青天
テーマ「青」より
空なんて見上げてどうしたんです? ああ、確かに今日は綺麗な空だ。本当、吸い込まれるような、え、そう言いながらなぜ目をそらすのかって? これには少し理由がありまして、天窓って一時期流行りましたよね。大丈夫ですよ、ちゃんと空の話です。丁度洋風の家が流行りだした頃かな。
子供部屋の天井に小さな星の見える天窓がついている。部屋の中に光を取り入れる手段としてもまあ悪くはない。けれどあれ、窓拭きが大変でしょう。それに四六時中空を見ていたらいつかは飽きるでしょう。
車にも天窓、サンルーフなんてのがついていた時代です。あれもまたシリコンが劣化すると大変でね。まあそんな話はさて置き、私の家にもね、あったんですよ天窓。半分田舎、半分都会の場所でね、夏は星が見えづらいんですけど、冬は埃が舞わないせいか綺麗な星が見えました。
望遠鏡なんてなくても、輝く砂を撒いたような空がよく見えて、懐かしいな、でもその天窓、塞いでしまったんです。なんでかと思うでしょう?
それがね、青空が見えるんです。当たり前だと思うでしょうけど、それが違うんですよ、夜なのに青空が見えるんです、おかしいでしょう。ベッドの隣の窓から見える景色は夜なのに頭の上は青空なんです。
これが不思議でね、起きている間は絶対に青空になんてならないのに寝ていて、夜中ふと起きると頭の上が青空なんですよ。少し明るいくらいで眩しくはない、色々な角度から眺めてみても絶対に太陽は見えないんです。深い深い青に幾重にも薄い雲が重なり合ってね、底の見えない青空。見ているとどんどん青が濃くなって行くんです。
これがずっと見ていられないんですよ、どうしても目を逸らしてしまう。なんでしょうねあれ、雲の層が途切れる瞬間何か、とても怖いものが見えそうで、どうしても見ていられないんです。
そうして視線を戻すと普段の星空に戻っているんですよ。それだけなら怖くないじゃないかって? そうですか?
それがね、音がするんです。何ていうか、隙間風の音ってあるでしょう、高音で空気が切り裂かれるようなあの音。大体その音で起こされるんですけど、それがね、日が経つにつれて大きくなって行くんです。だからあの天窓、いつか開いちゃうんじゃないかって。
親にも馬鹿にされましたけどね、一晩私の部屋で寝てもらったら納得してくれました。理由なんて解りませんけど、一見綺麗なものでも怖い物ってありますよ。だからあなたも気を付けないと吸い込まれてしまうかも、なんて、考えすぎですかね。




