第八旅 修行と勉強で大変でした
依頼を受け修行をしてと夢中で実力を上げていたら、過ぎる時間は早かった。
レティと魔の森でサーベルタイガーを追い掛け回し、レニの森の奥へ行きバレない様に接近戦の修行をしと少しずつ経験を積んで行った。
先ずは俺がレティの動きに慣れないといけないと思い、最初はモンスター相手の戦闘を少し離れて観察し、一週間位でやっとレティの身体強化3割位の動きなら見える様になった。
自身の動きもそれに合わせなければいけないので、少しずつ動きを早くして貰いながら短時間での追いかけっこも併せてやって行く。
始めは無駄な動きが多く一回捕まえるのに三時間以上掛かり、最後には最大出力の身体強化をしてそれでもギリギリだった。
レティが相手だと自分の身体強化が5割以下だと完全に見切られるので、慣れてきた後もかなりきつい修行になる。
捕まえる事が出来た時にはお互いに無理を言わない程度だがご褒美も待っているし、物語を盛り上げる為に何かしら失敗なんかして危機に陥ったり悩んだりなんかしたくないので、当然真面目に取り組みレベルもスキルも順次上がっていった。
「今日は負けんよ。」
「私も負けませんよ。」
教わっている側の俺は勝った時にして欲しい事が有るので、本気でルールを決めて一日毎に勝敗を決める事にしてある。
今の所は勝率一割って所なので、負けた時の軽い罰が色々と大変だった。
ベアの肉が食べたいと言われれば魔の森の浅域から深域の間の混沌とした辺りにアースベアが居るのと聞き狩って来たり、タートル系が食べたいと言われればちょっと離れた西に在るカルカーンに近いミゼーリ川沿いの魔の森に居ると情報が有ったので見つけたニードルタートルを狩ったりと、基本俺の為なのだろうが戦闘訓練代わりにいろんな種のモンスターを狩りまくっていた。
二人共に気配感知に関しては既に人外なので、今日は決められた時間内に相手を捕獲するルールで一回一時間で鬼を変えての五回勝負になった。
今日は更に何時ものレニの森では無く魔の森で修行を行っているので、追いかけっこ最中でのモンスターの対応も有って結構大変な修行である。
「モンスターにだけは注意する様に。レティに言うのもどうかと思うが。」
「いえ、食欲や性欲のみで何も考えていない者もおりますから。心配して頂けるのはとても嬉しいですよ?竜としての経験にはまったく無いですし。」
「そりゃそうだ。」
その後、別のタイミングで倒したトロールを見てると、レティが珍しくお願いして来た。
「ご主人様、トロールは身に毒を持ち通常の人は食べられませんが、私が解体しますのでボックスに保管していただけませんか?」
「?容量はかなり増えたしまだ空いてるから構わないが、何か理由が有るのか?」
「はい。竜族は基本の強さも元から強いですが、強者を食らいその強さを更に得ていく事が出来ます。個々に得られる物も違いますし、それぞれで強者は違いますので得られるかも分かりませんが、常に色々と食らっていく必要が有ります。だからこそ色々な場所で暴れた伝説が有り、竜に関わるなと教訓が有ったりするのでしょうが。今までの相手程度では、何も得る物は無いでしょう。」
「むう・・・レティに食らっていくとか言われるとちょっと微妙だが、この世界の竜はそうなのか。まあ、保管はしといてやる。で、順次飯時に出してやればいいんだな?」
「お願いします。スキルを得られるかは分かりませんが、多少では有りますが基礎能力が上がったりはすると思いますので。」
「ふむ、解った。その鞄ではすぐ一杯になるだろうしな。」
新しく買っていた魔道具の空間鞄を見ながらため息をついた。
結構な出費になったが、自分の空間魔法を誤魔化すのにも使えるし有用ではある。
まだそこまでお金無かったからあまり大きくないけど。
夕方になり、今日の勝敗が決まった。
一回は捕まえられたが、一回逃げ切られ三回捕まり一勝四敗で今日も負け越す結果となった。
捕まえる時も良いんだけど、捕まる時に全身で捕まえに来るのでつい一瞬その感触を思い出し最後の一足掻きが出来ないのは・・悲しいかな仕方ない。
「むぅ・・。まだまだ先は長いな。今日も負けたし罰は何だ?」
「そんな拗ねないで下さいよ、ご主人様。」
「毎回モンスターを狩りに行くのも飽きて来たしな。レティにして欲しい事も有るし・・そろそろ勝ちたかったんだよっ!」
「<クスクス>やっと四回に一回なら勝てる所まで来たんですから頑張って下さい。そうですね・・・明日は久しぶりに依頼を受けましょうか。偶には他の人達と関わりを持って置きましょう。」
「手加減して貰ってだがな。で、狩りは好きな物が食えるからだろうし別に気にしなかったが、依頼なら別に罰を使わずとも構わないよ。他になんか無いのか?」
「そうですね・・今は兎に角ご主人様の実力を上げる事に尽力すべきかと思いますので、今の所は何も無いです。と言うかですね、他に優先すべきはこの世界の普通とご主人様の普通は違う、という事を早めにご理解いただくべきかと。人の人に対する考え方から、それぞれ別種族に対する考えや奴隷に対するものとか。他にも我々の様なご主人様の言うモンスター以外の幻獣や、神と呼ばれる者も居て普通にこの世界で人に混ざって生活していたりもします。」
「ほ~、そんな事も有るのか?」
「はい。では・・今後事情が変わるまで私が勝ったらその辺を勉強しますか。ただ、私の知識は先祖がかなり昔に人里に紛れた時の話や、配下の幻獣が人化して聞いて来た情報なので、余り新しい話は有りませんのでそこは申し訳ありません。今現在の話は、後日にでもご主人様が言ってらした奴隷を買って話を聞けば宜しいかと。」
「ふむ・・・。そうだな、出来れば早い内にこの世界の知識は欲しかったところだし、慣れない頭を使い過ぎて途中で煙を吹かないと良いが。基本の部分はあまり変わらないだろうがな。特に種族間の問題なんて、数百年かかっても何ともならん時も有るしな。」
結局今日はレティの希望で、飯時間以外はレティの話を聞く事にした。
やはりこの世界は人の価値が前の世界とは逆にかなり低いらしい。
現代日本の無駄に尊重され過ぎた人の価値よりは現実に近いとは思うが、低いのも殺伐とし過ぎてちょっと面倒な事になりそうな気が。
やはりろくでなしの貴族なんてのは当然いて、相手が平民なら人妻だろうが奴隷だろうが無理矢理奪い下手に抵抗すれば冤罪で処刑なんかも当たり前にするのも居る。
それどころか、貴族の間でも派閥や爵位で見下し合っている屑も居たらしい。
種族間の意識の差は色々あるが、他種族を割と見下している者が多い種も居る。
エルフからだと自分達が完成された種だと勘違いしている者が居て、元から引きこもりがちな種族だが外を知らない者ほど勘違いして他種族を見下していると。
ドワーフからだと、先ずエルフは現実が見えていないと相手にしていないが、他の種に比べて欲望に呑まれ易いと人族を見下している者も居る。
獣人族は犬や狐、狼に虎、兎と細かく分かれている為レティも知らないらしい。
他にも少数民族としてグラスランナーやピクシー、海の種族のマーマンやマーメイドも居るが全く接点が無かったのでサッパリとの事だった。
後、竜の棲む場所の近くには翼人や竜人が居るが、基本的に竜の元竜を崇めて近くに小さい集落を作っているだけなので他の種族の事とかはどうでもいいらしい。
ただ、たまに人族の領土を広げようという時に巻き込まれるが、竜の一族と纏められている連中だと分かると大体は謝罪と共に竜への寄進を残し帰って行くので、人族は面倒と思っているのは居ると。
竜の一族に手を出すと、崇めている竜にも依るしつながり方にも依るが大体はかなり酷い事になる。
昔に有った出来事だが、力ある竜が居て配下として可愛がっていた翼人の集落に近くの町の伯爵が手を出した事があって、近くに有った複数の町ごと消えたそうだ。
その時の竜が気性の荒い轟炎竜だった為なのかは確定は出来ないが、手を出すべきではないと不文律にでもなったのか手を出す愚か者は数十年から百年に一度くらいになった。
初めて聞いた二種族の片方の翼人は、普通の人族に蝙蝠系か鳥系の翼を持った外見の種族で風の属性に優れ、風の魔力を補助に自由に空を飛ぶことが出来る。
竜人は普段は男性も女性もちょっとマッチョな人型の種なんだが、血の濃さや遺伝によって違う部分で竜化が出来る種族らしい。
竜の姿に近くなれるほど能力も高く、掟で決められた部位が竜になれた者が長となるらしい。
ちょっと途中で話が逸れたが色々と初めて聞く事が多く勉強になった。
良い時間になったので今日もいつも通り組み上がったテントをボックスから出し、ガルーダの羽根を入れて自作した寝袋と枕で寝る事にした。
作る時に触って分かったが、ガルーダの翼の羽根はかなりしなりの強い硬めの羽根だったので寝袋や枕には合わず、今後どこかの街で売る為に取っておく。
使えるなら自分達で使うけど。
何回かもう使ったが柔らかいお腹や胸の羽根や羽毛で寝袋や枕を作ったが、とても良い出来で気持ち良く睡眠がとれた。
保温性も高いのか、まだ外だと寒いくらいなんだが、いい感じに熟睡出来たのは非常に助かった。
空気は通るのか蒸れないし流石高レベルモンスター、とは寝袋の感想で言われたくは無いだろうが。
いつも通りレティに見張りを頼みテント内で寝袋に入ると、不思議な弾力に支えられまるで販売店に有ったのを試した事しかないウォーターベッドやエアーベッドの様にプカプカ浮いた感じで気持ち良く睡魔が襲ってくる。
使った感想は誰か信用出来る相手がいない時は使えない代物だと言う事だ。
明らかに安心して熟睡してしまう為、警戒が疎かになってしまう。
ふわふわと適当な事を考えていたら、結論とかまで考える事無く眠ってしまった。
朝起て顔を洗った後、昨日話していた依頼はこの修業が終わってからにする事にして、また昼には修行と夜にはこの世界の知識の勉強を始めた。
いつも通り基礎体力を上げるのと、動体視力を上げる為にレティの動きを追うのを続け、更に体捌きや動きの先読みを鍛える為に一定範囲での鬼ごっこなどをやっていく。
その後、勉強は余り細かすぎるとそもそも覚え切れないので多少大雑把に聞いて行く。
その中でも気になったのはレティ達竜族に関してだ。
まあ当人、と言うか当竜なので人族に流れていない情報も有るらしく、教えてはくれるが機密情報なので他の人には知られないようにと頼まれた。
が、意識が有るうちは自信が有るが色々魔法だの薬だのと方法も有るだろうし、今回は細かい事は置いといてほぼ人族にも流れている情報だけ聞く事にした。
それによると基本竜族は産まれて一年で独り立ちして自分の縄張りを探しに巣を出るらしい。
大体は自分の属性に合った場所で自分の巣を作り数百年から数千年単位で居座る。
そういう場所は属性に合った魔力が漂っている為、竜の食事は魔力である程度代替されていて人族が素材目的で狩ったりするより周りの生態系に影響は無く、その内に竜を信奉している連中が近くに村を作り捧げ物をし出すという流れになると。
レティ達風竜は広い草原や山脈とかに、火竜は勿論火山に、地竜は鉱山にデカい洞窟を掘ったりしていて、水竜は湖や種によっては海に居る事も有るらしい。
レティが知っているのは轟炎竜一体に神銀竜一体、親の疾風竜と合計三体の居場所は知っているみたいだ。
俺に分かるのは当然レティの親で、名はエーレーアと言う疾風竜がキュクロ大山脈に中央部に棲んでいると聞いたので伝手のあるレティの親には一度会いに行くのも良いかも。
この世界に来て森で修業を始めて二ヶ月が経った。
季節は変わりもう七月なので、最近結構暑くなって来た。
しかし、野営時は変わらずガルーダ羽毛寝袋で寝ている。
ガルーダの基礎能力なのだろう、ある程度寒いととても温かくある程度暑いと涼しいと、多分22~23度ちょっと位で前後していると思うこの寝袋は、今現在で最高傑作と言って良い。
肌触りの良い袋にガルーダの毛を詰めただけだが。
間にちょっと街へ戻って依頼を受けたりしたが、基本はずっとレティと追いかけっこしたり、それぞれの得意な長さの棒で模擬戦闘も含めてやっていた。
模擬戦闘を始めて半月が過ぎた辺りで偶々攻撃が当たりそうになってからは俺が嫌がったので、また追いかけっこを基本に狩りを中心に時間が過ぎて行った。
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香月 雄 人族 男性 14歳
魔法戦士 レベル96
スキル
槍術7 剣術4 棒術5 火魔法4 水魔法6 土魔法6 風魔法7 光魔法6 空間魔法2
回復魔法5 身体強化魔法8 テイム5(レティシア) 眷属強化(レティシア)
スキル習熟強化 気配感知6 危険感知6 魔力感知6 思考速度強化5 魔力増大6
魔力精密操作7 異世界言語 健康体 オートマップ 本質鑑定
譲渡スキル
竜魔法 物質化魔法1 干渉無効化 竜の威圧
レティシア 風竜族 女性 7歳
疾風竜 レベル111
スキル
剣術4 双剣術3 風魔法8 竜魔法 物質化魔法5 身体強化魔法9 風のブレス
霧のブレス(麻痺、毒) 気配感知6 魔力感知5 干渉無効化 竜の威圧 変化 解体 早熟
吸収スキル
超回復 毒生成 状態異常耐性2 装甲硬化
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鑑定してみるとこれだけ修行しているんだから当然だが色々成長していた。
この世界に来てから九割修行しているが、皆何故あまり修行しないのか分かって来た。
イベントが有る訳でなく、物語な訳でもないので皆基本的に生活できればいい位にしか考えていないから、7~8割が依頼をしては酒を飲む、依頼をしては娼館に通う様な感じになっている。
後、レティとのつながりが強化されたのか、レティのスキルも使える様になっているみたいだ。
レティの方は今まで喰ったモンスターからの吸収スキルも増えていた。
ついでに成長した鑑定でスキルも見てみる。
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眷属強化
通常テイムもしくは召喚されたモンスターを繋がった魔力のラインを通して強化するスキル
稀に奴隷に対しても起こる事が有る。
信頼が一定以上になったら起こり、度合いにより主の魔力を使い更に強化される。
竜魔法
基本竜のみ使える特殊魔法
人が使えるのは最適化された竜鱗化、咆哮、飛行位になる
物質化魔法
魔力を物質として形を取らせる事の出来る魔法でイメージが重要でレベル毎一つ出来る物が増えていく
あくまで魔力で出来ている為慣れてくれば複数出すことも可能でいつでも出し入れ可能
低レベル時は一時間で勝手に消えるが5レベルを超えると完全な物質化が出来る様になり持ち主の手に ある限り出したままでも魔力消費無しで消え無くなる様にも出来る
手から離れれば一時間で消えるのは変わらない
テイム
モンスターを従属させられる魔法でレベル毎一体従属させる事が出来る
屈服させた後、頭に意思を込めた魔力を浸透させ了承されると両者に感情が伝わるようになる
テイムされたモンスターは、時に非常に珍しい進化をすることが有る
ある程度以上懐かれると、従魔が覚えているスキルを使える様になる事もある
干渉無効化
鑑定や弱体化思考探査呪術等の魔法を強弱関係なく一切を無効に出来る
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今まで解らなかった事が、かなり理解できた。
物質化魔法、干渉無効化は何となく想像していた通りだったが、竜魔法は説明でやっとある程度ではあるが解った。
ただの鑑定だった時にそっと見てみたけど、最初の二、三行しか無かったお陰で詳細はさっぱりだったし。
後、忘れかけていたがテイムのランクUPスキルの眷属強化を覚えていた。
知った時思っていたが、常時発動のスキルなので、そうか、という感想しかないな。
順調に修行の日々を送っていたが、久し振りに街へ出てランクを上げに行く事にした。
「前回のゴブリン討伐でポイント貯まり切ったので、今日はランクを3に上げに行こうかレティ。」
「はい、ではすぐにウィッツへ戻りますか?」
「ああ。ちゃっちゃと上げて戻って来よう。その上でもう少し色々上げたら更に準備を進めるべく奴隷を買いに行くのでいいんじゃないかな。」
「分かりました。もっとご主人様と2人きりでも良いんですが、仕方ないですね。」
言いながら腕に胸を押し当てる様に抱き着いて来た。
「あ~、あ~、分かっててやってんじゃないよ、レティ。主人が恥ずかしがるのを見ようたぁ、良い度胸じゃないの。」
顔がちょっと赤くなってるのが分かるので、横を向きつつ文句を言ってみると
「あまりご自分を主人と思っていないご主人様に言われましても・・。」
逆に横を向きつつため息交じりで言われてしまった。
「むぅ・・ほれ、俺達に準備なんかないんだからとっとと行くぞ。」
「はいはい、じゃあ真面目に行きましょう。今私達は森の中に居ますので常人なら一日は掛かりますが、私達が身体強化して走っていけばお昼過ぎには街に着けるでしょう。で、今日ランクアップ出来るならそのまましてしまいましょう。早く終われば今日中に戻って来られるかもしれませんし。」
二人で森の中をかなり早いスピードで走り抜けて行く。
予めサーチで他の冒険者が進行方向に居ない事を確認してバレない様に街へと向かった。
「ウィッツへようこそ。ってユウか、久し振りだな。街に入るんだろ?冒険者カードを見せてくれ。あ、レティシアも。」
「はい、これね。」
アイテムボックスから出したカードをレティと見せ町に入る。
とっとと終わらせる為にそのまま冒険者ギルドへと向かうつもりだったがが、腹も減ってきていたので立ち食いしつつに変更した。
「ここら辺は特産なのかボアの料理が美味いな。別の町の特産も気になる所だが、まあそれは別の機会か。」
呟きつつ食べ歩いているとちょうどギルドに着いた。
もう昼なので余り混んでいない中列の少ない所に並ぶと、顔見知りの冒険者に声を掛けられた。
「よう、ユウじゃねえか。」
前回街に来た時に知り合ったランク3パーティの深緑の狩人のリーダー、ランドニーが声をかけて来た。
「おう、ランドニー久し振り。まだ生きてたか。それで新しいメンバーは見つかったのか?槍術士のマドックと治癒士のロザリーが結婚して故郷に戻って堅気になったって言って嘆いてたじゃないか。」
「うっせぇ!まだだよ。仕方ないだろう、二人や三人のパーティ自体この辺りには余り居ないし、お前達は無理だって言うし。新人でもいいかと思って探しているが、なかなか丁度良いのは居ないな。」
「まあ、そうだろ。治癒士自体そうそう居ないのに、そこに前衛はともかく魔法士の組み合わせはな。ま、無理しないで頑張れ。治癒士以外で良いなら奴隷を買うって方法も有るし、焦る必要も無いだろ。」
「全く、他人事のように言ってるがお前はどうなんだよ?何時までも二人だけでやってはいけないだろう?討伐依頼も基本ゴブリンやボアばかりだし、ランクを上げるには直に仲間を増やす必要は有るんじゃないのか?」
「それこそ必要な部分を補える人材が丁度良く居るとは思ってないし、もっと鍛えてから奴隷から探すつもりだよ。先ずは俺達が強くないと意味ないしな。まあ、ランク3には今回上げる予定だけど。」
「そうか。ま、お前なら問題無いだろ。頑張れよ。」
「おう、ありがとな。」
ランドニーはカウンターの列が終わりそうになったので離れて行った。
見送りながらアニーさんの前に出る。
「あら、ユウさんじゃないですか。どうしたんですか?依頼表を持ってはいないようですが。」
「今日は前回ポイントが貯まったのでランクアップの試験を受けに来ました。」
「なるほど、少々お待ちを。」
後ろに居る上司らしき人に聞きに行った様だ。
今日出来る試験を確認しているんだろう。
少しレティとカウンターで待っていると、アニーさんと一緒に上司らしき人も出て来た。
「ランク2冒険者ユウとレティシアだね。」
「「はい。」」
「今日は都合の利く冒険者が居ないし、討伐の方で良いのが有るので二人纏めて依頼を出させて貰う。ウィッツ南東のレニの森で特異な進化をしたレッドベアが居ると報告が有った。発見した者の話ではそう直ぐに街へ来そうという事は無い様だが、早めに討伐して置く事に越したことは無い。この依頼内容は五日以内に討伐なのだが、試験なのでちょっと厳しく四日以内で討伐してくれ。」
確かに四日じゃランク3位の普通のパーティだと移動と探索、戦闘でギリギリだろう。
「分かった。四日で此処から南東のレニの森に居るレッドベアの討伐だな。早速行って来る。」
「行って参ります。失礼致します。」
「ああ、待て待て。最後に決めないといけない事が有るんだよ。依頼の確認はどうする?現場でする、要するにギルドの人間も一緒に行くか、連れて行かず狩った後で確認するか。前者だと戻って来た時にすぐランクアップ処理が出来る。後者だと自分達の手の内を見せずに済むが、狩った後の確認に時間が掛かる。俺達の手間を考えると一緒に行きたい所だが、それを嫌がるのも居るからな。」
「なるほど。・・後で時間が掛かっても良いから、先に俺達だけで狩って来るよ。」
「それが宜しいかと。油断しない様行って来ましょう。」
「分かった。じゃあ、確認は後で調査専門のギルド職員が行くので良いな。時間次第では翌日になるから、それは構わんな?」
「ああ、大丈夫。」
レティと二人で早速依頼を果たすべくギルドを出て行く。
ちゃちゃっとレッドベアを狩る為に夕方にはもうレニの森へと来ていた。
「修行ついでに俺が1人で狩るか。更に制限を掛けて余り慣れていない剣のみで行って来る。やる事が無いが、レティはどうする?」
「付いては行きますよ、もちろん。ただ、修行の一環だと言うなら見ているだけですが。」
「そうしてくれ。・・・いや、ちょっと待った。流石にすぐに倒して今日中に戻ると拙いだろうし、今日は野営して明日昼過ぎ位に戻ろう。なんだったらちょっと離れた所で別のを狩ってても良いよ。その鞄に調理器具も入れてあったはずだろ?ついでにレティの料理の修行の成果も見るから。」
「うっ!?本気ですか?まだちょっと習い出したばかりですし、野菜炒め的な物が精一杯ですよ?もしくは厚く切ってそのまま焼くかになりますが。」
やはり自分で料理するよりして貰いたいので、修行に出る前に少しだけ宿の女将に頼んで時間が有る時だけだが教えて貰っている。
材料を多めに持ち込んで残った分を報酬代わりに基礎だけ習って貰ったんだが、時間が無く数日位だったので自信は当然無い様だった。
「それで良いから。最低限の料理に必要な事は聞いているだろ?」
「味見をする事。それぞれの料理に適切な切り分ける素材の大きさを考える事。調味料で冒険しない事。よそ見をしない事。そんな所でしょうか。」
「うん。後はそれを実行してくれれば、先ず最低限の物は出来るだろ。結構居るんだよ。味見しないで不味い物作って何故か分からないと言ったり、思い付きで調味料を足してなんでこんな味になったか分からないと言ったりするのが。(悲しいかな実生活で無く物語上の話だが。)」
「なるほど。確かに相手の事を考えていれば、そうそう無い失敗かと思いますね。かしこまりました。今日の晩御飯は私が頑張ります。」
「頼んだ。俺はレッドベアを狩って来るよ。終わったら此処で待っててくれ。」
「はい。」
レティと分かれて森に入って行った。
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