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元オッサンの眷属使い  作者: 烏賊紳士
第三章 新しい関係ともふもふ生活
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寄り道七回目 久し振りに従魔とのんびりします(予想外)

 気付いてみればなかなか大きなモンスターが一直線にこっちに向かっているな。

 まだ音は小さいが結構な速度で近づいていて、大体の距離と大きさと全く音を消す気の無い阿呆っぷりを鑑みるに多分トロールかオーガ辺りだろう。

 って言うか、結構遠くまで解る様になった俺より早く感知出来るとは、どんだけ感知範囲が広いんだかこの嫁さん。


 ちょっとモフっていてボケていたのはあるけど……感知に関してはもしかしてレティに近いレベルじゃなかろうか。

 と、考え事をしていたら、余程真っ直ぐ向かっていたのか思っていたより早く森をかき分ける音がまあまあ近くから聞こえてきた。

 4~50m先の森の影の中に4メートル近い巨人が見える。


 正面からだと少し見難いけど、あの横にも膨らんだ腹のシルエットからすると、トロールかな。

 体型的にオーガは前世の物語のままでマッチョ系と言うか相撲取りで言うソップ系(所謂千〇の富士)、トロールはより縦にも横にも大きい巨体でアンコ型(所謂〇錦体型)が通常なので、シルエットが見えれば特殊な例外でない限りは大体は判断が付く(稀に逆の体型も全く居ない訳ではないらしいが今の所見たことはない)。

 以前見た時は確かイーリスが多少時間をかけて倒していたけど、どうすっ<ドンッ!>かっ!?


 とかのんびり考えていたら嫁さんが凄まじい勢いで飛び出していき、ガリオンが俺の前にスッと出てきた。

 ガリオン越しに見れば、嫁さんは森から今居る広場に出る前にトロールに襲い掛かっていた。

 向こうは俺の従魔ではないんだが、ここは戦ってくれるようだ。


「って、のんびりしすぎるのはまずい……か?」


 と言いつつ嫁さんの戦いをよく見てみると、うっそ~んと言いたくなる現実があった。

 凄まじい速度で足元まで行くと、足首に嚙みつき後ろにすくい上げる様に前に倒すと、一瞬の内にまた移動して首を前足で押さえつけていた。


「うっそ~ん……。」


 実際につぶやいてしまいながらそのまま様子を見ると、次の瞬間身動きの取れないトロールの首をゴキャっと嚙み砕いた。

 って言うか、強すぎんか?

 トロールのパワーが在ればあの嫁さんくらいの重さなら、振り払うどころか弾き飛ばす事も出来るだろ。


「ウォーーン!オオォーーーーーン!!」


 実際のパワーが違うのか、あの大きさのトロールが諦めなければいけないほど実力が違うのか。

 ……結果を見れば多分後者だな。

 理解が追い付かなかった可能性もあるが、普段の行動は遅いが今迄の戦闘時での反射での思考力はそれほど遅い訳ではなかったと思うし。


 ……うん、ま、遠吠えをしているのはガリオンの嫁さんだと思えば、コボ村近くの安全が確保されたと思えば問題無し、だろう、多分。

 今考えてもしょうがない事は置いといて、先ずは名付けだな。

 無意味に名付けが下手とか言い出すつもりはないので、ちゃんと考えよう。


 映画ドラマ小説漫画には洋名が多いし、和名を気にしないのであれば普通に現実の知人友人偉人有名人、幾らでも引き出しが有ると思うんだけどね。

 何万と付けるとか言わなければ、だけど。

 さ~て……ん~、ぱっと出てきたのは3つかな。


 フェン、フェリ、フェ〇(笑)まあ、どこぞで見たことある狼系の名だし勿論冗談だ。

 ただ、その流れで考えるならフェリスとか、洋ならミラとかシェリル、和ならありがちだけど凛や色で考えた上にちょっとひねって白(びゃく若しくははく)かな。

 さてはて、どうするか。


 ま、ザックリ三つくらいに絞って本人に聞けば良かろ。

 戻ってきてガリオンの前でドヤ顔しながら気持ち良さそうに毛繕いをされているのを見ると、さっきのも白昼夢でも見たんじゃなかろうか、と、違うと分かっていても思わんでもない。

 仲がよろしい二頭を見つつ名付けは後でいいかと思い、ここ数日一気に色々あったのでいつかやろうやろうと思っていた脳内反省会をちょっと始める事にした。


 初めの頃から余裕も無い上やる事が多くて(言い訳)出来なかったけど、ここ数ヶ月やる事は修練ばかりでここ数日の反省は特にしないと駄目だろう。

 同じ事を繰り返し続けていると思考が停止しやすい、って聞いた事がある気がするけど、単調にならない様にはしていたけど修練ばっかで思いっきり嵌まっていた気もするし。

 単純で単調な質問を延々繰り返すと精神的な拷問になるとどっかの漫画で見たけど、軽くでも思考停止とかには影響あるんだろうか……関係無いか。


 物語であればここら辺で人の当てが付いて村が大きくなったりあるんだろうけれど、そもそも今の村はコボ達の村であって俺達は護衛で住み込みな訳で。

 コボ達の護衛は大半をガリオン達に任せて本当は別に拠点が欲しいんだが、良い場所がまだ見つからんのよね。

 なんだったらこの村の南にあるガニア山の中腹にでもって考えた事もあるが、俺とレフィ、ギリ真夜は良いけど他はシーラでもイーリスでも無理なんで諦めた。


 活動したい町までの移動だけで時間がかかってかかってしょうがなくって、途中の森で数日野営をしなければいけない、って拠点って言うより仙人の隠れ里みたいとか思っちゃったし、長距離転移が出来ていればともかく今はまだちょっと。

 個々で強化魔法を使って結構な速度で走ってでそれだから、まあ無理だ。

 ま、そこはレティと色々探しながら相談して今後の課題として考えるとしよう。


 ……改めて思えば一番最初っから反省だらけだな。

 まずこの世界に来た時も確かに急な移動だったけど、移動後の状況確認はし忘れた。

 偶々持たされたのが槍だったから良かったものの、多分剣を渡されても気にしなかっただろう事も駄目だ。


 そもそも前世でも武道経験は無いのに行き成り転生したら戦えましたなんてある訳もなく、剣だったなら普通にボアに負ける可能性の方が高かったんじゃないかと思うと、今更だが怖いな。

 突きを選ばず思いっきり振って空振り、突進を食らって良くて半死半生ってありありと見える気がするし、素人が剣を持つ状況で突きは確実に選ばないだろう。

 そこまで運動神経が悪い訳じゃなかったので何とかなった可能性はちょっとはあると思うけど、こういう事を楽観視するのは後が怖いな。


 他にも最初の町で魔力操作の修練というか魔力で遊んでいる時も、はっきり言って周りを注意していたかと言われれば……全くしていなかったとしか言えんし。

 今考えれば、俺が居た宿では基本的に短期間しか居なかった事もあってか何も無かったが、スラムに近かったり裏手でも奥にある宿ではちょくちょく強盗やらがあったらしい。

 俺はそこも駄目だが情報集めたりは全くしていなくて、後にオルガから聞いた話だし。


 まあ、ここも注意だな。

 特に最初の頃は本当に魔法が楽しくて、って言うか先ず基本の魔力を操作するのが楽しくて、楽しくて。

 娯楽がないってのもあるけど、移動中から食事中から多少時間が開くと常に修練しまくりで、って言えば頑張っている感は出るけれど。


 やり始めな訳で他の事に気を配れるはずもなく安全確認は足りない、重ねて移動中もって事はその後の行動や戦闘があった時の魔力残量を気にしていないって事で、状況判断をそもそもしていないって事になる。

 近くの危険は一応気にしてはいたつもりだったけれど、討伐じゃなく採取依頼であっても時間がかかったら体力魔力注意力いろいろ足りなくなって予想外想定外の不意打ちで一巻の終わり、って事もあり得たと思うし。

 今更だけど……本当に怖っ。


 経験が足りないなんて言葉はいざ危機に会った時には意味を成さないし、危機感というか現実感が足りなかった。

 実際に自分に命の危機が、なんて日本では何万分の一の確率なんて言われる訳でしようがないと自分でごまかしてもなんにもならんし、更に意識して頑張らんと。

 こんな事もあろうかと、と言いたかった訳だが、準備も全然足らなかった。


 その後の町の暮らしでも山程反省する事はあるな。

 どこぞの伯爵だかへの対応はどう考えても問題ありで、もっといろいろ町を調べた後ならまだしも行き当たりばったりでのあの対応は駄目だった。

 さらった後はスラム的な場所は知っていたので捨ててこようと思っていたけど、下手に生き残られても困るしと思い至り迷った挙句、見つけた怪しい奴隷商に売っぱらったがどうなったやら。


 鉱山でこき使うとか言ってたけど実際にどうなったかを確認したわけじゃないし、そもそも今思えば力仕事に向いてるとも思えない以上別に何か思う事が有った、としか思えんか。

 伏線回収を大事にしている物語ならその内復讐しに出てきそうだが、そう都合良く敵味方のその後が分かる訳もないし、未だ鉱山で汗水たらしてるか別の利用法でこき使われて野垂れ死んでるだろうと思っとこう。

 まだ今も生きてるんなら知ろうと思えば真夜を頼れば高確率で知れるんだが、そこに時間を使うのも使ってもらうのもめんどうだったので、放置って事で。


 ……うん、反省出来てない気がする。

 って言うか向いてないな。

 最初は反省しているような感じになるが、そこからはごまかすか流すかしててちゃんと向き合う気が無い感じになってる気がする。


 いちいち全部に真面目に向き合う必要は無いが、何が必要だったか、自分の近くで終わる事ならいいが周りに影響が出る事はちゃんと考えんと碌な事にならないのは当たり前って事は理解しとかんとな。

 じゃあ、まあ、出来れば無かった事としてそのまま忘れたかったが、これからもある事だと思うし考えないでいる事は出来ないので、ちゃんと考えるとしますか。

 思い出すには微妙だし早い気もするが、そも話し合うことなど選びようもなかった、人を一人殺した事を。


 状況次第でそうなるだろう事は分かっていたし、人というモノをそこまで大切に思えない元の思想も相まって覚悟はしていたつもりではあったが、甘かった。

 物語上でもよく悩んでいるのは見ていたし、ちゃんといざという時には有無を言わさずああなるであろう事までも考えてはいたんだが。

 ま、実際に起こった時でなければ中々現実のものとして考える事は難しい、って事が分かったのは良かったって事にしとこう。


 当たり前だが考えている事がそのまま起こる事もあまりなく、ある程度考えた通りだったとしても俺や周りの行動次第で必ず上手く行くって訳でも当然ない。

 状況も余りよくない上に碌な奴じゃなかったのに思ったよりショックも受けたし、ちょっとまだ数日は睡眠時間が削れそうな気もする。

 思い出しすぎるとちょっとこみ上げてくるモノもあるし、前世と違ってこの世界では普通にある事なんだと思おう。


 ま、思っていたとしてもそれが普通だ、とは行き成りは思えんが。

 人間なんにでも慣れるもんだとは至言だと思うけど、ただ……慣れすぎるのもどうかと思うから忘れない様にはしよう。

 俺tueee系だとそこらへん無視して簡単に大量虐殺してたりするけど、そこまで精神性が変わってしまったらもう人としてどうなんだろうとは思うし。


 愚かな人間は何処でも変わらずに普通に居る、って事を心に刻んでおけばよかろう、ってなんか変な感じになっちゃったな。

 思っていたよりもいろいろ手間取った気がするけど、一度経験した事を踏まえて思えば今後対処が必要になったら状況次第ではあると思うが、他人に命も切り捨てる事にもう躊躇は無いかな。

 後から多少思う事が無いとは言わんけど、自分に都合良く物事が進むと思うほど愚かじゃないし。


 ガリオンだって今回は何とか生きてはいたけど、着いた時には手遅れだったって場合もある。

 後悔する時にはいろいろ犠牲が出そうだし、判断は早めに、だな。

 物語であればあからさまな危険でも対処をしないで大事になったり、魔法が在り洗脳や魅了なんてモノが普通に在る世界でそういう魔法の専門家に会った後に体調不良になったのにも拘らず何もしない、とか意味不明な事はしないで出来れば芽で潰したいところだよね。


 ……さて、考えすぎで辺頭痛がしてきて色々投げ出したくなってきたし、シリアスに精神が付いて来てない臭いし、後はガリオンとちょっと遊んでから帰りますか。

 よくあるボールを投げての取ってこいもやった事が有るけど、ガリオンがでっかいのでバスケットボールより一回り大きいボールを魔物の皮を使った球に真夜の一番頑丈な糸を巻き付けて作ってやったが、その時偶々運動不足だったのか二時間以上投げ続けた事もあったな、確か。

 戦闘訓練の時間に追いかけっこからじゃれてるだけになってたりとかもあったし、結果ではあるけど俺の体力を付けるのには役立ってたよねボール遊び。


「おっし。じゃ、帰る前に遊ぶか。」


「「「わふっ」」」


 ボールを出しつつガリオンを見ると、既に尻尾を思いっきり振りつつ地面をかいてやる気満々になっている。

 今日はそこまでやる気はないんだが、ちょっとやる気に満ちてるな。

 横にはガリオンのやる気と同様の嫁さんが居るが、さっきのを見るとガリオンでは敵わんだろうし別でやってもらうか。


 ただ、どうするかね。

 パワータイプのガリオンは兎も角、嫁さんはあの瞬発力じゃ下手すると投げた瞬間パクっといかれそうな気がするし、ま、マジで投げてみて様子見だな。



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