どら焼き。
まだ和菓子にハマっている俺。パティシエのくせになどと言うなかれ。パティシエだって和菓子は食べるぞ。
次のマイブームはどら焼き。しっとりと甘いあの生地に餡。熱いお茶とともにいただくと実に幸せな気分になる。今日のお供は餅入りである。
どら焼きにも色々な種類がある。シンプルなつぶ餡だけの物、餅入り、栗入り、白餡。どれも好きだ。生地が虎のように焼き目が付いている「虎焼き」も見た目に楽しい。最近よくある生クリーム入りのものも捨てがたい。抹茶の生クリーム入りなんてのも捨てがたい一品だ。しかし、一通り食べてみると、やはり一番シンプルなつぶ餡だけのものが一番しっくりくる。
海外に住んでいた、ごく幼い頃には、現地の日本食品の店にしても外国人向けのスーパーにしても食材が手に入りづらく、おやつの材料や和菓子はさらに手に入りづらかったらしい。らしい、というのはかなり幼い頃のことなので、事情を知らず、あとからお袋に聞いて知ったのだ。帰省の度にお袋がどっさりと買い込んでいたおかげで手作りのおやつを食べることができていたのだ。
そんな折に、どら焼きを買いに行ったら売り切れていて、でもどうしても食べたくて。お袋にせがんだところ、陽菜と三人で作ることになった。レシピを調べて生地を焼いて、日本のスーパーで買ってきた缶詰めのゆであずきを挟んだだけのものだったが、家で作ったことがたまらなく嬉しかった。今思えば、あの生地はホットケーキにかなり近いものだったし、形も不揃いだったが、手作りの味というのだろうか、やたら美味いと思ったものだ。目の前で焼き上がる、または自分達で作るというホームメイドの魅力は、何よりのエッセンスであると思う。しかしプロである俺としては、ホームメイドというエッセンスの上を行く味を作り出すために日々、鍛練しなくてはならない。
こうして美味いお菓子をいただいているのは、つまり、アレだ。さ、サボりなんかじゃないぞ。ホームメイドに負けないように鍛練するための、か、活力源だぞっ!
お。時間がヤバくなってきたな。陽菜に怒られる前に食い終わろうっと。
残りのどら焼きを口に押し込んで、少し冷めてきたお茶をゴクリと飲み背筋を伸ばす俺だった。




