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永遠の翼 〜変えられない運命に、祝福を〜  作者: 咲良 柚葉
第三章【永遠の翼〜夜を蝕む都〜】

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第八話:戦いを知る者

風が、心地よく吹き抜ける。先ほどまでの息苦しさが嘘のようだ。

扇子の周りに纏う風の精霊のお陰だ。カグヤが使う精霊の風は、周りの邪気を綺麗に浄化してくれる。

清涼な空気を、一度胸いっぱいに深く吸い込む。身体中に空気が駆け巡る。

そして────。


「────参る」


小さな呟きが、戦闘開始の合図だった。

影が膨らみ、触手のように伸びた。それをカグヤは難なく捌く。

単調な攻撃は効かないと分かったのだろうか。影のくせに、左右に揺さぶりながら、実に巧みに攻めてくる。

その戦いぶりは、まるで死線を掻い潜った事のある猛者のようだ。この影は、()()()()()()()()()


影の攻撃を弾く度に、火花が散った。

つまり、月の精霊ではなくても、攻撃が当たる。


一旦距離を取り、広げた扇子を下から上へ思いっきり振り上げる。すると、風の刃が出来た。風の勢いも乗って、凄まじい速さで真っ直ぐ影へと飛んでいく。


避けるのかと思われたが、突如影が膨張し、風刃を包み込むように取り込んだ。

その影の壁をぶち破る事は出来ず、刃の勢いが止まったかと思った瞬間────。


風の刃が、はね飛ばされた。

カグヤに向かって飛んできたソレを、カグヤは慌てず、扇子で撫でるように受け止める。


「⋯なるほどね」


扇子の攻撃は当たるのを嫌がるように避けた。

だが、刃のように飛ばしたモノは、弾かずに受け止める。そして、お返しとばかりに反射された。


(攻撃は、直接か)


直接打撃が有効。今のところは、そう結論付けた。

あれが罠ならば、大したものだ。


右手の扇子を一度閉じると、硬質な音が響いた。

そのまま、今度は閉じた扇子に風を纏わせる。螺旋を描くように扇子の周りを回りながら、徐々にそれが長くなっていく。

やがて、扇子の2倍の長さの風の剣が出来上がった。


(さぁ、第2ラウンドと行こうか)


手首を視点にクルリと、さっき出来たばかりの剣を回す。それからゆっくりと構え直した。

右手に薄緑の刃を付けた扇子の剣。左手には開いた状態の扇子を持つ。


「其方は、実に楽しそうに戦うのだな」


静観していた晴明が呟く。

“楽しそうに”という何とも含みのある言い方に、チラリと晴明を見る。

何か言いたそうだが、何も言わない。

たぶん、今はまだその時ではないのだろう。


晴明は、きっと何かを待っている。

そんな気がした。


(何を待っているか知らないけど、たっぷり時間を稼いであげようか)


心底愉しそうに、カグヤが笑う。

もしここにヒスイがいれば、「張り切り過ぎるなよ」と釘を刺されただろう。

だが、今はいない。


誰にも止められなかったのだから、仕方ない。


そんな言い訳めいた事を考えながら、カグヤは目の前の影と相対する。

影も、静かにカグヤの行動を待っているようだった。


一陣の風が吹いた。

その風に乗るように、カグヤが斬り込む。


まるで風のような鋭い一撃が、影を襲う。


続き、お待たせ致しました!!

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