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永遠の翼 〜変えられない運命に、祝福を〜  作者: 咲良 柚葉
第二章【三国志編】

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エピローグ:厄介な報告

「やっぱり、持って帰って来られないかぁ〜」

「そりゃ、そうだろう」


孔明に借りた衣装と舞扇が、キラキラと粒子になって消えていく。基本、任務先のモノを持ち帰って来ることは不可能だから仕方ない。

カグヤは名残惜しそうに、消えていく粒子を見つめる。


二人が帰ってきた場所は、TRUST本部にある『転移の間』だ。ここは神秘的な雰囲気と機械的な雰囲気どちらも共存している不思議な空間だ。


ここには、別世界に飛ぶための転移門が中央に設置されている。門といっても、大きな門が設置されているわけではない。あるのは大きな台座とその上に描かれた魔法陣だ。

その魔法陣は、ザウルスが開くモノよりも遥かに大きい。5~6人くらいなら軽く転移させられるだろう。


「お前たちは相変わらず騒がしいな」


呆れを含んだ声が響く。

声の方を向けば、腕を組んだキリュウが壁にもたれながら二人を見ていた。

帰還報告はしてあるので、待っていてくれたのだろうか。

普段にはない行動に少し戸惑う。とりあえず、キリュウに帰還を告げる。


「ただいま、帰りました」

「おかえり────話は俺の部屋で聞く」


のんびりした挨拶をすると、キリュウも少しだけ笑って応じてくれた。

その後すぐに踵を返すと、転移装置へと歩き出す。



転移した先は、もちろんキリュウの執務室。

和モダンな雰囲気に癒された。

キリュウもこの部屋の影響なのかは分からないが比較的穏やかなので、この部屋にして正解だと思われる。


「────それで、()()()助けて貰った訳だな」

「助力を願わなければ、こんなに早く解決しませんでしたよ」


「早期解決には必要だと判断しました」と、ヒスイがしれっと報告する。

特に悪いことをしている感覚はないが、監史者の考え方とは少しズレる。


「そうか、ご苦労だったな」


特にそれ以上突っ込まれることもなく、この話は流れていく。

キリュウはその辺も理解があって大変助かる。


「そういえば、カグヤの舞姫に関する資料はないのか?」


何気ないキリュウの言葉に、思わず言葉に詰まる。


「────な、何で⋯!」


頭が混乱して思う様に言葉が出ない。

現地にしなければ知り得ない情報を知られていることに焦ったが、すぐにある可能性が思い浮かんだ。音が鳴りそうな勢いでヒスイを振り返る。


「もちろん、オレが報告した」


またしても、しれっと答えられた。

普段は任務の最中には報告などしないのに、何故こういう時だけ報告するのだろうか。多分まず間違いなく、カグヤを揶揄って楽しんでいるからだろう。


「カグヤの晴れ舞台だし、もちろん報告するだろ〜」

「必要ないでしょ!」

「こちらが、報告書です」


カグヤの抗議はアッサリ無視され、キリュウに報告書が提出される。

すでに報告書まで作成されているとは、早業過ぎる。


「⋯普段の報告書もこれくらい早いといいんだけどな」


キリュウが二人に視線を向ける。それには、二人揃って視線を逸らしていた。


「では、これで失礼します!」


カグヤは、さっさと撤退する事にした。

ぺこりと頭を下げると、転移装置に乗り込む。


「ヒスイ!」

「はいはい、今行く」


カグヤにそう笑顔で応え、キリュウに向き直る。


「────────」


ヒスイは、一瞬声に出さずに口だけを動かした、様に見えた。

その後、何事も無かったかのようにキリュウへと笑顔を向ける。


「では、失礼します」

「────あぁ⋯カグヤを頼むな」

「はい」


ヒスイはいつも通り、飄々としている。

何を考えているか分からないと言われるが、キリュウからしてみれば分かりやすい。


「⋯風の気配がする」

「何言ってるんだ?」

「ホントだって!」


わちゃわちゃと騒ぎながら消えていく二人を見送った後、キリュウは小さく息を吐く。

椅子に深く腰掛け、疲れたというように腕で顔を隠す。


「⋯⋯⋯⋯」


ヒスイがした、先程の口の動き。


────うらぎりもの、かんし、ちゅうい


読唇術。

あれは報告ではなく、ヒスイからの“警告”だ。

任務よりも優先すべき、『異常』への────。


短い時間だったために、単語を選択したのだろう。

繋げて文にするならば、『裏切り者、監視に注意』だろうか。


「────やはり、動いたか⋯」


キリュウは、小さく呟いた。

ごく小さな呟きを拾う者は、誰もいなかった。


この時は、まだ────。



ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました〜。

続きが出せるように頑張ります!!

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