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元オッサンの眷属使い  作者: 烏賊紳士
第三章 新しい関係ともふもふ生活
38/55

第三十旅 続・王都への道(変な果物情報有)

偶に深夜仕事から帰ってから書き変えたくなる事が有るので、今回から更新する時は基本朝三時に更新します。

 結局何とか日が落ちる前に目的地であるミゼーリ川沿岸に辿り着くことが出来た。

 オルガが調子こいて一回落ちたけど他は問題無く、任された正面からくるモンスターをキッチリ一撃で狩っていった。

 喋っている間に多少進んではいたけれど結構残っていた道を、三時間ほど魔獣に乗ったまま正面だけとはいえ剣術で何とかしたのは驚いた。


 余りそこを意識して頼んだわけではなかったが、オルガの成長が見て取れたのは良かった。

 身体強化魔法は有るが、基本自分を強化するだけのものだ。

 しかし、オルガは意識的に魔力を騎狼のイースと共に二人まとめて魔力で包み、全体で強化を図ったようだった。


 ゲームの様に魔力が残っている間は100%で、分かり易く魔力が切れたら効果も切れるなんて都合が良い物ではなく、本来他者に強化を掛けると時間経過で効果が減っていく戦闘中には使えないものだった。

 かなりお高いが身体強化の魔道具が(2~3%強化の弱めの物でも5万ソルはする)売れるのは、パーティ内に身体強化を使える者が居ても他の人へとかけられないからである。


 それを騎獣限定ではあるが常時魔力で覆い効果を与え続ける事で二人共かなり強化する事が出来ている。

 しかもまだ会ってそんなに経っていないのに、オルガは乗ったままでの戦闘にかなり慣れている様で俺的にはちょっと悔しい位だ。

 実は騎獣に乗ったままでの戦闘において、始めたばかりでまだ槍を十全に使えないんだよね。


 ガリオンだとそもそも高くて槍が届かないから、たまに剣牙狼のリーリヤに乗って練習しているだけだし。

 オルガは騎士だった訳で馬には乗れるんだろうし、既に騎乗戦闘自体に慣れているんだろう。

 今日は普通に野営をする気になったのでテントは出さず、一緒に料理の準備をしているオルガに今まで聞いていなかった事を聞いてみた。


「今更な気がするが、そう言えばオルガは騎士だったんだし馬には乗れるんだよな。」


「本当に今更ですね、主。勿論私も騎士でしたので、当然乗れますよ。しかもですね、これでも騎士学校では上位十人に入る腕前だったんですよ。まあ、家で乗っている時から騎士の兄より上手かったですし。」


 エッヘンと効果音が聞こえそうなほどあまり大きくない胸を張る可愛いオルガを、レティと二人微笑ましく見ながら料理の準備を進めていく。

 出来た物をボックスにしまって置くもの良いんだが、やはり出来立てを食べれるなら作っている最中の期待値も含め現場で作る物には敵わないと思うので、非常時以外はちゃんと作る様にしていた。

 用意した竈にイルメラに作って貰った鉄板を置き、綺麗なさしの入ったルビーリザードのモモ肉を結構厚めに三cmほどに切った物を三つ用意し準備OK。


「んじゃ、今日は力を付ける為にもシンプルに肉と飯で夕食にしよう。・・・でだ、ここ最近あまりやっていなかったし、たまには俺が作るから。飯を炊くにはもう少しかかるし、肉に塩胡椒した後は二人で話でもしていてくれ。せっかくの良い肉だし、米を失敗したくは無いから集中させてくれ。」


「分かりました、ご主人様。では、さっき言ったルビーリザードを何時何処で狩ったかの話でもしますか?オルガ。」


「そうですね、お願い出来ますか?」


「ふむ、え~・・確かあれはご主人様と私とで二組に分かれて修行していた時ですね。先月の終わりくらいでしたか。私と真夜、シーラの三人で魔の森の中層辺りへと行った時の事でした。あそこの森ですと今の私達でも油断は命取りになると言えるので、気配感知は常に全力で行っていました。」


「真夜が前衛でシーラを後衛として、産まれたばかりなのかオークキングが単体で居たので相手をさせていた時、感知範囲ギリギリの所に森の奥へとゆっくり移動している何かが居ました。気配自体が薄く、全力で感知しているのに出たり消えたりするその何かが気になりだした時に、丁度二人がオークキングを完封しそうでした。他に危険な者は居ないと感知で確認し、邪魔しないタイミングを計り後は任せたと伝え、すぐ戻れる様全力で消えかけている気配に向かって走りました。」


 後はもう火を調節しながら米を見守るだけになったのでチラッと話している二人を見ると、オルガがしっかりと話を聞いているからかレティも調子良く喋っていた。


「ざっくり説明すると、そこで見つけた訳ですが・・・そこからが少し大変でした。丘のふもとにある小さい洞窟で、実際中は50m程度で途中二股に分かれるだけのものだったのですが・・魔力の混濁がかなり酷い場所でした。感知はほぼ効かず、私が風竜で他の属性の扱いがそれ程では無いとはいえ、かなり集中して5cm程度の小さい明かりを作るのが精一杯だった時は、面倒になって戻ろうかと思ったぐらいです。」


「え~!?ホントですか?主の意で魔力の精密操作は皆かなり熟達していますし、その中でも一番長いレティ様はかなりの操作能力に長けている筈ですよね?」


「ええ、あれは厳しいですね。多分ですが、ご主人様と私以外では魔法自体発動出来ないと思いますよ。仕方無いので外で物質化魔法で双剣を出し消えない事を祈りながら入って行き、物質として固定されているからか消えないのが確認できたので、狩る事自体はパパッと終わりました。洞窟は短かったですからね。」


「えっ?ルビーリザード自体はそんなに弱かったのですか?隠密性が主でのランクとは言え5~6が付く魔獣ですし、そこまで弱いとは・・というか双剣持って行けたんでしたね。」


 喋っている最中に納得出来る部分を思い出したようで、オルガが一人納得して話が終わってしまった様だ。


 他にも二人で色々普段の話をしているのを何となしに聞きつつ待っていると、米が良い感じに炊けたのでそこから短時間でステーキを焼き晩飯にする事にした。

 野営時に一々机を出しているといざという時邪魔臭いので、直接15cmくらいのどんぶり茶碗に米をドン、ステーキをドンと乗せて出来上がりだ。

 どう調理すると美味いかによって違うが、塩胡椒で焼くのが美味い肉の場合これが合っているんじゃないかとは思う。

 見た感じ品は無いが。


「いただきます。」


「「いただきます。」」


 何時もはもっと話しながらになるんだが、レティもオルガも、勿論俺も一心不乱に肉にかぶりついた。

 厚めに切ったステーキだけで食っても、ご飯と一緒に食っても兎に角美味い。

 前世でもてはやされた柔らかい肉じゃなく、モモでもさしが有って柔らかいがそれ以上に赤身がかなり筋肉質で噛み応えが有り、噛むたびに旨味が溢れてくるようだ。


 合っているとは思うが、これと比べるなと言われそうでとても言い難いんだが、肉質的にお相撲さんと同じタイプなんだろう。

 筋肉に良い感じに贅肉が混ざり合っている感じが・・・・・って、あまりちゃんと考えると食べ難くなるからもうやめとこう。

 結局三人とも一言も発さずに食べ終え、飲み物を出し一息ついた。


「ふぅ・・・げぷっ、美味かった。」


「ご主人様、下品ですよ。・・美味しかったのは勿論ですが。」


「・・けぷっ・・・すみません。」


「オルガ・・。」


 俺の下品を注意した後、我慢できずに小さくゲップをしたオルガに呆れた目線を送るレティシアに、やっちゃった後横を向いて誤魔化すオルガが、ちょっとありがちな物語の様で面白かった。

 魔の森の浅層の生えているネルの木に生る中身が桃に似た果物ジュースを、イルメラに片手間に作って貰った木のコップに注いで冷やした物を予めしまって置いたので、皆で食後にのんびりしていた。

 皆で一口飲みながらまったりしていたら、この果物を見つけた一月前を思い出した。


「そういえば、これを見つけた時はまさか果物とは思わなかったな。」


「そうですね。この実を二年前に発見していたルガラテでは、魔の森の魔力で異常成長した特殊な実だと思われていて投擲用に使われていましたから。そもそも食べられるかなんて考えてもいなかったのでしょう。かなり硬い殻に覆われている上、表面に薄っすらと生えた毛に触れると即痒くなる性質を持っていて、表面に感覚が無いモンスター以外は痒みでこちらを追っている場合では無くなるわけですね。」


「ルガラテでは大体は戦士か狩人に投げさせていたようです。・・・確か。私も去年の頭にあのアホ子爵について視察という名の派閥巡りをしている時に初めて聞いたので、余り印象に残っていないのですけど。実際、主達と実物を見ても薄っすら前に見た気が・・とギリ思い出したくらいですし。」


 余り思い出したくも無いのだろう、オルガは話しながらかなりはっきりと顔を顰めていた。


「そうそう。で、カルカーンで高確率でモンスターの隙を作れる投擲用の木の実としてまあまあな高値で売ってたんだよな。魔の森で採取できる希少な物だ、と、確か一つで五千ソルの値が付いていたっけ。それでも実際に使った、しかもカルカーンでも知られ信頼された冒険者が効果を正しく保証していたから結構売れていたな。」


「一つ買って見てみると、なんか前世のココナッツの殻に桃の皮を足したような実で、もしかしたら中に桃の果肉とかココナッツの果汁が入っているかも、と割ってみようとしたら吃驚だったな。その時居たのがオルガとシーラだったが、物は試しと先ずオルガがナイフで切ってみたが全く刃が立たず。仕方ないので俺が数打ちとは言え剣で半分位本気で斬って分かった事は、果物一つ真っ二つに出来ないという衝撃の事実、というか現実だったな。これからの為にかなり必死で鍛えたつもりだったんだが自分の腕を疑う羽目になったのは、後から考えると笑えたよ。」


「まあ、その時は結構ショック受けてましたよね主。夕方くらいにこの事件が有って、その後夜まで呆然としている主をシーラがせっせと世話してましたっけ、そういえば。私は放って置きましたが。(ボソッ)」


 久し振りに思い出してみたが、確かに結構なショックで気が付いたらもう夜になっていてシーラの膝枕で天井を見ていた覚えが薄っすらと・・。


「うん、それは置いとこう。で、その時の実は五cmくらいだったが、割った中はかなりの水分を含んだ果肉がたっぷりとあって、ちょっと絞るだけでまあこれが甘くて美味くて。桃の果汁を凝縮した感じで、氷を入れて少し薄めて飲むにはぴったりだったな。」


「そうですね。それで、皆で採取する事にして、それから十日くらいで結構集めましたよね。」


「ああ。半日から一日かけて探して、一日から数日かけて収穫して、と探して収穫を繰り返してな。一々数えないで袋に入れてしまってあるから正確な数は分からんが、あの量なら百以上はあるだろ。かなり採れたから、当分はこのネルの実のジュースを皆で飲める訳だ。非常時の投擲用にもそれぞれ幾つか持っているし、良いもん見つけたよな。」


 後から思えば武器の性能の問題もあったので、後日イルメラに斬り裂く武器を作って貰った。

 出来れば刀が良かったが、物語の様に都合良く刀の作り方なんかは知らないので、最低の情報として形とかだけ伝えただけだったのでかなりイルメラに文句を言われた覚えがある。

 で、出来たのは俺の記憶が確かならエジプトに有ったシャムシールって感じの幅の狭い曲剣で、刀と同じ様に斬り裂く事を目的とした剣だった。


 結果を言うと、居合の様に腰に剣を差し横から斬ったら割と簡単に上部を斜めに斬り飛ばせた。

 後、途中で気付いてそのまま言わなかったが、レティに頼めば得意の風魔法で斬り割くのは簡単だったかな、と。


「はい、真夜の蜂蜜もそうですが、一々高い物を買わずに済むのは助かります。過去の異世界人が多少は砂糖が普通に流通する様にしてくれていますが、数年前に砂糖の流通を仕切っていた店の主が変わってからかなり貴族向きの商店になったってウィッツでリーンから話を聞きました。趣味のお菓子作りが出来ない、という話と一緒に。流通を絞って来たと思ったら、今迄世話になった相手をいきなり変えて貴族に媚び諂ったと。独占では無かったらしいので一般の流通自体が無くなった訳では無いようですが、出回る量が減ればどうしても希少になり価格が上がりますから。去年の始めから高級品になったようですね。」


 知らない間にリーンから聞いていたとレティが教えてくれたが、あまり良い情報では無いな。

 質の問題ではなく種類が、で、嫌な予感の現実化を含みそうな気がする。

 かなり低い確率ではあると思うが、先々に俺達に関係している所での問題にならなければいいが。


「・・・嫌な話だな。集団の主によって向く方向が変わるのは分かるが、余計な事をしていないと良いがな。」


 寝る前にするには微妙な話だったのでとっとと切り上げ、早めに寝る事にした。

 明日朝早くから起きる為にまず大体で時間を指定した結界だけかなり強めに張り、何時もの様に寝る前に魔力操作の訓練を始めた。

 今日は既にかなりの魔力を使っているオルガを先に寝かせ、レティを横に喋る事無く自然に修行を続けていく。


 何時も通り魔力でそれぞれの属性の小玉を作る所から始め、数を増やしたり減らしたり大きさを変えたりしつつ、身体強化も同時進行で行っていく。

 この世界での身体強化は、大体皆自分で扱いやすい強化率を最初に覚えて出来る限り短い時間で発動するよう修行するらしい。

 が、そうするといざという時に決死の覚悟での強化とかそこまでいかないまでも状況次第での運用が出来ない、もしくは良くても時間が掛かる事になりかねないと直ぐに分かったので、今では最低の強化で持久戦目的の5%から瞬間火力の80%までほぼノータイムで発動出来る様にはなった。


 ぼんやり色々と考えつつ、そういえば従魔には主人の魔力も食事になった事を思い出した。

 ご飯の後横で伏せているガリオンにデザート代わりの魔力球を不規則に方向を変えて向かわせると、俺の意図を察したのかガブガブッと喰いついた。


「ガウ♪」「ウォン♪」「ガフッ♪」


 かまいついでに三つの頭それぞれに餌をやっていると、良い感じに魔力が減って来たのでレティに後は任せて寝る事に。

 今日はこれも経験と久しぶりにテントでは無く普通の野宿にしたので、ガリオンの横腹にもたれて梳きはしたがちょっと硬めの毛に埋もれて眠りについた・・Zzz




 陽の光を僅かに感じ始めた頃、レティの声が聞こえた。


「ご主人様、ご主人様。」


 ゆっくり揺すられながら優しく呼ばれ薄っすら目を開くと、ガリオンに完全に埋もれていた様で黒い毛の中から所々光が届いていた。

 起きて周りを見ると後半の見張りだったオルガは少し離れた場所でイースと戯れていた。

 2mの狼と戯れているのを見ると一瞬襲われている様に見えるが、よく見ると力負けしない様しっかり身体強化してイースの相手をしていた。


 ふと思い出して横を見ると、レティの騎狼であるヘルハウンドのヴィクトールは離れた所で大人しく伏せている。


「あ~~~ふっ・・・ふぅ。・・そういえば、あまり見ないがレティはちゃんとヴィクトールの相手をしてやってるのか?遊んでやっているのを見た事が無い気がするんだが。」


「はい?ああ、騎狼というか騎獣に関してはこんなモノですよ。ご主人様は異世界のペットに近い扱いを考えている様ですが、かなり愛情を持ったテイマーでもそこまではあまりやりませんよ。どっちかと言うと競走馬とかではないでしょうか。世話をして訓練をして実戦や仕事に出す、という感じです。因みに仕事は鳥系従魔の伝書系が一番多く、狼や虎、地属性竜の下位種である地走竜などが人や物を運ぶ運び屋をやっていたりですね、細かい事は知りませんが他にも色々している様です。」


 従魔の通常の扱いを聞きながらレティの作った朝ご飯を食べて、寂しそうにしているガリオン達を村へと返し出発した。

 早い内に人が居ない所から川を渡り出来るだけバレない様王都への街道へ出る前に川べりを多少進み、昼前には王都へ着けるだろう辺りで街道へと出た。


「ふむ、この距離ならもうすぐ着けるな。」


「はい。この距離なら昼前には着けるかと。」


「遠くに王都が見えますし、間違いないです。ちょっと久し振りなんで中を思い出しておきますね。」


 それぞれ違う事を想いながら、以前遠くから見た時と変わらない暗い王都へと進んで行った。

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