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元オッサンの眷属使い  作者: 烏賊紳士
第二章 仲間を増やしつつ修行中です
28/55

第二十旅 約束って大事だと思いました

 皆を連れてまた依頼表を見に行くと、今度は知り合いが居た。


「マルギットさん。お久しぶりです。」


「おお。ユウ君か。久し振り。ん~・・うん、元気にやっているみたいだね。キミ達皆かなり強くなっている様だ。」


「ありがとうございます。」


 魔力感知が有る人なので、魔力量で判断したようだ。


「今日はお1人ですか?」


「うん。今日はアニーとご飯の約束が有ったんだ。なんで迎えに来たら、ごたごたしててね。ちょっと残業になりそうだと聞いたから、暇潰しで依頼表見てただけ。」


「あ~。すみません。原因は俺じゃないですが一因ではありますし、そのごたごたの中にはいましたので。謝っておきます。」


 後ろの女性達を見てから謝ると、マルギットさんは察してくれたみたいだった。


「そうか。大変だったみたいだね。ただまあ、他にあんなのが居ないわけではないが、これから少しはここのギルド内が静かになるよ。」


「そうなってくれると良いですが。そう言えば、依頼表を見ていましたがカルカーンへ行く護衛の依頼とか無かったですか?」


 ちょっと顔を顰めながらではあるが、説明してくれた。


「ん~、確か有ったけど、依頼主がね・・・あんまりお勧めしないよ?」


「何故と聞いてもいいですか?」


「ああ、冒険者内ではまあまあ聞く話でね。ガルダンって奴のダラス商会って所の商隊なんだけど。かなりケチで有名なんだ。いろんな事にケチ付けては依頼料や必要経費を減らしに来るらしくて。まあ、見てみれば分かると思うけど、依頼を受ける人自体減っているのか明日出発みたいなのにまだここに依頼表が有るのが良い証拠だよ。」


「は~、なるほど、ありがとうございます。一回くらいは経験として護衛の依頼を受けてカルカーンへ行くつもりだったんですが、自分達だけで移動した方が良さそうですね。」


「そうだね、それが良い。で、キミ達カルカーンへ行くのか。戻って来るのかい?それとも、そのまま向こうでやって行くのかな?」


「当分は向こうにいるつもりですが。いい魔道具が有るらしいですし、お金を貯めて戦力の強化が出来ればと思いまして。」


「ほうほう。私も偶に行くけど、探せばかなりの物も有るよ。その分値段もかなりの物だけどね。キミ達が真面目に依頼を受ければランクもすぐ上がるだろうけど、戦力の強化と言っていたしまだ上げる気は無いんだね?」


 やはり見る目が有る人にはバレているみたいで、ちょっとだけ声を潜めて聞いてきてくれた。


「バレてましたか。まだまだ納得はいっていないので、それ迄の期間ですね。」


 他にも色々あるけど、身内以外には言えない事なので最低限の事だけ教える。


「そっか。一回くらいは一緒に依頼でもと思っていたんだけど、戻ってからなら良いかな?」


「いや、最初に会った時もそうでしたが、良いんですか?他のメンバーが居ないのに決めちゃって。」


「大丈夫、だいじょーぶ。そこら辺は、大体は私が、もしくはアリスとで決めているから。イサークは外では戦ってりゃいいし、ヨハンは基本付き合い良いから余程の事が無ければ断らないしね。」


「そうですか。なら、戻ってからで良いなら何か依頼を受けますか?」


「そうそう、先輩の頼みは受けるもんだよ。てゆうのは冗談だけど、楽しみにしとくよ、ユウ君。」


「はい、その時はお願いします。で、流していましたが聞いていいですか?」


「?何を?」


「結構楽な格好な気がしますが普段着ですか?」


「うん?そうだよ。ああ、ちょっと刺激が強いかな?あまりごちゃごちゃしたのは好きじゃなくてね。」


 マルギットさんは、ローブでは分からなかったスタイルをハッキリが分かる服を着ていた。

 露出が多いわけではないが、体の起伏の分かりやすい装飾の少ない服だった。

 出るとこは出てるスタイルでしかもズボン姿なので、茶髪ショートの髪と喋りも含めてボーイッシュな感じもあるが、上着のふんわりした感じと合わせるとかなり可愛い感じも在る。

 個人的には可愛いとも思うけど、成り立ての冒険者の女の子とかにはお姉さまとか呼ばれていそうな気もするな。


「いえいえ、とても可愛いですよ。確かに刺激的でもありますが。」


「むぅ・・。なんか慣れてないかい?スタイルには自信が有るし、キミ位の年齢ならもっと私の胸を見るもんだけど。」


「いやいや、見ても良いんですか?俺だって男ですし当然興味は有りますが、尊敬出来ると判断している相手にしかも目上の女性に不躾な事は出来るだけしないですよ。出来るだけでは有りますが。大事なんで二度言いましたが、興味は有るのでそう言う相手でも許可が有ればもちろん見ます!遠慮なく!」


「おうっ!?いきなりそんな力強く言わなくていいから。・・・本当にビックリしたな~もう。」


「はははっ。すみません。そんな感じです。」


「ふふっ。・・そうだね、戻って来た時もっと良い男になっていたらちょっと触らしてあげようか?」


「!!本気ですか?こんなやりたい盛りの男にそんなこと言って、冗談じゃ済まさないですよ?」


 流石に他の連中に聞かれるとまずいので、だんだんと声が小さくなっていきながら話していると、アニーさんが仕事が終わったのかこっちに歩いてくるのが見えた。

 マルギットさんも気付いたみたいだ。


「んーっと、もう終わりか。ま、戻って来た時にちゃんと成長出来ていたら、だけどね。期待していて良いからね。頑張れ男の子。じゃあ、またね。」


 と、離れる際に頬にチュッとキスしていってくれた。

 既に確認していたけど、俺は別にイケメン化した訳では無く変わらずギリ並みって程度なんだが、こっちの世界ではそもイケメンなんて言葉も無いし、価値をそこに置かないのが常識なわけで。


 前世ではオッサンくさい外見はコンプレックスになっていて、当然の如く女性の扱いが違うのは解るしそこが基準になっている所では期待なんて当然出来なかった。

 キャラ付けという人を縛る言葉まで出て来て、それこそイケメンやら育メン、ツンデレ、ヤンデレなんて、その言葉を付けられたらそれに合った行動をしないと期待と違うと責められる様なものもあった。

 占いとかでもそうだが皆一部合ってるとか程度なんだと思うが、一言で人を表すのってゲームでもない限り表面上の物だけとかじゃないとどう考えても無理だろうに。


 マルギットさんを見送りながら加速された思考の中長々と今更な事を考えてちょっとテンション下がっていたら、パスで話していた訳では無かったが何となく雰囲気で理解したのか今まで黙って見ていたレティが後ろから抱き着いて来た。


『すまんな、レティ。ちょっと前世の事を思い出して、長い平和で無駄な事の多い世界だったと。ただただ自分本位に動き、自分達さえ良ければいいと他の人にかかる迷惑を考えられない人も居た。まあ、この国の貴族や官吏もあまり変わらん様な気がするがな。』


 内容も微妙で、他の人に気付かれる事になるかもと、魔力パスで皆と話す。


『余りこちらも変わりませんよ、ご主人様。人の本質は変わりません。善を、悪を、同じ様に内包するのが人です。そちらの世界で何故表面だけでも片方だけと言っているのかは分かりませんが、そもそも善悪を決めるのも人だと言う事ですね。誰にとっての善なのか示す事が無い、そんな一部の人間にだけ都合の良い状態では、権力者側の人間は様々な事を間違うでしょう。』


「ふう・・。もう宿に帰って、明日の準備でもするか。」『んー、すまんがレティ、面倒が多くて疲れたし宿で膝枕してくれるか。』


まだちょっと恥ずかしいので直接ではなく、パスで三人に甘えつつ宿に向かった。


「そうですね、宿へ戻りましょうご主人様。」『かしこまりました。宿でゆっくりしましょう。』


「はい、主様。」『ワタクシは、マッサージして差し上げます。』


「・・帰ろう、ユウ様。」『僕も一緒に・・・マッサージする。』


 宿に帰ると、ちょうど夕飯時だったので先ずみんなでご飯を食べた。

 いつも通り美味い猪肉がメインの定食を食べ、部屋へと戻る。


 部屋に戻ったから、お願いした事をやってもらう事にしてベッドに転がる。

 ベッドでレティに膝枕してもらいつつ、シーラとイーリスに腕や足をマッサージして貰う。

 誰も居ない所でならレティ以外にも甘えるのもやっと抵抗なく出来る様になった。

 気持ち良くてうつらうつらしていたら、気が付いたら夜になっていて両脇にシーラとイーリスの2人がそのまま寝ていた。


 忘れていた戦利品に今日の残りの魔力を注ぎ込み何か変化は無いかと見ていたら、腕輪に埋め込まれている綺麗な球形の宝石っぽい魔晶石に近いだろう物に一つずつ魔力が籠っているのが解る。

 今日の余り使っていなかった残りの魔力だと、三つの魔晶石に貯まりきった辺りで魔力がほぼ尽きた。

 全部で15付いているので、確かにかなり魔力を込められる事になる。

 結構増えて来ている俺の魔力でも、数日分の魔力は込められそうだ。

 一気に魔力を込めて魔力切れを意図的に起こし、良い感じの疲労感に包まれながら眠りについた。




 翌日ギルドに依頼を受けに行くと、面白そうな緊急依頼が有った。

 今は皆ランクは3に合わせてあるのだが、ランク3のオークナイトが集落を作り出しているのでランク4扱いの殲滅の依頼だった。

 最低、ランク3以上のパーティでの依頼になるらしいので参加は可能だった。


 大体オークはゴブリンのパワー強化版ぐらいの相手で、連携もあまり取って来ないし武器は使うが基本こん棒とか酷いのは太い木の棒とかだけで、力と耐久力が高い為一撃に注意しつつ短期決戦に出来れば怖い相手では無い。

 通常のオークはレベルも10後半から30半ばくらいだし、数で押すと言っても今回の依頼はもう確認が取れていて三十数体の集落との事。

 今現在状況としては集落を形成しかけていてナイトの確認が取れているだけらしく、メイジやジェネラルもしかするとランク5を超えるキングが居る可能性はかなり低いがあるらしい。


 ちょっと嫌な予感がしたのでアニーさんに確認を取ってみたら、既にオーク集落討伐の面子の中にランク6パーティの巨人の力がリーダーとして参加しているとの事だった。

 獣の牙の事もあるし自分から問題を起こしに行く気は無いので、冒険者が足りないと言う事もなさそうだったし、この緊急依頼はスルーして別の依頼を受ける事にした。


 緊急依頼に流れたのか幾つか残っていた討伐依頼の中から、今の俺達では簡単なホブゴブリン数体の討伐依頼が別に入っていた。

 はぐれを見つけたとランク2冒険者から情報が入っていて、増える前に早急に討伐して欲しいとの緊急では無いが急ぎの依頼だった。


 今迄の経験で出来ない訳は無いと知っていたが、声を出さずシーラとイーリスに確認してみる。


『2人で殲滅出来るか?』


『可能です、主様。』


『出来る・・よ、ユウ様。』


「よし、ではこれを受けるか。」


 片道3日弱かかるオウマ村からの依頼で、村の冒険者が発見したが今居る者で討伐は無理と依頼が此処に来たらしい。

 1週間以内に討伐して欲しいとの事なので、ついでにモンスターが湧きやすいらしい魔力の森で今まで相手していないモンスターを狩ろうかと予定を立てる。

 後、オウマ村は漁村なので特産の魚介を食べれればいいとは思うが。

 最近ご無沙汰だったマリアさんに依頼表を渡し作業の後、半券を貰いパーティで依頼を受けオウマへ出発する。


「さて、レベルを上げてくるか。」


「頑張ります、主様。」


 こくこくと頷きつつ背に武器を付けたイーリスがついてくる。


「ご主人様、今回私達はどうしましょうか?」


「2人の仕事に邪魔が入らない様、周りの掃除が最初にやる事かな。その後は状況次第だが、魔力の森と言われるのは伊達ではないのでモンスターはかなりの頻度で湧いてくるし、全員である程度表層は狩り尽したいくらいだな。」


「なるほど。先ずは雑魚狩りですね。」


「そうだ。ただ、森に漂う魔力が濃くて感知持ちでも感知能力はかなり低下するとギルドで聞いたので、あまり無理する気は無い。このメンツに代わりは居ないしな。俺の空間把握等を足した感知を確認してからだが。」


「かしこまりました、ご主人様。」


「後、今日は野営時に試したい事が有るので魔力の森の縁に沿ってオウマ村へ進む。俺達なら本来は三日掛かる道程を、今からで無理せずとも半分弱は行けるからそこでゆっくり野営をする。イーリスには幻術で頼むことが有るから。」


「わかった。・・・頑張る。」


 4人で見つからない様レニの森を早めに駆け、遅めに昼位に出たのに夕方には半分手前位に来たので、森から少し離れた場所で野営の準備をする。

 練習通り印に魔鋼のナイフを10m位の幅に刺して、内側に敵性の物を一切通さず匂いは外に出さないドーム状の結界的な物を空間魔法のバリアの要領で張ってみる。

 ボックスから出したテントを張っているイーリスに、さっき言っていた頼みをする。


「イーリス、幻術でこの空間を隠せるか?」


「うん・・。余程感知に優れない限り、触られなければ大丈夫。・・更に・・ユウ様の結界が有るので・・問題ない。」


「主様ほど魔力が有り、常に魔力感知している様なのはそう居ませんので、大丈夫かと思われます。」


「そうだな、シーラ。今日の見張りはいつも通りレティは通しで、シーラ、俺、イーリスの順番でいつもの大体三時間で消える蝋燭で判断して交代だ。」


「主様、そろそろ我々も慣れてきましたし、見張り時にいつも負担をかけるのも心苦しいですので、今日からはワタクシ達も真ん中で見張りを行います。先ず、今日の所はワタクシが。」


「ふむ、そうか。では、今日は俺が最初に見張るから、2人はテントで休め。」


 毛布を渡し2人を休ませる。

 五分もすると、すぐ寝息が聞こえてくる。


「2人共冒険者として大分慣れてきてくれたようで、こっちの事も気にしてくれているし少しは良い感情を持ってくれていればいいが。」


「何言っているんですか?ご主人様。一度言いましたが、この世界では奴隷は使い潰しても良い、生き物では無く物同然なんですよ?下手をしたら女性はそれこそ性奴隷とか、毎日魔力を使い切り気絶させられるような不毛な土地の開拓へ行かされたり、戦闘時に盾や囮として使われる事もあるんです。彼女達は犯罪奴隷では無いのでそこまで酷い事には余りならないでしょうが、誤魔化す事が出来ないではないらしいですから。・・私は知りませんけど、人はどちらにも極端です。勇者の様な者も居れば、歴史に残るような悪人も居ます。直接は言いづらいのでしょうが、とてもとても感謝しているとの事です。」


「なんだ?そんなこと聞いてんのか?」


「はい。ご主人様は皆と一緒にいる事が多いですから仕方ないですが、私はそれこそ見張り中とかによく2人になりますし、私自身にも興味は当然あるでしょうし。色々話していますよ。」


「ふむ・・。俺ももう少し、それぞれと話す機会を持った方が良いかな?たまにかわいい反応されると、撫でてやりたくなったりはするんだが。」


「そうですね・・・。シーラは私達の中では人換算でも年上ですが、エルフとしては若い方だと言っていたのでそこはかまってあげればいいんじゃないですか?ああ、ご主人様の知識だと女性に年齢や体重を聞くのは論外だという認識ですね。こちらの世界ではほぼそんな事は無いですから、その辺りもご自分で聞いてみたらどうでしょうか?」


「そうなのか?」


「ほぼ、ですけれど。お金と時間に余裕のある体面を気にする貴族や豪商の女性とかは別らしいです。やはり、ご主人様の前世の世界ほどこちらには余裕は無いですから。みんなそんな些末事はどうでもいいんですよ。まあ、年齢に関しては寿命が違う種が結構居る事も原因の一つだと思いますけどね。」


「今回の依頼中にでも色々聞いてみるよ。ありがとう、レティ。」


 撫でてやると、テレテレと赤い顔で俯いている。

 そう言えば、レティは生まれてほぼ直ぐに人化出来たので、通常の竜の姿はまだ数回見ただけなんだよね。

 寝る時に竜の姿の時が有ったが、最初の一月位で無理が出て人型で頼んだし。




 翌朝起きて直ぐにオウマ村へ移動を開始する。

 一々村の狩人や若いのに絡まれたりが面倒だったのでレティと2人で村へ行き、後のシーラ達2人で先にホブゴブリンの調査をして貰う事にする。

 最低限の交渉のみで必要かは分からんが3日村の宿に2人部屋を借りる事にして、とっとと終わらせる為に合流しに村を出た。

 一時間位だったはずだが、魔力の森に近づいて行くと2人が森から出てくるところだった。


「状況は解ったか?」


「はい、主様。少し離れた場所から森に入って普通に三十分くらい進んだあたりに少し木々が開けている所が有り、小さな集落らしき場所が有りました。村の周りには、ホブゴブリン共が少し狩ったのかあまりモンスターは居ませんでした。ただ、何かあったのか先程村を遠くから見ていたら騒がしくなっていました。」


「ふむ、デカい獲物でも狩れたのか、ゴブリン系だしもしかすると何か有って急を要するかもしれん、か。少し時間を掛けてもいいかと思っていたが、すぐに状況を正確に把握した方が良さそうだ。行くぞ!」


「「「はい!」」」


 3人を引き連れ、シーラの示す方向へ進んで行く。


 身体強化して、十分で村が見える位置に着いた。

 ちょっと嫌な予感がするので、本当はシーラ達の経験にするつもりだったが即制圧する事にして、一旦は村からバレない場所に位置取る。

 この方法を使うと訓練にならないので避けたかったが、状況を鑑みるに・・・致し方無い。


 レティに風魔法で不自然にならない様風を動かして貰い、麻痺の吐息を使ってもらう。

 家っぽい物もあったが、どう見ても隙間だらけなので問題無く一気に麻痺して倒れていく。

 三分ほど待ちまだマヒしきっていないホブゴブリンが居る中、3人には倒れたホブゴブリンに止めを刺させ、自分は目星を付けていた一番まともな家へ突入する。


 当然カギなんか掛かっていないので、バン!と勢いよく開け中を確認する。

 中には外にいるホブゴブリンよりデカい2m位のホブゴブリンが腰布を外してぴくぴくしながら倒れていた。

 が、そこは無視して部屋を見渡すと奥にむしろを敷いたような場所が有り、服を破かれた女性が気絶していた。

 女性にボックスから出した毛布っぽい布を掛けつつ、一旦鑑定してみる。

 ____________________________

 ウルリーカ 人族 女性 16歳 B80W62H81

 狩人 レベル7

 スキル

 解体 薬草知識


 ホブゴブリンウォリアー

 魔物 レベル43

 スキル

 剣術2 体力増大

 ____________________________


 今までと違う情報が出た。

 ビックリだが、裸の女性を見るとスリーサイズも解るらしい。

 鑑定のレベルが上がったからか、俺の願望から覚えていた物で実はただの鑑定の時から裸を見れば分かったのか。

 あまり変わらない気がするが、後者じゃない事を祈る。


 しょうもない考えは置いといて、女性の状況を確認する。

 もう毛布は掛けてあるが、先程見た時は外傷は無かったし息の有無を見て大丈夫そうなので一旦そのまま寝かしておくことにする。

 ウォリアーに止めを刺して表に出ると、もう全滅させた後らしく討伐証明部位と魔石を解体している最中だった。


「もう終わったか。こっちも何とか間に合ったよ。女性が犯される寸前だったみたいだ。」


「ご主人様、それは良かった。こちらは一匹残らず殲滅出来ました。別動隊が戻って来る様子も有りません。」


「そうか、レティとシーラはこっちで女性の世話を頼む。布は掛けてあるから。」


「かしこまりました。主様。」


「俺はその間にイーリスとこの集落もどきの処理と周りの警戒をしているから終わったら呼んでくれ、レティ。」


「はい。」


 ホブの処理と女性の世話を任せ、周りに有る家らしき物をもう使えない様結界で包み他に影響が無いよう灰にしていく。

 何時もよりかなり範囲の狭いサーチで周りを気にしながら、ウルフの群れらしき反応が少し遠くに有る位なので気にせず家と魔石を抜いたホブゴブリンを念のため土魔法で大きな穴を開けて焼いてから埋めていく。

 最後にウォリアーから魔石と討伐証明部位を解体し、これも焼いて埋める。


「じゃあ、様子を見に行くか。」


「はい、ご主人様。」


「・・・行こう。」


 その後、起きた女性に特に惚れられたりせずに事情を聴いた後、世話をさせたシーラとレティにそのままウィッツに送って行かせた。

 ウィッツの冒険者だったらしく、ランク1依頼で薬草を集めていたらしいが集中し過ぎて魔力の森に近づきホブゴブリンに捕まったという顛末だった。


 残ったイーリスと近くにいるウルフ系を狩りながら、浅い所を掃除していく。

 食用には適さないので、イーリスが魔石を抜き皮を剥ぎ俺が残りを焼いて埋めていく。

 サーチを頑張って少し広げると少し奥に今まで会った事の無い、気配的には強そうなモンスターが単独で居そうなので、今日の最後の締めとして2人で狩りに行く事にする。

 先に遠目から確認したら、腹の出っ張った巨人だったので見た目だけでトロールと確認できた。

 しかも、会った事無いと思ったのは正しいらしく、鑑定してみると変異種のロックトロールで表面が普通と違った。


「イーリス、俺達なら遠距離で安全に狩れるが、今からの狩りは制限を付けて狩る。」


「??遠距離がダメなら・・魔法不可?」


「そこまではやらん。危な過ぎるしな。攻撃魔法無しだ。身体強化も幻術も使って良い。ただ、攻撃はその大鎌だけでやってもらう。」


「・・わかった。・・・ユウ様は?」


「俺はフォローの為、基本は後ろで見ているよ。危ないと判断したらか、イーリスから呼ばれたら、参加するから先ずは頑張れ。」


「・・やってみる。」


 送り出しはしたが、はっきり言って全く心配していない。

 大鎌を扱うのも慣れてきているし、身体強化と幻術が有れば特に鈍い巨人系は楽勝だろう。

 そもそもスピードが違うので普通に当たらないし、幻術併用なら危険な事なんか何もない。

 一応万が一が有ったら困るので、バリアを張る準備だけはして置く。


 20mほど離れた場所で、鑑定しながら順調に弱らせていくのを見ている。

 ____________________________

 ロックトロール

 魔物 レベル66

 スキル

 怪力 痛覚鈍麻 皮膚装甲 超回復

 ____________________________


 見た目通りの所持スキルだが、イーリスには大鎌の呪いで小さい傷から順調に弱らされていく。

 超回復ってスキルのお陰か治り始めはするが、受ける傷が増えれば増えるほど呪いで回復力は低下している様だ。


 幻術アリにしたのでやはり別の場所に自分を映しているらしく、関係無い所をこん棒で叩き付けている。

 振り回した時だけ、しゃがむなり状況によって大きく躱せば問題無く、まだ今のイーリスでは即切り捨てたりは出来ないみたいだが、隙を見て攻撃終わりや振りかぶった時に無理せず切り傷を付け出血を強いていく。

 10分位で大分血液が足りなくなったのかふらふらして来たので、可能性を潰しておく。


「イーリス!弱って来たり劣勢になったりすると、そこを利用して隙をついて来たり予想外な事をして逃げたりが有るので油断はしない様に。」


 相手を見据えながら、頷き更に攻撃を重ねていく。


 かなり弱って来たとわかる頃、攻撃を外しながら少しずつ腕がパンプアップしてきていた。

 最良は一撃での形勢逆転だろうが、地面を叩いて煙を上げるか予想より威力が有るなら地面を爆発させるかで視界をふさぎ逃げると考えられる。

 ただ、イーリスも戦闘経験は俺達より多少少なくとも、その中でも常に考えろとは教えているので問題は無い。

 しかも今回は動きの遅いトロール相手なので、見る余裕もあるだろうし。


 動きつつ戦っていたが、ちょうどトロールから見て俺とイーリスが重なる辺りでこん棒を明らかに全力で振り上げた。

 その時を待っていたのかイーリスが体を低く保ちトロールに突っ込んだ。

 読み切っていたのか直前に飛び上がりつつ大鎌を斬り下ろし、こん棒を振り上げ切ったロックトロールの頭に突き刺さった。

 

「グオオオオオォォォ・・・。」


 断末魔の叫びを上げて、そのまま後ろに倒れていく。

 <ズズゥン!!>と轟音を立てて倒れたトロールを前に、教えた残心をし終えたイーリスに近づき狐耳の頭を撫でてやる。


「よくやった。ちゃんと悪あがきを見破っていたな。」


「・・ユウ様が教えてくれた通りだった。・・・そろそろ何か有るんじゃないかと・・全体を見ながら思ってたら、腕がおっきくなってきたから・・。」


 そのまま狐耳を中心に撫でてやっていると、気持ちいいらしくほにゃーんと目を瞑り惚けていた。

 ちょっと集中して撫でてやっていたら、サーチが解けていた様ですぐ後ろに草を分けて歩いてくる音が聞こえて来た。

 ヤバッと振り向くと、戻って来た2人がちょっと呆れた顔をしていた。

 イーリスを一所懸命撫でてやっている所を見られ、ちょっと微妙な空気になったけど送って来た事を褒めてやって、2人も撫でてやったら嬉しそうにはしていた。


 その後は4人で依頼終了日迄、魔力の森で更にいろいろ狩って行った。

 魔の森の名に恥じず次々にモンスターが出てくるので、オーガからトロール、サーベルタイガー、ポイズンタートルなど50レベルから80レベル位のモンスターを状況次第で2人から4人全員で狩る。


 放って置いても基本それ以上森の外に向かわないらしいが、素材も欲しいしレティにあげる分も必要だったし。

 条件を付けてタイマンでやらせたり、逆に二対多で久し振りにそこまで強くは無いが面倒くさい猿系の魔獣で長手猿が居たのでレティとシーラで戦わせたり良い経験を得られたと思う。


 レティはハッキリ言って前世で言うチートだった。

 さすが竜王族。

 ただでさえ魔力で創った服の防御力も異様に高いのに、身体能力強化を使うと俺でも付いて行くだけで精一杯になる素早さってどうなんだろう。


 シーラは遠距離射撃に特化して、だんだんと到達距離を長くしていた。

 今は通常射撃で大体三百m先位なら、直径5cm内を狙える。

 望遠眼、風魔法併用で強弓で撃つと、2km先の戦闘中の相手を鎧ごと打ち抜く事が出来る。


 イーリスは幻術併用での接近戦主体で、森の中や、まだその状況にはなっていないが遮蔽物の多い街中なら暗殺者にもなれるであろう戦い方をする。

 一度、森の中で野生の虎を相手に幻術で匂いも誤魔化し、別方向へ誘導し完全に気配を消して背後から急所の心臓を横から一撃で刺し殺した時は、ちょっと引いた。


 良い感じに色々なモンスターが出るので、これからの修練でも魔の森をちょくちょく使う事にして今回の依頼を終わらせる為に、解体出来る物はしてボックスへとしまっていく。

 オウマ村へ報告に行き、依頼達成の半券を貰ってウィッツに向かった。








 それからマルギットさんに言った様に町に行く時はカルカーンへ行くようにして、ギルドで依頼をこなしていった。

 この世界に来て一年経つ一週間前にはランクが皆4になり、これでやっと行動を始める準備が整った。



次回2月3日0時投稿予定

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