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あんころ餅。

俺はパティシエなので当然、洋菓子が好きだ。しかし、和菓子も好きだ。


こしあんが好きので、三重県の名物である赤福は特に好きだ。そして土用のシーズンに出回る土用餅も大好きだ。

「うまい…。」

三が日も明けていよいよ新年の通常営業に戻った今日、午後のおやつは赤福だ。お伊勢さんへの初詣に行ったという友人からのおみやげだ。緑茶のお気に入りのティーバッグで淹れた緑茶がよく合う。

赤福は小学生の頃よく食べた。当時、母方の祖父が三重県に単身赴任していて、週末に帰ってくる時になると赤福を買っては我が家に届けに来てくれていたのだ。

祖父は俺や陽菜や、従兄弟たちがが集合したときにちょっと騒ぐだけで「やかましい!」と大音響の雷を落とす人だった。お袋は「あれでも丸くなったのよ。」なんて言ってたけど、若いとき、どんだけ怖かったんだよ?と思ったものだ。そんな祖父は幼かった俺にとってかなり怖い存在だったが、赤福を届けてくれる時の祖父の笑顔が好きだった。


「店長?洋菓子店で和菓子をバクバク食べるってどういうこと?新商品の開発はどうなっていますか?」

…うぐっ!

至福の気分でパクついていたところを背後から副店長の陽菜に声をかけられた。餅が喉につまるところだったじゃないか!

「こ、こしあんの魅力について考察しているんだ。」

「考察ねえ…。」

陽菜の目は冷ややかである。

「安心しろ。お前の分、ちゃんと残してあるぞ?」

「そういう問題じゃないです。最近、新商品よりも店長の体重の方が増えてませんか?」

そ、そんなことはないぞ。ベルトの穴が少しきつくなったけど、位置をずらすほどではないぞ。

「そのコックコート、ウエストの辺りだけ、張りがありますけど?」

「気のせいだろ。疲れてるんじゃないの?まあ、赤福でも食べて休憩しなさい。」

「後でいただきます。それより、新商品、わかっていますか?」

「だから考察中だと言っているじゃないか。」

何だよ。年末のガトー抹茶だって好調だったんだし、いいじゃねーかよ。バレンタインのものは今回は陽菜のマカロンがメインだし。そんなに新商品にこだわらなくっても。

「新商品のこと考えるのが面倒なんですね?顔に書いてありますよ?」

陽菜はそれだけ言うと店内に戻っていった。

鋭い奴め。確かに面倒だけどな。そんなに新商品ばかり出さなくても、従来の商品を尊重していたほうが楽だしな。


まあ、バレンタインとホワイトデーは陽菜のマカロンに任せるとして、彼岸やこどもの日あたりは、こしあんをうまいこと取り入れてもいいかもしれないな。

柏餅に見えるケーキとか?こいのぼりのケーキにこしあんを使うとか?


こしあんは赤福の仕事であると主張したいところだなあ。



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