第七旅 高レベル冒険者と知り合いました
翌朝、空間魔法でなかなかの結果が出たのでご機嫌でレティとウィッツへ向かっていると、いつも通り仏頂面のダンが居た。
「おう、お帰り、ユ・・ウ??そっちのお嬢さんは誰だ?お前さん一人だったろ、確か。」
「ああ、依頼先との間で会ってな。色々事情が有って一人で仲間を探しているって言うから、俺もそろそろ仲間を増やしたかったしパーティ組まないかと誘ったんだ。」
「ええ、誘っていただきまして、これから一緒に頑張りますので宜しくお願い致します。」
かなり吃驚しているダンを促し入街税を払い冒険者ギルドへ向かっていく。
明らかにレティが人の目を集めているのが解る。
ここらで見ないレベルの金髪ゆるふわ美人だし、メイド服だしその気持ちはよく解る。
ギルドに着くともう昼前のせいか、人は少なく酒場にも数人が酔っ払っているだけの様だ。
周りを確認しつつ、依頼を受けたアニーさんのカウンターへ報告に行く。
「あっ、ユウさんお疲れ様です。ボルク村の件ですか?」
「はい。依頼完了の札は貰ってきました。ボルク村周辺の状況の報告ですが、オークの集落などは無く2、3体のはぐれただろう少数が3つ居ただけでした。ガニア山近くまで調査しましたが、ちょうどその時にレッドオーガが居ましたので駆除しておきま・・」
駆除しての辺りでかなり驚いて、そこからいきなり問い詰められた。
「えっ!?オーガですって?しかもレッドオーガって、あれは低くてもランク5以上のパーティで倒す魔物ですよ。討伐証明部位は持って来ましたか?」
「ありますよ。右の牙ですよね。森の中で負傷しているのを先に見つけて、うまく不意打ち出来ましてなんとか。」
ゴトッとカウンターの上に30cm位の牙を置くと、アニーさんがすごいビックリしていた。
表裏と時間をかけて確認していた彼女は、ため息つきつつ重く話してきた。
「確かにレッドオーガの牙です。ですが、まだユウさんはランク2なのですし、元からオークの件でも最初の調査でまずそうなら後から援軍を送る事になってたじゃないですか。今回の状況なら、戻って報告しても良かったんじゃないですか?」
「そうかもしれないですが、見つけた時すでに手負いでしたので早く駆除したほうがいいかと思いまして。まあ、居たのはガニア山の麓で、村にそれほど近かった訳ではありませんでしたが。万が一を考えると、手負いのレッドオーガは狩れる時に狩っといた方が良いでしょう。」
「まあ、それは確かにそうでしょうけど・・。元々村で狩りをしていたというユウさんには、何とかなる程度だったって事でしょうか。・・ふぅ、では、手負いと言う事でしたが他にはオーガを傷つけられるような者は何もいませんでしたか?」
ちょっとため息つかれながら聞かれたので、オーガの牙をしまいながら答える。
「それは何も。ガニア山に登った訳ではありませんが、周りもかなり広範囲を調べました。オーガ以外は不自然なのはいませんでした。通常のレニの森と同じくゴブリンやボアが数種、牙狼くらいですね。」
「分かりました。有望な冒険者に行き成り死なれても困りますし、余り無理をなさらない様にお願いしますよ?では、・・オークの調査討伐の依頼完了承りました。ギルドカードをお出し下さい。依頼料はカードに入金でよろしいですか?」
最初の依頼完了時に教えてもらった、カードの貯金システムは利用することにしている。
「はい、お願いします。」
「・・・入金完了です。では、カードをお返しします。で、ユウさん今日はもう依頼は受けないんですか?」
「新しい仲間のレ、<ん、んっ!>レティシアのギルド登録をしてから用事が有るので、今日はもう依頼は受けないですよ。何かあるんですか?」
レティと言いそうになったのを、会って直ぐって設定だった事を思い出し誤魔化し話を続けた。
「そうなんですか・・。いえ、緊急依頼とかある訳では無いです。では、えーっとレティシアさんで良いですか?ギルド受付のアニーです。よろしくお願い致します。」
アニーさんが俺の斜め後ろにいたレティに確認して、登録を始める。
「はい。アニーさん、よろしくお願い致します。」
後から確認するとこんな感じだった。
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レティシア 人族 女性 17歳
魔法士 冒険者ランク1
スキル
風魔法 魔力精密操作 身体強化魔法
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登録を終え、ギルドの説明が終わってから買取所へ移動する。
移動中に小さい声でレティに聞くと、干渉無効が効いていて通常ギルドなどで使われているレベルの鑑定の魔道具では変化状態の情報で読ませられるらしい。
今回の依頼中に狩った獲物の買取を頼みに行くと、かなり強そうなパーティが前でモンスターの買取をしていた。
さっと見ると4人パーティらしいが、今の俺から見てかなり強いみたいだ。
買取に出しているモンスターが、まだ図鑑でしか見ていない確かランク6の魔獣でオルトロスだったはず。
騎士っぽい女性と、ごつい戦士の男性、敏捷の高そうな多分狩人も男性、ローブを着た魔法士は女性みたいで4人構成だ。
つい女性から見ていると、騎士の女性はフルプレートでは無い様だった。
騎士の女性も魔法士の女性もまだかなり若く、スタイルも当然運動不足な訳が無いので出るトコは出て締まる所は締まっていた。
感知に引っかかるので色々魔法の装備を持っている様だが、女性用装備とか有るのか気になるので鑑定してみる。
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魔剣フライア
様々な能力を付与された高性能な女性専用長剣
迷宮で見つかった人の手以外で創られた物
軽量化 浄化 火焔斬 魔法微拡散 使用者性別限定
魔晶鎧フラーディ
様々な能力を付与された高性能な女性専用プレートメイル
迷宮で見つかった人の手以外で創られた物
軽量化 速度強化 衝撃耐性5 火耐性3 サイズ調整 魔法微拡散 使用者性別限定
鬼晶杖
火魔法に特化した変異種のオーガウィザードの魔石を核にトレントの枝を杖に使い火属性に特化した杖
火魔法を使う場合威力を1.3倍に消費魔力を4分の3にする事が出来る
火魔法威力増加 火魔法消費魔力減少 火魔法範囲制御補佐
ワイバーンマント
下級ではあるが竜系統ではあるので火耐性は付いている
胸元にある魔晶石でマント内を一定の温度に保ってくれる機能が付いている
火耐性2 温度調節
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かなり高性能みたいだし、大体はどこかで買った訳ではなく迷宮で見つけた様だ。
他も良い物ばかりで羨ましい限りだった。
後ろに並び待っていると、パーティの魔法士らしき女性が声をかけてきた。
「貴方達、あまり見かけない顔だけど新人さん?」
「はい。ちょっと前に冒険者になったばかりです。」
「へー。初々しい感じなのに、キミも彼女も結構強そうだね。」
「どした?マルギット。こいつがどうかしたか?」
「イサーク。いや、初々しいのに結構強そうなお兄さん達が居たから、ちょっと声かけてただけだよ。ごめんね、行き成りうちのがこいつとか言っちゃって。」
「ん?ほうほう、確かに結構強そうだな。」
前衛らしき戦士のおっちゃんが、気になったのか話に横から入って来た。
ただ、普通にやり取りして、聞いていないそれぞれの名前を言っちゃっているのは良いのか?と思わんでもないが。
「いえ、大丈夫です。では、せっかくですし意図せずそちらの名前だけ分かってしまったので、自己紹介させてもらいます。え~っと十日位前に冒険者になったばかりの魔法戦士でユウと言います。よろしく。」
「ふむふむ、ユウ君か。今更な気がするけど、ランク6パーティ火焔の剣の魔法士マルギットだ。こっちのゴリラが戦士でイサーク、向こうで我関せずと買取を続けているのがリーダーの騎士アリスと狩人のヨハンネスだよ。よろしくね。」
「良いんですか?そちらで苦笑してますが。」
「ん?いいのいいの。他のメンツは、あまり人とすぐ打ち解ける様なのは居ないから。イサークはそうでもないけど、脳筋同士殴り合って飲んで仲良くなるみたいな肉体言語使いだし、たまには普通に話せる相手も欲しいんだよ。・・情報収集含めてね。」
「そうなんですか?俺もまだ冒険者になったばかりで、店の人かギルドの受付嬢くらいしか知り合い居ないんでとても助かりますが。ではうちのもう一人も紹介しますね。彼女は、魔法士のレティシアと言います。」
「よろしくお願いいたします、マルギット様。レティシアと申します。」
手を前に揃え綺麗に礼をすると、マルギットは焦って問いただしてきた。
「いやいや、ちょっと待って。もしかして、どこか良いとこのお坊ちゃんだったりするの?その優雅さって下手な成り立ての貴族についてるメイドよりよっぽど品が有るよ。」
「いえ、ご主人様には助けていただきまして、その恩義で忠誠を誓っているだけです。」
「えー?貴族じゃ無いのに、ご主人様って呼ばせてるの?ユウ君、なかなかいい趣味してるじゃない。」
「いえいえ、さすがにそれは否定しますよ。助けた後からそう言い出して、訂正しても結局は様付けになりそうだしまあ良いか、と思っただけです。」
「そか。ああ、買い取り終わったみたいだし、これからたまには話したりしようか。期待しているよ、ユウ君、レティシア、じゃ、またね。」
「また、機会が合ったら話しましょう。マルギットさん。」
礼しながら後ろ姿を見送り、買取カウンターに行く前に鑑定させてもらう。
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アリス 人族 女性 23歳
騎士 レベル78
スキル
剣術6 槍術6 盾術4 馬術4 身体強化魔法4 思考速度強化2 気配感知2 危険感知2
士気高揚
イサーク 人族 男性 30歳
戦士 レベル71
スキル
斧術6 身体強化魔法5 思考速度強化2 気配感知2 危険感知4 狂戦士化
ヨハンネス エルフ族 男性 264歳
狩人 レベル79
弓術7 罠術4 木魔法3 気配感知5 魔力感知2 危険感知4 罠感知
マルギット 人族 女性 22歳
魔法士 レベル75
スキル
火魔法6 水魔法4 光魔法3 空間魔法1 属性耐性強化2 魔力増大2
魔力精密操作2 魔力感知2
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街付きなのかは知らないがレベルから見て、今この街でかなり上位に居るパーティなのだろう。
流石ランク6パーティ、レベルも高いしスキルも今まで見た他の人より多数覚えているし、多分冒険主体なんだろうとスキル構成を見て解る。
護衛や貴族相手が主のパーティに、狂戦士化するのは居ないだろうし。
その上でリーダーのアリスは騎士ではあるが、貴族等との接触を嫌ったが故にもしかしたら自由騎士なのかな、とかも思う。
何時までも女性の後ろ姿を見ててもしょうがないので、買取を始める。
ある程度自分たちで食べる分を残しつつ、解体が必要無い血抜きだけした食用のオークとアッシュボアや装甲持ちのスティールボア、手間を掛けるのが面倒だったゴブリンをそのまま出す。
スティールボアは初心者から中級者は上がろうかって冒険者に人気の魔獣で、鼻先に十cm四方の、体側面に高さ1m、横1.5mの装甲を持つボアの一種で、普通の鉄剣では傷付けられない程度の防具を作る事が出来る。
自分で狩れれば防具として作り直して貰う事も出来る、肉はボアの一種なので美味いと捨てる所の無い大人気の魔獣だ。
初心者殺しなのは変わらずで、欲に目が眩んでかより確率が上がっていて、たまにレベル40くらいの中級者も轢き殺されていたりする。
武器屋のリーンに聞いたが装甲の色が体色と変わらないので、暗い中普通のボアと勘違いして轢き殺される事も良くあると。
ゴブリンの解体手数料等を抜いた買取金を貰い、マントの陰でボックスにしまい店を出た。
前は無神論者だったのでこれまで見ない様にしていたが、此処には実際に居るしそろそろ一回は行った方が良いかと思った。
そもそも何故人の理解の及ぶ所に神が居るなんて思えるのか不思議でならなかったし、人の言葉で言い表せない者が、若しくは何かが神だ、と言った方がまだ個人的に納得出来た。
後、人から神になるって話も有るけど、人の多様性をちゃんと理解して考えれば愚かな人は愚かなままだと分かっているだろうし、神になったならその後に何故人に関わるのかもよく分からなかった。
『レティ、ちょっとこれから教会に行くんだが、一緒に行くか?』
『どの神の教会へ行くんですか?確か、ここではジートル、ジーランの戦いの兄弟神か愛の女神のミルシアが大きいですが、当然死の神ファグリーの教会も有りますし。他の神の教会も小さいながら在ったはずですが、何処へでしょう?』
念の為周りに聞かれない様繋がった魔力を通して話すと、ちょっと不思議な顔をされ聞き返されてしまった。
『そんなにあるのか。・・・どうするかね。ちゃんと神が居る中で加護を貰えられたりがあるなら、そこまで真面目じゃなくとも信仰はしとくべきかと思うし。顔を出しとくべきかなと思ったんだが。』
行き成り言い出した事で不思議な顔をしていたが、納得した様で持っている知識を更に教えてくれた。
『そうですね・・。やはり皆自分に一番影響のある神様を選ぶものですし、ご主人様なら愛の女神ミルシアか魔法の神イーシア、戦いの神の兄弟神の四柱の内ではないでしょうか?特殊信仰魔法もそれぞれありまして、これから一夫多妻を目指すのであればミルシアの祝福は必要と思いますし、イーシアは魔法に対して魔法使いに対して色々有利になります。仲間が多くなるのであればジートル、ジーランの魔法もかなり使えますね。』
『??・・そうか、知識以外にも俺の経験等も知ったと言っていたし、そう言う事か。まあ、確かにこういう状況になったら一夫多妻は期待はしたが、状況次第だし先の事は分からんよ。行き成りレティと言う竜族の美女が仲間になったが、これから先も女性が仲間になるとは限らないしな。』
美女と言われてテレテレとしていたレティが、ハッと気を取り直して忠告してくれた。
『そうは言っても選択が有ればやはり女性を選ぶ事になるでしょうし、予め考えて置く事は必要な事かと。ミルシアの特殊魔法は一夫多妻には必ず必要になると思います。その状況では私が妻達を纏める事になるでしょうし、何人までを認めるかと言う問題も有ります。』
『それは流石に実際増え始めてからで良いんじゃないか?さっきも言ったが、実際必ず増えると限った訳では無いし。』
『ご主人様がそう仰るならそれでいいですが・・・。』
何か今迄見た事の無い不満顔なんだが、そんなに俺に複数の嫁を娶らせたいのか?
気になるのでもうレティには短い付き合いではあるが遠慮なんか無いので直接聞いてみる事にした。
『確かに一夫多妻に興味は有るが、前世の一夫一妻に慣れた俺がそう直ぐに・・・ってそうか。それこそ此処では出来るんだから、前世の常識を早く捨ててこっちに慣れて欲しい、と言う事か。』
ぱぁっと綺麗な顔が可愛らしく笑ってくれるとついこっちが照れてしまうが、レティ相手ならまあいいかとも思う。
『はい!一夫多妻からでなくてもいいのですが、前世の記憶から確認したのですがモン◯ン?と言うゲームが有ったらしいじゃないですか。今、冒険者としてモンスターを狩っているのも、HPバーが実は有って、とか勘違いを促進しそうですし。手早いのがそこかな、と思いました。』
一応教会が多少纏まっている辺りへと向かいつつ、何処に行くかとレティに言われた事を考えてみる。
まあモ◯ハンと間違いはしないが、異世界転生物の小説かよっ!と突っ込みたくはなったが。
それもポイントでスキルをとか言ってた最初だけで、実際に来た日にゴブリンを殺した時にもう違う世界に来た事を理解したけども。
ただ、確かに前世の常識が後ろにくっ付いたままだったかな、とも思うしレティの心配も分かるので一夫多妻かは分からんがちょっとだけ人にもモンスターにも厳しく見て行こうと思う。
「おしっ!今日はミルシアの教会に行こう。信仰魔法を覚えられるか分からんが、実際居る相手を無視するのもどうかと思うしな。」
「そこに関しては申し訳ありませんが、私は付いて行くだけです。」『竜族は神を信仰しませんから。どちらかと言うと信仰される方ですので。』
「そんじゃ、一緒に行くか。」
二人並んで住宅街の方へと向かうとほど近い場所にミルシアの協会が有った。
貴族街方面で無いこの場所に協会が有るのは、普段祈る者が誰なのかと言う事を示しているな。
貴族達は神官に用がある時は呼び出せばいいと思っているんだろう。
今遠くに見えている教会には男性と女性の神官らしき人が居て、表の掃除と信者と会話をしていた。
立ち話で笑い合う様な近しい関係で、歪に上下関係が有ったりは今の所この教会には無さそうだ。
横目で談笑している人達の事を見つつ横を通り教会に入ると、三階位の吹き抜けに左右に椅子が並べられていて正面奥に一mの台座に、等身大のなのか150cm位のミルシアの神像が両手を手の平を上に腰の辺りで差し出していた。
雰囲気での判断だが前に居る結婚する2人に何か助言でも言っているのか、この世界だと伴侶に何をあげるのかは知らないけれど何かを交換している様な気がした
「何かお困りの事でも?助祭のクレーメンスといいますが、宜しければ私がお話を伺いますよ?」
入って直ぐの所で中を見渡していると、一人の中年の神官が話しかけて来た。
うん、先入観がある所為か、にこやかなんだろうがすごく胡散臭く見える。
「あ~、大丈夫。小さい村の出でな、ちゃんとした教会に始めて来て吃驚しただけなんだよ。スマンね、こんな所で立ち止まって。」
謝りつつ横にずれると、そのまま話しかけて来た。
「ほうほう。いや、そういった小さい村出身の人間は、何だかんだ言ってやはり直接生活に関係の在るジートルやジーランと言った戦いの神や農耕神ウスノノだったり、気晴らしの為になのか酒の神ルーグを信仰する者が多いですから。悲しい話ですが特にこの国ではミルシア様は余り信仰されていません。あなた方のように一組でも夫婦が教会に来てくれるのはとても良い事です。邪魔だなんて事はありませんとも。」
「?そんなに少ないのですか?」
かなり驚いたのか、普段あまり俺の前に来て話し出したりはしないレティが珍しくオッサンに聞いていた。
後ろに引いて話を聞いている様だったレティが行き成り質問したので驚いていたが答えてくれる様だ。
「っ!?・・失礼。そうですね、この国では結婚する者自体が少なめなのですよ。魔の森に近い町では冒険者同士が多いですし、商店も支店が多く独身者や護衛、奴隷が主でですから。当然貴族は結婚はしますが、メンツの問題でミルシアを選ぶだけの事が多く、実際は政略で愛し合っていないなんて事が当たり前に横行しています・・ってすみません、初対面の方に何を言っているのでしょうか。聞かなかった事にして頂けると助かります。」
レティに聞かれた際にちょっと赤い顔をしていたオッサンが、勢いで喋り過ぎた様で聞かなかった事にしてくれと言って来た。
「では、何かありましたら声を掛けて下さい。」
ちらちらレティを見ながらそそくさと去って行ってしまった。
ただ普通に様子を見てちょっと祈りに来ただけだったので余計に時間が掛かった気がするがこの辺りでの実情も聞けたので良しとして置こう。
「・・まあ置いといて、ちょっと行って来るから。」
レティに言い残し、ゆっくり神像の前へと出て行った。
パッと見た感じ二十歳にも届いていなさそうな少女の神像ではあるが、神を信じていなかった俺にも確かに何か感じる所が有った。
何となくではあるが真摯な気持ちになったので、そのまま変な事を考える前に片膝をつき両手を合わせ祈りを捧げる。
死の前に好きになりたかったとちょっと思った事も含め、ミルシアには何か世話になりたいと言うか一夫多妻も可というのも気になる一因かもしれんが。
多分十分くらい祈った辺りで今日は切り上げようと立ち上がり後ろを向くと、レティが静かに佇んでいた。
そこにも何故か先程感じた何かが有る気がしたが、レティも神と同じで崇められる方かと思い気にしない事にして教会から出た。
「うわっ!?やばい、散れ散れ!」
レティを後ろに連れ外に出ると、慌ただしく散っていく子供達が居た。
レティの方をチラ見しながら真っ赤な顔で逃げて行くのを見ると、普段見ない美人が来たから覗きに来た様だ。
4,5人の子供達が建物の陰に走って行くのを流し見て鑑定してみる。
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ダグラス 人族 男性 10歳
孤児 レベル5
短剣術1 統率1
ザック 狼人族 男性 9歳
孤児 レベル4
脚力強化
クラウディオ 人族 男性 7歳
孤児 レベル3
ロルフォ 狐人族 男性 9歳
孤児 レベル6
嗅覚強化
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1人は範囲外へ逃げられたので見れなかったが、今はそこまで気になる訳では無いので放っておく。
今後状況次第では彼等の様な子供達を引き取り人手を得る可能性も有るし、この町や別の町でもその内状況を確認しておこうと思った。
今はまだ修行が主なので、その内ではあるが。
『ふむ、本当は別の機会に孤児の居る場所だったりの様子を見に来るつもりだったが、もう居るのは確認したしその内この辺りの状況を確認して炊き出しでもするか。』
『良いんじゃないでしょうか。どの子供に才能が有るかなんかは分かりませんし、小さい頃から世話しておけば裏切る可能性の少ない味方が手に入るでしょう。』
『まあ、人の欲望を含めて考えると確率は減りはするだろうが、そう簡単じゃないだろうけどな。』
夕暮れの中声に出さず話してレティと宿へと向かうと、一つ問題が有るのに気付いた。
何時もの宿で部屋に戻り確認を取る。
「そう言えば、家を建てるなんてまだ先だと思うが、レティは寝る時はどうする?野営の時は一緒に居るが、普段も出来れば万が一の事を考えて一緒の部屋に居て欲しいんだが、どうだろう?」
「??何を仰っているのですか?」
何故か言っている意味がよく分からないと言う感じで聞き返されてしまった。
「私はご主人様から離れる気など全くありませんが。別の場所での行動を命じられない限り、常に横に居ります。当然ご主人様が寝られている時も横に居りますし、私が寝る時は勿論ご主人様の横で寝させて貰います。」
更に何故か強い物言いで不思議な事を言われてしまった。
都合良く竜族にそんな習慣があるなんて事は無いだろうし、早熟ってスキルすら持っている訳でそれこそ寂しいとかじゃないだろうし、何故俺の横に居るのが決定事項なんだろうか。
「主人と言ってくれてはいるが、人との同衾に忌避感とかないのか?生まれたばかりという事実を知っているとは言え、今のその姿のレティ相手に何もしないとか無理だと思うぞ?」
「?・・何も問題は無いですよ?かなり昔の竜族ですが人に紛れていた事も有ったらしく、その知識の継承もしていますのでそう言った事も分かっています。まあ、この状況になった竜族が全てこういった対応をするか分かりませんが、私が知ってしまった貴方の不器用さやそちらの前世で言う所のムッツリスケベも好きですよ?女性に興味無いとかポーズで言われるより余程マシです。」
金髪青眼の綺麗な女性が首をカクンと傾ける可愛い所作をしているのを目の前に見ると、こっちが照れてしまっていかん。
ちょっと火照ったであろう顔をちょっと横に向け無理に話を続ける。
「あ~、そうか・・・。うん、うん?」
「落ち着いて下さいご主人様。別にいきなりヘタレのご主人様に手を出してと言っている訳では無いのですから、先ずは慣れる為に一緒に寝るだけでもいいですし、何でしたら竜に戻って添い寝しますよ?」
真っ白になった頭の中を何とか働かせどうするか決める。
「あ~~・・・・・。ふぅ~、スマンな。経験に無い状況で混乱した。・・最初の内は竜で頼む。落ち着いて寝れるとは思えないからな。そう言ってくれるのは嬉しいが、実際そういう関係になるのは流石に好意以上のモノを俺が持ってからな。流石に据え膳どうこうの前に俺が成人していない上に、レティは昨日産まれたばかりでしかもそれを目の前で見ていた訳で、幾ら見目が良くてもすぐに欲情は・・見目が良過ぎるんだよな・・・。まあ、するかもしれんが、今の所手は出さないよ?・・・・・多分。」
「それもそうですよね、ご主人様。気が変わったら何時でも仰ってください。」
もうかなり色々言って貰った気がするので、最後の一言くらいは自分の言葉で伝えたい。
「うん、・・・・・レティのその姿を一目見て惚れてはいたんだ。産まれた所から一緒に居てちょっとどうかと抑制したが、そも人では無く早熟で肉体的に問題が無いようだし。全ての準備を一年後を目途に何とかなる様に行っていく予定だから。それまでに仲間を増やし、信頼出来る者を増やしていこう。あと、前世であまりモテなかったのもあるが、理由が有って彼女を意図的に作ろうとしなかったからな。やっぱ本当は嫁さん欲しいし、その中で嫁探しだな。」
「で、来年五月に結婚しよう。これから先の事を考えると、正式にとは言えないかも知れんが。・・・一夫多妻前提なのはどうかと思うが、其処はまあ開き直ろうと思う。そんなに嫁さん見つかるかは分からんが、何だったらレティだけで良いしな。」
「はい、そこは理解していますので問題有りません。と言うか、頑張って仲間を家族を増やして皆で稼ぎましょう。・・・ご主人様はお嫁探しもですが。」
晴れやかに言うレティと笑い合い、今日は竜の姿のレティを横に眠りについた。
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