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元オッサンの眷属使い  作者: 烏賊紳士
第二章 仲間を増やしつつ修行中です
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ある冒険者の旅路 幼馴染の仲間だと結果こうなる事もあります

今日は外伝的な話で短めの話を二話同時にあげます。こっちは一話目です。

 俺達ランク2冒険者パーティ深緑の狩人がウィッツの町に来てから既に一年以上経っている。

 俺ことリーダーの狩人ランドニー、同じく狩人で土魔法も使えるルコット、剣士のディモンド、槍術士のマドック、治癒士のロザリーの五人でレニの森の村から出て来て地道に採取依頼からこなし、同時期に冒険者になった連中の中ではなかなかのスピードでランク2に上がったと思う。


 ランク2に上がり、ゴブリンやオーク、ボア系の討伐依頼を時折小さい失敗を挟みながらではあるが順調にこなしながら少しずつ装備を整え、スキルを鍛え、頑張って来た。

 男四人女一人ではあるが、既に先週辺りからマドックとロザリーが付き合っているので二人を冷かしつつ仕方ないので他の三人は娼館に通っている。


 一夫多妻と多夫一妻両方認められてはいるが、実際出来るのはどの職業でもある程度成功した人だけだ。

 俺達程度じゃ夫一人妻一人で精一杯だし、ロザリーも一人才能が突出している訳では無いので、その内結婚してパーティを抜ける可能性も有るだろう。


 俺がこのパーティの未来に不安を感じて悩んでいる時にも、未来に不安なんか無い様な傲慢な奴や、やる気に満ちた奴が新人として次々と冒険者になっていった。

 が、魔の森近くのこの町でそのままのやり方でいつまで生きていられるかを考えるとちょっと不憫だった。


 その中に一人見た感じ新人らしくないが、横で話を聞いていたら本当に冒険者になったばかりらしいオッサンぽい男が居た。

 何回か採取依頼のホベミ草やミール草を結構な量取って来ていたので、気になって冒険者ギルドで受付嬢のララさんに聞いてみた。


「ララさん、ちょっといいすか?」


「何でしょう?依頼の受付ではないようですが。」


「さっきの男の事を聞いてもいいすか?」


「さっき?ああ、ユウさんの事ですか?当然スキル情報とかは無理ですし、それ以外も細かい事は教えられませんが、それでいいですか?」


「はい、頼めます?」


「構いませんよ。今言いましたが、名前はユウ、えー二月くらい前に冒険者登録をした新人ですね。今の所採取依頼をメインに受けていますが、たまに常時依頼のゴブリンを狩って来たりアッシュボアを狩って来て肉や素材を売っていますのでランク2にしてはかなり強いのではないでしょうか。・・・話せる事はこんな所ですね。彼をパーティに誘うんですか?」


「へー、結構やるね、あの新人。ありがとうございます、ララさん。誘うかはまだ分からないですけどね。ランク2になってまだ一人でやってるって事は、どこかのパーティに属する気が無いのかもしれんし。近い内に顔つなぎだけでもして置こうかとは思っていますよ。」


「いえいえ、問題有る冒険者ならともかく、普段からきちんとしている人達にはこれくらいはしますよ。」


 多少期待してくれていると勘違いしそうだが、ギルドの受付嬢のテクニックだという事は何となく分かって来た。

 美人ににこやかに対応されれば良い恰好を付けたがるのが男だしな。

 それで生き汚くなるか死にに行くかはそいつ次第な訳だが、通常以上の結果が出ようと付き合ったりは出来ないだろう。






 情報を聞いた数日後にまた薬草を持って来ているユウって冒険者に、依頼を終えてカウンターから離れる所に威嚇と取られても嫌だし一人で声を掛けてみる事にした。


「ちょっといいか?話がしたいんだが。」


「ん?何か用か?」


 行き成りだったからか訝しげに聞き返されたが、気にせずに話していく。


「俺は深緑の狩人って冒険者パーティでリーダーやってるランドニーだ。幾つか聞きたいことが有ってな、ちょっと顔貸して貰えるか?」


「冒険者になったばかりのユウだ。ここじゃダメなのか?」


「そうだな、出来れば他の場所で話せるか?そこのギルド御用達の踊る戦士亭に個室が有るから、そこで話そう。」


「んー、ま、いいか。奢りだろ?」


「ああ、当然俺が出すよ。すぐ行けるか?」


「おう、じゃ行こう。」


 ユウを連れて踊る戦士亭へと出向き、主人に話してランクは低いが個室に案内してもらう。


「ここはこの宿に幾つかある個室の内の一つで、まあ、普通の個室だ。他には魔道具で盗み聞きとか外からの干渉を防いでいる部屋もあるが、高いんでな。」


「まあ、そこまでは良んじゃないかな。実は個室が有っただけで吃驚だし。で、何か聞きたい事が有るとの事だったけど。」


「おう、すまんな。聞きたい事は二つだ。話せない事は話せないで良いが、出来れば教えて欲しい。」


「って言うか、そんな大仰な秘密めいた事なんか無いと思うが、内容次第としか言えないなぁ。」


 重大事の様に言い過ぎた上もったいぶった訳では無いが時間を掛けたせいか、ユウはちょっと不安な感じになっていた。

 勘違いされて嫌がられても何なので、とっとと話す事にした。


「うん、先ずユウを見ていて気付いたんだが、お前通常の依頼以外に何かやってるだろう?細かい強さは分からねえが、数年でとかなら兎も角短期間で強くなり過ぎだろ。」


「何かって言われてもなぁ。逆に俺が聞きたいよ。ここの冒険者だけかは知らんが、依頼以外に鍛えたらいけないなんて決まりは無かったと思うんだが。せっかくギルドの裏に修練場が在るのに、使ってる奴少なすぎやしないか?俺は理由が有って手の内をさらす気は無いので別の場所で鍛えてるけど、ギルドの元冒険者とかに見て貰えれば皆少しずつでも実力を上げられるんじゃないか?」


 喋っている間に本当に不思議になったのかつらつらと不思議だと向こうから言われてしまった。


「いや、そんな事言ったってお前毎日依頼なんか出来ないし、武器とか装備も整えないといけないしである程度稼ごうとすれば怪我もするだろ。休養もするし、色々やる事あってそんなに時間も無いしなぁ。」


「んー・・・だけど確かえーっと、一回ギルドで見た記憶があるけど深緑の狩人だったな、確か治癒士居なかったっけ?回復して貰えばもう少しは鍛錬に時間を回せるんじゃないか?まあ、後は悪い先輩冒険者にならってんだろうけど、依頼後に飲みに行ったり娼館に行きすぎだと思うぞ。俺からこんな事言うのは何だが、もうちょっと頻度を落とすべきじゃないか?」


 図星を突かれてちょっと胸が痛い。

 ここ最近稼げる様になってきて、依頼後は怪我とか無かったら飲みに行くか何時もより良い豪華絢爛な花束(アルバブーケ)って娼館に入り浸ってたからなぁ。


「成長のほぼ止まった先輩達はともかく、まだそこまで強くなった訳でもないのにちょっと小金を稼いだだけで満足して、中堅冒険者と同じ様な行動している奴らが多すぎる。魔の森近くの町にしては領主は知らんがとにかく貴族共に危機感足りないみたいだし、この町に長く居る気は無いな。・・・ってちょっと熱くなって言い過ぎたか。」


 もう来ていた料理に手を付け一息ついているユウに、もう一つの質問をしてみる。


「いや、こっちも考える事が色々有るのがよく分かった。他の面子とも話し合ってみるよ。もっと強くなりたいのか、今を維持するだけでいいのか。で、だ。もう一つは・・・・・これは言えないならそれでいいが、採取依頼の事なんだ。」


「採取依頼の事?何か変な事あったか?」


「ああ、変な事じゃなくてだな・・・・ギルドで採取依頼を済ましているのを見てたんだよ。実は、俺達はちょっと採取が苦手でな。要するに、聞きたい事っていうよりも、出来ればアドバイスをくれないか?」


 後輩にアドバイスを求めるのはなかなかきつく、自分でも微妙な顔をしながら聞いているのが分かる。


「・・・えー、マジで聞いてる?教えると思うか?」


「マジはマジだが、まあ当然出来たらだし、ちょっとでもって感じだからダメ元だな。」


「・・そうか。そこまで正直に言わんでも良いとは思うが。ま、これに関してはスマンが秘密だ。」


「ランク1や2のホベミ草とかミール草でも駄目か?ユウはもうランク2近いだろうし、討伐依頼を始めればもうあまり受けないだろ?俺達は町付きを目指しているから町への貢献度が高い採取依頼は一定数受ける必要が有るし、苦手と言って逃げられないんだよ。討伐だけで貢献も出来るけど、いざ品が無くて必要だって時に何とかするのが町付きの居る意義と言っても過言ではない、と思うんだが・・・どうだろう?」


 一応多少なりとも説得力のある事を言えたと思うんだが、何だか嫌がっているというより困ってる感じに見える。


「そうだな・・・。んーー、そこにずっと有るとは限らんが、ミール草に関してなら一ヶ所教えても良いぞ。他の人に見つからんとも限らんが。」


「!?いいのじゃ!?っ!違うっ!!良いのか?」


 興奮して噛んでしまったがそんな事はどうでもいい。


「ああ、確かにここにずっと居るわけで無い俺が、ミール草の場所を誰にも教えずそのまま持って行ってもしょうがないからな。」


「おおっ!遠いのか?今から案内して貰ってもいいか?」


 既に頼んでいた物は食べ終わっていたので、後ろから押す様に店を出た。


 実際に案内して貰って街に戻り、ユウに礼を言って今後十回奢る事を約束して別れた後、常宿の猛牛のうたた寝亭で夜に皆に集まって貰った。


「皆集まったな。昨日言ってたあの冒険者に色々聞いて来たぞ。耳が痛い事も聞いたし、問題だった採取依頼の一つのミール草の群生地は教えてくれたから、目標の町付きの事も何とかなりそうだ。」


「おおっ!?マジか?ダメ元で行って来ると言ってのに本当かぁ?」


 細かい事はまだ何も説明して無いのにいきなりマドックが疑って来た。


「ほれ、良いから最後まで聞けって。まあ、先ずお前らが興味有って聞きやすいであろう群生地については、俺が付いてってちゃんと確認したから何も問題ないぞ。そう何時も採取依頼を受ける訳では無いから、ちゃんと考えて採取すれば他の連中にバレなければ取り尽す方が難しい位の場所だった。」


「おお~、すげえな。あいつ俺等より後だろ、確か、冒険者になったの。今のトコ一人でやってるし、結構強いのかな。誘う気なのか?」


 前衛で盾役もこなす犬人族のディモンドが見当違いの事を聞いて来た。


「いや、それをするんならお前らに言ってからやるよ。ま、情報を買いに行ってたってとこだな。当然見返りは渡す訳で、今回は俺が奢ったけど次からはパーティ資金から出すぞ。後十回は俺らがまだ行けない様なちょっと良い所で奢ってやる事になってるからな。」


「ふむ、それ位なら先の事を思えば俺等にかなり得ですね。ユウでしたっけ、それで良いと言っていたのですか?」


 今まで黙って聞いていたパーティの中では一番慎重なルコットが確認して来た。


「ああ。俺もそこはちゃんと確認したが、十回良いトコで奢ってくれればいいってな。自分で言っていたが、長く此処に居る気は無いのでそれでいいそうだ。」


「なるほど。で、情報はそれだけなのですか?」


 情報を出し渋っているつもりは無かったが、聞き返される事が多かったので全く進んでいなかった。


「すまんすまん。もう一つあって、強さの秘密だな。お前らも気付いていたと思うが、あいつまだ冒険者になって二ヶ月の初心者なんだよ。それが、冒険者としてまだ初心者と言って良いはずなのに、どう考えても最低でもランク3越えの強さは有るだろう。それが何故かと聞いたら、逆に呆れられてな。」


「?呆れられたって何でだ?」


 言ったマドック以外も不思議な顔をしているが、俺もあんな顔してたんだろうなぁ。


「あ~・・ちょっときつい言い方だったが、大体そのまま言うぞ。ちょっと小金を稼げる様になったからって先輩冒険者の真似すんなってさ。依頼終わりに飲みに行き、娼館に通いと成長のほぼ終わった中堅冒険者と同じ様な事をやってて強く成れるわけない、と。」


「はぁ?!あいつそんな事言いやがったのか?」


「そ、教えてくれとは言ったが、結構辛辣に教えてくれたぞ。ただ、聞いた分だけではあるが言うだけの事はしているみたいだったな。ここに来る前から鍛えてるのは勿論、手の内を見せない為にウィッツの外で鍛えているらしい。」


 強く成る事に興味の無いロザリーまで吃驚した顔でこっちを見ているのは、まあそれだけ常識外の事って事だな。


「そこを気にしないんだったら、ギルドの裏の修練場を使えばって言われたな。今そこまで使ってる奴も見ないし、短時間でも鍛える事は無駄じゃないってな。何時も依頼を受けてるわけで無いなら、普段からもっと鍛えてもっと強くなってから少しづつ酒も女もやっていけばいいんじゃないかとは言ってたが・・ま、そう簡単にはいかんよな。」


「そりゃ、なあ・・。」


「やっとまともに稼げる様になって、余裕のある時にはやっぱ行っちゃうよな?」


 彼女いない三人がちょっと声を潜めて同意を得ている横で、彼女持ちが居心地悪そうにそわそわしているのは傍から見て悪い対応かと思う。

 内容に興味は有ったんだろう大人しく聞いていたロザリーだったが、落ち着きがなくなったマドックを見て明らかに機嫌が悪くなっていった。


「マドック?あんた何落ち着き無くなってんの?な~に~か~身に覚えでもあるんじゃ~ないでしょうねぇ?ねえぇ?!」


「いやちょっと待てロザリー!!そんな事は無いから!お前と付き合ってから行って無いし、今の俺じゃ一夫多妻は無理なんも分かってるから。・・あっ!!」


 途中の予想通りに言い争いを始めた二人を見ていたら、ぽろっとマドックが本音臭いのを漏らしたのをロザリーに突っ込まれていた。


「・・・それって、もしかして娼館にあたしと同じくらい好きな子がいるって事?」


違う所で言い争いを始めた二人は放っておいて、ディモンドとルコットとの三人で続きを話し合っていく。


「・・・まあそんな感じで俺達ももっと強くなりたいなら、普段の生活にもっと鍛える要素を入れた方が良いと思うんだ。ギルドの裏を使ったりとか、普通に討伐するだけでなく条件を付けたりとかだな。」


「見極めを間違えると速攻死にそうだがな。ただ、確かにランク3とか4とかで終わりたくなければ、先を目指すのならばやる事やらんと届かず終わるか。」


「適度に休息を入れながら、当分は飲みに行くのも娼館に通うのも週一位ですかね。」


 結局俺達3人はもっと上を目指そうと決まったが、マドックとロザリーは強く成るよりも安全に故郷に戻って治療院でも開く事にしようと決まったらしい。

 マドックは採取依頼で薬草を採りに行ったりと、低ランク依頼で手伝いながら暮らすと。

 気が付いたら仲直りしていて喧嘩はどうなったのか気にはなったが、イチャイチャし出していて聞く事は出来なかった。


 俺達の故郷の村はウィッツからそう遠くないので、帰ってきたらあんた達だったら格安で治してあげるわ、と言ってくれるのは助かるが、だったらもうちょっと一緒にやっていって欲しかった。

 治癒士が仲間に居るなんて他のパーティに比べれば魔法攻撃力は無いがかなりバランスが優れていたんだが、また後衛を探さないといけないのはかなりの痛手だ。

 しかし、無理に残す事もさせられないし、時間を掛けて探すしかないな・・・。


次回12月2日0時投稿予定

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