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元オッサンの眷属使い  作者: 烏賊紳士
第二章 仲間を増やしつつ修行中です
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第十七旅 たまには人の為に動きました

 修行を始めてすぐの頃に武器屋のリーンと話した事を火焔の剣へと伝える為に、一旦ギルドへ向かった。

 ギルドの受付で聞いたら依頼中で明日の昼くらいに戻って来る予定と聞いたので、翌日の昼にまたギルドへ行く事にして帰る事に。




 翌日丁度昼の鐘が鳴る頃にギルドに行ったが、まだ戻ってきていなかったので受付で伝言を頼み隣の酒場で待つ事にした。

 最初は普通に昼飯を食べていたけど、なかなか戻ってこないので今日一緒に来ていたシーラと果実水を飲みながら話をしていた。


「そう言えば、ここ最近修行しかしてないし、せっかく今回町に出て来たんだし、後でになるが何か買う物とかあるか?バレない様ある程度しか素材とか売ってないけど、何か買ってやるような甲斐性は有るつもりだぞ?生活費がほぼかからんから、実際ちゃんと余裕もあるし。」


「良いんですか?レティシア様達に何か悪いですが。」


「どうせ、町にはまたすぐ来るだろ。何ならパスでお土産に何が欲しいか聞いても良いしな。」


「そうですね。でしたら、お願いしても良いですか?エルフ族はそれぞれの氏族で、特徴のある細工のされたイヤリングをしています。ただ、元の氏族の物が欲しい訳では無く、新しい主様の元での新しいイヤリングが欲しいのです。余り知られていませんが、エルフは皆、わりと気に入っていまして、これを奪われたが為に反抗的になる者も居ます。これ自体に何かある訳でも誇りがどうという事も無いですが、特産品・・ですかね。」


 長い耳に触れながら少し寂しそうにしているシーラに、ちょっと体を伸ばして頭を撫でてやる。


「・・おしっ!じゃ、後で買いに行くか。何だったら魔道具とかでも良いし、気に入る物が有ればいいがな。」


 その後はアルの作るご飯で何が好きかや、レティ相手の模擬戦でどうすれば優位に動けるかなど盛り上がっていると、見覚えのある女性がメンバーを連れてこっちに来た。


「や、久し振りだね、ユウ君。」


「お久し振りです、マルギットさん。火焔の剣の皆さん。」


 一緒のテーブルに着き落ち着いた後、リーンと話した事を伝え、感想を聞いてみる。

 先ずマルギットさんを見ると、面白そうにしていた。


「面白いとは思うよ、ユウ君。無鉄砲な新人君の突撃死が多少減るだけでも、ここら辺の魔の森近くの町や村では役に立つでしょ。ただ・・全体的に強制として行うのは無理かな。辺境のみで、ランク5以降の冒険をメインに選んだ者に依頼として協力して貰う、って辺りが現実的かな。護衛メインの冒険者達は、貴族にかかわる事を選んだ事から分かる様に、基本金でしか動かないからね。ある程度以上払わないと協力なんかしないだろうし、皆の為になんて事では動かないよ。」


「んー、まあ、そんなもんですね。今の所全く接点が無かったので、貴族派の冒険者の基本的なスタイルなんて知らないですから、気にはなってもどうしようもなかったんです。」


 ため息吐きつつぼやいてみると、戦士のイサークが慰める様に話し出した。


「いや、よくもまあそんな若いのにそこまで考えるモンだ。オレ達冒険者は自己責任での活動が基本で、時と状況によっては敵対する事だってある。その相手に一々そこまでしてやろうなんて、なかなか思わんよ。・・・面倒だし。」


「痛いから!」


 励ましながら頭をゴリゴリと撫でてくるオッサンの手をはたく。

 気を取り直してまだほとんど話した事の無い二人に目をやると、少し考えてからそれぞれに意見をくれた。


「ふむ・・そうだな。私から言える事は余り無理はしない事だ、という事かな。視野が広いのは良い事だが、見える事に全て何かをしようとするのは若いが故の無茶だろう。自分が出来るであろう事と、今現在の自分の余裕をしっかりと見極める事だ。今回の事はそう自分に負担が来る提案ではないが、本来はギルドの幹部とかが考える事だろう、と思うしな。」


 アリスが先輩らしく注意してくれて、その後ヨハンネスが提案自体に補足をしてくれた。


「一応ギルドのフォローをしてあげると、他国では似た様な感じのシステムは一応あるんですよ。本来皆、若いのに早死にして欲しい訳では無いですからね。一所ひとところに居付かない冒険者もそれなりに多いですし、冒険者が多少死なないからといって多くなり過ぎるなんて事もそう無いです。元冒険者のギルド職員に鍛えて貰ったり、自分達で繋がりを持った先輩冒険者に鍛えて貰ったりも本当はあるんですが、この国の冒険者は他国の冒険者よりも自分勝手と言いますか国民が荒んでいるんですよ。統治している貴族が大半腐っていますから。」


「では、結局この提案はどうしましょう?聞いた状況だと、余り提案しても改善はされない様な感じですが。」


 聞いてみると、リーダーのアリスがあまり気が進んでいない様子ではあったがギルドに伝えてくれるみたいだ。


「最近の若手の無謀ぶりは気になってはいたからな。私達はこの町でまあまあ長くやっているから、一応知り合いにこの町のギルドの幹部が居る。実際の効果は期待しないでくれると助かるが、ちゃんと伝えてはおくよ。」


 話しが終わったと見たマルギットさんが面白そうに聞いて来た。


「そう言えば、ここ最近余りギルドで見なかったけど、ユウ君今ランクはどうなんだい?前会った時って確か冒険者に成り立てで、ランク1だったよね。あの時でもランクにそぐわない強さだと思ったけど、より強くなっている様に見えるよ。因みに、僕たちはまだランク6のままだけど。」


「はい、ちょっと前に戦力として二人前衛と後衛増やしたのでその二人がランク2ですね。彼女がその一人で後衛のシーラです。で、俺達はランク3です。依頼を1つ1つこなしつつ、まだまだ弱いので大半は修行ですね。」


 話の流れで先にシーラを紹介しておく。


「おー、ちゃんと鍛える事の意味を解っているね。かなりの数の冒険者が、自分達の小さいコミュニティでのお山の大将だった時の実力のまま活動しているからね。実戦で死ぬ前に強く成れればいいけど、大怪我して早い内に引退してしまったり、努力せず修行もしないで自分の限界だって辞めて行くのも多い。ただ、本当は僕たちも余り大きな事は言えないんだよね。アリスがかなり強く言ってくれなかったら、地力を上げるのもパーティ内での連携もそこそこのまま冒険して、誰かが大怪我したりしていたかも。」


 褒められて照れているアリスさんを横目に、マルギットさんが真面目に話している。

 多分だけどアリスさんに普段言い難い感謝を伝えつつ、俺に忠告してくれているんだろう。


「忠告ありがとうございます。さっきも言いましたが、最近、横に居るシーラともう一人前衛を増やしましたので、普段は森に作った拠点で1日中修行していますよ。目標をかなり高くしていますから、まだまだ数ヵ月は修行の日々ですね。」


「お~、お前らそんな事やってんのかよ!面白そうだな。俺等も今度やるか?」


 凄い面白そうな顔たイサークが、リーダーのアリスさんに無茶ぶりをし始めた。


「阿呆。私達のパーティ構成で長期間そんな事出来る訳が無かろう。短期間ならヨハンネスとマルギット、私とお前で分けて野営すればバランス的に何とかなるが、私達レベルでの気配察知ではかなり集中しないと役に立たないぞ?レニの森やアルス大森林に行くなら別だが、どうせお前が行こうとしているのは魔の森だろう?せめて私かお前のどちらかがヨハンネスと同等の野外活動レベルが必要になるが、頑張って鍛えてみるか?私は嫌だぞ。」


 途中「おう・・」とか「うっ」とか呻いていたイサークが開き直った。


「悪かったよ、リーダー。面白そうだったんで、ついな。俺達が今更レニの森で同じ事をやっても意味無いしな。」


 イサークが諦めて話がうやむやになった所で、火焔の剣での用事がまだあった様で酒場を出て行った。






 その半月後ギルドで話を聞いたら、魔の森に近いオウマ、ウィッツ、カルカーン、ルガラテ、ヴェド、ノイマー、ロイト、シュタットのギルドで希望者のみではあるが、半額ギルドの負担で戦闘訓練をして貰えるようになったらしい。

 魔の森の恩恵がある町なら新人が死に難く成れば半額負担もその後狩った素材等で返せるという事なのだろう。


 つながりがあったりして直で無料に近い金額で頼めるとか無い限りは、5日の拘束でランク3ではなかなかきつい金額らしいが、半額だし後の依頼からの分割もギルドへの貢献度によってだが許可されているらしい。

 始まってすぐに伸び悩んでいる新人で予約が一杯になったらしいが、高ランク冒険者も当然冒険するしで、一パーティ一月一回で入れ替わりで少しずつ鍛えて行く様だ。


 魔の森近くの村や町はそれぞれ少なくとも大体3~5組位高レベルのパーティが居る筈なので、平均5人パーティとして考えて職が合わない事を含めて考えても最低でも月20人以上は鍛えられるだろう。

 少ない様にも感じるが、その人数全員とは言わないが半分でも生きて冒険者を続ければ、その分ギルドにも素材が入る量も増えるし、魔力暴走が起きて魔の森からモンスターが大量発生した時にも多少は余裕も出来るだろう。


 魔力暴走はレティから説明して貰ったけど、この世界では人も物も存在するだけで魔力を放出していてるらしい。

 その魔力が地形だったり風向きだったり、人の悪意だったりに引き寄せられたリ、状況次第では理由無く勝手に溜まったりで一定量溜まると、魔力溜まりとなってモンスターが湧き出したり毒や呪いが発生して場所そのものを汚染したりすると。


 魔の者はほぼ悪影響はなく、逆に力が湧いてくるから近くに集まったりもするし、そこから更に魔力を得られれば特殊進化する魔の者も居るらしい。

 魔の森では特殊進化したモンスターに率いられて、少なくとも百単位から千を超える数になる事もあるし、歴史上一番酷かったのは180年位前にこの国から南西の海を渡った所に在るメルエニア帝国南部にあったバンガン王国が、魔力暴走で発生した数千のモンスターに一月で滅ぼされた。

 その後メルエニア帝国にそのまま攻め込んで来たので、四万と言われるがその時の全戦力を注ぎ込み一万ほど犠牲を出したが殲滅する事に成功した、と聞いた。


 人族はそう言う魔力の溜まって濁った場所を見つけると、神官を呼び信仰魔法で浄化して貰いくそたっかいお布施を要求される事がほとんど、とこれはオルガから聞いた。








 ギルドでの依頼で新しいのが増えたのを確認しつつ、俺達には関係ないので今まで通り、いや、今まで以上に修行に励んでいき、この世界に来て早10ヶ月が過ぎようとしていた。

 やはりこの国は結構北に在る所為か冬の間はかなり雪が降り、平均で50cm位は積もってかなり寒かった。


 空間魔法の修行と合わせ一定範囲の空間を障壁で隔離し、より寒くしたり逆に暑くしたりと悪環境での行動も訓練した。

 最近はやっと実戦訓練として、訓練用の武器で無くそれぞれの得意武器を持って模擬戦をしてみたり、草原や森内での三対三や二対三などで状況を変えての集団戦を繰り返していた。

 今はレティとイーリス、シーラとオルガ、真夜での二対三だ。


「イーリス!正面のオルガを足止めなさい!」


「はい!」


 レティはオルガをイーリスに足止めさせて、一気に真夜とシーラに迫るつもりの様だ。

 シーラ達はオルガに前衛を任せ、レティに追いつかれない様遠距離攻撃よりは遊撃するみたいで開始直ぐに森へと消えて行った。


「それでいいのですか?オルガが1人ですが?」


 言いながらオルガの後ろから攻撃しようとしたレティに、周りの森から矢と斬糸がオルガ達に影響無い様降り注いだ。


「なるほど。オルガへと向かおうとすれば周りの森に背を向ける事になり、そこへ遊撃の2人から攻撃が来るという訳ですね。」


 理解を見せながら極めた風魔法で自分の周囲に上方向へと突風を吹かせ、風除けの魔力が込められた矢も真夜が飛ばした斬糸もまとめて吹き飛ばした。

 うん、予想通りと言っては何だけど、レティが入ると実力差が有り過ぎるな。

 オルガとイーリスの戦闘はちょいちょいオルガの視界に入り意図的に邪魔している様だし、森からの攻撃は風で吹き飛ばし少し分かり易いように大きくした風の砲弾で牽制し位置取りを難しくしている様だ。


「イーリス!強く成ったわね。接近戦ではまだ私の方が強かった筈なのに、守りに専念しているとはいえ時間を掛け過ぎた・・かしらねっ!」


 ガキッっと大鎌を弾き、一旦離れながらイーリスを褒めるオルガ。

 ちょっと焦っている様でもある、と傍から見ていて分かる。

 まあ、レティが本気で動けばすぐ終わるので五分は様子を見る様言ってあるとはいえ、相手は出来ればレティが本気で動く前に勝負を決めたいと当然思っているので焦るのも分からんではないが。


「・・そう簡単には負けない。ご褒美・・欲しい。」


 イーリスが言葉少なに主張しているが、大体はこの手の勝負をする時は勝った方にご褒美が有る様にしていて、俺が出来るか判断しての事だが今の所希望のご褒美をあげている。

 まあ、色々気遣ってくれているのか余り無理を言ってこないので助かってはいるが、自分の甲斐性として考えると微妙な感じにもなって溜め息を吐きたくもなる。


 これまでにはご褒美はレティは別として、オルガが一番多く、真夜、イーリス、シーラとなる。

 個の実力順だと、オルガと真夜、イーリスとシーラが逆となるが、戦い方や連携能力等を含めると順番が結構変わる。

 オルガは思っていたより視界が広く、仲間を使う事や協力する事がどんな事か分かっている様で、実は結構高い勝率を叩き出している。

 単体戦闘だと、蜘蛛の体の立体機動とそこから生み出す糸を上手く使ってレティ以外には結構な確率で完勝出来る真夜も何だかんだで勝率はなかなか高い。

 イーリスとシーラは入ったのが遅いのも有ってそこまで成長していなかったから、まだ余り勝率は高くは無いが、最近になって一気に成長して来た。

 イーリスは接近戦でオルガに迫る勢いだし、シーラは遠距離戦であれば真夜に三割位の確率で勝てるようになって来た。


 今迄の事を考えて呆けていたら、模擬戦が終わっていた。

 今回はレティが本気を出す前に勝負を決める事が出来た様で、シーラと真夜を追い詰めてはいたがオルガとイーリスの接近戦の結果、一対一ではまだオルガに届かなかったイーリスは首元に剣を突き付けられ降参していた。

 今回は短期決戦に出来たオルガチームの勝利だった。


「よしっ!主、勝ちましたよ!」


 森から出て来た2人も嬉しかったのか、余り感情を出さない真夜もシーラも小っちゃくガッツポーズをしていた。


「フゥ~~。シッ!!」


「主様!頑張りました。」


 喜んでる三人の後ろでイーリスが座ったまま消沈していた。

 そこにちょっと微妙な顔をしたレティがゆっくり近づいて行くと、イーリスの前にしゃがんでいたので、励ますのか叱るのか固唾を呑んで見守る。


「イーリス、今回なぜ負けたか分かりますか?」


「??・・・僕が弱いから?」


 真っ直ぐなその言いっぷりに苦笑しつつ説明してあげている様だ。

 イーリスの事はレティに任せ、俺は勝ったチームにご褒美を聞きに行くと三人ともとても嬉しそうに待っていた。


「主!勝ちましたよっ!ご褒美ですよね?」


「アルジ、ワタシも頑張りまシタ。」


ワタクシして欲しい事が有りますのですが。」


「まあ、待て。ちょっと待て。落ち着け。いいから、落ち着け。ちゃんと希望は聞いてやるから、一旦落ち着け。」


 三人ともに一気に詰め寄って来たので、一旦落ち着かせる為に離れる様促す。

 特に真夜はコマンダーになって結構大きくなっていて蜘蛛の部分だけで2m以上あり、人の部分を足すと約2.5mとかなり大きい。

 その真夜に詰め寄られると、ちょっと強くなれたと思える今の俺でもちょっと圧される感じがある。


「・・・ふう。少しは落ち着いたようだが、順番に希望を聞くからそっちで順番を決めて言って来い。基本そのままの順番でご褒美をあげて行くからちゃんと相談する様にな。」


 そのままの順番と聞いた3人はまた本気の顔になり、俺が教えたジャンケンをし始めた。

 昔見たコインの裏表も考えたが、ある程度動体視力が鍛えられれば見えてしまうので面倒でジャンケンにしておいた。

 まあ、手元を見えない様にすればいいのかもしれないが。


 と、考え事をしていたら結果が出た様で、喜び方で順番がよく分かる。

 真夜、シーラ、オルガの順になったみたいだ。


「ワタシからお願いしマス。何時もの条件で良いのデスか?」


「ああ。時間を使う場合は1日、一度にお金を使う場合は初級者向けの魔剣程度だな。で、真夜はどうするんだ?」


「ハイ、アルジにお願いしマス。内容は1日掛けてデートしまショウ。」


「なぬ?デート?誰にそんな事聞いた?」


 チラッとレティの方を見る真夜。


「ああ・・・なるほど。ま、その事自体は良いとして、デートってどうすんだ?前に確認したけど、真夜の大きさだと街へは入れないよ。テイムされたモンスターは、小型と中型は従魔証を付ければ街へ入る事も出来るけど、大型は町入り口に在る駐屯所に併設されている厩舎で待つ事になるぞ。」


「流石にソンな悲しい事をする気は無いデス。町の外から今迄出した事のナイ声が出せそうですヨ?・・ではなく、ワタシが居たガニア山の巣まで二人で行きまショウ。何だったら、ワタシがアルジを乗せて行っても良いデス。」


 真夜はいつも通りほぼ無表情に見えるんだが、うっすら微笑している様な気もしてそうだと思うとちょっと嬉しくなった。


「よしっ!じゃあ、先ず明日一日使って真夜に付き合おう。で、俺を乗せて行ってくれ。二人で全速で行ったりすると、一日どころか2、3時間で帰って来る事になるだろうからな。・・・で、次はシーラだったな?」


 後ろにいた二人は、シーラが嬉しそうに、最後になったオルガが悩んだ感じで順番を待っていた。


「はい。すみません。先ず、ご褒美の事でなく、ワタクシはこれからの事に対する皆からの提案を一つ。今はこの家で就寝時はそれぞれの部屋で寝て居まして、レティ様だけが主様の部屋で寝ています。確か後一月位で主様は成人と成りますが、出来ればその時主様の決意を聞かせていただけないかと。これからの行動の指針と・・・主様がこれから女性に関してどうするかをお聞きしたいのですが。」


 話している内に恥ずかしくなったのか、終わり際には耳の先まで真っ赤になったシーラが深く息を付きつつこちらをしっかりと見ていた。

 今迄は多少悪戯はしたが実際に手を出した訳では無いので、この機会にはっきりして欲しいのだろう。

 と言うか、自分の成長を実感できるのが楽しくて言うのを忘れていたな。


「あーうん、女性に関して、か。俺の想いは決まってるので今答えるよ。この手の話は多少はレティから伝え聞いているだろうが、転生した俺だが前世には結婚するつもりが無かったからな。・・まあ、可愛い嫁さん欲しいんだよ。既にレティがそんな感じな気がするが。しかも一夫多妻が許されているとなれば男として求めたくはなるよ。最初の頃からからレティには女性に慣れる為に色々やって貰って、頑張って鍛えて強くもなったし複数の嫁を貰っても大丈夫な甲斐性はもう有ると思うんだが、どうだろうね。」


「いえ、そこは実力と甲斐性と現実を見る目さえ伴っていれば何も問題は無いので気になさる事は無いかと。まあ、確かに何も考えずただ女性に囲まれたいというだけで、中途半端な実力でハーレムを形成している者もおりますが、やはり長持ちはしませんね。過去には他国で勇者と呼ばれて調子に乗ってハーレムを形成していた者が、自分の物にならないからと言って公爵家の次女をさらった、なんて事も有りました。当然、その後は国が敵に回り、結局逃げる事も出来ず一月後には協力したパーティメンバー諸共処刑されたそうですが。」


 あー、うん・・人生経験の足りないのがいきなり勇者になれるほどの力を与えられて調子こかされたら、そりゃあ暴走もするだろ。

 明らかにまだ若く調子に乗り易そうだからと操作する為に美女を送り、色々適当な事を吹き込んだりして自分で考える事を放棄する様おだてて持ち上げてやると、結局は自分が何をやっても良いとか勘違いする訳で。

 まあ、当然の結果だとは思うが、俺は同じ結果にならない為に一年頑張って来た、と胸を張れるだけの努力はしてきた・・・と思う。


「うん、そうならない様皆で頑張ろう。きちんと自分達で何が出来るか、何を優先するか、しっかりと考えて無理の無い様進んで行こう。・・と言う訳で、成人したら直ぐに行き成りがっつくつもりは無いが、レティと真夜は別枠の番いとしてだが、オルガとシーラとイーリスの三人は普通に嫁候補としても選んでいるので、覚悟はしといてくれ。」


 気が付けばイーリスの対応が終わったんだろうレティとイーリス含め全員が目の前で笑って居た。

 レティやシーラはしょうがない人だなぁみたいな感じで苦笑しているし、オルガとイーリスはイマイチ分かっていない感じで笑っているし、真夜は・・うん、何か表情が動く様な時じゃないと分からん。


「主様。既に我々で話し合いをしてありまして、後は主様のお考え次第でしたので大丈夫なのですよ?レティ様から主様の願望を聞いていましたから。」


 言われてすぐにレティを見ると、ほぼ同じタイミングでそっぽを向かれてしまった。

 横を向きつつ宥める感じでレティが言ってきた。


「まあ、良いじゃないですか、ご主人様。今迄貴方について来て皆根幹の理由はそれぞれですが、その上で惚れていると確信しなければ、特にエルフや私達竜族はこういう状況で妥協なんかは有りえないですよ。寿命が長い種族は、待てば、探せばもっと良い相手が居る、と考えますからね。・・・逆に数十年程度だし死ぬまで付き合ってやればいいかと、投げ遣りなったりする者も居たりしますが。」


「そう言ってくれると、本当に嬉しいが。・・・うん、これからもよろしく頼む。」


「はい。で、話は変わりますが報告を一つ。皆で話してみるとご主人様の知識の引継ぎはほぼ私だけの様でした。他の皆は幾つか今迄の記憶にない事が数件あるか、うっすら何かあるってだけでしたので、私が主動で話し合いをしまして。」


「なるほど。まあ、何回かレティにも皆にも話したが、俺がこの世界に来て一年後を目処に今のこの修業の生活をしている訳だ。後、二ヶ月位だな、確か。そこを一つのけじめとして、レティとオルガ、奴隷から解放して眷属とする予定のシーラとイーリスの四人と結婚する予定だ。これからも俺の力になってくれ。」


「「「「はい!」」」」「おうっ!」


 一人だけ調子に乗って違う声を出して吃驚しているオルガに視線で突っ込みを入れていたら、今迄聞き役に徹していたイーリスが吃驚な事を言い出した。


「・・ユウ様、今日から・・一緒に寝る?」


「いやいや、それはいくら何でも早くね?そもそもまだ二月ふたつきあるし、そこはちゃんと・・ちゃんと?・・・・今更か。ちょいちょい悪戯してたし、町の宿では一緒の寝てたしな。今迄は家ではレティと二人きりだったが、良いか?」


「はい。流石にもう皆が信用出来ると分かっていますから。ちょっと寂しくはありますが、ご主人様には様々な経験を積んでいただき、皆で外の世界を見に行けたらと思います。お母様に会いに行くのも良いですね。」


 かなり驚きの予定を言い出したレティは放っておいて、先に話した事は俺の本来の目的とほぼ変わらないので進めておこう。


「うん、レティのお母さんに会いに行くかは置いておいて、世界を見に行くのはいいな。元からそのつもりだったが、俺の知識を持ってもレティも同じ考えだったのは嬉しい。ただ、今の所此処が本拠地のつもりなので、空間魔法で転移出来る様になってからじゃないと行ったり来たりが面倒この上ないしな。・・・・おしっ!そろそろ話を戻そう。シーラ、ご褒美はどうすんだ?」


「えっ!?はい、え~っとですね、何でしたっけ?」


 聞こうとした俺と、次で待っているオルガが二人でずっこけてしまった。


「いやいや、何か有ったんだろ?無理そうなら、オルガを先にするか?」


「!?すみません。大丈夫です。ワタクシもデートが良いのですが、いいでしょうか?カルカーンへ行きたいのですが。」


「ふむ?カルカーンか。此処からだとちょっと遠いか。まあ、飛行魔法も何とか慣れて来たしミゼーリ川辺りまで行って、そこから走っていけば多少は時間の余裕もあるだろ。・・・大丈夫かな。で、オルガは?」


 声を掛けると、とても嬉しそうに前に出て来たオルガであるが、犬耳と揺れる犬しっぽを幻視しそうな程満面の笑顔だ。


「はい!よろしくお願いします!」


「!?おう、宜しくは良いから、どうすんだ?」


 勢いに押されてちょっと吃驚しつつ聞くと、いきなりはにかみ出した。


「え~っとですね、出来ればですね・・・私もデートして頂けますか?今までそんな事した事無かったのでかなり恥ずかしいですが、私が此処に来てから皆一緒でしたから。別に不満とかでは無いですよ?ですが、偶には二人きりっていうのも良いのではないかと。」


 身長高めの銀髪ポニーのボーイッシュ美女がもじもじしていると、普段とのギャップがある所為かとても可愛く見えるのは反則な気がする。

 うん、こういうのを見ると普段はパンツ姿の彼女に、ゴシック系統のミニスカは恥ずかしがって無理だろうが膝丈位のスカートなら着てくれないかね。


「ん?で、場所は・・って、そうか。ウィッツって訳にはいかないし、どうすっかね。まあ、これはご褒美として行く訳なんだからオルガの行きたい所に行きたい訳で、自分の番までに決めといてくれたら良いんだけど・・。修行も当然するので、4日~5日後くらいまでに行きたい所を考えといてくれ。」


「分かりました。じっくり考えておきます。」


 今回のご褒美の事が大体だが決まったので、飯の時間までは家で魔法の訓練だ。

 特に魔法に関しては幾らでもやることが有るので、行動を始めてから楽できる様思い付く限りの事はしておこう。

 当然魔力の基礎量を増やす為に使い切るのは前提で、精密操作も遠隔操作も使える属性を増やすのも常に鍛え続ける。

 やっておけばよかったとか後で言わない為に、言うならばこんな事も有ろうかと、と言う為に。


 また魔法の使い方を皆で考えて魔力をほぼ使い切り、解散した後今日はレティとシーラと一緒に寝た。

 今日はレティも寝る必要のあった日だったので、横に居るだけでなく実際に一緒に寝る事になった。

 先月からもう空間魔法で障壁を作らずとも大丈夫になったので、更に俺が女性に慣れる為に今日から一人人数を増やしシーラも一緒に寝ていた。

 なんだかんだ言ってヘタレだったのが慣れて来たと思いながら、明日の真夜とのデートを楽しみに眠りに就いた。


次回1月6日0時投稿予定

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