ういろう。
ういろう仕立ての和菓子を久しぶりに食べた。どうしてこんなに和菓子が登場するかって?今日は頂き物である。頂き物は和菓子が多いのだ。パティシエに洋菓子を持ってくるのは憚られるという心遣いかもしれない。
ういろうは普通の餅の生地みたいにビニョーンと伸びないから食べやすい。棹ものの状態のういろうも好きだが、こういう小さいお菓子は細工を目で楽しめるのが良い。細工の美しさで言えば、練りきりなどの方が上なのだが、生地としては、団子が好きな俺としては、こちらのういろう仕立ての物の方が好きだ。団子の味わいと細工を一度に楽しめるという点では、ういろう仕立ての和菓子は二度おいしい、というお得感を感じる。
ういろうそのものにしても、今はわらび餅仕立てとか、風味も多様化し、見た目がアイスキャンディのように棒に刺さっているものなど、ずいぶんとバラエティーに富んでいる。餡の入っているものにしても、餡の種類が多様化していて、実に魅力を増している。
シンプルな「しろ」もいいが、黒糖や、「あがり」という餡が練りこまれたものも美味い。栗入りの「あがり」は実に贅沢な感じだ。「さくら」もほんのりとした桜の風味がよく、優しいピンク色が美しい。また、季節によってはサツマイモ味やトマト味もある。サツマイモ味も美味い。特に芋好きの皆さんにはオススメだ。トマト味は俺は好きじゃないが、ファンがけっこういるらしい。
俺が初めて食べたのは一歳の頃らしい。「あの時、よく喉に詰まらせなかったわよね。」と、そんな話をお袋に聞かされたのは随分大きくなってからだったが、当時一歳の俺はお袋の実家で、ベビーチェアを使ってテーブルによじ登って、菓子器の蓋を開けて抹茶のういろうを食べていたそうだ。蓋が付いているからと周りの大人も安心していたのか、見つかったときには、たくさん入っていたはずの器は空で、最後の一切れを食べていたところだったんだとか。子供のことはよくわからないが、餅や団子を食べさせるにはまだ早いその年齢に、運よく喉に詰まらせることもなく、このういろうの味を覚えてしまったらしい。
そんな経緯からか、我が家が抹茶モノが好きなせいか、俺は抹茶味が一番好きだ。
「あ~!また何か食べてる!ところで私の分、あるの?」
背後から陽菜の声が飛んできた。
「あ、あるぞ。一個残しといた。」
「一個だけ?また~。」
しまった。うっかりして食べ過ぎてしまった。
「そんなに食べて。コックコート、また小さくなりますよ!」
それを言ってくれるなよ。俺はお菓子が好きなんだよ。




