第三十四旅 緊急事態発生
短いですがもう時間も無いので投稿します。
焦っているのを自分で理解しつつ走りながらガリオンにパスでと無意味に実際に声も出し、怒鳴って指示を出す。
『今そっちに向かっているから時間を稼げ! ガリオン!!』
『ガウッ!』
初めて聞くガリオンの救援要請に即森に突っ込んだはいいが、一kmほど走って多少我に返れたので進みながらガリオンの位置を従魔の繋がりから探ってみると少しずれた方向に進んでいた。
パスが来た方向も多少分かるが距離があるほどいい加減になる様で、方向を修正しながら既にかなり暗い森の中を光魔法で出した光球を自分の前方に浮かせて走っていると、更にパスでガリオンから嫌な声が聞こえて来た。
『ぎゃうんっ!?』
多分だが人か魔物に襲われているんだと思うが、今のガリオンならこの国に居る冒険者くらいなら逃げるくらいなら出来るだろうし、魔物ならそれこそこの森に居る魔物ならほぼ相手にならんだろう。
って言うかガリオンはキチンと従魔証は付けているし、一緒に移動しているヴィクトールかイースが狙われてんのかね?
ガリオンが俺の従魔となっている関係でそのまま配下扱いしているけど、実は繋がりが無いからガリオン以外に従魔証付いてないからな。
しかも、従魔と言っても言語を持っている訳では無いので、余りはっきりとしたコミュニケーションは取れないから今の現状を細かく聞いている余裕も無いし、急ごう。
一々時間を掛けない為にもパスでの方向修正とサーチでモンスターを避けつつ、出来るだけ無駄の少ない様走っていく。
緊急事態くさいので着いた時役立たずにならない様身体強化は少し弱めに変え六割ほどで進み、ここでやっと少しは落ち着いてきたと自覚できた。
そういえば大森林北側は来た事があるのでオートマップで大体は分かるから、パスで分かるガリオンの位置を合わせてみた。
帰る際最短距離を行くのであれば、アルス大森林西側から北上街を避ける為にガニア山を少し入って北へと向かい、山に沿って今度は東へ行くと以前行ったボルク村の南レティに会った辺りを通って更に東へ、ガニア山北東麓辺りに在る村に着くわけだが。
何か理由があるのか距離の近いガニア山西側回りじゃなく遠い東側回りで帰っていた様で、以前ガリオンを見つけたガニア山南東辺りに今居て、何か面倒が有った様だ。
本当はレティに単身で飛んで行って貰えば早かったのは後から落ち着いて考えれば分かるが、あの瞬間は反射的に飛び出していたので全く考えていなかった。
ただ、後付けで考えればあの人数をレティ無しで高速移動は出来ないし、丁度良かったと思って置こう。
あの瞬間全くそこまで考えてはいなかったが。
が、ガリオン達の安全を考えれば結果時間が掛かろうとレティに頼んだ方が良かったのは明らかで、やっぱりかなり焦って全く冷静に判断する事が出来ていなかった様だ。
今から戻って頼むのは時間の無駄だしこのまま進む事にして、今回の事は良い経験として次回に生かそう。
……余り考えたくは無いが、ガリオン達に何も無かったら、の話だが。
走りながら色々考えていたら更に落ち着いてきて、のんびり節約していてはまずい(いくら今までこんな時を視野に入れて体力と脚力を合わせた移動力を主に鍛えていたとしても、どう考えても数時間は掛かって間に合わない)のに今更気付いたので、魔力の節約は諦め何とか実用に至っている短距離転移を使って時間を短縮する事にした。
今はまだ覚えたばかりで目標が無いと位置を見失ってしまうので、一旦出来るだけ木の上の方に登り、先々の数百mおきの木々の上部で分かり易く目立つ所を探しつつ、目標をその上5mの辺りに取り次々と転移し、もう先に考える事は無いと集中を乱さない様無心で向かった。
------------ レティシア ------------
と自分の色々な経験不足が、とか考えているんでしょうが、実際こんな緊急事態初めてですので判断ミスも当然でしょう。
ガリオンも実力的にはそう弱い訳では無いですし、パスを繋いでご主人様を呼べるだけの隙があったのならば時間稼ぎくらいは何とか出来ると思います、多分。
実際にガリオンに何か有ったらご主人様はある程度自分の所為と思ってしまいそうですし、従魔として死に物狂いで頑張ってほしいですね。
まあ、ご主人様が最近覚えて何とか使える様になっていた転移魔法に気付ければ、間に合わないという事も無いでしょうし。
ちゃんとした挨拶はまたご主人様の前でして貰うとして、簡単にだけでも自己紹介を終わらせておきましょう。
「さて、ご主人様は行ってしまいましたので、ここは私が纏めましょう。先ずは事情や現状の説明……の前に自己紹介ですね。私は第一夫人のレティシアです。」
「私は第二夫人のオルガ。」
シレっと第二と言ったオルガは置いておきまして、先ずは入った順番に新しく来る子供達に自己紹介させる事にしましょう。
「ほらっ、次はあなた達ですよ。」
自分達は子供だし最後になると思っていたのか三人とも吃驚していましたが、私から見れば多少の年齢は意味を持ちませんから。
「……あ、ああ。えー、俺は……」
生意気盛りの子供達があわあわと自己紹介しているのは見ていて可愛いですが、一旦意識から外してアルにパスを繋いで今の状況を確認する事にしましょう。
『アル、アル、聞こえますか?』
『はいです。その声はレティシア様です?』
『そうです。そちらに何か異変は有りませんか?』
『?今、僕の分かる所では何も無いです。さっきシーラ達が狩りから帰って来て直ぐお風呂に入っている位ですし。』
『ん~~そうですか。(怪我も無いという事ですか。)……こちらは幾つか問題がありましたので少し戻るのが遅くなります。夜ご飯は先に済ませて構わないので心配無いとだけ伝えてください。』
『分かりましたです。お気を付けて。』
最後に何か思う所が有ったのでしょうか真剣に言って来ましたので、何も心配する事は無いと重ねて言ってあげましょう。
『任せておきなさい。新人含めて皆無事に帰りますよ。』
『はいです。』
ご主人様からの知識に、こういう時には面倒は重なって起きる事が多いと有ったので気にしてみましたが、流石に何時も何時もそうなる訳では無い様ですね。
半分意識を残して聞いていた自己紹介も三人の子供達が終わって、次はまだ私が知らないご主人様とオルガに買われた者達ですか。
一瞬目線をさまよわせ三人とも此方を見て来たので、順番はどうでもいいとも思いましたが一番責任を負う事になりそうな経営の女性からにしましょう。
「では私から……。」
やはりこういう状況に慣れている様で、チラッと見ると自分から出てきましたね。
順に話を聞くと、小さいながら王都で店をやっていたミナ、同じく王都の別の店の経理でお金の管理をしていたルーン、貴族も来る上流の酒場で踊っていたのがルティア、ですか。
こうやって奴隷となっているのに前二人は仕方ないという感じですが、ルティアは何か有りそうですね。
状況次第でご主人様の元へ急行したいですし、そろそろ行きましょうか。
「では、移動しますがあまり騒がない様に。」
「?この森の中からどう移動するのですか?」
余り奴隷だからとかで引っ込んでいる性格の者は此処には居ない様で普通に聞いてきましたね。
実際聞いたのはルーンですが、二人もタイミングが少しだけ遅く引きましたが口は動いていましたし、とても良い事です。
「まあ、実際に体験しないと信用出来無いと思いますが、空を行きます。」
「「「はい?」」」
聞き返してくるだろうと思っていましたので、無視してそのまま全員を50cmほど浮かせて様子を見てみると予想よりは驚きが小さい様にも……見えないですかね。
「ほわっ!?」
「「えっ!!?」」
「「「!!……っ!?」」」
「半数が声が出ないようですね。」
既に経験しているオルガは冷静ですが、慣れるまで時間を取る事も出来ませんしあまり気にしない様にしましょう。
私の魔力であれば風を除けながら飛ぶのも問題無いですが、出来れば着いた頃にはご主人様が解決して置いてくれると楽が出来ますね。
この状態でパスを繋げるのは向こうの状況も分かりませんし無理ですので、ご主人様を信用して彼女達や子供達に無理が出ない程度のスピードで進みますか。
ええ、着いたら終わってたら良いな、とか思っていませんとも。
行って来ます。無事終わると良いなぁ。




