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羊羹。

久しぶりにじいちゃんに会ったせいか、近頃、和菓子が気に入っている。今日は買出しのついでに羊羹を買ってしまった。このあずきの塊、美味いんだよな。抹茶味のや、栗入りのもの、小豆の粒が入ったもの、そして水羊羹など、種類は色々あるが、俺は粒の入っていない、この羊羹が一番好きだ。

俺が羊羹を初めて食べたのは小学校に入るかどうかの頃。当時、我が家は親父の仕事の都合で海外に住んでいたので、和菓子を食べる機会がかなり少なかったのだ。おかげでいわゆる「上用まんじゅう」の存在すら知らなかった。大福だと思ってかぶりついたら生地が餅じゃなかったことにえらくショックを受けたものだ。

そんなある日のこと、キッチンに見慣れない物があった。

「ママ、これ何?」

「羊羹。」

「よう、かん?」

「そう。羊羹。和菓子よ。頂き物でね、さっきご近所さんにいただいたところなの。」

まだ封をあけていない竿ものの羊羹だったのだ。中身もさることながら、そのパッケージを見たことも、羊羹という名前を聞いたことも俺には初めてだった。が、和菓子と聞いて俺の食指は一気に活発化した。

「ねえ、食べたい!」

「ちょっと甘いよ。朝日の口に合うかな~?少しだけ食べてみる?」

そう言って封を開けて、包丁で切り分け、いわゆる“お試しサイズ”の量を爪楊枝に刺したものを渡された。迷うことなく口に放り込んだとき、小豆の味と濃い甘さがたまらなくて、爪楊枝までかじってしまいそうなほど気に入った。

「おいしーい!もっと食べたい!」

そう言って普通の厚さのものを爪楊枝では足りずに手づかみでかぶりついた。あまりに美味くて二切れ、三切れと口に放り込んだ。

「そんなに一気に食べると胸焼けするわよ。」

お袋が麦茶を差し出して苦笑いをしていた。案の定、胸焼けをしたが、羊羹への愛はそこで止まることはなく、しばらくは羊羹にはまり、その後も帰省したときに羊羹を買ってくれと、親やじいちゃんにせがんだものだ。

今日のは手のひらサイズのものなので、切り分けることなくガブリ。やっぱりこの甘さがたまらない。ああ。もう一個、このまま食べてしまおうか。実はもう一個、抹茶味のものを買ってある。いや、しかし、お楽しみにとっておこうか。悩んでいるうちに休憩時間が終わってしまいそうな午後だった。


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