?」


アレクセイの目が、危険な光を帯びて細くなる。

だが、公爵様はそれを受け流し、私に優しく微笑みかけてくれた。


「それにしても……今日の立ち振る舞いといい、私への配慮といい、素晴らしい淑女だ。アレクセイにはもったいないくらいだな」


「……っ! 父上、エルザを褒めるのは僕だけにしてください」


「バカ者」


公爵様からの評価は、満点どころか大絶賛。

破滅フラグを回避し、円満に引き下がろうとした私の作戦は、「公爵様からも全面的に認められ、外堀を完璧に埋め立てられる」という結果に終わったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。