表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
永遠の翼 〜変えられない運命に、祝福を〜  作者: 咲良 柚葉
第三章【永遠の翼〜夜を蝕む都〜】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/49

第五話:水面の朝

辺りは薄暗く、空には未だに月が輝いている。本来なら、とっくに夜が明けている時間。

だが、朝が来ない。

朝が来ないというよりは、夜が続いていると言うべきだろうか。

この異常な状態なのに、人々は平然と生活している。


「最近、疲れが取れなくてさ」

「あたしも、寝ても寝た気がしないのよね」


町を歩けば、色々なところから声が聞こえた。

人々の噂は色々な事を教えてくれる。話している本人さえも気づかないような真実が隠れている。


彼らは何らかの理由で、朝が来ていないことに気がつかない。

だが、体にはすでに変調が現れているようだ。寝られない夜は、確実に人を削っていく。


「⋯そういえば、聞いたかい? 姫様がいなくなったらしいよ」

「牛車も見つかっていないらしい⋯」


消えた姫と、見つからない牛車。


カグヤは歩調を変えることなく、歩き続ける。

ここまでの道のりには、特に気になるモノはなかった。

気になるとすれば、やはり────昨日見た牛車だろうか。

今日聞いた噂話にも出ていた。

偶然とは思えない。


昨夜黒い影が現れた通りに向かう。

やはりというべきか、牛車が現れた。



カグヤの横を、牛車が通り過ぎる。

同じ場所に傷がある。間違いなく、昨日見た牛車だ。

少し距離を開けてから、来た道を反転して牛車を追いかける。


そして────。


「⋯⋯⋯消えた?」


牛車は真っ直ぐ続く道を進んでいた。

ところがある場所を過ぎた途端、その姿が消えた。まるで煙のように。


辺りを見渡したが、牛車が消えたことには誰も気がつかなかったようだ。驚いている人が一人もいない。

まるでカグヤにだけ見える幻のようだ。


ゆっくりと歩を進めていたカグヤは、先ほど牛車が消えた場所────橋へと辿り着く。


「⋯⋯⋯」


橋へと一歩踏み出そうとした瞬間、違和感が肌を刺す。

これ以上進んでは行けない、何故かそんな気がして、足が止まる。


「気づいたか」


後ろから声がかかった。

振り返らなくても、誰だか分かるほどには、聞き慣れた低い声。


「⋯この橋、渡るとどうなるの?」


チラリと橋を見てから、晴明に問いかける。

だが、その質問は肩をすくめるだけで答えてはもらえなかった。カグヤに言いたくないのか、それとも晴明にも分からないのかは判断がつかない。

判断材料が少な過ぎる。


「⋯⋯」


ふと橋の下の川を覗くと、そこには────太陽が輝いていた。

カグヤは無言で空を見る。やはり、月しかない。

水面にだけ映る太陽。


空には月。

だが、水面には太陽が昇っている。

これは何を意味するのだろうか。それもまた、今のカグヤには分からなかった。


(⋯⋯⋯ヒスイ)


こんな時、ヒスイがいてくれたら────。

つい、そんな事を考えてしまった。


ヒスイが簡単にやられるとは思えない。だが、今回は普通の戦いとは違う。

転移の際にバラバラになった事など、過去に一度もなかった。


(もし、このまま二度と会えなかったら⋯⋯)


そんな想像が頭を過ぎる。

だが、ヒスイは大丈夫だと無理やり思い直す。冴えない表情をしていては、合流した時に笑われそうだ。

そう考えるだけで少し気持ちが軽くなった。


そんなカグヤを、晴明は静かに観察していた。


常に一緒に行動していた人がいないのは、不安ですよね⋯。信頼する相手なら特に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ