第十八旅 物は試しって言っても失敗はしませんでした
今年もよろしくお願いします。
そんなに多くストックは無いですがこの章は後数話になると思うので一区切りするまでは滞らない様頑張ります。
翌朝起きてみると、今回はレティを横に軽く抱きしめていた様だ。
うん、色んな所が柔らかくて温かくてとてもいい感じだ。
ただ、前も後ろも幸せな事になっていたが、後ろからはシーラが背中に抱き着いていた。
堪能していると、レティが起きた様でちょっと可愛らしくボーっとした後、自然に近寄って来てキスをしてくれた。
元からの興味も有り俺から継いだ知識からも気になったらしく、先日からちょいちょい寝起きにレティとキスをしている。
時間は掛かったが心を開いてくれたシーラも後ろにくっついて寝ていたが、もぞもぞしていたら起きたようで寝起きの良いシーラはむくっと起きたら額を合わせて来た。
「・・・おはようございます。」
「おはよう。」
シーラの居た氏族では親族や恋人等の親しい者との挨拶らしく、氏族名を教えてくれてからも少しの間は一緒に寝たりはしなかったし、その後もこの挨拶はなかなかしなかった。
ここ最近になってしてくれるようになったんだが、氏族名を聞いた時より更にシーラを近く感じる様な気がする。
レティとキスを、シーラと朝の挨拶をしてしみじみ思ったが、望んでしてもらえるなんてやっぱり嬉しいな、ニヤつきそうだ。
レティとシーラと一緒に1階に降り、アルと今日の助手のオルガの手作りの朝飯が用意されている大広間で、全員で食べた。
皆若いからかやはり一番人気で多いのは肉で、焼くも煮るも大人気だ。
後、助手がオルガの場合シーラ以外の他の面子の時よりバランスを考えた献立になるので、イーリスは微妙な顔をする時もあるが残さず食べさせている。
さて、今日は真夜とデートだ。
大体のルートは聞いたけどそう遠くないし、ゆっくり二人で行ってこよう。
朝ご飯を食べてちょっと食休みしたら、後を任せるレティに冗談交じりで声を掛けた。
「よし。じゃ、行って来る。留守は任せたよ、レティ。何だったら、記憶が飛ぶほど鍛えてやってくれ。」
レティがニッコリ笑って機嫌良く返したセリフが、とてもとても頼もしい言葉だった。
「はい、ごゆっくり。一日ですが思う存分鍛えてやろうかと思っています。」
残る中で修行が主のオルガとシーラ、イーリスが無表情のままサーっと顔色が蒼くなっていくのを見て、一応注意する。
「うん、半分冗談だからお手柔らかにな。・・そんじゃ、行きますか。真夜、準備は良いか?」
「ハイ。では、どうぞ。」
短く言って後ろを向いてしゃがんでくれたので、蜘蛛の部分のお腹の上にまたがった。
余り揺れないのは知っているので、肩に片手を乗せ出発しようと皆を見るとなんか羨ましそうに見ていた。
「?・・ああ。」
何となく分かった気がしたので、耳打ちしてゆっくり進んでもらい真夜に後ろから抱き着いてみた。
羨ましそうなのを隠そうともしないオルガとイーリス、チラチラ見ているレティとシーラと見事に反応が分かれた。
俺はやっぱりはっきり表現してくれた方が嬉しいな。
鈍感系なんて言われる人は人間としての表現をしていないと俺は思う。
実際に経験の無い人間はある程度は仕方ないと思うが、それでもはっきり告げられても、いや俺の事じゃないだろう、とか言い出すのってどれだけ女性を馬鹿にしているんだろうか。
暴力、暴言(毒舌)、無口等性格上のモノや、幼馴染、メイド、委員長等当人の現状のモノと一杯✖を使って、色々属性盛られなきゃ人として成り立たない、なんて人間は嫌だし。
「よし、そろそろ少し真面目に行こうか?」
俺の偏った考えは置いておいて、真夜に声を掛けスピードを上げて貰う。
「ハイ!」
て言うか、そんなに嬉しそうに了承されるとこっちも良い気になっちゃうね、まったく。
真夜には今迄何回か乗ったが、大分慣れてきた様だ。
最初の内は蜘蛛の足でのクッション的な、衝撃を吸収するやり方が分からない様だったが、やはりモンスターとしての身体能力は高い様で4、5回目には乗ってる状態での衝撃は通常の行動ではほぼ無くなったのには吃驚だった。
出発して少し経った頃に、真夜に今日の予定を聞いてみる事にした。
「さて、村を出たが、これからどうする?先に用を済ませてから色々見て回って帰るか、それともゆっくり見て回ってから用を済ませて直ぐ帰るか。」
「アルジに買って貰って更に改造して貰った空間鞄を持っていますノデ、先に用を済ませてカラで宜しいでしょうカ?ワタシの作り溜めていた糸もまだ少々巣にありますノデ、もう引き払いますカラ先に済ませたいのデス。」
「分かった。じゃあ、その後二人でゆっくりしてから帰ろう。」
言いながら真夜の頭を撫でてやると、後ろからなんで見難くはあったがちょっとだけはにかんだ、様な気がした。
昔の経験から余程調子に乗りやすい性格で無い限りはちゃんと褒めてやる事が、色々伸ばす為には必要だと思う。
関わる人との運は無かったのか、生まれてこの方褒められた事は学校でもその後の仕事でもどんな状況でもほぼ無かった。
自分がして貰えなかった事でちょっと捻くれたりねじ曲がったりを実感しているので、今レティ達と関わる中でストレートに褒める事が恥ずかしいとか、どうでもいい自分の感情は置いておく事にしている。
皆も環境が許さなかったからかあまり褒められる事になれていないのが分かったので、これからは俺がちゃんと褒めてやりたい。
少しずつスピードを上げながらも上に乗っている俺にほぼ揺れを感じさせないのは、かなり慣れて来た証拠だろう。
「・・・本当に慣れたな。俺ばかり楽している様で悪いが、このまま頼む、真夜。」
「ハイ、偶にはゆっくりして下サイ。ワタシが眷属になってから、一日ちゃんと休んでイル所を見た事が無い気がしマスから。」
木々の間をすり抜けながら、普段の事から修行中の事などを話しつつ、目に付くモンスターを狩ってはボックスにしまって行く。
この辺りはまだレニの森なので奧の方とはいえ強いのは居なくて、アースボア二頭とブラックゴブリンの群れに会ったので、一応人里に近づかれると困るので殲滅しておいた。
ご飯用にアースボアはボックスにしまい、ゴブリンは持っている武器も拾って来た錆びた剣かぼろいこん棒ばかりだったので、アンデッド化しない様土魔法で大穴を開けてまとめた上に結界を張り、火魔法で焼いておいた。
ゴブリンだと魔石は有ってもかなり小さいので、量も有るし面倒だし依頼の物でも無いしで解体するのはやめた。
「うしっ!後始末はこれで良いだろ。」
「ハイ、先に進みまショウ。」
言いながらまた真夜に乗り、先に進む。
これまで近場での修行ばかりで余り長距離の移動をした事が無かったので、真夜に長く乗る事は無かったのだが、一時間を超えて来た辺りで何故か真夜の機嫌が良くなったのか、今まで聞いた事の無い鼻歌っぽい微かな音が聞こえて来た。
「何かご機嫌だけど、良い事でもあったのか?アースボアはまだ食った事無いから、俺は興味は有るが。」
「ソウでは無いですよ、アルジ。こう、アルジを乗せて移動していると貴方のお役に立ってイル、と実感できるのが嬉しくテ。そもソモある程度知能のある魔物デモ、はっきりと感情が有る訳では無いですカラ。基本的にあるのハ、多少の思考能力と本能に沿った行動だけデス。」
「ほー、そんなもんか。じゃ、人の様に知能が有り感情が有るモンスターなんて、レティ達属性竜は置いといて他に居たりするのか?」
んー、とちょっと考えてみたようだけど、余り覚えが無かったみたいだ。
「申し訳ありませんが、ワタシが知っているのは三種だけデスネ。狡猾で人化する能力を持ち人と騙し合いをしたりスル事も有るらしいマンティコア、魔物系の特殊個体でセージと付く者ハかなり高い知能を持ち、感情モ持っている様に見えマシタ。後者は一度だけホブゴブリンで進化した者を見た事が有りマス。後は元から知っているコボルドですネ。他はワタシは知らないデス、すみません。」
「例えば、ホブゴブリンセージってか。そういう連中が居ると、今迄無かったレベルで大集団を作って町を襲ったり、人族のまねごとをしてより弱い魔物を隷属させて使おうとしたりと、想像しただけでも面倒な事になりそうだな。大体モンスターだと当然理性が無いんだから、利さえ有れば良いと人族の悪い所だけを真似する者が居そうな気がする。・・言ってると嫌な予感がするな。」
今後もしかしたら関わるかもと思うとちょっと顔を顰めてしまうが、今から考えてもしょうがないと首を振り、真夜の首に両手を回し圧し掛かって息を吐いた。
「ッ!?アルジ??ナニか首元がゾクッっとしますよ?」
慣れない感情に今だ狼狽える真夜が楽しくて後ろからちょっかいを出している内に、近くまで来た様だ。
「この森を抜けて直ぐですよ、アルジ。ンッ!・・ソロソロ周りを見ましょうネ、アルジッ!」
蜘蛛の体に腿から上の女性の体が有るので、クルッっと160度ほど振り向いたと思ったら強めに頬っぺたをムギュっと挟まれてしまった。
「おふっ、ふまんな(スマンな)。ひをふへふよ(気を付けるよ)。」
うん、挟まれたままだと全然普通に喋れん。
俺の顔を両手で挟みながらも索敵しつつ普通に進んでいる真夜に、こんな対応をする様になったかと嬉しく思いながらそのまま突っ込んでみた。
「みゅこうにひえへるひはふふほはほうは(向こうに見えてる気がするのがそうか)?」
何か真夜がやってて楽しくなって来たのか、途中でむにゅっと力加減を変えてくるので更に喋りにくい事に。
「アッ!?ソウですね。森から出て・・あそこデス。」
良く俺が何言ってるか分かったな。
と、ちょっと驚いていると、手を放して前を向いた真夜が前の巣を見つけたみたいだった。
「デハ、必要な物を持って来マス。少々お待ちヲ。」
俺を下に置いて巣に入って行く真夜を見送り、念の為集中してサーチで索敵を行う。
範囲内に数体のモンスターは居る様だが、こちらに向かっているのは居ないし知ったモンスターでは無い様なので、サーチのみでは実力は細かくは計れないので悪戯に刺激しない様にしておく。
十五分ほど待っていると、真夜が出て来た。
空間魔法に慣れて来た一月前から夜にちまちまと頑張って、中サイズで一番安かった空間鞄を空間魔法に注ぎ込んだ魔力で無理矢理大サイズ近くまで広げた鞄を持たせているので、何とか全部入ったんだろう。
「お待たせしまシタ。アルジと会った時にアル程度持って行って失くしていましたので、余り残していた物は有りませんデシタ。・・分かっていましたガ。」
「ん?そうなのか?」
「マァ、それは勿論、元自分の家ですカラ。アルジとのデートの為の理由付けデスヨ。荒らサレていなかったのには驚きましたガ。前に作っておいた糸モ今作っている物より質が悪いデスから、予備にしかなりませんシネ。」
「そりゃそうか。じゃ、もう用事は終わったんだよな?これからどうする?」
「村に帰るマデゆっくりしたいのも有りマスが、ちょっと試したい事が、というヨリ試してほしい事が有りマス。ナノで、先ずは家に入りましょうアルジ。」
いつも通りに無表情に見える真夜の顔がちょっと真剣と言うか深刻な感じだったので、細かい事は聞き返さずに真夜の家に一緒に入った。
元々はぐれの魔物だった時の真夜の家なので当然椅子などは無く、直接地面に座り向かい合うと時間が惜しいのかすぐにお願いされた。
「アルジ、ワタシの体は貴方にホボ一から作り変えられ進化しまシタ。意図シテ行った訳では無いようでシタが。アノ時は傷を治しながらでありましたガ、今回は万全の私二行っていただけまセンか?アル程度基礎の能力は鍛えられたと思いマスし、今度はアルジノ為自分で進化したいと思いマス。アルジに付いて行く為ニハもう一段強く成ってもマダ足りない、トモ感じていマス。眷属としてアルジを思うと、こう、今ナラ進化できるのではないかとムラム・・違う、ワクワクしてまシテ、お願いをしヨウと今回のご褒美を利用スル事にしまシタ。」
「・・・・・あ~~、上手くいくかは分からんが、やってみるか。興味自体は有ったんだよ、前回は治す方にのみ集中してたからな。更に進化に俺の意思を入れる事が出来れば、有ったらいいなと思っているスキルを付けられるかもしれないかも、とな。」
考えつつ呟いていると、真夜が普段見せない顔をしてこっちを窺っていた。
「おう、不安にさせたか。実験紛いの事はやらんから安心してくれ。どっちかというと、かなりやる気が出て来た。あの時から魔力自体もかなり増えているし、操作能力も上がった。出来るかどうかという大本の問題は有るが、何となくだが・・・本当に何となくではあるが出来ると思うんだよな。」
「ハイ、ワタシもそう思いマス。ですので、お好きな様にドウゾ。」
言ってその場で目を瞑り、アラクネとしてリラックスした体勢で待っている真夜を前にどうするか考える。
進化すれば基礎値が軒並み押し上げられるだろうから、特殊なスキルを覚えられるだろうか、魔法に特化するだろうか、真夜は好きにしていいと言うだろう。
話している間にもちょっと考えたが、迷うだけ失敗の確率は上がりそうだし思い切ってやろう。
今のままだと情報収集が後手に回る可能性があるので、多数の眷属に依ってまとめて情報を集められたらと思っていたが、更に情報を精査し俺に伝える事が出来る様になったらいいな。
簡単に言うと、真夜に蜘蛛を眷属として使って貰い情報を集めたり、他にも候補は嘘発見が有ると助かるな。
まあ多分何とかなる進化はともかく、スキル習得はそもそも上手くいくとも限らないしな。
始める前に邪魔が入らない様にする為、入り口に光や匂いを遮断し最低限の壁になる様障壁だけは張っておく。
「よし!これからやるから、リラックスしていてくれ。」
「ハイ。」
信じ切った落ち着いた声に俺も更に冷静になり、注ぎ込む為の魔力を注意深く少しずつ高密度に練り上げて行く。
属性を虹の様に変えたり、強化から付与から魔法としては使わずただ浸透させたりと、考えうるあらゆる方法で真夜に進化を促してみた。
真夜の体を端から触れて行き何処により魔力を込めればいいか、どうすれば深くまで浸透させる事が出来るか、失敗しない様慎重に試しながら進めて行くと、二ヶ所、反応が有った。
人型の胸の中心と、蜘蛛型の腹?の中心の辺りで何か俺の魔力を吸い込んでいく場所が有った。
魔物なんだし魔石かなと思ったんだが、二ヶ所は無いはずだしどう言う事だろうか。
探りながら一時間ほど少しずつ全身に魔力を流していると、反応の在った二ヶ所の反応の違いが分かった気がした。
人型の方は安定して魔力を吸収するが、蜘蛛型の方は何だか注ぎ込んだ分を即吸収する感じで、新しいのか損傷しているのかだと思うが、損傷の理由は無いし新しく作られていると思われる・・多分。
これを主に、俺の意思と共に魔力を注いでやれば何とかなるんじゃないかなぁ。
本来は自分の魔力を長期間少しずつ吸収して、十年、下手すると百年単位で時間を掛けて進化するんだろうが。
「真夜、大体分かって来たのでそろそろ本格的にやるぞ。」
「ハイ。お願いしマス。」
蜘蛛の腹の上に寝ころんだ感じで仰向けになっている真夜の横でまた魔力を集中する。
右手を真夜の胸に当て、左手を蜘蛛の腹にそえる。
意思を込め、多重属性を込めて練り上げ圧縮した魔力を無理のない様ゆっくり吸収させていく。
真夜の様子も確認していると、無意識にか「ウゥッ!?」とか「アッ!?」と声が漏れ出ているが苦痛から出ている訳では無い様なのでそのまま続けていく。
30分一時間と時間を掛けて魔力を注いでいく、すると三時間を超えた辺りで真夜の体が薄っすら透けて中から光り出した。
体内が見えるとかのグロ画像ではないが、そのまま消えてしまうんじゃないかと心配して様子を見ていると透けた先で魔石らしき物が俺の魔力を吸収しているのが分かった。
時間が予想よりも掛かっているので残り魔力が少なくなってきて、三割程になった辺りで一気に進める事にした。
久し振りに魔力が一気にごっそり無くなっていく感覚を味わいながら、念の為ゆっくり注いでいた速度を練り上げた濃さを変えずに高速で注いでいく。
残り一割を切るかといった辺りで真夜の体が全体的に光り出し、周りも見えないほどになって来たので最後の一押しと残りの魔力5分位を残し一気に注ぎ様子を見る事に。
光で見えないが真夜自身の命に何かありそうでは無かったので落ち着くまで待っていると、十分ほどで光が収まりそこには今迄と違う真夜の姿が有った。
基本黒い色で統一されていたが、今目の前に居るアラクネは全体が白黒ではっきり分かれ、蜘蛛の部分は生体鎧の部分も含め黒く染まっている。
上半身の女性体はそこここにある生体鎧の部分も全てが白銀で、まるで白銀の装備で固めた騎士の様だ。
そもそも蜘蛛に乗ってる訳じゃ無いし、下半身は馬でもないが。
明らかに今迄と違う雰囲気を醸し出している真夜を鑑定してみると、予想内とは言い難い結果となっていた。
元のステータスはレベルは覚えていないが、こんなんだった、確か。
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アラクネコマンダー 魔物 女性 79歳
レベル??
スキル
斬糸術4 魔力増大? 魔糸精製(斬糸、粘着糸、魔力糸) 魔糸操作 生体鎧生成
装甲硬化 超回復力 裁縫
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所が、今見たステータスは全く違う結果だった。
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真夜 魔物《アラクネエンプレス》 女性 80歳
レベル1
スキル
槍術2 盾術3 斬糸術8 身体強化魔法3 魔力精密操作3 魔力増大6
魔糸精製(斬糸、粘着糸、魔力糸、支配糸) 魔糸精密操作 眷属支配 生体武器生成(槍、大盾)
生体鎧生成 装甲超硬化 装甲変化 超回復力 裁縫 解体
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コマンダーに進化した時は前のステータスを確認しなかったし、それどころでは無かったので気にしなかったがレベルが1になっているな。
しかもこういう種族ではクイーンが種のトップの筈なんだが、エンプレスになっているのは何故なんだろう?
気になる事は多いが面倒なので大体は放って置く事にして、先ずは自分で分かるなら鑑定せずともいいかとスキルについて聞いてみる。
「真夜、大丈夫か?聞きたい事が有るんだが、もうちょっと待った方が良いか?」
「・・・・・大丈夫です。ただ、自分の能力を把握する時間を下さい。・・身体的には何も問題は無いと思います。」
「そうか。魔力の消費が激しいしちょっと休んでいるから。落ち着いたら呼んでくれ。」
新しく変わった黒い蜘蛛の体に寄りかかり、魔力を少しでも早く回復する為試した中で一番マシだった瞑想を始める。
真夜も瞑想して自己の把握に努めているのか、俺が寄りかかっても身じろぎせずに支えてくれた。
このままだと今何か起きた時に困るので、油断はしない様サーチだけはしつつ回復すること一時間、真夜の自己把握が終わったみたいだった。
「アルジ、お待たせしました。大体ではありますが、理解出来たかと思います。」
言いながらちょっと揺らされて、思っていたより疲れていたのか瞑想途中で半分寝ていた様でハッと目が覚めた。
「っ!?おう?・・すまん、ちょっと寝てたな。え~っと、理解出来たって言ったのか?」
「はい。アルジに必要であろうスキルを順に説明いたします。先ず、糸精製で支配糸という物が増えまして、もう一つの眷属支配とセットの物です。蜘蛛等の虫系統の魔物に支配糸を打ち込み、魔力で相手を屈服させられれば眷属として支配する事が出来る、という物です。」
「ふむ・・。魔力で屈服させたら、なのか。数制限とかあるのか?」
「今分かる範囲内では無いようです。まあ、普通の蜘蛛の眷属ですと、もしかしたら四桁は無理かも知れない、位ではないでしょうか。」
「ふむふむ・・。うん、で、他には?」
「更に先程のスキルに付け足しですが、眷属化した者の記憶を自分で見ているかのように見る事が出来ます。蜘蛛なんかは何処にでも居ますので、情報収集には適任ではないかと。他は大体自身の強化能力ですので、これで終了です。」
「なるほど。アラクネとしての上位個体として能力を獲得したみたいだな。これから新しく覚える事も有るだろうけど、ま、そこは修行次第か。」
魔力を注ぐのに時間が掛かり気が付いたら既に夕方近くなっていたので、進化した体の点検しながら帰って貰う事にして、また真夜の上でまったりする事に。
さっき瞑想して多少は回復したが、ほぼ無かった魔力が一割ちょっとになった程度でまだ少し疲労感は有るし。
乗って気が付いたが真夜は進化して少しだが小さくなった様で、高さで2.5m程あった身長が、2.3m位に約20cm位小さくなっていた。
小さくはなっていたが、基礎能力からレベルが上がっているのが乗っていて良く分かった。
慣れと経験から揺れていなかった進化前と比べて筋力等のバランスが平均でかなり上がっている様で、今の真夜ならこのまま戦闘を行ってもほぼ互角以上の相手でもない限り何も問題は無いだろう、と思えるほどだった。
そのまま真夜に乗りコボ達の村に帰ると、当然だがかなり吃驚された。
オルガを先頭に俺が乗ったままの真夜に群がり、なぜそうなったか情報を聞きたがるから隠す必要も無いので教えてやる。
と、言っても余り言う事も無いけど。
手短に教えてやると、普段それぞれ違う喋り方もしている筈なのに、心を揃えて突っ込まれた。
「「「「有り得ないです!!」」」」
「いやいや、そんなんでモンスターが進化する訳無いでしょう!」
オルガにはさらに突っ込まれ、
「主様はいったい何者?」
シーラには不思議がられ、
「・・ユウ様はユウ様。・・それでいい。」
イーリスには良い感じではあるが、ちょっと諦めが入り、
「ご主人様は僕を助けてくれた時から規格外でしたです。」
アルは素直に人外と言い出し、
「ご主人様はこれで目立ちたくないとか言っているんですから・・・ふぅ。」
苦労を掛けているレティには、普段の行動への突っ込みも貰った。
「うん、苦労を掛けるが、これからもよろしく頼む。」
精神的に皆を疲れさせた気がせんでも無いが、細かい事は気にせずこれからもよろしく頼むな、みんな。
その後、修行もしつつシーラとはカルカーンでデートして、何か理由があるのかネックレスが欲しいと言うので買ってプレゼントした。
細かく聞いてみると、自分が居たドゥアルテ氏族の掟で主(もしくは夫)と認めた相手から装身具を貰うとの事。
主(もしくは夫)の行動が我慢できない所まで来た時に壊すか捨てるか、要するに持っていないのが周りに分かると・・・氏族での最大級とまでは言わないがかなり恥をかく事になる、なんて聞くとちょっとあげるのに二の足を踏むな。
まあその氏族での話で俺は氏族関係ないし、勿論買うけど。
普通の装身具では無く、魔道具で良いのが有ったのでそれをプレゼントする事にした。
来る時も言っていたのでネックレスを探して周り、二店舗目で高かったが良いのが有った。
付けた者が毒を受けても安静にしてさえいれば、時間は掛かるがどんな毒でも解毒する事が出来ると謳った物だった。
魔力感知を追って行った店だったので偽物が有るとは思えないが、一応確認をする為に鑑定してみると此処の魔道具屋は大当たりだった。
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解毒のネックレス 中級 20万ソル
付けている者が安静にしている間常に全身を解毒し続けている
ネックレスに近い場所程解毒作用は高い
心臓近くに毒を打ち込まれてもすぐに安静にすれば0.1mgで即死の毒でも解毒が間に合う
麻痺回復の腕輪 中級 20万ソル
付けている者が安静にしている間常に全身を麻痺回復し続けている
腕輪に近い場所程麻痺回復作用は高い
感電麻痺毒等種類は問わず治すことが出来る
状態異常回復のチョーカー 500万ソル
毒麻痺睡眠薬での躁鬱魅了石化ほぼ考えうる状態異常全てを回復できる
個々の回復用の中級以上ではあるが上級より効果は劣る
ランク9のヒドラの魔石から作ったカルカーン一の魔道具師による一品物
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状態異常無効ではないが今後目標とする魔道具が有った。
薬学を修め他のメンバーの安全を確保できるシーラには早めに買ってやりたい所だ。
今日の所は解毒のネックレスをあげて、万全を期す為に行動開始の時には改めてこのチョーカーをあげれる様に頑張ろう。
オルガは結局何処に行きたいとかが無かったので(ウィッツには行き難いし)同じくカルカーンへ行き、武器、防具、魔道具と色々見て回った。
イルメラが作った物より良い物は無かったのが、一つ面白い物が有ったので魔道具を買ってプレゼントすると思っていたより喜んでくれた。
本当は俺がイルメラから魔道具の作り方を聞いているので作ってあげたい所だったんだが、いまだに満足出来る物が出来ないのでそこは諦めた。
オルガにあげた魔道具はパーティグッズでは無いけどそんな感じの効果で、自身の色を変える事が出来るという物だった。
想像力が追い付けばではあるが、髪から肌、目の色も変える事が出来る物で、イロモノ扱いされていて安く、オルガは面白がって欲しがっていたが実用としてもかなり使える物だと思う。
この世界で髪も肌の色も違えば、どれだけ似ていようが別人と思うだろう。
また、これを付け全身真っ黒にした上で黒い服を着れば、夜間に潜入する事が有った時とても楽になる。
と、楽しみながらも強く成る為に皆で修行を行い、偶にこれから行動し易くする為にギルドで依頼を受けていた。
そんなある日、この世界に来て後一月で一年経とうという頃にやっとテンプレと言ったらいいのか先輩冒険者に絡まれた。
次回1月13日0時投稿予定




