第四話:幻想的な世界
「クゥに渡したなら一先ず安心だな」
ヒスイと合流してまず確認されたのはザウルスのことだった。会った瞬間にすぐにザウルスの色が変わっていることに気がついたのは流石の洞察力である。
クゥに預けてきたことを報告すれば、やっとヒスイの表情も緩む。
「そういえば、さっき開発部の子が調査部から変な電波が出てたって言ってたよ」
先程シャチがマシンガントークを披露した際に拾った情報。
彼にとっては単なる愚痴だったかもしれないが、カグヤにとっては気になる情報が混じっていた。
「あぁ、調査部が任務前に寄って欲しいって言ってたのは正にソレの調査だ」
「今回の任務に関係あり?」
「大あり」
次の任務は、普段とは違う印象を受けていたのだが、その勘は合っていたようだ。
「変な電波出すような代物でしょ、監史者に頼むより開発部の方が良かったんじゃない?」
シャチではないが、開発部の面々ならば嬉々として調べてくれるだろう。
「電波って言ってるけど、実際には邪気⋯みたいなモノらしい」
「⋯邪気?」
「まぁ、詳しいことは本物を見ながらの方がいいだろう」
タイミング良く到着した調査部。
毎度思うがエントランスの時みたいに各施設へ移動出来れば楽だと思うのだが、あの技術はエントランスと転移の間のみ。
何故他にも設置しないのか、カグヤが常日頃感じているTRUSTの謎の一つだった。
「行くか」
調査部には、TRUSTの豊富な蔵書を保管する大きな図書館と貴重な資料を保管する書庫がある。
調査部に行くには必ず図書館を通る必要があった。というよりも、図書館自体が調査部だと言っても過言では無い。
ヒスイが開けてくれた両開きの立派な扉をくぐり抜けると、そこはTRUSTの内部だと言うことを一瞬忘れさせる光景が目の前に広がった。
何階建てに相当するのか分からないほど高い天井。
両脇にある階段で2階に上がれば回廊がグルリと部屋を囲み、真ん中部分は吹き抜けなっている。
壁には落ち着いた色合いの棚が備え付けられ、本が綺麗に並んでいた。
本を痛めない特殊な光源が、部屋を柔らかく照らしている。明るくはないが、暗くもない。不思議な光だ。
部屋の中央部分には、棚と同じ色合いのドーナツ状のカウンターが置かれている。
その周りにはキャレルと呼ばれる左右を壁に囲まれた個人用の机が並んでいた。
「ここは相変わらずだな」
ヒスイの言葉には、感嘆と少しの呆れが混ざっていた。その気持ちも分からなくはない。
だが、カグヤはこの空間が嫌いではなかった。寧ろ好きでよく来ている。
調査部のメンバーとも顔見知りだ。だから、今回この“お願い事”をされたのだろう。
「カグヤー」
2階の回廊から身を乗り出して呼びかける少女。
それが、今回の依頼人だった。
「シャナ!」
さて、今度は調査部に行きます。
ヒスイは相変わらずの過保護なのですが、書いてて楽しいです。
もう少しお付き合い下さい!




