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おまけ やっぱりかみ合わない2人

ワイアット家とコートネイ家の結婚式は無事終わった。


式には、家族や親戚、そしてアイリーンやレーガといった友人が集まってくれた。


オリバーとナディアは、数ヶ月前に産まれた可愛い赤ちゃんを連れてきていた。ミーナは、かねてから密かに期待していたとおり、赤ちゃんを抱っこすることができた。幸せのかたまりのような存在を抱っこしながら、ミーナは顔が溶けそうなほどの笑顔を漏らした。


アイリーンとレーガは、現在恋人同士の関係で、今はお互いの親に婚約者同士になれないかと掛け合っているようである。アイリーンとレーガの説得のかいあってか、お互いの両親の承諾も直に得られそうな様子であった。





たくさんの人たちからの祝福を受けた幸せな日であったけれど、1日をかけて行われた式に、家に帰ってきた頃は2人はもうすっかりくたびれていた。


コートネイ家の屋敷にようやく戻ってきたミーナは、疲れた体をなんとか動かして部屋のお風呂で入浴して、寝間着に着替えた。くたくたの体でベッドに寝転がると、寝間着への着替えを手伝ったメイドが、奥様、とミーナに言った。


「今日は結婚して初めての夜ですよ。坊ちゃま…、旦那様と同じ部屋でお休みにならないと」

「え?…ああ、そっか…!」


ミーナは慌てて起き上がる。確かに、今日からミーナはギルバートと結婚したのである。夫婦ならば一緒に寝るのが恐らく普通だ。

ミーナはベッドから立ち上がると、これからギルバートと一緒に暮らす実感がじわじわと湧いてきて、頬が赤くなった。


「(ああ…同じベッドで一緒に寝るのに、変な寝言とか言ってたらどうしよう…。寝相結構ひどいんだけど、ギルバートを蹴飛ばしたりしやしないかしら…)」


ミーナは両手を頬に添えて、…うーん、と悩む。すると、それを見ていたメイドが、優しくミーナの背中をさすった。


「ご心配なさらず、奥様。こういうことはすべて、男性にお任せしたら良いのですから」

「…?そ、そうなんだ…(なにを?)」


ミーナは頭にクエスチョンマークを浮かべながら、優しい眼差しでこちらを見つめるメイドに微笑み返した。やたら気合の入ったメイドが、さあ参りましょう!と言うと、ミーナを連れてギルバートの部屋に向かった。







ギルバートの部屋に向かうと、部屋の主はソファーに座って本を読んでいた。ギルバートはミーナに気がつくと、ああ、と声を漏らして本を閉じて、テーブルに置いた。ミーナはギルバートのそばに向かって、隣に座った。そして、背筋を伸ばすと、畏まった様子でギルバートの方を見た。


「今日から末永く、お願いいたします」


ミーナはそう言って微笑んだ。ギルバートはそんなミーナに微笑むと、こちらこそ、と言った。


「必ず、君を幸せにする。約束する」


ギルバートはミーナの手を取ってそう真剣に告げた。ミーナはふにゃりと笑って、嬉しい、と言った。そして、自分の手を取ったギルバートの手を、もう一方の自分の手で包んだ。


「私も、あなたのことを幸せにする。残りの人生をかけて」


ミーナはそう言って微笑む。ギルバートはそんなミーナの額にキスをした。ミーナはくすくすと笑った。ギルバートはミーナを横抱きにすると、軽々と立ち上がった。ミーナは慌ててギルバートの首に抱きついた。


「おっ、重くない…?!(式のために頑張ったけど、とはいえ…!とはいえ…!!)」

「いいや」


ギルバートは小さく笑うと、そのままミーナをベッドまで運んだ。そして、優しくシーツの上に彼女を降ろした。


「(ああ…、とうとう私の重さがギルバートに知られてしまった…)」


ミーナは恥ずかしさから心臓がどきどきと脈打つのを感じた。

ギルバートはミーナのそばに腰掛けると、先ほどの拍子で少し乱れたミーナの横髪を、彼女の耳にかけた。ギルバートの指先で触れられたところがくすぐったくて、ミーナは小さく肩を震わせる。

ギルバートはそのままミーナの後頭部に手を滑らせると、ミーナにキスをした。ミーナはゆっくり目を閉じて、それを受け入れた。

ギルバートは優しくミーナをベッドに押し倒すと、その体勢のままミーナを見下ろした。ミーナはギルバートをまっすぐに見つめた。ギルバートはミーナの手を強く握った。ミーナはギルバートの目を見つめて小さく微笑むと、手を握り返した。ギルバートはミーナの手の力を感じとると、また彼女にキスをした。


「…ねえ、ギルバート」

「…うん」

「今夜はね、手をつないだまま寝てもいいかな」

「うん…うん?」


ギルバートは困惑しながらミーナを見つめる。そんなギルバートには気が付かず、ミーナはギルバートとつないだ手を今一度握り返す。


「今日はね、こうやって寝たいな。…だめかな?」


ずっと近づけずにいた好きな人と、こんな風に一緒にいられることが嬉しくて、そんな日々がこれからずっと続くことなんて、想像もできないほど幸せで、その気持ちを噛み締めたくて、ミーナはそんな提案をして口元を緩める。けれどすぐに、その提案はあまりにも大胆だっただろうか、とミーナは恥ずかしくなる。

一方ギルバートは、そんなミーナを見つめながら、え…、と困惑する。


「…手…だけ…」

「え?」

「…いや、そうしよう。それがいい」


ギルバートはそう意を決したように言うと、手をつないだままミーナの隣に寝転がった。ミーナは自分のすぐ側で体を横たえるギルバート、という状況に、これが本当に現実なのか、と一瞬信じられなかった。

ミーナはギルバートの肩に頬を寄せ、ゆっくりと深呼吸をした。これからはじまる新しい日々にギルバートがいる。そのことが嬉しくて胸が躍る。

ギルバートはそんなミーナを見つめて、愛おしそうにゆっくり口元を緩める。


「…まあ、焦らずとも…」

「どうしたの?」

「いいや。…今日は疲れたな。早く寝よう」

「うん」


ミーナはそう言ってまたギルバートの身体に身を寄せる。ギルバートはそんなミーナに頬を寄せる。自分以外の人の体温を感じながら、ミーナは目を閉じながらまた口元を緩めた。



翌日、何もなかった2人に気がついたメイドに、ミーナが、初夜とは、ということを長時間叱責されながら説明されたのは、また別の話。









いまいち格好がつかない男の子を書こう!と意気込んでこの話を書き始めました。ギルバートは動かしやすくて楽しかったです笑

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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