アフタヌーンティ。
今日はいよいよ法事の日。喫茶コーナーを貸しきりにしたこのスペースにじいちゃんたちがやってくる。もうすぐ到着するようだ。幹太おじさん、なんて言うだろう?自信はあるが、おじさん、味にうるさいんだよな。誉められたら特に嬉しいが、なかなか厳しいんだ。そんなわけでイチゴショートはとりわけ丁寧に作った。これが一番ジャッジが厳しいはずだ。お眼鏡にかなわなかったら「パティシエの基本だぞ!」と言うのは目に見えている。
幹太おじさんは、会うと必ず遊びに連れていってくれたり、ケーキを買ってきてくれたり、食べに連れていってくれたりした。そしてケーキの話題となると熱く語り合えたものだ。どこのイチゴショートが一番美味いか、という論議に熱くなったりもしたものだ。仕事じゃなければ語り合いたいところだ。
各テーブルにアフタヌーンティ用のケーキスタンドを置き、色とりどりのスイーツを並べていく。最初はビュッフェ形式にしようと思ったが、足が弱っているじいちゃん達がなるべく歩かなくても大丈夫なようにと、ケーキスタンドを置くことにした。
品揃えは、ガトーショコラ、ガトー抹茶黒豆入り。イチゴショート、ベリーのムース、ヨーグルトのムース、生チョコショート、マカロン。そして生チョコ、ロッキーロードを二種類。抹茶ロール、そして本日お披露目のきなこアラモードなどなど。もちろん『みどり包み』も並んでいる。そしてクッキーなどの焼き菓子も少し。
多めに用意したので残ったらお持ち帰りをしてもらおうと思うが、幹太おじさんがいるので、お持ち帰りの量はそれほど多くないかもしれない。なので、持ち帰り用のお土産も別で用意しておいた。中身は、ホールのガトーショコラ。
テーブルは皆が話しやすいようになるべく近づけて配置。ドリンクはピッチャーでドリンクバーに。温かいものだけはオーダー形式にした。そこは俺たちがフォローに入ることにした。
みんな、どんな顔するかな。驚いてくれるといいな。喜んでくれるかな。「腕を上げたな。」なんて言われると嬉しいな。ついでに買い占めていったくれたりして。それとも、大口注文とか。いやいや。いかんいかん。今日は特に商売に走っては。
「店長、ニヤニヤしてますけど、そろそろお時間です。」
陽菜の声にハッとする。俺はニヤニヤと妄想をしていたようだ。
さて。いよいよだな。少しだけ緊張感を持って背筋を伸ばす。小学生の頃の学習発表会みたいな気分だ。




