ゼリー。
ゼリーが好きだ。パティシエとしてはジュレと呼ぶべきかもしれないが、子供の頃から食べなれたゼリーを、今さらジュレなどと呼ぶのは気恥ずかしい。
子供の頃は、帰宅したときにバニラの香りがしない時は冷蔵庫にゼリーが作ってあることがあった。オレンジやグレープフルーツのジュースで作った、ごくシンプルなものだ。暑い日にはアイスクリームの次に嬉しいおやつだった。市販のゼリーが買ってあることもあったが、手作りのものも、市販のものも好きだった。市販のものは大きなカップのときもあれば、一口ゼリーの時もあった。
ちなみに俺たちが苦手なものもあった。それはコーヒーや紅茶のゼリー。冷蔵庫の小さなグラスを見つけたワクワクの直後にがっかりしたものだ。
「なーんだ。今日のは紅茶かぁ。」
「あんた達には今日は市販のを買ってあるわよ。」
「やったぁ!」
がっかりの直後にまた気分が上がり、大きなゼリーを片手にテレビの前に座ってから、フタをそーっと半分くらいまで開けて汁をすする。それから一気にフタを全部開けてからスプーンを差し込むが早いか、ブルンと吸い込むように食べていた。中のフルーツもガブガブと食べたら最後に残った汁を飲む。美味かったんだよなあ。あれが。
コーヒーや紅茶のゼリーはお袋専用で、いつも食べるときに牛乳を上にかけたり、ホイップを乗せたり、さらにはチョコをトッピングして一人で嬉しそうに食べていたのを思い出す。コーヒーや紅茶に興味がなかった俺たちにしてみれば、何が美味いんだかわからない代物だった。大人になってみて、美味しさがわかるようになった頃には、もう入院していたので、ご相伴に預かることはなく。もう少し早く大人になっていれば、と少し寂しく感じる。
そんなわけでお袋の病室には、よく紅茶やグレープフルーツのゼリーを持参していた。紅茶の方はアールグレイのゼリーとムースが二層で、トッピングにはクラッシュしたアールグレイのゼリーとホイップ、ミントの葉。グレープフルーツの方は、ムースは無しでゼリーのみ。こちらもクラッシュしたゼリーとホイップ、グレープフルーツそしてこちらもミントの葉。ゼリーは口当たりが良いからと、いつも喜んで食べてくれていた。
話はそれるが、グミやチューイングキャンディも今でもお気に入りのお菓子の一つだ。
それらはお袋も好きで、外出先でせがむとバッグの中から何かしら出てきたものだ。それに塾の帰りなどにコンビニに寄るとよくグミなどを買ってくれたのだが、お袋は自分用にも買い、それぞれお互いのを一粒ずつ交換しては「今日のはアタリだね。」「ママのが一番おいしい。もう一粒交換してよぉ。」などとワイワイと食べたものだ。
恥ずかしながら、お袋にグミをお供えしたことがある。その時は親父に「グミなんかお供えする奴があるか!」と笑われたものだが、お袋は喜んでいたに違いない。




