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元オッサンの眷属使い  作者: 烏賊紳士
第二章 仲間を増やしつつ修行中です
19/55

第十五旅 修行の日々でした 1

外伝も一緒にあげてますので今日は二話です。

こっちは一話目の本編です。

 今日も今日で皆と色々修行を行っている。


 シーラはエルフなだけあって遠距離攻撃に特化していたが、接近戦が苦手で近付かれたら終わりとかそんな隙を見せる気も無いから、今は防御主体で棒術で接近戦を鍛えている。

 一応長所も伸ばして行く為に弓の訓練もしてはいるが、先ずは安全の確保を最優先して今の所は八割接近二割弓でやっている。


 イーリスは獣人族特有の俊敏さが売りと思ったので細剣とか短剣かと思ったら、身体強化出来るからと希望されたのは大剣だった。

 昔からチマチマと攻撃するのが苦手で、戦うのなら短期決戦が一番出来れば一撃必殺が良い、とは何時ものイーリスからはつながらない考えだが、それが良いというなら否定する必要も無かったのでイルメラに頼んでみた。

 するとイルメラからは今迄狩ったモンスターの素材をくれと言われたので、イーリスの最初の武器だしあまり強すぎるのもどうかと思い、以前レティが狩ったミノタウロスをあげると何をどう作ったのかかなりゴツイ大剣が出来上がった。


 オルガは騎士なので剣術、盾術、槍術、馬術が基礎だったが、中遠距離攻撃の手段を増やすため幾つかは考えた。

 攻撃魔法に適性は無い様なので、鞭術や投擲術、弓術を試した結果、馬上では弓一択だが地上戦では他に鍔の無い黒い短刀を投擲する事に。


 アルは基本は逃げる事を主軸に防御を鍛える事にした。

 剣とも槍とも盾ともどうとでも扱える棒術を基本として、他にはアルでも持てる小楯と俺のアイデアを聞いて出来た盾としても使え武器破壊が主目的のオーガの牙から出来たソードブレイカーを装備している。

 剣でも防御出来る様にしてあり、隙があれば敵の武器を折り交換の間に逃げる戦法だ。

 出来ればアルが戦う事は無い様にしてやりたいが、可能性は零には出来ないので他の連中よりは頻度は低いが戦闘訓練を外す事は出来ない。


 まだ修行を始めたばかりのシーラとイーリスもいつも通り見取り稽古から始め、先ずはオルガと俺で棒での模擬戦闘を見せる。

 俺以外は皆基礎を剣とするので俺とオルガは1m30cmの棒で、攻め受け交代しながら一時間、最後は一本取るまで無制限で自由戦闘を行った。


 強化なしで行う自由戦闘の場合、身体能力や剣の技術はまだオルガが上で、レティと鍛えた見切りや体力等の継戦能力は俺が上で、短期で決められると負けるし長期戦に出来れば勝つ。

 レベル差が有るので勝率は2対8で俺の方が高いのだが、今回は新人に良い所を見せたいオルガがかなり気合入れて来たので、3分位で押し切られて負けてしまった。


 その後、休憩を取ったがまだ暑いのでまた水魔法でシャワーをやろうかと思ったが、更に魔法の訓練とするために一工夫を考えた。

 前と同じ様に区域で分けるのは一緒で魔力操作の訓練代わりで、そこからちょっとイメージが足りないような気がしたので、恥ずかしいのは無視して実際の魔法行使には久し振りに呪文らしき物を唱えてみる。


『我が意のままに世界のことわりを変えよ 雨に 雪に 雹に 霧に 俺の意思の 想像の赴くままに変化せよ』


 唱えてる間に何となくイメージが出来て来たので、そのまま魔法として形成する。

 魔法名まで言うと恥ずかしすぎるので、そこは意図的に飛ばした。

 出てこなかった訳では断じてない。


 上手い具合に制御出来た様で、それぞれ8m~10m範囲位で雨と雪と雹とダイヤモンドダストが別々に振って来た。

 誰が何処に居るかは気にしないで放ったが、雨を浴びているオルガは気持ち良さそうにしている。

 が、シーラは運悪くダイヤモンドダストと雹の間辺りだった様で、「痛いっ!?冷たい!?」と悲鳴を上げてこっちに逃げて来た。

 イーリスに至っては運が良かったのか俺の運が無いのか、そもそも範囲から外れていた。


 ちゃんと何処に魔法を放つか考える事も重要と言う事だ。

 と、反省しつつ基本こういう悪戯をした時はフォローもしているので、火と風の魔法でちょっとだけ温風を出してやり、ボックスからタオルを出して渡した。


「運が悪かったな、シーラ。」


「むぅ、あまり悪戯しないで下さいませんか、主様。」


「悪かったよ。涼しくはなったろ?ほら皆、休憩、休憩。」


 まだこの時は八月末で暑い中だったので、程度は違っても既に何回かやっている悪戯だった。

 温めたり冷やしたりちょっと痺れたり、時々で変えているのが慣れないらしくオルガかシーラが一番良い反応をしてくれる。

 今日のは特に組み合わせが悪かったとは思うが。


 以前にレティにやって貰ってとても良かったので、嫌なら言ってくれていいと言った上で膝枕を頼むとそれぞれ顔を見合わせて苦笑いをしながら了承してくれた。

 普通の奴隷の主はどんなに良い主でもそんな事を聞く事は無いし、私達の様にある程度自由になんかしてはくれないと。

 貴方の実力を、考えを行動を知って惹かれない事は無いです、と言って貰えるのはとても嬉しい。


 が、奴隷相手だと前世の平和ボケ日本人の精神性なら、元から脳味噌無しで思考能力が無い奴が王族に呼ばれたりして持ち上げられて、余程調子に乗ってはっちゃけ無い限り皆同じ感じだよね、とは意味は無いと思いつつも思ってしまう。

 そこまで前世の考えを持ちだして甘い事を言うつもりは無いので、奴隷からの解放はもっと後にするつもりだし、そこまで行ったら奴隷から解放しても結局は眷属化はするけども。


「じゃ、今日はシーラに頼もう。」


「分かりました。クスッ・・遠慮なく甘えて下さい。ちょっと位なら・・おさわりをしても良いですよ?」


 アヒル座りと言うらしい、正座をして足首をお尻の横にずらす座り方でポンポンと腿の辺りを叩いて俺を待つエルフのお姉さん。

 それぞれに渡してある真夜の糸とガルーダの羽根で作った薄めの座布団的な物を敷いているので、遠慮なく手前に敷物を敷いて膝枕を堪能する。

 まだ成人していないしそれ以上やるつもりは無いが、やはり女の子の柔らかい体はちょっと触れているだけでも幸せになるので、腿に触れながらちょっと眩しかったのでシーラに目元を手で覆って貰った。


「あんっ、主様、良いとは言いましたが、余り動かないで下さい。」


 そのままだと気持ちいいしシーラがふんわり頭を撫でてくれるので、早々に寝そうだった。

 リア充爆発しろとか言われそうだとか思いつつ更に気持ち良くなって意識が飛びそうになったが、今日の修行がまだ終わっていないので頑張って目を覚ました。


 休憩と昼食を取った後には最初は俺とオルガで狩りに出て、シーラとイーリスには後からついて来させて見学させる事にした。

 レティはアルと解体や料理の下ごしらえ等の修行で村に留守番である。

 体力の消耗とかを自分で考えて管理出来るか見る為に意図的に距離の遠い場所に行く事にして、更に何処に行くかは言わず進み始める。


「うしっ!次は皆で狩りに行くぞ!どこに行くかは秘密だ。頑張ってついて来い。」


「「はい!」」「・・うん。」


 村から出ながら警備のコボ達に挨拶し、レニの森に入って行く。

 出来ればオークか牙狼の群れが居ると、シーラとイーリスに良い経験を積ませられると思うんだが。

 久し振りに村から西に向かい元々コボ達の村が有った場所の南側を進んで行くと、早足で1時間ほど進んだあたりでサーチの端に何かが引っ掛かった。


 皆を止めて集中して確認すると、北西に何kmか離れた場所に冒険者らしき気配が在った。

 遠いし重なってて分かり難いが、多分6人の冒険者パーティで慎重に少しずつ森の中を進んでいる様だ。

 位置関係からすると盗賊か狩人辺りが先行し、戦士が後ろに付き後衛が続き最後尾にまた戦士・・・の様に感じるが何か通常の探索をしているより慎重な気がする。


「まだ遠い所に居るが数km先に冒険者が居るが、さてどうするかね。」


 独り言の様に言ってみると、後ろに居たオルガから返答が来た。


「主、それって私達が向かっている先に居るんですか?」


「ん?いやちょっとズレてんな。右35度位で、話してる間にもちょっと近付いたんで大体3km先ってとこかな。」


「私達のランクでこの辺りに居るのはちょっと無理がありますし、バレたらかなり面倒ですので方向を変えますか?」


「・・・ボク達みたいに・・女ばかりのパーティは・・・どうしても・・この国では侮られやすい。特にダンジョン内や・・・森の奥では・・襲ってくるようなのも居るって・・・聞いた。」


 小さめの声で余りかかわりたくないと言ってくるイーリスに、撫でがいのあるモフモフのショートヘアの頭を堪能しながら考える。


「うん、俺も基本はそう考えるが、喋っている内に向こうにちょっとデカい魔物が近付いてる様なんだよな。しかも冒険者連中より強そうなのが。なのでちょっとだけバレない様手を出して、その後方向変えて・・・んー、北東に向かうか。」


「分かりました、主。で、どう手を出しますか?」


 横で静かに我関せずで佇んでいるシーラの手を取り、ドッキリじゃないけど行き成り告げてやる。


「シーラに遠距離の射撃で援護して貰う。シーラが確認できる辺りまで近づき、方向がバレない様上から落とす感じで撃って貰う。失敗したら俺が手を出すから、今日までの特訓の集大成って程でもないが頑張ってくれ。」


「!?ワタクシですか?・・確かにこの中だと遠距離での射撃となるとワタクシなのは分かりますが、相手に気付かれないほど遠くではまだ余り自信は無いですよ?その上森の中では更にですよ。」


「ま、確かにまだ遠距離射撃の訓練もそこまで多くしていないし難しいのは分かるが、そこは一発やってみよう。成功しても失敗しても経験になるし、実戦での経験を得られるならどっちでも問題無いから。余り緊張しない様にな。フォローは俺がするから。」


 不安在り在りなシーラだけを連れて冒険者達の元へと近づくと、魔物に既に見つかっていた様で戦闘が始まっていた。

 今は精密射撃と遠距離を両立出来るシーラの限界が200m位なので、気配を出来るだけ消し念の為風魔法を使って匂いが行かない様にして限界まで近づいて行く。


「・・・この辺りだな。シーラ、見えるか?何とかなりそうか?」


 気配で方向を定め木々の間に目を凝らすと俺で何とか見える辺りで聞いてみると、シーラも目を凝らし距離を測っていたが何とかなりそうなのかこっちに目配せをした後自信の在りそうな感じで弓を引き絞り始めた。

 向こうの戦闘はトロールに多少の傷を負わせてはいるが一進一退の様で、パーティ内に敵の再生能力を超える攻撃力が無く焦り始めている様だった。

 さっき伝えた通り射った方向がバレない様撃つ為にかなり上から狙っているシーラの邪魔をしない様、俺は横で向こうの状況確認だけしていた。


「・・・・・いきますっ!」


 向こうの様子を確認していたので分かったが、ちょっとの焦りでミスをしない様になのか息を抜く為になのか、後退した瞬間に届く様計算して撃ったようだ。 

 先頭のバトルアックスを持った戦士がトロールの棍棒というか丸太を真正面から受けない様弾き、一旦離れた後ちょっとしてからシーラの撃った矢が上空から降って来てトロールの足を貫いた。

 俺は一応外した時やダメージの少ない時の為に用意しておいた追い打ち用魔法を、逆にやり過ぎないよう槍では無く弾で撃ち出し頭を狙った。


石球ストーンボール


「ギャアアアアア!!グゴガッ?!」


 遠くから矢で射抜かれた後に50cmくらいの石球を頭と首の間辺りに食らいふら付いているのを見て、直ぐにシーラと目を合わせ皆が待っている方へと駆けだした。

 数百m離れた場所で待っていたオルガとイーリスと合流し、面倒は御免と即方向を変えて反対側のフォアン村へと向かった。


 残念ながらそれから碌なのに会う事は無く、結局仕方ないので北西に在るフォアン村に近づいていた30匹くらいのゴブリンの群れを見つけたので、今日の締めとしてシーラとイーリスで殲滅して貰う事にした。

 200m位離れた所で俺とオルガは待機して、そこからイーリスを前衛に後衛としてシーラが付いて行くのを見送った。


「行って参ります、主様。」


「行って・・来ます・・・ユウ様。」


 このままだと遠くてよく見えないのでオルガと目を合わせ頷き合うと、そーっと音を立てない様走っていく二人の後を追って行く。

 二人が残り100m弱位まで近づいた時、シーラが止まり弓を弾き絞り、イーリスがミノの大剣を担いで突撃していった。

 イーリスがゴブリンの群れに接敵するまでにある程度減らしたかったのか、シーラはゴブリン共に気付かれるよりの前に先制で速射の様に次々と射っていった。


 元からフォアン村が狙いだったのか群れ自体が背中を向けている様な感じだったので、シーラの弓に気付いたのは端から射殺されて4、5匹倒れた後になってからだった。

 「ぐぎゃ!」「ごぎゃぎゃ!」と喚きながら何処から射られたか分からず何も出来ずにいたが、更に射られ数匹倒れて混乱している中、イーリスに突撃されて最初の一振りで2匹斬り裂かれた。


「ごぎゃあ!!」


 イーリスに突撃され更に何匹か斬り裂かれ数が半数になった辺りで、少しは戦闘慣れしたゴブリンが居たのか一匹が一鳴きすると、森に散ってイーリスを囲む方と、4匹はイーリスを無視して弓を射ってくるシーラに向かっていく方に分かれて移動し始めた。

 まあ、確かにそれっぽい行動ではあったが、精々が初心者相手になら効果的って程度だろう。

 囲まれてはいたがゴブリン程度ではイーリスの大剣は潜り抜けられないし、シーラに向かった方は・・悲惨な事になっていた。


『絡みつく枝』


 シーラは木魔法で突っ込んで来たゴブリンを枝で絡め捕り、身動き出来ない様にして一体ずつゆっくり弓で狙い撃ちしていった。

 少しづつ近付きながら見ていたので大体の状況は分かるが、この2人はまだ修行を始めてそんなに経っていないのに結構強くなっている。

 これからが楽しみになりつつ、オルガと一緒に既に狩り終わって周囲を警戒しているシーラの元に歩いて行った。


「シーラ、主の元での初の実戦はどうだった?手応えは無かったとは思うけど。」


「オルガ。・・・そうね、久し振りすぎてちょっと緊張はしたけど、そう腕は鈍っていなかったとは思えたのは良かったわね。何もしていなかった期間がまあまああったので、ワタクシは精々が以前の腕まで戻っているくらいかと思っていたのよ。でも、主様のお陰なのか、明らかに以前森を守っていた時よりも木魔法はスムーズだったし、弓も狙いから外れても10cmズレる程度で済んでいたわ。確かに手応えは無かったけど、この誤算はちょっと嬉しいわね。」


「そうか。主の元では更に色々と面白い事になるだろうから、あらかじめ覚悟はしておいた方が良い。」


 オルガとシーラが眷属同士で友好を育んでいる横で、イーリスが小走りに近づいて来たと思ったらそのまま飛びついて来た。

 小さい体に不釣り合いなお胸様を持っているイーリスが勢いよく飛びついてきたので受け止めてあげるとお腹の辺りにぽよんと柔らかい感触が当たった。

 ゴブリン程度でも実力が上がった事が実感できたのは嬉しかったのか狐の耳がピコピコ動き、尻尾が左右にぶんぶんと振られていた。


「・・・頑張った・・・褒めて・・。」


「おう、よくやったなイーリス。シーラもそんなに疲れたりは無かっただろうがお疲れさん。」


 イーリスの狐耳を触れながら頭を撫で、横でオルガと話しているシーラに顔を向け労ってやる。


「ふわ・・ほぅ・・・・・////。」


「ありがとうございます。仰る通り疲れるほどの相手ではありませんでしたが、今の実力が多少は確認出来たのは良かったかと。」


「ま、そうだな。」


 一応かなり小さいが魔石を持っているので今迄ゴブリンの死体ごと冒険者ギルドに持ち込んでいたが、解体料とほぼ相殺だったし何も無ければそろそろ解体せずに焼却処分しようかと思っていた。

 しかし、アルが仲間になり皆解体出来る様になってきているので、討伐証明部位である特徴のある右耳と体内にある小さい魔石をちゃんと取り、残った何も使えない分をまとめて焼却して埋めて置く。


 ゴブリンの始末をした後はもう何も起こらなかったので、そのまま村に帰り今日の修行は終わりになった。

 村に入り端にある自分達の家へと向かうと、フリーターだった前世では到底住めなかったいまだに見慣れない完成したばかりの自分の館が在った。


 入り口を見ると仲間になったばかりの真夜が結構大きいのでかなり大きい扉にしてあって、入り口以外の1階にある部屋もそれに合わせてどれも入り口をかなり大きく作ってある。

 入って直ぐの大広間は大きめに作るだけだが、結局後から作った風呂も真夜が入れる様にする工夫は大変だった。


 屋内には普通の男女別の風呂を作り、それとは別に大きめの露天風呂を更に二つ風呂を作った。

 露天風呂の一つは五m✖五m位でちょっと大きめだが普通に作り、もう一つは五m✖十mで深さを階段状にして在り、手前で70cmから一番奥では1.5mの深さになっている。


 使う木材は幾つか取ってきた中で一番上等だった魔の森から取って来た木で、高濃度な魔力を含んでおり耐火、耐水、耐腐食とかなりの耐久性があると調べて分かった。

 しかも、何回か使って分かったが今の所はレティの様に魔力が極大の者が入ると、水に染み出るのか少しずつではあるが更に強化されていく様だ。

 俺も少々は影響が有るようで、レティの10分の1位だが強化していたのはちょっと嬉しかった。


 今の所は俺が我慢出来なくなるという理由を付けて別で風呂には入っているが、部屋に居る時に外からきゃいきゃいと良くオルガの声が主に聞こえてくるのは、乱入したろうかという気になりそうになったりはする。


 戻った時にはもうアルがレティと晩御飯を作り始めていたので横から出来上がりの作業を見守った後、食卓に並べるのを手伝ったり気が付いたら既に食卓に座っていたイーリスを可愛がったりしていた。


「みなさ~ん、出来ましたです~。」


 アルとレティがお盆に乗っけて持って来てくれた晩御飯を他の皆も協力して並べて行った。

 今日の夕食は塩胡椒で味付けたスティールボアのステーキに、見た感じカブみたいな野菜を他の野菜と纏めて煮込んだ野菜スープ、この辺りの特産でレニの森の浅い所に良く生っているリンゴみたいな味のミッティって果実を絞って水で割ったジュースと、何だったらフリーターだった前世ではあんまり食べていなかった晩御飯だった。

 レティはステーキを焼いたり野菜を切るのを手伝ったりと、ちゃんと順調に腕が上がっている様で何よりだ。


「よし、じゃあ皆・・・いただきます。」


「「「「「「いただきます。」」」」」」


 やはりこの世界に無かった食事前の作法を皆に教えたので、全員揃っていただきます、と言って食事を始める。

 今の所は一応お客様扱いだが、イルメラとセルファースも一緒に食べている。

 最初は喋るという事を忘れてしまったかのように無口だったセルファースも、最低限の挨拶くらいはするようになった。


 そうやって皆が食べているのを横目で見ながら、大勢で食事する喜びをかみしめながら自分も食事を進めていく。

 ボアのステーキも火が入り過ぎず俺の好みのミディアムレアに仕上がっていたし、スープは野菜の旨味が染み出し塩も使ったのは少しだけだろう塩味は少なく旨味が強く体にも気を使った品だった。

 ミッティのジュースも濃すぎないよう薄められ飲みやすくなっていて、俺がこうした方が良いといった時に微妙な顔をしていたイルメラもがぶがぶと飲んでいた。


「うむ、最初聞いた時はどうかと思たんじゃが、これは薄めた方が飲みやすくて美味いのう。」


「そうね、ワタクシ達も良く絞って飲んでいたけど、そのまま飲んでいたわね。それで不味い訳では無かったけれど、特にこういう食事中に飲む場合肉の油を落とす意味でも薄めて飲むとすっきりするわ。」


「ん・・・お肉美味しい・・ご飯が進む。野菜も・・・食べやすい。」


「いや、ホント主に仕えて良い事だらけだな。自分が強くなっている事を実感出来る、ご飯も美味しい、行動もほぼ自由と、言う事無しだ。」


 ここ最近ご飯時に皆からの賛辞が止まらない。

 強くなっているのは本当だろうが、多分一番感謝されているのはアルではなかろうかと思わんではない。

 まあ、俺が眷属にした訳だし、アルの手柄は俺の手柄という事で良いんじゃないかな。


 言い訳は置いといて、ご飯が終わった後は順番に風呂に入る事になった。

 まず先に風呂用に作った貯水槽にちょっと熱めの湯を残った魔力から注ぎ込み、そこから湯が貯まるまで待ちながら、もう少しギリギリまで魔力を使う為魔力操作特訓で周囲にそれぞれの属性の光球を作り浮かせていく。

 普段はアルに洗って貰っている男女別に作った風呂に、貯水槽からそれぞれ湯を注げる様にしてあるのでゆっくり待ちながらご飯の洗い物の終わったアルと喋っていた。


「そう言えば、ご主人様。聞きたい事が有るですが、いいですか?」


「ん?いいよ。何かあったか?」


「僕もその内番いを此処に連れて来ても良いです?」


「それは構わないが、連れて来たい相手がもう居るのか?」


「いえ、予め聞いておこうと思いましたです。今迄のご主人様の行動を見ていると、いきなり聞いても駄目と言われはしないと思いましたですが。」


「そりゃ勿論そんな野暮な事は言わんよ・・・おっ、そろそろ溜まったな。入るか、アル。」


「はいです。」


 溜まった湯でかけ湯した後、アルとゆっくり浸かり風呂を堪能した。

 温泉で無いのが残念だけど。


 風呂から上がって二階の部屋に戻って館の周りに結界を張ろうとしたら、さっき風呂で魔力を使い過ぎた事に気が付いた。

 仕方ないので薄く割れやすい代わりに割れた瞬間俺に警報が鳴るようにした。

 細々とした事をやっているとレティが風呂から上がって来たので、今日もまた女性に慣れる為にと添い寝して貰って一緒に寝た。


次回12月23日0時投稿予定

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