第四十三旅 話が長い 後編
え~、お待たせしました。
今更ですが……この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
たぶん。きっと。
今の現実からの異世界物って設定なのに、あまりこういう過去を見ての批判的な内容がない(もしくはもう忘れたとする)のでいろいろな人や所から拾ってみました。どことは言いませんが自分のも混ざっていますが。
一人のおっさんの偏った思考ということで面倒な人は流してもらえると。
さて、これまでも長く喋ったし出来るだけ短く纏めてやりたいが、色々捻くれてこんがらがっている俺の考えをまずはひも解いて……纏められればだけれど、纏めてみるか。
まあ、前世からして俺は色々独特な考えだったと自分でも思うが、この世界で一年色々見て聞いて過ごしてきたワケだけれど、結局常識や良識は兎も角俺自身の根本の考えは全く変わらなかったんだよな。
って言うか本当は理解している人も居たと思うんだが、前世の日本って国が様々な進歩が速すぎて人の進みが追い付いていかなかった中で、資本主義と民主主義という国の根本が腐りきっていたって感じかな。
政治に関しては教育から選挙に至るまでまともな物の方が少ない位だとしか思えないし。
教育に関してはどう考えても詰め込み式より思考力、考える力を育まなきゃ話にならんし、そもそも先生に関しても部活や書類作成で時間が無いって教育させる気が無いとしか言えんし。
更に、この教育法や先生の仕事の話が出て問題になる事があっても是正される様な話が全くない時点で、政治側でこの問題を何とかする気が無い……要するに、まともに考えて行動する人間は勝手に才能で育つ者以外多くは日本にいらないって事だったんだろう。
また、よく選挙に関して一票を持っているんだから投票しろと、選挙に行かないで政治に関して語るなみたいなこと言っていたりするけど、意図的に勘違いさせているとしか言えないが一票は持っているのが権利であって投票する人が居なければしないのも当然な話だと思うんだが。
投票したいのが居ないのに投票してそいつが問題を起こした時、まず誰も責任を取らないのに一票とは言え無責任に投票できないだろう。
別の所から見るとしてさっき考えていた事も関係すると思うが、思考力が足り無いのであれば実際の状況を無視して投票させれば一番目立っている所に投票するだろうし、実際政治を行っているのは与党なので普通にやってれば問題無い様な事でもメディアが盛り上げれば半年一年前に問題だらけだったりしても何も考えずに多数は勝手に与党に入れるだろう、って計算に入って無い訳が無い。
まあ、俺が知っている限り与党に反対するだけでほぼ対案を出す事の無かった野党では、結局投票先が無いって結論にしかならないのは当然だったと思う。
結局結果を見る前に転生してきてどうなったかは知らないが、物語でよくあるアホ権力者の話を実現しようしていた政治家も居て、何をどう考えたら権力を長く持とうと考えるなんてなるのか、政治にかかわる者の考えの中で一番ろくでも無いだろうに。
後継を育てることも出来ない、後を任せる事の出来る人も居ない、と無い無い尽くしで話にならんとはこの事だろう。
うん、当時政治家という存在を諦めた俺の鬱憤が溢れ出てきて全く纏まらんな。
資本主義に関しては人の心の熟成と言うか、ブラック企業の放置や中小企業を放っておいて下に丸投げするばかりの大企業の優遇など、金を儲けられればそこに働いている人がどうなってもいいってなっていた時点で表面上は兎も角実際は破綻しているし。
ま、フリーターだった俺では分からない苦労もあったんだろうけど、最低賃金だけで働かせたりサービス出勤させたり休憩を取らせなかったりなんて事を普通にしていて此方を鑑みない以上、こちらも気にしてやる必要は全く無いが。
権力にしても財力にしても自分の器以上に持てば本来破綻は免れないんだが、下手にろくでも無いのが力を持つと運だけは良いのが混ざっていて、望まれない例外ってのが生まれる訳で。
下の滅私奉公での努力や、逆に同業や先達からの操作誘導が有るのか何だかんだと長期化してしまう事もあって、結局の所能力なのか思考力が足りないからか、どう儲けるのか働いてくれる者にどう報いるのかって事は追いやられ、儲かればいい金が全てってなっている時点で資本主義も終わっているんじゃなかろうか。
税金を払わない、若しくは後から追徴金として渋々払う、なんて基本の基本ができないのも普通にいるし、仕事でも基本の出費である人件費をケチったり事務用品費を完全に壊れるまで出さないなんて客に影響ある事まで後回しなんて事が普通にあるし……完全に壊れてからの場合、新しい物が来るまでどうするんだって事は、現場で働いている人がどんなに困ろうとも頭蓋骨にゴミが詰まっている連中は一ミリも考えもしないんだろう。
で、更には結局金を持っても、家や車、家具、旅行、宝石、別荘等に金をつぎ込む馬鹿ばかりで、社会貢献なんて言葉をまともに考えた事は無い者がかなり居る感じだった。
こういう事こそ海外での自己顕示欲だけしか見えないアホセレブは置いといて、ボランティアや寄付に積極的な部分とか、教育に関しての姿勢とか、そういう事を表に出して粋じゃないなんていう勘違いした部分を間違っていると伝えてくれればいいんだが。
自分達にそういう事を求められても困るのか、日本の資産家などの金持ちは金さえ稼げば後はほぼ表に出て来る事は無く、実際まかり間違って俺の知らない所で何かしていたとしても表に出す事には無関心の様だし。
ダメだ、色々あり過ぎて全く纏まって無いし、なんか色々論点からはズレているのも混ざっている気がする。
この少数にだけであっても全員に理解される様にってのは……今更だけど難しい、ってか無理。
う~~~ん……まあ、ざっくりで言ってみて、軽く雰囲気だけでも伝われば良いかな。
「んじゃ、最後に少しだけ足して置いた方がいい事だけ、な。……俺が居た日本でも、貴族の特権甚だしいこの国でも、何処に居るどんな人でも勘違いをする、間違う、失敗するって事を忘れてはいけないって事だ。人には器が有るってよく言われるが、俺もその表現は間違っていないと思っていて、根本の問題もそこにあるんじゃないかと思ってるんだよ。」
「人は暮らしている中で成長したり自棄になったり、褒められたリ、罵倒されたりして、精神的なモノは常に揺れ動き、器を形作る訳だ。だが当然売られている様な綺麗な器にはならず、褒められれば伸び罵倒されればへこむ、たわむ、歪むなんて感じで、大きさや高さや広がり方が様々に歪んだ器が出来上がっていき、十代終わりくらいまでに完成するんじゃなかろうか。大体は、だが。例外として何時までも成長しない幼稚な子供そのままの大人もいるし、十代前半には明らかに綺麗な器が出来上がっているのも居るが。」
「で、その器の中に水の様な人の心が満たされていると思っている。育ち次第では当然様々なモノが歪んだ器全体から溢れやすくなり、人格形成なんてまともにおこなっていない貴族やら金にあかせて育てられたアホ二世は器が低くなり形も綺麗に作られず、全体的に様々な所から感情が漏れやすくなる為沸点も低く似た感じになりやすいんだろう。大体は否定なんてされる事無く好きな様に育てられるため、自我が強く、人の迷惑なんて考えず行動し、先に周りに相談なんて事も考えなくなる。人が自分の言葉に従う事を当たり前だと思っているのすらいて、そういう屑は本当にキャンキャン喧しい。」
「……まあ、普通に育っても人に対して屑貴族と同じ様に接する事しか出来ない人は居て、自分が間違えてるかもなんて思いもしない。そういう奴の根本は基本同じで人を見下しているから接し方が普通が一番まし、それ以外はなぜ自分の言うことを聞けないんだって怒る怒鳴る喚くしかないっていう……俺が居た頃の先進国と言われる日本でも全然普通に、特にパワハラ等の取り締まりの目が届き難い中小企業に山ほど居たな。ってスマン、最後の辺りは分からんな。」
結構抽象的な事も言っているつもりは有るのでちゃんと理解してくれているか心配は心配だが、真面目には聞いてくれている様だしもうちょっとだけ。
「と、まあ綺麗事だけじゃ無くてちゃんと現実も見て、良い奴も悪い奴もいると理解してほしい。勘違いしている者が多いが、聖者みたいな善人も居れば、悪鬼が霞む様な悪人も居るのが人間ってものであって、どちらかしか居ないってのは無いから。外見上善人そうに見える詐欺師やら死の商人なんて幾らでもいるし、外面が極悪に見える人が子供が好きで孤児院を経営していたり、自他ともに認める忠誠心の篤い騎士だったりでチグハグな事も有る。人の根本は善人、もしくは悪人だと偏って考えてしまった時は、殺人事件などの何がしかの事情で味方したい一方に偏った思考になっているだけか、それが都合が良いと思う権力や財力を持った人間に情報操作されているだけだろ。」
何人かは頭から煙を吹きそうなのも居るけど部分的に凄く頷いてるのも居て、簡単に投げ出さずにちゃんと考えようとしているのは良い事だろう。
ルーンとミナ、リーンハルトはしっかり理解出来る所が多い様だったが、逆に首をひねられると俺の考え間違ってる?とか思っちゃうのは前世で承認欲求を全く満たされる事の無かった俺の自信の無さだな。
ただ、喋ってたら言いたい事の根本が分かったような気がする。
「結局何が言いたいかというと、考える事を諦めない事と、そのための情報収集を必要不必要かかわらずおこなう事だ。……そうだな、言っていてやっと気付いたが、まずそこが最初だったな。うん、そこが基本だ。まずは常に考える事に慣れてもらう。戦闘訓練で戦いながらの思考能力を、外に出て依頼を受け他者との交渉等で騙されない程度の判断能力を。慣れてしまえば元が苦手でも最低限何とかなる、っていうか何とかならなかった場合様々な時に危機に陥りやすくなって最悪死ぬだけだ。」
「で、何かを判断する時は自分の中にある外からの情報と、経験による考え方と、当人の性格、更に周りの状況を含んだ第六感的な所謂勘の複合的なモノになると思う。けど、行き成り経験は増やせない上勘は生まれ持った物以上には短時間では鍛えようもない。様々な情報を持っていれば本人を知らなくても周りの情報だけでも類推できるが、本人からの情報だけでは幾らでも良い様に言って言い包めようとする人が相手の可能性もある。判断材料は自分や仲間の能力内であれば最大限持っておくべきだろう。まあ、余計な事を知ってしまうなんて事もないではないが。」
あ~、集中してしゃべりすぎたな。
体育座りみたいな感じで座って見ていたイーリスはそのまま膝に埋もれて寝てるようだった。
体を動かす事のほうが得意そうなルティアと、あまり深く考える事が苦手そうなデュークはうつらうつらしながらもなんとか起きていた。
「……長々とすまなかったな。今日はこの後夜まで何もないので、頑張って飲み込んでくれ。周りに居る頭のよさそうな人に聞いてもいいし、今のところ顔のわかっている中で話しても構わん。これから長いし無理することもない。で、夕方も近いが夜にはちょっと良い肉出して宴の予定なので、まだ運動しておきたい奴は俺たちに言ってこい。存分に相手してやる。……かかってきなさい。」
嫁たちを横に並べてちょいちょいと手招きしながら言ってやると、考えるより先に体が動くタイプだろうデュークが半分寝ていたようだったのに目が冴えたのか真っ先に俺に向かって来た。
「おっさん!勝負しよーぜっ!!」
まだ俺の事を全く知らない状態でいきなり来るとは何も考えていない事まるわかりだが、順位付けでもしたいんかね。
よく物語でおっさんおばさん呼びからの激高なんてあるけど、高校生の頃からおっさんやら親分やら呼ばれていた俺からするとどうでもいい話で、って前にも考えたような?
どうだっけ、ってどうでもいいか。
ただ、ぱっと見やけに楽しそうにしているし、もしかすると戦う事自体は好きなのか。
「ふむ、それは構わんが先に聞かせろ。何故、まず俺なんだ?」
「そりゃあ、決まってんだろ。先ずここで一番の奴を相手にしないでどうすんだよ。」
「しかもこんな森の奥に村を作って、何人も嫁にしてるとかよく分かんない事してますし。あのまま王都のスラムで腐ったまま死んでいくよりかはマシですが。真正面から貴方を確認したいので、僕も相手してもらいましょうか。今の状況なら考えるのは後から幾らでも出来ますので。」
同じ様な思いなのかリーンハルトも横に並んで戦意を見せてきた。
確かに戦いの中で分かることもあるが、さて子供たちにどこまでわかるやら。
まあ、どう考えても怪しいのは分かるので、ちょっと相手してやりますか。
「ふむ、ま、言いたい事は分かる。それなら真正面から相手してやろう。……こい!」
一番使い易いであろう木刀を渡し攻撃してくる意気軒昂な子供達を相手してやり時間をつぶしていると、良い感じで日が落ちてきた。
ロザはまだ他の人に話しかけに行けないのか、ずっと横でデュークとリーンハルトがやられているのを見ていた。
かなり凝視してきていてちょっと怖いくらいだが、そこまで強く打っているわけでもない事が分かっているのか全体を俯瞰しているように見える。
この状況で最適解を得られるとは、実は一番有望株なんかな。
ここで暮らして笑顔も増えぱっと見話しかけやすくなったシーラに群がっていた大人たちは、途中からこっちを見たまま固まってたが。
じゃ、後は美味いもん食ってゆっくり寝るか。




