第二十四旅 更にもふり、状況説明しました
ぽかぽかと暖かい日差しを浴び体の前後をもふっとした感触を夢現の中感じると、ガリオンを枕にフィニをお腹に乗せて寝ていた現実に戻って来たと分かった。
「ホ~?」
眼を薄っすらと開けると、俺が起きたと分かったフィニがクリッと頭を後ろに向け、何かあった?って感じで鳴いて来た。
起きたばかりで何か分かる様な行動をしていた訳では無いはずだが、枕のガリオンもその体躯に似合わない声で何か心配そうに鳴いていた。
「「「クゥ~~ン」」」
「ああ・・・すまんな。心配させたか。ん~・・<コキコキッ>っはぁ。」
実際に動いていた訳では無いと思うが、気分的に体を解してみたけど余りしゃっきりとはしなかった。
「う~ん、すっきりせんな。・・・もうちょっと癒させてな。」
少し体を起こして体を動かしていたが、まだちょっと精神的にだるかったのでガリオンにもたれフィニをゆっくりモフモフ撫でていると、少しずつではあるが癒されていった。
癒されながらのんびりしていると、気になったのかイーリスがディナを連れて近くまで来ていた。
物語で並列思考や並列存在みたいな感じで意識しない時も感知出来たりする事がよく有るが、自動で感知している訳では無い俺は意識していない時は気付けないので、気付いたら10m位まで近づいていた。
「どしたの?」
俺だけ水浴びに行かなかったから心配してくれたようだった。
フィニを抱えたまま起きてイーリス達を見るとまだ濡れたままで、連れて来たディナがちょっと離れた場所でプルプル水を弾いていた。
「おう、ちょっとな。ま、今は気にしなくて良いよ。後で皆で居る時に伝えるよ。」
「・・そか。じゃ、先ずは・・水浴び行こ。」
気を使ってくれたのかそのまま何も聞かず、そっと手を握って引っ張っていってくれた。
「ん、じゃ行くか。」
ついて行きつつ前のイーリスを見ると、真夜の糸で作られたシャツを着ていて透けたりはしないが、実は二番目に良いスタイルが濡れてハッキリ浮き上がっていた。
ゆっくりイーリスと従魔たちと川へと向かうと、皆結構はしゃいでいる様だ。
「こらセゥ、飛んで逃げては駄目よ。」
「きゃん!?」
シーラは走り出し川から上半身が出たセゥを尻尾を掴んで戻し水洗いを続けていた。
「ひゃっ!?ちょっとイース、冷気を出さないのっ!」
「ウォン!」
イースは体からと口からも冷気が溢れ出ていて川の表面に薄く氷が張ってしまい、春先でまだ少し温かい程度だったが一気に寒くなったのかオルガはぶるっと震えていた。
他はヴィクトールもディナも水は嫌いではないのか大人しく洗われ、俺が世話していたガリオンとフィニは元から慣れているので目を向けたら自分から水浴びしていたので一旦は放って置くことに。
「ほれ、お前らも来い。」
選ばれず俺が名を付けた三匹も大人しく付いて来ていたので、まず水に慣れさせる事にした。
猫系統では無いので前世での狂犬病的な物でもない限りそこまで嫌がらんと思ったが、皆大人しいものだ。
そのまま川に入ってテオは欠伸しつつお座りし、リーリヤとリンデはこっちを向いて俺からの行動を待っている様だった。
「ウォフ♪」
初めて毛を梳いてやるテオを先ず重点的に30分ほど掛けて洗ってやり、同時にリーリヤはアルに簡易的にちゃちゃっと洗って貰い魔法で温風を吹かせ乾かしながら二匹を櫛で梳いていく。
最後に一番デカいリンデをアルと二人で梳いた。
温風はずっと俺が吹かせていたが、気持ち良かったのか眠くなった様で梳き終わった二匹は伏せて寝てしまったみたいだ。
温風魔法として今使って分かったが、消したスキルの火魔法と風魔法もこの程度なら使える様だ。
と言うか、これが限界くさい。
やってみないと分からんが、多分個々での魔法も火は前世でのライター位の火種程度、風は扇風機の中くらいの風かって感じだろう。
「おしっ!これでいいだろ。少しは綺麗になったし、ごわついた感じも少しは取れたな。」
「はいです。続けていけば僕らと似た感じになるのではないかと思うのです。特に剣牙狼のリーリヤは結構期待できる毛質だと見て触った感じ思ったです。」
「うん、梳いてみたが皆先が楽しみだ。まあ、今の所アルが一番だけどな。」
従魔になってからすぐは兎も角家が出来てから一日と欠かさず洗って梳いて来たアルの毛質は、それはもう見事にふわふわモフモフで逆に触り過ぎない様に気を付けないといけないレベルだ。
褒めながらアルを抱きかかえもふってやっていると、また後ろのちょっと高い所からからふんふんと鼻息がして更に上から座った視線も感じた。
「はいはい、今からかまってやるから。」
フィニとガリオンも洗い、ガリオンは更に梳いてやり、その後皆で水場で遊んでいたら日も高く既にお昼過ぎになっていた。
色々あったのでもっと時間が経っている気がしてたが。
先に乾かしたフィニ達は考えていた通り村の周りを巡回に行って貰い、皆を温風魔法で乾かしながら家へと向かいつつさっき起きた事をざっくりだが伝えた。
「そんな事が有ったのですか。お体に他に何か有ったりはしませんか?大丈夫ですか、ご主人様?」
レティは俺の記憶を多少は持っているのでアルムの事も知っているし、話の内容も理解出来たのか体の事をまず心配して触れて確認して来た。
「へー、よく分かりませんが大変だったんですね。」
「そんな存在が居るのですね。私達エルフ族にも人族とは違う神を崇めている所が多いですし、そもそも知られていない神や力有る存在が居ておかしくは無いのでしょうけれど。」
「・・・確かに。うちにも・・そんなの居た。」
「魔物である私には神というモノはよく分かりませんが、そんな者が居るのですね。」
サラッと話に入って来たが、真夜は余り水浴びが好きではないので気配を消し気付かれない様大人しくしていたらしい。
毛繕いが必要なタイプではないし、たまの水浴びに付き合わん位かまわない。
以前に風呂は嫌いじゃないと言ってはいたので綺麗好きでは有る様だし、どちらかと言えば皆の中で一番入っているんじゃないかと思う位だ。
ま、風呂に入る事自体に皆慣れていないんだろうが。
そして皆の話を聞いていると分かるが、やはりこの世界には実際に神様はいろいろ居て(一人そうらしいのには会ってはいるが)ちょいちょい人の世界にちょっかいを掛けている存在の様だ。
以前は兎も角ここ最近は表舞台には出てきていなかったらしいが。
人族として噂にしろ何か情報を聞いていそうなオルガに聞いてみたが、大々的に降臨しない限り大体は人に紛れて生活しているので実際は分からないとの事だった。
後から分かる事の方が多いらしいし。
逆に魔物の真夜は物語だと魔王とかの人族の敵的な者の情報とか有りそうなんだが、全くそんな存在は知らないらしい。
そもそもモンスタ-は自然発生も多く、産まれた時から溜まって澱んだ魔力の状況に影響を受けていて、先ず本能のまま破壊行動をするのが基本。
で、その状況から生き残るのが最初の試練と言うか、野生の本能では無く人の悪意からの破壊行動なので誰彼かまわず襲い掛かって自分より明らかに強い者に殺される事も多い、ということだった。
ただ、家に戻りながら更に続けて話そうとも思ったが、今まで聞いていなかった神達の細かい事情も有る様なので、聞きかじりだけでもとても時間が掛かりそうで戻ってから大広間で聞く事に。
家に戻り、入って直ぐのいつもの大広間で落ち着いてから、皆の視線を受け一番そこら辺の情報を持っている騎士学校で習ったオルガと集落で伝承を聞いていたシーラが主で話し始めた。
ちなみにレティシアは、と言うか風竜とどこかの神の間に何かあったのか珍しく喋る気が無い様だ。
以前会った愛の女神ミルシアが神の中で司神といって人の想いで産まれ、人の信仰で育った神の一柱で、他には農耕の神ウスノノや戦神ジーランといった感じで何柱か存在するという話だ。
他にも罪神と言って司神と敵対している神も居て、人族の強い欲望に塗れ漏れ出た感情や魔力により生まれた神で、基本悪感情のみで作られた神なので本能として人の悪感情をくすぐり操り絶望させようと暗躍している。
司仕族と罪仕族といったそれぞれの神に創られた種族も居て、それぞれの司る物の為に行動している事が有るらしい。
数百年に一度位の間隔で稀に当の神自身が動く事も有るらしいが、罪神自身が動いたという情報は人、エルフ共に無い様だが。
続けて罪神関連の注意が必要な情報を教えてくれた。
「数人以上の集団から、大きい範囲ですと国での話し合いで、話が一切進まず時間が幾ら経っても全く進展無く、状況が悪くなり空気が悪く成ってくると罪仕族の者が入り込んでいる事を疑え、ってどこの国にも多少形は違いますが似た様な話が童謡や言い伝えにありますね。家でも教師に聞いたと思いますが、騎士学校で改めて学びました。」
「エルフ族にも似た様な言い伝えは有りますよ。草を見ろ、柔軟に対応する事が重要で、固執すると利用されたり事態が悪化したり碌な事が無い、と。いかなる事が有っても頑固頑迷に引かない者が居たら罪仕族の関与を疑えと。大体のエルフ族は外とのつながりが無いですから直接どうこうはほぼ無いのですが、精霊を装ってたり夢を使ったりする事が出来る者も居て、幾らでも唆せるようです。」
「人族は人数も多いしそれぞれの欲望が多種多様過ぎて操られる事が多いのも問題なのですが。よく有る事で例を上げますと、先ず個人では幼女趣味や横領から窃盗、強盗、殺人衝動まで上手い事唆して実際に犯罪を犯させ、集団だと他種族に対して自分の種の方が優れているから支配してやるんだーとか、宗教関係者を唆し自分達の教えに沿わない者は背教者として殺しても構わない、と現実に沿わない事を大した理由も無く言い出す様仕向けたりと、混乱の原因を自分達で作ります。全く関係無く、元からの資質の事もまま有りますが。罪神の力の源である負の感情や魔力を効率良く世界に溢れさせる為に活動している、と長老から聞いた事が有ります。」
二人とも思い出しながら色々教えてくれた。
司仕族の事については考えれば分かる内容で、余り目新しい事は無かったが。
基本仕える者の司る物と罪仕族の排除の為に働くが、司る物によっては行動にかなりの違いがあるらしい。
あと、神官の通常の業務に関してざっと聞いた感じだと、以前会った本人かは分からん愛の女神ミルシアの神官は基本結婚の契約と夫婦の祝福や、夫婦や恋人の相談に乗ったりといった感じらしい。
他にも戦神ジーランや闘神ジートルの神官は、戦いに参加して味方を鼓舞したり相手を威圧したりで実際に戦争に参加もするし、個々の決闘の立ち合いもする。
農耕の神ウスノノの神官は、ピンポイントで土地の蚯蚓を強化したり範囲内の作物の病気に対する抵抗力を上げたりで、一所に居付く事は無く旅をしながら農地を改善していく。
商人の神マイカンルーフの神官は、馬や馬車を強化する事で商人と商品の移動を助けて販路を広げやすくなり、移動時の危険も減らす事で流通を人の暮らしを助けている。
死神ファグリーの神官は通常の葬式と、亡くなった人がゾンビや死霊にならない様溜まったまま残っている魔力が有った場合浄化して世界の循環に戻している。
鍛冶神ドッダーグはこの場に知っている者が居なかったので、知っているであろうイルメラに今度聞こうと思う。
あんまり自分達には関係なさそうだし憶えていたら、だが。
一般人に関わりの有る神は大体こんな感じらしい。
今必要な話が終わったので、昨日から考えていた事を伝える事とした。
「うん、大体こんな所か。じゃ、最後に昨日から考えていてどうするか悩んでいたんだが、ちょっとこれからの事で決めた事が有る。」
「はい?どうしたのですか?」
横で大人しく聞いていたレティが即座に聞き返したので説明する。
「うん、今日から始動と言ったが、当分そのままになりそうだ。覚えたばかりの空間魔法の能力検証もあるし、結婚したからには色々と・・それぞれとそういう時間も取らないと、と思ってな。」
パッと思い当たるフシが無かったのか皆不思議な顔をしていた。
「?そういう時間ですか?」
「???」
「・・ああ、なるほど。」
「?・・・!?夜の・・こと?」
言い難かったので少し遠回しに言ったが、性欲の少ないレティやシーラは直ぐには分からなかったようだ。
オルガとイーリスは少し考えて理解出来たみたいだが。
「そんな訳で、先ず皆と一日ずつ時間を取る。皆の行きたい所に行くし、やりたい事をやるので考えておいてくれ。で、夜の事もそうだが、魔法の検証などで俺は時間が掛かるが、朝これからはやりたい事をやると言った通り皆は他の時間は好きにしてくれ。」
「「「はい。」」」
「はーい。」
「・・うん。」
最初の三人ははきはきしていていいんだが、オルガはちょっと適当だしイーリスは理解出来ている筈なんだが微妙な感じで不安が出てくるな。
・・・・・ま、気にする事も無いか。
「もう今日は良い時間だし、明日からレティシア、オルガ、真夜、シーラ、イーリスの順で今週中に出掛けるなりするから。前日の晩飯の時に伝えるので考えておく様にな。俺もやる事が有るし、伝える事は伝えたから後は好きにしててくれ。」
俺の覚悟が揺らがない内にと思い晩飯にハンバーグっぽい物に舌鼓を打った後、レティに明日デートするぞ、と伝えた。
次回4月5日0時投稿予定




