寄り道七回目 久し振りに従魔とのんびりします(予定)
久し振りに従魔達とだけで出かけるとしますか。
レティは主戦力の俺とレティを外しての実戦修練の為、魔の森に向かったシーラ達の監視役としてついて行っているからね。
新人達も既に実戦を行っている為、緊張しつつもいつもの修練場所に向かっていった。
そこで俺は久し振りに直属の従魔を増やすべく、ガリオンに乗り南のガニア山の麓に向かった。
村の防衛は残った狼達で十分なので心配はいらないし、本当に何かあったらアルから念話が届くだろう。
この所子供達が来てからあまり村に来ていなかったフィニも、気が付いたら木々の上を飛んでいてついてくる気の様だ。
「おう、久しぶり。」
「ホ~。」
音を立てず俺の頭の上に着地してなんかごそごそ動いている。
羽繕いでもしてるんかな。
まあ何時もマイペースのフィニはほっといて、ガリオンとガニア山のどこら辺に向かうか相談する。
「さて、今日はどうすっかな。ガリオンどっち行きたい?」
「グルル……ガウ!」
森の中をゆっくり進みながら聞いてみると、何か気になるモノがあるのか三つの頭が同じ方向を向いて軽く吠えた。
ぱっと見ガニア山の山頂じゃあないな、西側の山の麓辺りに何かありそうって事か。
「ま、今日は何かある訳じゃないし、ゆっくり行こうか。」
「ガウ。」
「ホ~。」
森の中をガリオンの足音が響く中、逆に奥からモンスターが逃げていく音が聞こえる。
まだガニア山の麓なのでそんな強いモンスターも居ないだろうし、村の近くにはもうここ最近オーガ系統すら来ないので、目的地まで当分のんびりできるな。
ガリオンも久しぶりに俺と狩りに出るのが楽しいのか三つの頭がそれぞれバラバラに揺らめいていて、なんか楽しそうだ。
ガリオンの背で揺られながら進むままに任せていると、だんだん眠くなってきた。
ちゃんと俺に揺れが伝わらないよう気にしてくれているので、良い感じに小さくゆ~らゆ~らと揺れてんだよね。
流石にこの先は危ないモンスターも出るので、そろそろ眠気は払っておかないとな。
「おーい、フィニ。」
「ホ?」
ポンと頭の上から俺の前に降りてくると、クリクリとフクロウらしい動きで頭を動かし周りを確認している。
今日は他の目的もあるけど、休暇というか従魔と遊びたくてきたので、先ずはフィニだな。
いきなり後ろから抱き着くと先ずは羽が気持ち良くてふわふわで、更にお腹はフニフニのモフモフで……いや~、モフモフに包まれるのもいいけど、触れて堪能するのも幸せだな。
「ホ~~。」
諦めた様子のフィニを後ろを向かせてもふっていると、ガリオンが少し緊張したのが分かった。
フィニを離して一旦空に離れてもらい、俺も周りを確認してみる。
ガリオンが気を向けているのは向かっている方より右側で、去年依頼で行ったボルク村が強いて言えば近いけど、そこから更に……って、そうだ、確か元コボ達の村が在った場所じゃね?
ボルク村の南の方だったはず。
って事は、その後の空いた場所に何かいるって感じかな。
ガリオンの感じだと、そんなに脅威になる様なモノが居る訳ではなさそうだし、確認だけしておくかな。
強いて俺が何かを排除してやる意味もないけど、村には知った顔も居るし……今居るのか?
まあ、いいか。
故郷ではあったはずだし、知られない所で良い事をしとこう。
凶悪なモンスターと決まった訳じゃないんだけれどね。
ガリオンに乗ったまま近づいて行くと、森の向こうに結構大きな魔獣系統の影が見えた。
……ん?
なんか、結構デカくないか?
しかもガリオン並みとは言わんが、結構強そうな気がするんだけど……。
その割にはガリオンはすでに緊張を解いて普通に歩いて行っているのは何故に?
もしかして知り合いとか?
「おーい、ガリオン。あそこに居るのは知った顔か?」
「ガウ。」
はい、いいえは分かるように頭を上下左右に振る動きで教えてあるが、えらく簡単に頷いてくれたな。
サプライズってか……って、そんな言葉は知らんか。
まあ、喋れないから細かく伝えようもないし、そらしょうがないか。
俺が呼んでいる時以外は、村の縄張り以外にもガニア山で好きに生きているので、何かあっても不思議じゃないとはいえなんだろうか。
新しい子分か、もしかしてもしかすると……嫁とか。
あまり意識していなかったけど、こういう物語で従魔の関係ってあんまり出ないよな。
って、まあ今気にすることじゃないか。
考えてるだけじゃ意味無いし、ちゃっちゃと聞けばいいだろ。
「おーいガリオン。もしかして、なんかの報告とかか?」
もう森を抜けて多分アル達の村跡の広く開けた場所に出たが、未だ向こうの大狼はお座り状態でこっちを見ているだけだ。
俺が実力を見抜けないって事は、まだ戦闘の経験自体が少ないしまま有るんだが、大丈夫かな。
これで実はガリオンの下剋上だったりしたら吃驚だが。
20m位まで近づいた時、ガリオンが下りてほしいと背を揺らすので降りて待つ。
ゆっくりと大狼の横まで行ったガリオンは、こっちに向いて伏せて寄り添った。
明らかに仲良さげで、しかも既にパートナーなのかガリオンの毛繕いを始めてしまった。
「え~っと、ガリオンさんや。俺にはぱっと見では狼の雌雄は分からんのだが、この感じだと嫁さんっちゅーか番いの紹介でいいのか?」
「ガウ!」
うん、即頷くほど仲良いのは良いが、こういう時やはり言葉が通じるって重要だと分かるな。
向こうからは無理なので、こっちから一つずつ聞くとしよう。
「でも村に連れてこなかったって事は、外の縄張りで別に暮らしたいって事でいいのか?」
「ガウ!」
ふむ、ガリオンは従魔だし基本は俺の村に居るけど、どうすんのかね。
もしかして……従魔辞めたいとか?
ん~、つってもレティ達に聞いたモンスター的な習性だと、従った強者から離れる選択をするとは思わんのだが。
「ん~、でも別に俺の従魔を止めてここで暮らすとかではないんだろ?」
「ガウ!」
やっぱりだな。
じゃあ、やっぱり紹介だけって……こと、って、あっ!!
何時も従魔と行動する時は元から目的が無い時はお任せにしてきたから気づかなかったけど、も・し・か・し・てこいつもう目的達成とか言わんだろうな。
どう見てもやる事終わった感じで嫁に毛繕いされてるし、本当は新しい従魔を探しに来たんだが……ま、いいか。
俺も一緒に今日はのんびりしますか。
せっせと世話してもふもふになったガリオンに伏せてもらいお腹に寝そべり、ここの所予想外だった子供たちの事もあって少し精神的にささくれ立っていたので、ちょっと長めにぼんやり。
フィニも今日は進んで何かをする気はない様で、今は仰向けの俺の腹の上で更に仰向けに寝ていた。
一時間もすればガリオンは当然、最初は少し気にしていた反対側に居る嫁さんも、春の日差しの中無音で寝ていた。
流石、野生の生物って言うのは失礼か。
普通だろうしな。
閑話休題。
俺にとっても無関係じゃないので、これからの事を考えると名付けだけさせてもらおうか。
ガリオンの嫁って呼び方じゃなんだしな。
……良い具合にリラックスできてるし、もうちょっと後で、かな。
「おーい、そこのガリオンの嫁さん。ちょっといいかい?」
「グルゥ?」
ちょっと経ってからガリオンの反対側に居る嫁さんを呼ぶと、普通に返事をしてくれた。
嫌な感じもしないし、俺に対して思う事は今の所無い、と思いたい。
てゆうかイマイチ実感が無かったが、やっぱり嫁なんだな。
さて、色々迷うが、どうすっか?
大半の主人公が言い出す不自然に名付けが苦手とか言い出しはせんが、俺の都合でとはいえ従魔の嫁て……どうしようか。
こういう時普通に本や最低でも教科書くらい読んだ事があれば、幾らでもとは言わんが多少候補はあると思うけれども、ね。
ペットとは言わんがこう、知り合いの子供の名前を行き成り決めて、と言われてもって感じだな。
出来れば先に知りたかったとは思えど、ガリオンは喋れんし行き成りなのはしようがないんだが。
今は鑑定も出来ないから種族名をもじったりは無理だし、先ずは洋風にしようか和風にしようか。
実は洋風名は今までは読んでいた小説がメインで考えていたけど、そろそろ別のも混ぜようかな。
「これから従魔を続けるガリオンの嫁さんならこれからも接点があるだろうし、名が無いと不便なんで名付けをしてもいいか?違ったら済まんが、そもそも魔獣に個体ごとに名前はないだろ、多分。」
「グルゥ……。」
真夜に起こった事は多分例外で、今迄も何もなかったし名付けで何か起こる事は無いと思う。
んだが、何故か俺をじーっと見て薄くぐるぐる唸ってるのは何故?
って思っていたが、此処で俺も気が付いた。
俺じゃなくて後ろのガニア山の方を見ているって事に。




