22-SP39 東雲恵の魔界探訪DE 私の本当の役割
部屋の奥にひくとあと二人の…見たことあるな。
「やっほい。」
「あ、師匠!?」
どう見ても、ミリア(キラリ)とお届けお姫様である、
「我が派閥、農民派として、あなた方に頼みたいことがあります。」
そして、連れてきたお嬢様が、ふわりと中央の席に座る、私たちは昔教わった杵柄的な勢いで、片膝をつく、
「あなた方の商会の支店をここに開いて欲しいのです、」
ただ、その異様な様子に…後の二人は…沈黙していた。一応庶民の形をとる私たちがここで一切の話はしてはいけない。無条件な”YES”は組みたくない。条件を詰めたいが、それを言った場合相手は”無礼打ち”が可能なのだ。
「あ、そうでした、ここは非公式な場です。顔を上げ、真摯な意見を求めます。」
ここで本来は船長のリューネの言葉を借りたいが、こういう時は私の仕事だ。
「そう言う話でしたら。」
私たちは顔を上げ、3人を見る。ここで、立ち上がったりしてはならない。ついでにこれでもよっぽどのことがない限りうかつなことはそのまま牢屋行きになる、
「ただ、ここに置く意味…私たちごとき新造商会ごときではご期待に添えかねます。」
実は、キラリにも見せたことがないが。私たちはお受け相手でも護衛や交渉、ギルドとしての”武力行使”も行っている、当然”儀礼”に関して詳しくないと相手は無礼打ちをしてくる。それをしたらナオ君の望んだ世界を壊すことになる。だからこそ、礼儀は万全である。
「言い方が悪かったかしらね。私達農民派につく”貿易商”がいないのよ。だからこそね。」
「だとしても、お歴々の方々をないがしろにすれば、私たちは”礼儀知らず”とそしられ、二度と表も歩けなくなるでしょう。」
実はこれも演技。本来はこういうのはイベントだから”即答OK”なんだけど、こういう配慮を忘れたというと、ちらっと、彼女たちの背後にいるメイド数名を見る、当然こういうところには彼女たちの世話をするメイドたちがいる。この場でこういう配慮を忘れたと言われれば、それが広がる。そうしたら外に出た瞬間他の商会が敵になる可能性がある、だから、ここは頷いてはいけない。ここでお歴々の方々というのは”前から領地で懇意にしている商会たち”を指す。彼らは当然自意識も高い。彼らを敵に回せば”2年間逃走の日々”だってありうるのだ。ついでに例え無礼講とトップが言おうが、礼儀を崩してはならない。酒の場であろうとも何をしても崩したら。それだけ”信用”が消えるのだ。
「…あなたの報告を違うわね。」
「いえ、お姉さま。彼らは・・・。」
「ベアっち、そんな硬いこと言ってるからこうなんだよ?」
「…イリス様。」
流石にここで態度を崩すお嬢様は意味が分かってないらしい。
「もし独断であるなら、まずは正式な…。」
「わたくしを馬鹿にしておりますの?」
…ここがきついんだよね、
「私はあなたが何者か聞いておりません。ここがフレイミッシェル家の邸宅であれど、むしろ家名を貶めたと言われかねません。ですので…。」
そう、ここで彼女は一切名乗っていない。この時はここが貴族本宅だろうが”詐欺”又は”試験”の可能性がある。それに前聞いた感じだと、これの最終決定者は公爵夫人だ。そうでないなら、これは”無碍”にされる可能性がある、というよりキラリが目を白黒させている、私、面倒で何も話さないイメージあるんだけど実際は、こういうのが仕事なのよね。変に失態を演じれば援助者の王様の立場を消しかねない、そう知れば、最悪殺されるのは私達…それが本当の勇者だと思っているから。
「…分かりました。少し待ちなさい。」
そう言ってお嬢様は速足で…でていった、それを追いかけて、メイドたちが全員…外に出て行った。
「師匠!」
「…ミリあっち。どういう事?師匠って?」
「何でこんな!」
キラリは当然、リューネに気が付いているが、私しか喋っていない事に気が付いていたようだ。
「久しぶりね。でも駄目よ、こんな手は、」
「え?え?}
というか全部において、展開が思ったのと違っていたらしい、
「こういう時にソードが強いのよ。この子、こう見えて貴族関連と礼節や対応のプロよ、戦闘力も破格だけど。」
「「え1?」」
そう、鎧騎士の時の無言も、言質とられるよりはましという考えで怖がらせているだけで、もっと偉い人や交渉ができる人が横にいる場合、その人にやらせないと話がこんがらがるのだ。だから言わないだけである。よく小説を読んで、貴族者のラブロマンス呼んでいて、こういう”言質取り”に詳しいのだ。
「今回は、相手が名乗っていないという事は、”非公式”であるという事、ここで契約の話を言うのはご法度。これをやってしまうのは”馬鹿”だって事になるの。最悪反故にされる、口約束の破棄前提の契約しかないのよ。この場合、最悪偽証罪で私たちは死ぬわ。」
貴族の名前を語った詐欺の多くは重罪になりやすい。
「あ…。」
「ここで契約書の話をすれば、相手はブチギレタでしょうね。ついでにこういう時の相手の話は…断らないと、こっちに契約する意思があってもアウトなのよ。」
あ、数人の足音がする、
「さて。」
私が片膝をつき、頭を下げると、部屋の全員が気が付いただろう、所定の位置に戻る。そして、数人の足音がドタバタ聞こえる、
「お母様、こいつらがシャラ。」
お嬢様がしゃべろうとしている手を扇で叩く、音でわかる程度だけどね。
「…すいません。皆様、顔を上げてください。私はフレイミッシェル家の第一夫人。サレンナ・フレイミッシェルです。あなた方が貿易商であることは分かっています。」
私たちは顔を上げる。そこには娘さんに似た、ちょっと背が高くてふくよかな印象の女性が…あ、椅子が一つ多い。
「そして、娘が申し訳ありませんでした。」
「いえ、それほどの事では。」
「改めて、フレイミッシェルけどして、あなた方と契約を結びたい。私達には時間がないのです。」




